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天野実咲インタビュー

“なでしこジャパン”という言葉を耳にしたことがあるだろう。アテネオリンピックでその愛称が一気に浸透した、サッカー日本女子代表のことでる。現在ア式蹴球部女子(ア女)で活躍する選手の中から、その仲間入りを果たす選手が誕生した。GK天野実咲(スポ4)。今年9月に行われたFIFA女子ワールドカップ中国2007(W杯)、タイ・バンコクで開催されたユニバーシアード(ユニバ)と、今夏、世界へ羽ばたいた天野だが、実はGK歴はわずか2年余り。そんな急成長を遂げた天野の魅力とは――。
――まず、日本代表入りはどのように知りましたか
ユニバの最後の方、下位リーグに行ってしまってから、私体調を崩してしまってちょっと寝込んでたんですけど、その時になでしこの総務の方からユニバの総務の方へ電話があって、点滴をすごい打ってたところに総務の方がいらっしゃって、「ちょっと電話あるから」みたいな感じで言われて代わったら、以前一緒にプレーしたことのあったその総務の方に、「天野、今なんか寝込んでるみたいだけど、ちょっと召集借りてるからメディカルチェック行って」みたいな感じで言われて、正気じゃない時に聞いたのでより一層信じられない感じだったんですけど(笑)ユニバの本当、終了間際に聞きました。
――やっぱり嬉しかったですか
嬉しかったのと、やっぱりちょっと不安なのも正直あって。代表は憧れでもあったし目標でもあったんですけど、やっぱりまだキャリアがみんなより断然少ないところから、いきなりそんなポンって入れちゃったっていうのが…正直、不安の方が大きかった気もしますね、今思うと。代表の合宿とか行くにも、そこに行けばそこのみんなに食らい付いていくので必死だから不安でしたね。大丈夫かなーみたいな。
――ユニバで戸惑いがあったとおっしゃってましたが、そこで得たものそうですね。 だから余計に不安でしたね。ユニバで結果も結果だったので。ユニバの田口(=田口禎則監督)さんの方からはそれなりに信用を置いてもらって、1番っていう番号を付けさせてもらって、予選リーグを戦わせてもらったんですけど、9位という結果で、前回とか前々回とかと比べて、良い結果とは言えない結果で終わってしまって、すぐそういう召集の声を頂いたっていうのは、改善できないまま行って、やっぱり第三キーパーであれ、評価される身であるから、時間がないっていうのに変な焦りっていうか不安というかっていうのはありましたね。
――代表入りを知ってすぐに誰かに連絡されましたか
1番は母ですかね。あとルームシェアしてる子がいるんで、行けることになっちゃったんだーっていうのは連絡しました。家族の次に友達に、ですね。
――周囲の反応はいかがでしたか
母の方はもう「えっ!?」みたいな(笑)「何言ってるの!?」みたいな(笑)最初はそんな感じだったんですけど、徐々に母の方がワールドカップモードになって張り切っちゃって(笑)あとは小学生の頃から男の子のチームでやってて、それで女の子1人ってことで色々気にかけてくれる周りの親御さんたちも沢山いらっしゃったので、その方達もすごく喜んでくれました。
――代表は昨冬に行われたトレーニングキャンプに研修生として参加されて以来でしたか
あれが初めてと、あと6月頃に…。あと2、3回行ってて、なでしこチャレンジっていうのは佐藤(衣里子=スポ4)とかも行ってたんですけど、そういうのでなでしこと絡んで、その間はユニバの合宿とかの方が多かったので…それから突然メンバーに入れることになりました。
――そのように研修生として参加されるなどして、手応えをつかんだりは
手応えなんてないですよね(笑)やっぱりまだまだ遠いなって正直思っちゃって。やっぱキーパーはあのお二方(福元美穂=岡山湯郷Belle、山郷のぞみ=浦和レッズレディース)ですからね。武器と言えば大きいことぐらいしかないんで、一緒にやっててやっぱり足りないところばかりを痛感させられて。代表のキーパーコーチの方にフィードバックされるのも、良いところもちらほら言ってくれるんですけど、こうした方がいい、ああした方がいいっていう改善点を沢山フィードバックされるんで、まだまだだなーっていうのが多かったです。だから(代表入りは)何でだろうって…(笑)聞いた時は正直思いましたね。
――今お名前が挙がった福元さんや山郷さんからはどんなことを学びましたか
福ちゃん(=福元)は全然プレーとかのタイプが違うんで、もう見るからに反応とかもすごく良いから、そういうところはやっぱ私は大きい分ちょっと劣っちゃうし、まだまだ足りないところだから、そこは吸収したいなと思って帰ってきたし、山郷さんはプレーはもちろん、メンタル的にも。やっぱ山郷さんと私で、第2、第3でベンチにいることが多かったので、その姿を見てプレー以外にもすごい学ばさせてもらいましたね。
――今回仲良くなった選手とかはいらっしゃいますか
仲良くなった…んー(笑)U―19とかで合宿一緒だった子は何人かいて、その子たちとはフランクに話もできるし、やっぱお姉さんたちも、それなりに気を遣ってくれて話かけてくれたりとかしました。「どうなの?」とか、1番(話しかけてくれたの)は宮本(ともみ=伊賀フットボールクラブくノ一)さんかな。なんか元気ないんじゃないのー?とか、その不安が滲み出てたみたいで、「テンション低いんじゃないのー?」とか、気を遣わせてしまったなーと思いつつも、そういう風に気を遣ってくれるのがすごい大人なんだなーと思いながら(笑)みんなやっぱ気配りが上手ですね。
――何度か代表に参加されて、多少は慣れていましたか
まあ最初に参加した時よりはやっぱり肩の力が抜けていけたかなと思うんですけど。最初はとにかく緊張でしたからね。
――ピリピリした雰囲気とかにはならないんですか
その辺はやっぱり日本の中でトップレベルの人の集まりなので、サッカーのこととなればピリッと締めれるし、ご飯の時とかホテルに帰ってきてからとかはリラックスしてっていう、そのオンとオフの切り換えが上手いなーっていうのは感じましたね。
――結構若い選手も多いですよね
そうですね。私より年下の人が何人かいますね。やっぱ(代表としての)自覚はある選手ばかりだし、思ったのは、ごはんのことで、やっぱ体が資本じゃないですか。だからその分、海外行っても、正直これきついよねとか言いながらもちゃんと食べてるとか、その辺は意識が違うんだなーと。
――ご飯はあまり美味しくなかったんですか(笑)
私はあんまりそういうのを気にしないというか、食べれればいいって感じなんで(笑)好き嫌いは多いんですけど、私はそんなに苦労はしなかったですね。ユニバの時も代表の時もそれなりに問題なく食べてました。
――中国はどうでしたか
中国は初めてでした。失礼ですけど…ちょっと臭かったですね…(笑)海外行くとやっぱ日本人で良かったなーと思いますね。
――でも時差があまりない分、プレーしやすかったりとかは
そこはすごい助かりましたね。その辺は逆に中国で良かったなって。私とにかく寝ちゃうんですね(笑)移動中とか、まあ乗り物酔いがひどいから寝て誤魔化してるっていうのもあるんですけど、もし時差の大きいところ行ったら何時間も寝ちゃいけないとかやっぱあるだろうけど、でも初めてだからそれがわかんないんで、1、2時間の時差で良かったなーって思いました。まあ爆睡でしたけど(笑)
――タイも中国も行って、多忙な夏になりましたね
まさか自分がこんな身に置かれると思ってなかったので。自分自身、なんか忙しい人になってるのかなーとか思いながら(笑)
――疲労は結構溜まってしまいましたか
でも最近チームで3日間ぐらいオフが出来たんで、久しぶりに実家に帰ったんで。その3日間ぐらいですかね、ゆっくりオフで体休めれたのは。
――W杯で第3戦がすごくアウェーだったみたいですが、ああいう雰囲気を感じてどうでしたか
そうですね。やっぱみんなが国を代表して来てるってことは、サッカー以外のスポーツもそうですけど、国の関係がはっきり出るんだなって。反日感情とかそういうのあるじゃないですか。そういうのをテレビを通じてしか見てこなかったんで、そういうので改めて、スポーツってスポーツの体だけじゃなくてそういうところも感じられるんだって思って帰ってきました。
――サッカー以外のことで学ぶことも多かったんですね
歴史のこととかでああいうすっごいアウェーになっちゃったりとかもあるから。でもそれをサッカーのことで考えると、観客をどう日本に持ってこさせるかっていうのもやっぱ見せるサッカーだと思うし。歴史のことは正直、変えられないけど、そこでサッカーを通じて日本ってそれだけじゃなかったんだって見せられるのもスポーツの、何て言うんだろう…特色っていうか特長なのかなって思いました。できたらいいなって思いながら。
――壮行試合(キリンチャレンジカップ2007)はホーム開催でしたが、いかがでしたか
私その時まだ合流してなくて。カナダ戦はこっちの練習の後に見に行ったんですけど、ホームはやっぱりサポーターの数も全然違うし、サポーターの声援っていうのは力になるんで…磯崎(浩美=TASAKIペルーレFC)さんがよく言ってたことが、「ピッチに立ってるのは11人で、しんどいと思った時にベンチを見るとみんながいてくれるから頑張れる」みたいな、そういう言葉をコンスタントにピッチに立ってる方が言ってくれるのは、ベンチにいてもやれることがあるんだということを実感できるし、そういうところも違う…違うって言ったらあれなんですけど…そういう風に言ってくれたことが嬉しかったですね。やっぱ私はベンチにいることが多かったんで、声をかけ続けるとかドリンクを用意することとかそういうことでしかまずはみんなに力を与えられないんだけど、それを嬉しく思ってくれてるのは私自身、すごい嬉しかったです。
――とは言ってもやっぱり出たいという気持ちはありましたよね
それはやっぱありますよね。ああいうところに立ってやりたいなーっていうのは改めて強く思いましたね。
――1勝1敗1分という結果については
見てる分にはやっぱ何でも言えるし、評価っていうかそういうのはやりたいだけやれるんですけど。やっぱユニバの時にも思ったことなんですけど、自分が出てても見てても、1点取ること、1点失うことの大切さっていうか重さっていうのはトップレベルの試合だからこそ感じられることだなっていうのは思いましたね。
――今ワセダに戻られてその経験は生かされていますか
やっぱ今リーグ中なんで、ワールドカップで試合漬け、サッカー漬けで、こっち帰ってきてもリーグ戦の途中だから、そういうモチベーションは保ったままやれてるし、1点1点の大切さっていうのが自分自身はすごい痛感できてるんで、それをみんなに伝える…じゃないですけど、自然とみんなもそういうのを感じてプレーできたら、きっともっといいチームになれるし、関カレ(関東大学リーグ戦)も制覇したことないんで、それに繋がると思うし…っていうのはありますね。

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