メニュー

ERROR

2022.12.27

全日本選手権男子FS 12月25日 大阪・東和薬品RACTABドーム

西山、シングル最初で最後の全日本 観客のエネルギーを自分の力に『Anthem』を演じ切る/男子FS

 シングルでの全日本選手権(全日本)で、ショートプログラム(S P)17位でフリースケーティング(F S)に進出した西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)。今大会を「アイスダンスも含めて一番緊張した大会」と評した西山だが、自身の強みである表現力とステップで観客を魅了。西山にとって最初で最後の全日本で満足のいく滑りを見せ、総合16位で大会を終えた。

FSで演技をする西山

 第2グループ2番滑走で登場した西山は会場を見渡し、緊張の面持ちで何度も深呼吸をしてからリンクの中央に立った。『New World Symphony / Anthem』の音楽が流れると表情が穏やかになる。そして、ゆったりとした明るいピアノの一音一音を丁寧に捉え、観客を曲の世界観に引き込んでいく。冒頭、SPでは回転が抜けてしまった2回転アクセルを綺麗に着氷。しかし、続く3回転フリップは2回転フリップになってしまう。その後に跳んだ3回転ループは流れるように着氷。単独ジャンプが続いたが、2本目の3回転フリップをコンビネーションジャンプするという冷静な対応によって、序盤のジャンプミスをリカバリーした。また、スピンでは曲調に合った腕の動きも見せ、レベル4を獲得するという技術の高さを見せた。

 曲が変わり、男性ボーカルが入る演技後半。ステップやコレオシークエンスを得意とする西山は今シーズンを通して、この演技後半で画面越しの観客を魅了してきた。それでも、これまでの試合では体力不足で本領を発揮できていなかったという。この全日本では、たくさんの観客が氷上でただ一人舞う西山に目線を向ける中、大きく力強いステップを披露。音楽の特徴を掴んだしなやかな美しい体の動きと穏やかな表情を見せ、『Anthem』の盛り上がりとともにステップに力がこもる。力強く、指先まで意識の行き届いた繊細な滑りからは大地を思わせるような曲の壮大さが伝わってくる。この全日本という大一番で、「出し切ることができた」というステップで高得点を叩き出し、点数の面でも高い評価を受けた。会場を、西山が描く優しい世界が包み込んだ。演技直後の会場はスタンディングオベーション。演技への感動と、シングルの舞台を去るという寂しさが入り混じった大きな拍手が送られた。

FSで演技をする西山

 アイスダンスで培ってきたスケーティングが強みである西山。高い表現力と伸びのあるしなやかな滑りを披露した。演技は何度も頷き、満足しているような様子であったが、キスアンドクライでは少し悔しそうな表情も見せた。合計では197・81点をマークし、S Pから順位を1つあげ16位で全日本選手権を終えた。緊張の中、「最後はお客さんのエネルギーが自分の力になって滑り切ることができた」と振り返る西山。演技が終わった瞬間に勢いよく立ち上がる観客、会場に掲げられたバナー、氷上で一人、全身全霊で演技をする西山に送られた温かい拍手。これらはまさに、「シングルスケーター・西山真瑚」の最高の姿を観客に届けたという証であろう。シーズンを通して磨き上げてきたプログラムを、この全日本という特別な舞台で存分に魅せた。今後は西山の強みにさらに磨きをかけたアイスダンスでの活躍に期待したい。

(記事 佐伯栞 写真 及川知世)

結果

▽男子FS

西山真瑚

 

FS 16位 131・38点

総合 16位 197・81点

コメント

西山真瑚 (人通3=東京・目黒日大)

※囲み取材より抜粋

――ジャンプがいい感じに見えましたが

 今日は2回転アクセルで失敗しなかったのでめちゃくちゃほっとしたのですが、ちょっと一つダブル(2回転)になってしまったので悔しいです。でもちゃんとリカバリーができたという部分では少し、今までよりも成長したかなと思っています。

――シングル最後の全日本でしたが、いかがでしたか

 今までシングルで出た大会のなかで…いや、アイスダンスも含めて、一番緊張した大会になりました。

――思い切って演技をされたように見えましたが

 最後のシングルでの全日本と自分の中で位置付けていたので、最後は思いっきり会場のみなさんと一緒に滑りたい、一緒になって演技をしてパフォーマンスをしたいなと思っていました。

――手応えは

 手応えは、最終的にはありました。

――演技後半は

 今シーズン出た大会は少し後半になると体力不足でステップやコレオシークエンスで自分本来の滑りができていなかったときが多かったので、でも今回はそこを東日本選手権が終わってから一生懸命練習してきて、それを出し切ることができて良かったなと思っています。

――今シーズンは無観客試合が続いていた中、今回は有観客でしたが

 もう自分のシングルの滑りをこんなたくさんのお客さんの前で見てもらう機会は多分今回が最後になるので、最後にこのような大き な舞台で、自分の割と満足がいく演技ができて良かったなと思います。

――観客の歓声などは

 今まで無観客試合が続いていてお客さんと一緒に滑るということがなかったので、今回どんどん後半になるにつれてお客さんも自分の演技をもっと見てくれて、最後はお客さんのエネルギーが自分の力になって滑り切ることができました

――新しい挑戦をした今シーズンの全日本を終えていかがですか

 今年シングルやってきて良かったと思いました。