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2015.04.13

第91回日本選手権 4月13日 東京辰巳国際水泳場

中村副将初優勝!渡部4冠!充実の日本選手権、閉幕

 6日間にわたって行われる日本選手権は、ついに最終日を迎えた。この日は中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)が男子100メートル自由形で初優勝、渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)が日本女子競泳界で史上2人目となる4冠を達成。決勝に進出した3選手全員が世界選手権代表入りを決めた。大会を通じて好成績を連発した早大勢。「ほぼ完璧」と奥野景介監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)も太鼓判を押す充実の舞台は幕を閉じた。

★中村副将、劇的逆転で代表権獲得

レース後、笑顔で喜びを爆発させた中村副将

 男子100メートル自由形決勝に、早大の看板を背負い中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)が出場した。今種目を世界選手権代表へのラストチャンスと位置付ける中村。しかし目標の前には高いカベが立ちはだかる。尊敬する先輩にして同種目のライバル、塩浦慎理(イトマン東進)だ。それでも、「いずれは抜かければいけない存在」と昨夏語っていたように、大きな背中を越える時は来た。中村の強みは後半での追い上げ。前半は出遅れ、50メートルを4位でターンするも、焦りはなかった。ラスト15メートルで、中村は真骨頂の泳ぎを見せる。先頭の塩浦に照準を合わせ、一気に加速。逆転してトップに躍り出たのは最後の一寸ほどのことだっただろうか。順位を確認すると、中村は水面をたたきつけ歓喜のガッツポーズ。劇的なレース運びでついに塩浦を抑え初優勝、同時に自力で世界への切符をつかみ取った。夏の世界選手権では、課題の前半を強化し、日の丸を背負い堂々たる泳ぎを披露できるか。中村の挑戦は、舞台を世界に変えてさらに続く。

(記事 高橋豪、写真 谷田部友香)

★黄金ルーキー、今大会4冠達成

4冠を達成し、笑顔を見せる渡部

 日本選手権は渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)にとって、大学生として挑む最初の大会でありながら、日本を代表するスイマーとして臨むことが求められていた。出場全4種目制覇にリーチをかけている女王は、女子200メートル平泳ぎ決勝でも圧巻のパフォーマンスを見せる。渡部はスタート早々抜け出し始めると、100メートルの折り返しではすでに体一つ分のリードを奪っていた。この時点で優勝は揺るぎないものに。「本気で日本新記録を目指して泳いでいた」(渡部)というレースプラン通り、見えない敵、記録との戦いへと切り替える。大差を付けトップでフィニッシュし、見事4冠を達成。負けなしで今大会を締めくくり、勇名をとどろかせた。ただ、「連戦で精神的にもきつかった」と話すように、目標としていた日本新記録にはわずか0.18秒及ばず。タイムに関しては決して手放しで喜んではおらず、むしろ記録を逃した悔しさの方が勝っているようだった。渡部はこの悔しさをバネにして来たるべき世界選手権を迎えたいと意気込む。不安材料を取り払った日本の絶対的女王は、誰にも止められない。

(記事 高橋豪、写真 谷田部友香)

★ライバル萩野に敗れるも、笑顔で代表入り!

得意のバタフライで前に出る瀬戸

 日本選手権最終種目・男子400メートル個人メドレー決勝。このレースでは、同い年の瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)と萩野公介(東洋大)の二人の対決に注目が集まっていた。序盤は瀬戸が得意のバタフライで萩野から頭1つ分のリードを奪い、積極的なレースを展開。背泳ぎで一時抜かれるも、差を広げられることなく2分00秒09という好ラップで前半を折り返した。勝負の分かれ目となったのは平泳ぎ。「いろいろ考えてしまって、そこで集中が切れてしまった」。勝てるかもしれないという油断が招いたわずかな隙。それを萩野が見逃すはずもなく、本来差をつけるはずの平泳ぎで横並びの状態をキープされてしまう。ラストは萩野が得意とする自由形で一気に突き放されると、2秒以上の差をつけられ敗北。ライバルの4連覇を止めることはかなわなかった。しかし好調を維持することが難しい時期での今回の好タイムに、瀬戸は「夏に向けてはアドバンテージがあるレース」と晴れやかな表情を見せた。また派遣標準記録を突破したため、世界選手権の今種目代表に内定。夢の五輪に向け、まずは世界選手権での金メダル獲得に期待がかかる。

(記事 吉田麻柚、写真 谷田部友香)

結果

◇決勝

男子100メートル自由形

中村 48秒78【優勝】

女子200メートル平泳ぎ

渡部 2分20秒90【優勝】

男子400メートル個人メドレー

瀬戸 4分10秒97【2位】

◇予選

女子400メートル個人メドレー

志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南) 4分53秒36【22位】

男子400メートル個人メドレー

瀬戸 4分17秒80【3位】

女子50メートルバタフライ

田村美紅(スポ3=埼玉栄) 27秒56【14位】

コメント

奥野景介監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)

――今大会を総括していかがでしょうか

毎日選手は頑張ったし、目標を達成するというプロセス、結果が良いかたちとなる毎日でした。大会期間が長かったのでいろんな良いことも悪いこともあると思っていたのですが、ほぼ完璧にできた試合だったと思います。世界水泳(世界選手権)代表に、現役選手では中村(克副将、スポ4=東京・武蔵野)、坂井(聖人、スポ2=福岡・柳川)に加えて渡部(香生子、スポ1=東京・武蔵野)、瀬戸(大也、スポ3=埼玉栄)という4名、OB・OGを含めれば藤井拓郎(平20スポ卒=現コナミ)に星奈津美(平25スポ卒=現ミズノ)と、大学関係でいうとワセダ勢が今回本当に頑張ったのではないかという大会でした。代表以外でもインカレを見据えてランキングで言えば非常に良い成果を残せたし、この勢いをさらにレベルアップしていけるようにしたいと思います。次から次へと目標達成の意欲が湧いてくるような非常に満足できた試合でした。

――奥野監督の中で一番良かった結果はどこですか

それは何といっても初日、2日目でキャプテンの加納(雅也主将、スポ4=県岐阜商)が5年ぶりにベストを出して、この大会はそれに尽きると思っています。本人も努力して苦労して、結果がなかなか出なくて苦しい時期もあったのですが、キャプテンがそれを結果で示したということはチームに活力を与えたし、今大会1日目2日目で加納が良い流れを持ってきてくれたし、学生の成長というか、やってやろうという気持ちの面もすごく大事だし、キャプテンの力というのはすごいんだなということを改めて思いました。

――加納主将がいい流れを持ってきたことでワセダ全体の好成績につながったのですね

間違いないと思っています。キャプテンが最初にいい流れをつくって、2年生、3年生が後に続いて、終盤は中村が副将として頑張って。4年生の頑張りが大会を象徴していて、チームを引っ張るというのがいいかたち、満足のいくかたちでできたということはすごく良かったと思いますね。

――来週のアリーナ杯東京六大学春季対抗戦へ、チームとしてはどのようなテーマで臨みますか

まだジャパンオープンの標準記録を切っていない選手は当然それを切るということ。日本選手権組はコンディションが良い状態なのでスピードを向上させるということを念頭に置きながら、春六でも男女共に総合優勝を目指して頑張りたいと思います。

中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋

――レースを振り返って率直な感想と思いは

タイム自身はもう少し出したかったのですが、初めて優勝できたのですごくうれしいです。

――練習のときから優勝を狙えるなという感覚はありましたか

そこはレースになるまで分からなかったです。

――レースで一番意識して臨んだ点は

自分はスタートで出遅れてしまうので、そこをしっかり意識して、あとは持ち味のラスト15メートルで勝負できればと思っていました。

――勝因を分析して何が一番大きいと思いますか

やはり自分の持ち味のラスト15メートルというのもありますし、あとは諦めない気持ちが大事だったかなと思います。

――世界選手権までまだ時間があると思いますが、どういう点を一番練習していきたいと思いますか

やはり海外勢は前半から積極的に来ると思うので、自分もそれに負けないように前半から行けるよう練習していきたいです。

――世界選手権でどういう泳ぎを見せたいか教えてください

決勝目指して頑張りたいと思います。

瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)

――レースを振り返っていかがですか

いまの時期ではいいかなと思います。

――日本選手権に臨む前は萩野公介選手(東洋大)を越えたいとおっしゃっていましたがいかがですか

途中まではいい感じで泳げていたのですが、400(メートル個人メドレー)だけなぜか平泳ぎがうまく自分の中で泳げなかったなという感じでした。焦ったのではないのですが、(萩野選手が)隣(のレーン)にいて「これはいい感じ」と色々考えてしまって、そこで集中が切れてしまいました。アップの時は平泳ぎがいい感じだったので「これはいい感じかも」と思ったのですが、なかなかアップの時の感じをそのままレースに使うのは難しいなと思いました。自分が今回課題にしていた200メートルでのベストラップタイムを更新していこうと思って泳いで、世界水泳のバルセロナのときよりも100分の何秒か速いタイムで入れたのでそれは収穫だと思います。

――途中までは勝てると思って泳いでいましたか

そうですね。正直、レース前から自信はあったので、しっかり背泳ぎができて平泳ぎをうまく泳げればと思っていました。背泳ぎまではすごくよかったのですが、平泳ぎはやはり思うように泳げなかったので、夏までの課題かなと思います。

――日本選手権の個人メドレーで優勝したいとおっしゃっていましたが

来年にお預けですね。

――世界選手権に向けて見えてきた課題はありますか

今大会は全体的にすごくよかったので、夏もさらに調子をあげていけばもっともっとタイムが出ると思いますし、夏は大好きなので自分を信じてしっかり練習していきたいと思います。

――きょうは何パーセントくらいの力を出せましたか

現時点では100パーセントに近い泳ぎができたかなと思います。

――次の世界選手権はリオ五輪もかかっていますし、ご自身の2連覇もかかっていますが改めて決意をお願いします

1種目でもいいのでしっかり金メダルをとりたいなと思っています。自分の納得するレースができれば金メダルがとれると思うので、自分を信じて戦いたいなと思います。

――萩野選手との対決については

きょうは久しぶりにすごくいいレースができているかなと自分でも泳ぎながら感じていました。レース中にそんなことを考えている時点でだめなんですけど(笑)。でも夏に向けて自分の中でも、今回負けてしまったのですが、根拠のない自信がついたかなと思います。

――きょうのレースで萩野選手に「やばい」と思わせるような泳ぎをしたいという話もありましたが振り返ってみてそういう泳ぎはできましたか

前半の背泳ぎの時点であまり変わらないくらいで入れたらいいなとレース前から思っていて、しっかりそのように入れたので、少しは(萩野選手が「やばい」と)思ったのではないですかね。分からないですけど(笑)。でも、自分の中でもすごく積極的にいけましたし、夏に向けてはアドバンテージがあるレースだったかなと思います。

――泳ぎながら周りをよく見ているそうですが、きょうの萩野選手はどのように映っていましたか

正直きょうは勝てると思ったのですが、やはり公介も勝負強くて。平井先生に「最後までためておけ」と言われていたそうで、その通りにやられてしまいました。

――夏に向けて萩野選手は「瀬戸選手のいいところを盗みたい」と話していましたが、どうしましょう

どうしましょう(笑)。自分は自分なので、夏はもっと「負けない」という強い気持ちを持って臨めるように夏までの合宿などをしっかりして、夏に備えたいと思います。

――萩野選手と一緒に表彰台に上りたいという思いはありますか

もちろん思います。どっちが上か分からないですけど、自分は自分のいいパフォーマンスをして金メダルを取りたいと思います。

渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋

――日本新記録までもう少しでしたが

本気で日本新記録を目指して泳いだので、とても悔しい部分はあるのですが、レースが続いた中で精神的にもきつい状態で泳いで4冠できたことは、とてもうれしく思っています。

――ご自身の中で日本新記録を狙っていた部分は大きいですか

きょねんから狙い始めて何度もチャレンジしては失敗していて、この日本選手権では日本記録を出して後につなげたいという思いがあったので、そこはとても悔しいです。

――今大会を振り返って一番手応えを感じられた部分は

やはり個人メドレーがしっかり集中できて、最高のレースもできて、平泳ぎでも十分いける感じはあったのですが…まあでもこの6日間しっかり戦えたことはこれからの自分には経験としていいものになると思います。

――最後に、2003年の萩原智子氏以来の4冠ということに関してはいかがですか

すごい先輩のように4冠できたことはすごくうれしいです。