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2018.09.06

【連載】秋季リーグ戦開幕前特集『逆襲の早稲田』 第8回 髙橋広監督

 昨春、宿敵・慶大から勝ち点を奪取し再興の兆しを見せた早大だが、指揮官・髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)の心に満足感はみじんもなかった。就任初年度に三冠を達成してから5季連続となるV逸。今季こそは――。来る勝負の秋へ臨む、胸の内を明かした。

※この取材は8月29日に行われたものです。

「結果優勝しなかったらもう意味がない」

指揮官が見据えるのは、『優勝』の二文字のみだ

――まず、きょうの東北楽天2軍戦は2-4で敗れましたが、いかがでしたか

 いや小島(和哉主将、スポ4=埼玉・浦和学院)が悪すぎましたね。

――昨日の侍ジャパン壮行試合に続いての連投となりましたが

 いやそれ(の影響)ではないでしょう。やっぱりネット裏にスカウト陣がいっぱいいたんでね。1次面接試験に緊張したというやつですね(笑)。2回以降まあまあ修正できましたしね。ちょっと悪すぎましたよね。あれだけフォアボール多いの見たことないですもん。

――小島主将は、この夏は国際大会にも出場されていてハードなスケジュールですが、移動の疲れは見ていて感じますか

 肉体的な疲労はないわけですよ。だから逆に練習不足になりますよ。ハーレム(国際大会)は私も前回行ってたから分かりますけど、日米からハーレム行って移動とか試合で。だから絶えずリーグ戦(東京六大学リーグ戦)の試合の日の間隔でずっと調整していくじゃないですか。ブラジル行っても移動とかで練習時間がほとんどないわけですよ。だから走り込みであったり、投げ込みである部分が7、8月の段階でできてないんですよね。そこらへんは多分本人も分かってるんですけど、そういう時間がなかったのでね。移動日は練習なしとかいうことで。ブラジルも15日間行ってますけど、飛行機に行き帰り2日ずつで4日乗ってるわけですから、その間全く練習しないわけですよね。あと移動日が2日ぐらいありましたんでね。正味半分ぐらいは練習してないわけですよ。場所もないですしね。例えば、治安悪いから近くの公園でバット振るとかいうのもできないわけですよ。ホテルからもう出れないですからね。だからちょっと小島の場合はそこらへんが。春は最後の早慶戦良かったのは冬場の走り込みなんですよ。もうそれがシーズンの一番最後のところでダメ押しが効いた、一番みんながバテるところで彼はバテなくていい結果が出たというのが春なんですけどね。ちょっと秋は、彼は代表とかで遠征があったんでどうしても仕方ないことなんですけど、そういう点が…。私からしたら逆に春の疲れを取るのにいいかなと思ってたんですけど、やっぱりプロ野球選手じゃないので空けすぎるとちょっと体のキレなんかも悪いですよね。まあ彼はキャリアがあるので自分のそういう経験だけできょうなんかでも投げ切ってますけど。ちょっと蓄えが難しいんで、秋も彼が転んだらワセダみんな転ぶんでね。もう開幕がそこまできてますからね。徳山(壮磨、スポ1=大阪桐蔭)が故障していて第2戦のピッチャーもちょっと不安定なので。

――チームとして、小島主将以外の選手にも練習不足の影響は見えますか

 まあ打つことは水モノですからね。練習してても打てないこともありますし。ただ言えるのはやっぱり夏場のブラジルの遠征行ってる間とか、7月も(FISU)世界大学選手権に選ばれてた選手たちは2週間台湾に行ってたので、ここらへんも追い込んだ練習、たとえば振り込みであるとか走り込みであるとかの量はこなせてないのでね。だからそこらへんがリーグ戦の終盤にやっぱり左右してくるんですよね。リーグ戦の終盤になってくると授業が始まるでしょ、秋は。授業始まったら当然練習量が落ちるじゃないですか。6、7月に蓄積して蓄えがある人は授業が始まって体が楽になってくるとバットが振れだすんですけど、蓄えがないと授業で量も少ないし蓄えもないしで結局下がっていくんですよね、バッターも。

――では話は変わって春季リーグ戦に。明大と同率で3位という結果でしたが、チームとしてはこの結果をどのように受け止めましたか

 いやもう去年のリベンジで臨んだリーグ戦ですからね。優勝しなかったら価値はないんですけど、ただ序盤、立教、明治と勝ち点を落としてそこから本当にデッドラインの状態で戦って早慶戦も1戦目落としてでも、小島連投でも、まあなんとか切り抜けて。あの状況の中では3位というのはまあよくやったと思いますけども、それは認められることではないのでね。選手には言いましたけど、それで喜んだら駄目だと。結果優勝しなかったらもう意味がないのでということでね。リベンジになってないぞということは言いましたけどね。

――春季リーグ戦を通して感じたチームの一番の課題というのは

 小島が第1戦本当に計算通りに投げてくれたわけですけど、やっぱりそこで攻撃力、ワセダのクリーンアップ(3人)の打点より明治のピッチャーの森下(暢仁、3年)1人の打点の方が(最終週まで)多かったんですよ。森下なんて全試合出るわけじゃないわけですから、いかにワセダの中軸の得点能力が低いか。それはもちろん明治とか法政は東大戦で何十点も取って、明治はワセダ戦でも何十点も取って打点上げてるんですけど、いずれにしたってその試合(明大2回戦)森下その試合投げてないわけですからね。投げてないピッチャーのバッターとしての打点が3人分より多いというのは、これはもうおかしいでしょ、数字的に。それは彼らにも言いましたけどね。

――中軸の打点が少ないというのは1、2番打者も影響しているでしょうか

 いやそんなことはないですよ。それはもうタイムリーがたたけてないということですから。4番なんか2死二塁、三塁とかいうケースは多いですけど、やっぱりそこで一本出れば打点上がるわけですからね。当然そこはヒットを打たなきゃいけないんですけど、まあいずれにしたって打点が低すぎますよね。

――それを受けて、この夏チームとして取り組んできたことなどはありますか

 7月に大学選手権で2週間、8月にブラジルで2週間、だから2カ月のうち1カ月は海外にいて、結局練習とか取り組めてないんですよね、基本的に。空いてるところも疲れ取ってやらなきゃいけないですし、かと言ってブラジルから帰ってきたら試合続きでもうそんな追い込んでる時間もないですしね。もうすぐリーグ戦開幕じゃないですか。なかなか立て直すにはちょっと時間がなかったっていうのが、まあ言い訳にはなりませんけど。

――ブラジルの野球文化に触れて、感じたことがあれば教えて下さい

 まあサッカーの国ですからね。当然野球なんてそんなに盛んでないなと思ってたんですけど、去年なんかメジャーに160万ドルでスカウトされた17歳がいたりね。例えばヤクルトアカデミーっていう、日本の企業がつくった野球の素晴らしいスクールがあるんですよね。せっかく日本の企業がつくったのに、それをメジャーリーグ機構でお金を出し合って運営して、スカウトとコーチを派遣して選手を育成してるんですよね。だから日本も育成プログラムとしてはそういう施設があるのに、日本の野球ができてないともったいない。そういうアカデミーすらブラジルにはあって、サンパウロは別にして内陸の日本人の移民の街では、それぞれ球場を持ってて。その移民のコミュニティーが球場を持ってるわけですよ。市営球場とか、そういうのではなくてね。すごい日系移民の人たちって野球に情熱的で。だから早稲田大学が来たっていうのは、日本にメジャーが来たっていうような。感覚的にね。レベル的にはそこまでのものはありませんけど、非常に日系移民の中ではすごい野球っていうのは盛んだなというのは感じましたね。実際に160万ドルで行った子も日系人なんですよね。

――ブラジルの気候というのは日本と比べていかがでしたか

 (地球の)反対側で冬ですからね。基本的に冬なんですけど、地元の人が「1日に四季がある」というぐらい、朝起きたら10度以下、例えば7度とか8度で、日中試合してると29度ぐらいあって。今頃(16時半頃)になってくると14、5度まで落ちるので、地元の人はTシャツにダウン着て1日ウロウロしてる。昼間Tシャツで、ちょっと気温が低い時はダウン着てるというような、非常に我々も、時差も12時間ありますし気温差もありますし、なかなか体調管理難しかったですけど。まあ大きな故障もなく、体調不良者もなく大きな事故もなく、サンパウロなんかは治安は非常に悪そうでしたけど、そういうことも一切なくて無事帰ってこれたというのは一番でしたね。それと10戦試合しましたけど、内容的にはともかくとして負けがなかったのでね。一応面目躍如かなというところはありましたね。

――帰国後はなかなかオープン戦や全早慶戦で白星を挙げられていませんが、試合を見ていていかがですか

 まあオール早慶はOBが入りますから実際の戦力じゃないので。まあ例えばきょうはプロ相手ですし、ただ前節とかやっぱりちょっと勝ち切れてないところありますよね。(ブラジルから)帰ってきてすぐの週ですけど、疲れとかそんなの関係なくやっぱりちょっと勝ち切れてないところありますよね。

エースを信じる

――ではポジションごとにお話をうかがっていきます。まず投手について。第2先発の筆頭候補は現在どなたでしょうか

 西垣(雅矢、スポ1=兵庫・報徳学園)、今西(拓弥、スポ2=広島・広陵)あたりになるんじゃないですか。

――早川隆久投手(スポ2=千葉・木更津総合)は終盤での登板が続いていますが、リーグ戦でもそういう方向でしょうか

 そうなるんじゃないですか。本当は早川あたりがちゃんと投げてくれないと困るんですけどね。彼故障もしてるわけじゃないですし、ボールだって球速だけで言ったら150キロ出てるわけですから。

――球速が150キロ出ているのにも関わらず打たれてしまうというのは、どういったところに原因があると思いますか

 やっぱりバッターが(ボールを)見やすいんじゃないですかね。

――小島主将以外の投手に何かかけた言葉などはありますか

 小島以外がしっかりしないと優勝なんてとてもじゃないけど望めない。おまけに小島がもしきょうみたいな調子のようだったら本当に火の車ですよね。

――続いて捕手。全早慶戦から岸本朋也副将(スポ4=大阪・関大北陽)が『背番号6』を着けていますが、このタイミングで与えた意図というのは

 いやもう春の実績で正捕手というのは岸本で決まってますからね。

――信頼してとのことですか

 ええ、もうなんら迷いなく。まあ岩本(久重、スポ1=大阪桐蔭)とか小藤(翼、スポ3=東京・日大三)とか力ありますけど、現状ではもう総合的には岸本ですね。

――岩本選手は夏季オープン戦では外野手として起用されることもありましたが、リーグ戦でもそういったことはあるでしょうか

 バッティングはやっぱり長打がありますからね。いろいろ使ってるんですけど、なかなか練習と同じようにはいきませんね。

――二塁手はここ最近、西岡寿祥選手(教4=東京・早実)の起用が続いていますが

 本当は春先も西岡だったんですけど、ケガしましたんでね。だから西岡と小太刀(緒飛、スポ4=新潟・日本文理)が春先出てないというのは大きかったですよね。だけどようやく帰ってきて、小太刀なんかも春のリーグ戦の終盤から活躍してくれてますけどね。だからセンターラインの二人がいなかったのが、逆に秋はその二人が入ってきてるというのが、春よりはプラスアルファになりますね。

――小太刀選手は早慶戦以降好調ですが、その要因というのは

 (好調)ですね。元々力のある選手ですから。故障して出てなかっただけですから。

――遊撃手の檜村篤史選手(スポ3=千葉・木更津総合)が代表期間中にケガをしてしまいましたが、現在の状態というのは

 ようやくきょうあたり見てると、100パーセントではないけどかなり本来の力がかえってきたかなという感じですね。

――外野手の残り一枠である左翼手は、以前瀧澤虎太朗(スポ2=山梨学院)の故障が治れば瀧澤選手だとおっしゃっていましたが

 いや瀧澤ですよ。もう絶対瀧澤なんですけど、(ブラジルから)帰ってきてすぐ、ちょっと故障したのでね。ようやく出れるようになってきて、もうバッティングやってますから。だからレフトはもう瀧澤です。法政戦まであと10日ありますからね。次の試合ぐらいから出れるんじゃないかなと思っているんですけど。それぐらいの状態です。もうブラジルでは一番良かったんですよ。

――打順というのは瀧澤選手が戻ってきたら1番で起用するかたちでしょうか

 うーん…ちょっとまだそれは。瀧澤帰ってきたら瀧澤3番でしょうね。

――福岡選手が1番ということでしょうか

 そのようになると思いますね。

――瀧澤選手がいない期間、黒岩駿副将(スポ4=長野日大)が試合に出場することも多かったですが

 ブラジルではもう大活躍でね。いつもボールボーイしてたんですよ、ベンチで。だから周りの見ている人が「ワセダはすごい」と。ボールボーイしてるやつが代打で出てライトスタンドにホームラン打つ、右バッターでね。ワセダの打線て何者だという。ホームラン3本打って、ホームラン王なんですよ。打率も高かったですしね。加藤と瀧澤と黒岩が3本ずつ打ったのかな。だからブラジルの日系の人たちはボールボーイがホームラン打つんだから、って大人気だったんですよ(笑)。最初サンパウロにいてずっと転戦していってイグアス(の滝)見て、最後サンパウロに帰ってまた4試合するんですけど。黒岩は背番号3ですけど、すごい人気だったんでサイン攻めですよ(笑)。

――日本に戻ってきてからはいかがですか

 そのブラジル効果で、左中間一番深い所にホームラン打ちましたよね。きょうだって、あいつやっぱり当てていい当たりしてますもん。今までだったらあれ当たらなかったですけど、きょうあたりもやっぱり彼自信が出て、そこそこのピッチャーだったら打つと思います。でも瀧澤が出てくるとね。確実性がやっぱりちょっと違うので、それはもう最終的には瀧澤になりますけど。でも黒岩の存在も、4年生ですし彼非常に元気もありますしね。

――改めて、ここは他大に負けない、ということしのチームの強みはどこでしょうか

 難しいですよね。これというのがないですよね。要するにもう、小島投手のキャリアと顔でしょうね。顔というのは顔が通じるという意味でね。きょうなんかでも、普通のピッチャーだったら立ち上がりあんなだったらもう、気持ち的に絶対あと無理ですよ。でも5回までちゃんと投げてますから。そこらへんはやっぱり、彼はきょうは一次面接の部分もありましたけど、普段から、春の早慶戦でもそうだったわけですから。

ロースコアで守り勝つ

限られた得点機を、確実にものにしなくてはならない

――では秋季リーグ戦の話に移っていきます。まず組み合わせを見てどのように思いましたか

 前節あんまり順位が良くないんでどうしても厳しい状態になってくる。やっぱり最初。先行逃げ切りというか、第1節で勝ち点を取って波に乗っていくというのが優勝への最短でしょうね。初っぱなからつまづくとやっぱり厳しいと思いますね。

――春は開幕カードでつまづくことになりましたが、開幕週で対戦することしの法大の印象は

 やっぱり素材的には一番いいですからね。

――菅野秀哉投手(4年)、高田孝一投手(2年)という好投手がいますが、どう攻略していきたいですか

 菅野投手はこの間オールスターでも見ましたけど、あんまり良くないですよね。7月の大学選手権からずっと見てますけど高田の方がいいですよね。ただ見てないですけど、1年生の三浦(銀二)っていうのがいるでしょ。あの子が出てきたら結構投げると思いますね。

――法大対策としてはどういったことをしていきたいですか

 やっぱり波に乗せないことでしょうね。お互いそうですけど、ピッチャーが接戦に持ち込んで競り合いになって、どの大学でもそうですけどワセダが勝つためには1点2点の勝負で勝てるような試合をつくって勝ち越すしかないと思うんですよね。そんなに攻撃力がないので。

――2カード目の立大戦はやはり田中誠也投手(3年)を打たないと勝ち点が取れないと思いますが、どのように崩していきたいですか

 ほとんど1点ぐらいしか取れてないからね。小島も点取られてないんですけど、そこの接戦でやっぱり競り負けてるというのがあるので。機動力とか絡めて、普通に正攻法ではなかなか2点目が取れないのでね。このへんはまた、足を絡めるとか、バント、バントでいくとか。普通に打って、打ってではちょっと攻略できないと思いますね。ワセダ左バッターも多いですしね。

――これからリーグ戦に向かうに当たって、特に練習していきたいことなどがあれば

 例えばバントで送る時にきっちり送るとか、エンドランできっちりランナーを進めるとか、チームバッティングのところですね。まあもちろん、(走者を)置いてヒットとかホームランを打ってくれるのが一番ありがたいんですけど、そういう確率がなかなか望めないので。攻撃の中でミスをしない。バントであったりエンドランであったり、スクイズもそうですけど、そういうところをきっちり詰めていって、例えばワンアウト二塁でもバントしたり、進塁打打ってツーアウト三塁にして、パスボールでも1点取る。まあ他力本願になりますけどね。ワイルドピッチでも1点入るという状況に、そういうところに詰めていかないと、なかなか打って、打ってでは攻撃力がないので接戦をものにできないと思います。まあこれはあくまでピッチャーが抑えての話ですけどね。打ち合いになったらやっぱり法政とか明治にかなわないですから。

――では、秋季リーグ戦でのキーマンを一人挙げるとすればどなたでしょうか

 まあ大黒柱の小島でしょうね。小島と、打線もやっぱり加藤ですよね。4番が2打点や3打点では困りますからね。そこらへんがやっぱり奮起しないと。

――最後に秋季リーグ戦へ向けての目標と意気込みをお願いします

 目標はもう優勝ですよね。これ優勝逃すと、今の4年生は経験ありますけど3年生以下は全く経験がないのでね。優勝を知らない学年が出てくると次の優勝というのは非常に難しくなると思うんでね。そのためにも後輩たちに。4年生もそういう気はありますからね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 皆川真仁)

勢いに乗るため、まずは開幕カードに全身全霊を注ぎます!

◆髙橋広(たかはし・ひろし)

1955年(昭30)2月4日生まれ。愛媛・西条高出身。1977年(昭52)教育学部卒業。早大野球部第19代監督。開幕前最後のオープン戦となった東芝戦では、機動力を絡めた攻撃で終盤に逆転。1点差で接戦を見事に制しました。このまま波に乗って、王座奪還を目指します!