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2023.01.21

【連載】男女主将対談「飛翔」【第2回】柿沼大翔男子主将×髙見愛佳女子主将<後編>

 後編となる今回は主将として過ごした半年を振り返る。一選手として、そして組織を引っ張るリーダーとして、ここまでのラストシーズンをどのように過ごしてきたのか。さらに、最終学年への展望と決意を伺った。

※この取材は12月10日に行われたものです。

前編はこちら

「自信を持って決断しようということは意識しています」(柿沼)

2022年の早慶定期戦で狙いを定める柿沼

――王座後、主将になられましたが、どんな主将になりたいかというものはありますか

柿沼 僕は二つ最初に決めたことがあります。一つはちゃんと聞くことです。これは本当に一番最初に決めました。もう一つは感謝を忘れないことです。この二つはずっと大事にしています。なにかある度に必ず感謝を伝えていますし、なにかしら意見が来た時に人ってどうしても反発する気持ちが芽生えてしまうと思うんです。そこをぐっと堪えて、必ず聞き入れる。フラットな目で見てこの部としてどうなのかということを考えることを心がけています。

髙見 私は漠然とですけど、諦めないチームを作ろうと決めました。特に女子なのですが、経験者と大学から始めた人の差が大きいんです。最近は良くなってきたのですが、私が主将になった時は50点以上差があるような感じでした。結局経験者が4人いるから上フォー(上位4人)に入るのはその4人。だからエイト(団体戦メンバー8人)に入って試合に出られればいいなみたいな感じの雰囲気がすごくありました。それがもったいないなと思って、別に私たちもミスすることはあるし、上に上がってこれる力があるのに、すごい自分たち自身で諦めてしまってるなと感じていました。それをもっと諦めないようなチームにしたいなと思って、行動をしています。

――他に主将として意識していることはありますか

柿沼 自信を持って決断することです。自分は性格的にすぐ悩んだり迷ったりするので、なにかしら進もうとなった時にもっと自信を持って決断しようということは意識しています。まだ足りていないのでこれからです。

髙見 仕事とかを最初に動こうというのは意識しています。あとは試合での動きなどをあまり自分がやらないようにしています。あらかじめ共有しておいて、足りないものがあったら指示を出すようにしています。私がやってしまったら下級生が覚えないかなと思っています。私は下級生の時、いろんな人に教えてもらって、任せてもらったことで学んだことがたくさんあるので、やらないと覚えないかなというのが私の考えです。手伝えることは手伝って、これは後輩に任せた方がいいかなということは任せるようにしています。誰でもできる仕事はさっさと自分でやっちゃいます(笑)。

――先程、髙見選手から女子チームは諦めないチームにしたいという話がありましたが、男子チームは理想のチーム像はありますか

柿沼 全員で戦うチームですかね。技術的にまだまだ足りない選手が多いですし、人数も少ないということで全員で戦わざるを得ない、その中でそれぞれの性格とかを理解した上で、全員で点数をどうやったら上げられるかというのをテーマにしたいです。もちろん個人の技術レベルを上げていくのも大事ですが、僕としては全体にバフをかけるじゃないですけど、男子チーム、もっと言えば早稲田大学アーチェリー部という組織がどうやって上に上がれるかという意味での「全員で戦う」だと思います。

――今の話に関連すると思うのですが、早大アーチェリー部をどのような組織にしたいと考えていますか

柿沼 まずこのアットホームな雰囲気は絶対に維持したいです。

髙見 応援してもらえるチームでありたいなと思いますね。

柿沼 間違いない。

髙見 去年の王座の決勝戦ではいろんな大学から応援してもらえて、「愛されているな」とすごく思ったんです。そういう面で「あの大学を、あの選手を応援しよう」と思ってもらえるようなチームでいたいと思います。

柿沼 わかる。

髙見 結局そこに尽きるよな(笑)。

柿沼 そこに尽きる(笑)。

――お二人とも入学前から知っている方から主将を引き継ぐ形となりましたが、その点で思うところはありますか

柿沼 (中野勇斗前主将が作る)試合でも練習でも盛り上げていく雰囲気、誰でも意見を言える雰囲気というのは学院時代からずっとあるので、そこは絶対に引き継ごうと思っています。

髙見 なーさんもだし、その前の美優さんもそうなのですが、全国で活躍されてて、同じくスポーツ推薦で入学させてもらった身として、私も点数を出さないとなというのは一番最初に思いました。私の中ではあの二人は主将の時期にすごく輝いていたんですよ。点数もパンって伸びて、安定していました。そういうところでザ・主将だなと思いました。1年生の時はコロナ禍だったので、私が見ている主将はあの二人しかいないんです。だからもっと(二人のように)点数でも活躍しないとなと思う一方で、二人でチームカラーは違ったんです。だからこそ私は私なりのチームを作っていいんだなというのがずっとあったので、みんなが諦めないチームを作るというのは主将になってからずっと思っています。あとは女子チームは笑顔が取り柄なので、そこはずっと引き継いでいたいと思います。

――代替わりして新たに取り組んでいることはありますか

柿沼 いっぱい新しいことを始めたよね。

髙見 まずはラインだよね。今まではその都度引いていたライン(射線)を消えないものにして、1年生の仕事を軽くしました。踏んでいくと段々消えることもないので、私たちも楽になりました。

――それはどのような意図で取り組むことにしたのでしょうか

髙見 仕事が減るに越したことはないので(笑)。

柿沼 あとは再現性が上がるというところですかね。僕の考えとしてやらないといけないという意思が介在すると、出てくる成果物の質に差が生まれてしまうと思うんです。

髙見 やる人も固定化されるしね。

柿沼 そこを極限まで減らせるのであれば減らしたいです。

――その取り組みに手ごたえは感じていますか

髙見 練習時間は増えました。試合前の準備が楽になったのでアーチェリー自体に集中できるようになったのかなと思います。

柿沼 本来力を入れるべきところに力を入れられるようになりましたね。

髙見 余計な仕事が今まで多かったよね。不思議なルールや暗黙の了解があったので、それは削ぎ落としました。あとはなにか変えたかな?

柿沼 練習メニューはかなり柔軟に変えられるようにしました。今までは結構フリー練習もこういうノルマで、というもので1年間固定化していたのですが、今年は状況に応じて変えていくというのをどんどんやっていこうという風にしています。例えば合宿では点取りをすごくしました。

髙見 毎日したね。

柿沼 その時に部全体で結構点が上がったんです。今まで点取り自体はそこまで重視していない練習だったのですが、点取りする方が点数が上がるのではないかという仮定の下に、どんどん変化させていくというのは今までやってきたなかった部分なのかなと思います。

髙見 なんかいろいろ変えた気がするけど意外と思いつかないね(笑)。

柿沼 なんかいっぱい変えすぎてどれが変えたやつなのかがわからなくなりました(笑)。

髙見 最初に活動方針を決める時にいろいろ変えたはずなんですけど(笑)。

柿沼 でも効果は感じています。今日の納射会でも点数出た子が多くて、やっと点につながり始めたなと思っています。

――個人、チームの両面で関東学生個人選手権(個選)、全日本学生個人選手権(インカレ)といった王座後の個人戦の大会を振り返っていかがでしょうか

柿沼 個人としてはカスだなあと思っていました。ずっと点数が出ていなくて、現状も出ていなくて、これから主将としてチームを引っ張っていく中でどうしても技術力というのは最終的に必要になってくると思うんです。そういったことを考えていく上で現状これでいいのかなという不安もありましたし、点数が出ていないということは今まで自分がやってきたことが間違っていたということになるので、それによる自身の喪失はありました。ただそこから得られるものもあったかなと思っています。今までやっていたことが違うということはなにかしら新しいものを取り入れていかないといけないということで、自分を変えていくことに寛容になれました。自分の中の負荷が上がっていたなというのは個人戦を戦う中で変わりました。

髙見 個人だとインカレが射型を変えている時で、上手くいき出しているタイミングだったので、もうちょっとできたなというのがすごくあります。全日もなのですが、練習では楽しく射てるし、点数も出ていて、自分に期待を持てるくらいの練習ができているのに、試合になったらだめで、結局自分に弱いんだな、勝ちきれないんだなと思っていました。その点に関してはまだまだ修行が必要だなと思います。チームだと今年女子チームからインカレにたくさん進めました。大学から始めた子たちも(インカレに)いけたのが私は一番嬉しかったです。その姿を見て他の大学から始めた子たちが「インカレに行きたかった」「もっとできた」と言っていましたし、今度あるインカレインドア(全日本学生室内個人選手権)に絶対に行きたいというモチベーションにもつながっているので、そこがすごく女子チームにとって大きかったなと思います。

――その後定期戦シーズンを振り返るといかがでしょうか

柿沼 先程も言った通り、技術力が足りないというのはずっと悩んでいるところですね。来年以降、リーグ戦や王座に出ることを考えた時に、まだまだ全然足りないなというのは戦っていて感じました。雰囲気のところで言うと、かなり良くは来れているところがあると思います。点数が出てない分、雰囲気が良いところとのギャップという悩みもあるのですが。中野先輩たちから引き継いできた盛り上げとか試合中に苦しい時でもお互いに声を掛け合うっていうところはついこの前の中央大との練習試合や早慶戦といったところでできるようになってきたかなと思うので、そこの部分は大きな収穫だったなと思います。

髙見 忙しかったなというのが個人的な感想です(笑)。毎週のようになにかやっていたので。女子チームは毎試合選考があるんです。選考日程とかも決めなきゃいけないですし、とにかく大変だったなと(笑)。チームとしては早慶戦は天候が悪かったのでなんとも言えないのですが、早同戦はみんなすごく最初から上手で、1エンド目からあんなに良かったのは今までなかったなと思いました。最初からみんなバンバン点を出していて、そこで安定していたので、良かったところだなと思っています。早慶戦は思ったより雨は降ってるし、風は吹いてるし、寒いしで(笑)。そんな中でも点数出る子は出るし、みんな点数が悪いけど、諦めないでやりましょうという雰囲気が出ていました。後ろの応援の力がすごく大きかったとは思うのですが、コンディションが悪くても頑張れたというのはすごく良かったと思います。チームみんなの笑顔が多かったのも良かったと思っています。

――現在のご自身のの強みと課題を教えてください

柿沼 課題から言っていいですか?課題は点数です。もうそれがずっと課題です。以上です。

髙見 強みは?強みも聞きたいのに(笑)

柿沼 一つの物事に囚われないというのは大きな強みかなと思っています。どんなに自分が最初に思っていたことと違う意見が出ても、それを受け入れることができますし、受け入れる姿勢があります。それが強みなのかな、多分。

髙見 強みなんじゃない?

柿沼 強みなのか。新しいことに対する探究心というか、それに対する貪欲さは強みだと思います。

――髙見選手はいかがでしょうか

 強みは諦めなくなったことですかね。諦めないチームを作ろうとしている上で自分が諦めては話にならないので。少し悪くて点数が出なくても、堪えて、練習を必死にして、点数を戻してということができています。諦めなくなったというのは私がタゲパ(ターゲットパニック)だった時代からしたら本当に大きな成長だと思います。それが自分の強みかなと思っています。課題は自分に勝てないことです。練習で良くても結局試合で落ちちゃいますし、(試合で)1エンド、2エンド目に(特に)点数が出ないので、そこがまだ自分に負けている部分だと思っているので、もっともっと攻めていけるような射ち方や自信が必要かなと思っています。

「王座制覇を果たして、みんなと喜びを分かち合えたら、それが一番のアーチェリー人生の幸せかな」(髙見)

2022年の関東学生個人選手権で細井眞美子(人3=東京・早実)にアドバイスを送る髙見

――個人、チームそれぞれの来年の目標を教えてください

柿沼 王座制覇ですね。現実問題それを考えた時に現状(実力が)足りているかと言うと足りていないです。自信を持って王座制覇をしようと言った時にその言葉を信じて、ついていくぞという雰囲気も作れているかというと現状そこは課題です。「諦めないチーム」と髙見が言っていましたが、(男子チームは)そこの部分に関してはまだまだ課題です。ただ最終的な目標としては王座制覇だと思っています。上位3人に関してはいざその舞台に立った時も目指せる力はあると思っています。個人としては点数を出すことですかね。まずは王座の4人、もっと言えば3人の中の1人に入りたいというのはあります。自分に本当に(それができるという)自信がなかったらもうアーチェリーは辞めていると思います。多分出せると思っているからまだアーチェリーを続けているんだと思います。点数と言うよりは王座の選手に入ることですかね。結果としてそこに点数が必要になってくるんだと思います。

髙見 私もチームとしては王座制覇しかないと思っています。高校の時から王座が素敵な試合だなと思っていました。大学生しか王座制覇って目指せないんですよね。大学の4年間しかチャンスがないから。大学生って王座制覇を目指してアーチェリーをしている人が多いと思うんです。特に美優さんなんかはその思いが強い人だったと思います。去年の卒業記念の特集を見ても思いました。やっぱり王座制覇への思いというか執念がすごかったです。そんな人を見て育ったので、私も王座で勝てたらアーチェリー辞めてもいいなというくらいな気持ちはずっとあります。それこそ(準優勝だった)1年生の時に優勝していたらもうアーチェリーを辞めていたかもしれないです(笑)。ワセダが成し遂げたことのない王座制覇を果たして、みんなと喜びを分かち合えたら、それが一番のアーチェリー人生の幸せかなと思います。

――現在チームで重点的に取り組んでいることやこの冬のテーマはありますか

柿沼 射ち込むじゃね?

髙見 射ち込むしかないよね(笑)。まだ具体的なメニューは固まってないのですが、12月が試合などで全体で練習ができていないので、1月からにはなると思います。

柿沼 まあ射ち込むということの必要性はみんな思っていることだと思います。

髙見 みんな思っているよね。体力ないよね。

柿沼 めっちゃ射とう。

髙見 みんな(後半になると)腕がプルプルするんですよね。こうならないの多分稚しかいないんですよ(笑)。稚(園田稚、スポ2=エリートアカデミー)だけバンバン射って、後はみんな腕がプルプル(笑)。

柿沼 だから(テーマは)めっちゃ射つですね。近射で(1日)1000本。

髙見 肩死ぬよそれは(笑)。まずは最高500(本)くらいからじゃない?400(本)射てればいい方よ(笑)。本当は1000本射てた方がいいんですよね。でも私も今1000本射ったら指が死にます(笑)。

――指なのですね

髙見 最初肩だと思うじゃないですか。最初に死ぬのは指なんです。マメができて弓が引けなくなってしまうんです(笑)。

柿沼 痛いよね。

髙見 これは1000本やった人しかわからないやつです(笑)。

――今春の関東学生リーグ戦(リーグ戦)の目標を教えてください

髙見 私たち(女子チーム)はフォーで2500(点)で、エイトが4640(点)です。

柿沼 男子は(シックスで)3710(点)ですね

――順位というよりは点数ですか

柿沼 結果としてこの点数を取れば王座出場圏内には確実に入ると思います。

――リーグ戦を見据えて意識していることはありますか

髙見 こうやって点数を掲げているのですが、女子は結局日体大に勝つことが目標なんだと思います。日体大に勝てなければ王座も勝ち上がれないので。ワセダにとって日体大は関東の最大のライバルだと思っていますし、お互いの大学に知り合いも多いですし、負けたくないとみんな思っていると思います。点数目標はありますが、日体大に勝つというのがみんなの頭の中にあると思います。

柿沼 男子はついこの前の中央大学との練習試合からDiscord(オンラインコミュニケーションサービス)で動画を送り合うということを始めました。

髙見 どういうこと?

柿沼 Discordで全体のグループと個人のチャンネルを作って、グループに動画を載せて、その日の意識していることを共有する感じ。

髙見 自分の動画はどうやって撮るの?

柿沼 応援の人とかに撮ってもらう。男子の中だけだとその中で収まっちゃうから、4年生にも見てもらっています。今の男子の課題として盛り上げる声掛けはできるけど技術的な声掛けができないというのがありました。お互いに技術的なことも言い合えるようになろうということで始めました。

――2023年の注目選手を教えてください

柿沼 個人的には井上(空副将、創理3=東京・早大学院)かな。

髙見 私も男子は井上さんだと思う。あの人は2023年覚醒すると思う。インカレとかも行ける気がする。

柿沼 高校の本当に当たっていない時期から見ているので、そこからの成長幅とか現状の点数を見た時にこれは来るぞ、という期待と個人的な思い入れです。

――女子はいかがですか

髙見 でも心咲(廣瀬心咲、人2=東京・雙葉)には伸びてほしいなと思っています。 めっちゃ練習するんですね。

柿沼 本当にする。本当にめっちゃしている。

髙見 あの子も練習の鬼で、1年の頃からめっちゃ練習しているんです。この子の練習が報われないのは許せないってくらい必死に練習しています。だから今年(2022年)心咲がインカレに行ったのが私は一番嬉しかったです。やっと練習が報われたなと思って。あの子が報われてほしいなというのが個人的な見解です。でもやっぱり注目は稚です。ナショナルチームには落ちてしまいましたが、ワセダのエースであることには変わりないですし、日本でもトップクラス(の選手)であることにも変わりはないです。ファンもいっぱいいるし(笑)。本人は言わなくてもナショナルチームに落ちて本当に悔しかったと思います。でも落ちても、あの子は諦めないから、練習もめちゃくちゃするし、変わろうと思っていると思うのでそんな稚ちゃんがどうなるのか注目ですね。

――最後に2023年の抱負をお願いします

髙見 私は自己ベストを更新します!

柿沼 結果を出します!全ての面で!

――ありがとうございました!

(取材・編集 星野有哉 写真 宮島真白、加藤志保、星野有哉)

来年の抱負を一言で書いていただきました!

前編はこちら

◆髙見愛佳(たかみ・あいか)(※写真左)

2001年(平13)年6月5日生まれ。エリートアカデミー/東京・足立新田高出身。 スポーツ科学部3年。長崎県出身の髙見選手。地元のテーマパーク・ハウステンボスのイルミネーションに勝るものはないとのこと。「今まで見たイルミネーションでダントツ抜けています!」と目を輝かせていました!

◆柿沼大翔(かきぬま・だいしょう)

2001年(平13)年8月24日生まれ。東京・早大学院高出身。 教育学部3年。休日はアニメや漫画を見ることが多いという柿沼選手。中でも「週刊少年ジャンプ」に掲載されているものが好きとのことで、昨年流行した「チェンソーマン」や「SPY×FAMILY」はしっかり先取りしていたそうです!

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