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2015.04.20

第84回早慶レガッタ 4月19日 東京・隅田川

栄冠つかんだかと思いきや異例の失格判定

 ことしの隅田川にも魔物が潜んでいた――。先陣を切った女子舵手付きクォドルプルは慶大に大差で打ち勝ち、見事26連覇を果たす。そのままの勢いに乗りたい第二エイト。しかし、序盤につけられた差を徐々に広げられてしまい、昨年の屈辱を晴らせず2 1/2艇身差でレースを終えた。最後に登場したのは、王座奪還に燃える対校エイト。慶大よりも先に桜橋をゴールし、一度は栄冠をつかんだかのように思われた。しかし、言問橋下流でコース外を通行したとみなされ、まさかの失格判定。やり場のない感情を残し、白熱の戦いを繰り広げた隅田川をあとにした。

 今季も女王ワセダの強さは健在だった。「圧倒的な強さを見せつけたい」(土屋愛女子主将、スポ4=新潟・阿賀黎明)。まさにその言葉通り、有言実行のレースを披露した。序盤から慶大を寄せ付けることなく、順調に艇を押し進める。そのまま安定感抜群の強さを見せつけると、さらにその差を広げ笑顔で桜橋を通過。ラストは慶大に大差をつけ、圧勝でレースを締めくくる。あらゆる重圧にも負けず見事26連覇を決め、桜橋をエンジ一色に染め上げた。

26連覇を決め笑顔を見せた女子舵手付きクォドルプルクルー

 続いて登場したのは、第二エイト。昨年はスタート前の艇の沈没により、戸田で再試合が行われたがそこでも勝利を収めることができなかった。ことしは何が何でも勝たなければならない。スタートから勢いよく飛び出しややリードを奪うと、その後も攻めのレースを展開。チーム目標である『完全優勝』への期待がかかった。しかし、その夢は慶大の猛追に阻まれる結果に。一度慶大に前に出られ先行を許すと、最後までその差を縮めることはできず、2 1/2艇身差でまたもや敗北。奪還を果たせずに悔しさをあらわにするクルーの姿が水面に映し出されていた。

勝利を挙げられず肩を落とす第二エイトクルー

 ついに決戦の時、早慶レガッタで一番の盛り上がりを見せる対校エイトが姿を現す。3連敗の屈辱を晴らし、ことしこそ桜橋で歓喜の雄たけびを夢見ていた早大。レース展開は完璧だった。先行逃げ切りのレースプランの下、スタートから果敢に攻めていく。1艇身の差を保ったまま、荒波をかき分け突き進んだ。スパート勝負では慶大の猛追にあうも何とか逃げ切りフィニッシュ。そこには笑顔で喜びを分かち合うクルーの姿があった。しかしゴール直後、レース成立に関する審議が行われ、会場全体に緊張が走る。ワセダの勝利か、それとも失格となってしまうのか――。結果は言問橋下流でワセダがコース外を通行したと判定され、ルール違反により失格となった。桜橋の空気が変わり、先ほどまで笑顔を見せていた選手の表情が一変。隅田川には声をあげ涙を流すクルーの姿とぼう然として動けないクルーを乗せた艇がたたずんでいた。長田敦主将(スポ4=石川・小松明峰)は「この現実を受け入れるのにしばらく時間がかかりそうです」と目に涙を浮かべ語った。

優勝を信じて最後まで力強く艇を押し進めた対校エイトクルー

 ことしの出来事は痛いほどクルーの心に刻み込まれたにちがいない。記録に残ることはなかったが、確実に我々の記憶には残るレースとなった。ワセダが3750メートル歯を食いしばり、死に物狂いで戦ったことはまぎれもない事実である。その勇姿は確かに桜橋に訪れた多くの観客の目に映っていた。最後まで勝利を信じ、9人の思いを乗せた艇は力強く桜橋を通過したのだ。しかし競技スポーツである以上、審判の判断には従わなければならない。だが今回のレースでは、隅田川で勝てない、というワセダのイメージを変える瞬間が訪れた。確実に何か変化が起きている。レース後の記者会見にて、「実力的には負けていた」と振り返った慶大の吉田航主将。最終的に優勝を決めた慶大でさえ、今回の結果に心からは喜び切れずワセダの実力を認めた。ここで立ち止まっているわけにはいかない。そのわずかに見えた希望の光を頼りに、いま新たな一歩を踏み出す時が来た。

(記事 須藤絵莉、写真 土屋佳織、田島光一郎)

結果

【女子舵手付きクォドルプル】

4分32秒47 【優勝、大差】

C:亀本咲季子(人3=埼玉・浦和一女)

S:土屋愛(スポ4=新潟・阿賀黎明)

3:榊原春奈(スポ4=愛知・旭丘)

2:石上璃奈(スポ2=長野・下諏訪向陽)

B:木下美奈(スポ2=山梨・富士河口湖)


【第二エイト】

13分22秒05 【2位、2 1/2艇身差】

C:藤川和暉(法3=東京・早稲田)

S:角南友基(スポ4=岡山・関西)

7:東駿佑(政経2=東京・早大学院)

6:石坂友貴(政経3=東京・早実)

5:武田直己(基理4=東京・青山学院)

4:杉田陸弥(人3=栃木)

3:木金孝仁(社3=東京・早実)

2:有田雄太郎(法2=東京・早大学院)

B:得居亮太(法2=東京・早大学院)


【対校エイト】

記録なし 【失格】

C:中村拓(法4=東京・早大学院)

S:長田敦(スポ4=石川・小松明峰)

7:石橋広陸(スポ2=愛知・豊田北)

6:石田良知(スポ2=滋賀・彦根東)

5:是澤祐輔(スポ3=愛媛・宇和島東)

4:藤井英貴(スポ4=東京・本郷)

3:内田達大(スポ2=山梨・吉田)

2:竹内友哉(スポ3=愛媛・今治西)

B:和田優希(教4=滋賀・膳所)


コメント

S:長田敦主将(スポ4=石川・小松明峰)

――きょうの一戦を終え、率直な感想をお願いします

僕自身、この結果というか、この判定を受け入れづらくて。この現実を受け入れるのにしばらく時間がかかりそうです。まあでもこの判定は覆らないので、時間をかけて受け入れていくしかないです。結果は結果で敗北なので、悔しいですね。

――クルーの皆さんにはどのような声掛けをされますか

最後のレーン侵害以外に関しては慶大に負けていなかったと思うので、素直に「お疲れ様」と言ってあげたいです。後輩たちには、きょうのことを忘れるじゃないですけど来年へ切り替えて、思いをつないでほしいですね。

――最後の隅田川でのレースをこのような結果で終えることとなりましたが、隅田川での戦いに対する思いをお聞かせください

僕が隅田川で漕ぐことはもうないのですが、3回隅田川で漕がせて頂いて、僕の人生においても特別な場所になりました。ただ連敗をしてしまって、良い思い出はないのですが、早慶の伝統の一戦が毎年開催されるということで、僕にとって特別な場所であるということには変わりないです。

――今後はどのような意気込みで臨んでいかれますか

きょうで早慶レガッタに関しては終わりということで気持ちを切り替えて、また今度は夏というか(戸田の)コースでの大会がメインとなってくるので、今後はきょうの気持ちの切り替えともう一度部でのまとまりなどをつくり上げていきたいです。