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 ラグビー蹴球部新監督・辻高志氏インタビュー



 覇権奪回へのプロローグ 辻高志新監督

 2月22日、昨季限りで退任した中竹竜二前監督(平9人卒)の後任として辻高志新監督(平12人卒)の就任が発表された。昨季はコーチとして早田組の指導にあたっていた辻監督。『荒ぶる』奪回を目指す今季のワセダをどのように導いていくのか?有田組ファーストミーティングを終えたばかりのご本人にお話を伺うことができた。

  辻監督
――先日ファーストミーティングが行われましたが、現在の率直な心境はいかがですか
 「楽しい」ですね。無事にスタートが出来て嬉しいというより、ラグビーができるということが単純に楽しいです。

――選手にはどんなことを伝えたのでしょうか
 ラグビーの『原点』に戻ろうということを伝えました。戦術とかもありますけど、それより、目の前に立った相手と勝負するとか、シンプルに前へ行くとか、そういう原点をもう一度思い出そうと伝えました。

――選手の反応はどうでしたか
 どうなんですかね(笑)。そこは選手に聞いてみないとわからないですけど。あの場で話したことはみんな元から分かっていることだと思うんで、改めて言葉にされてもう一度気づくっていう感じなんだと思います。

――今季のスローガンは「一対一」ということですが、これの意図するところは
 あくまでラグビーの原点を意識したスローガンです。ラグビーって15人対15人のスポーツなんですけど、突き詰めると個と個の戦いで勝たなければならないものなので。そこをこだわっていこうと。

――監督就任までのお話を少し伺いたいと思います。打診を受けられたのはいつごろでしょうか
 1月末だったと思います。

――その時はどんなお気持ちでしたか
 もちろんビックリしました。プレッシャーがあったというか、本当に全うできるのかなという思いがありました。

――ワセダはいま苦しい時期にあると思いますが、この逆境の中でご自身に白羽の矢が立った意味、理由はどこにあると思われますか
 転換期とか、この時期に大変だねとかよく言われるんですけど、そういった意味でのプレッシャーはあまりないんですよね。あくまで今年のチームを勝たせることが義務であって、転換期だからどうこうっていうのは全然ないです。今いる選手たちと一緒に強いチームを作っていこうと思っています。

――今季は、監督と同期で主将を務めた小森允紘氏(平12人卒)がスキルコーチに就きました。現役時には辻監督が副将として小森コーチを支えていましたが、今度は支えられる立場になりますね。これについてはいかがですか
 いやあ、心強いですね。現役時代は僕がワーッと周りに強く言うタイプで、俺だけが悪者になれば良いって思ってやってたんですけど、小森が「今度は逆に俺がその役割を務める番だ」って言ってくれて。やっぱり戦友ですよね、そういうことを分かり合えるっていうのは。

――他にも名SHとして名を馳せた月田伸一コーチ(平10人卒)などが新たに加わり、心強い布陣になったと思いますが、コーチ陣の方とはチーム作りに関してどういったお話をされていますか
 具体的な話っていうのはまだまだこれからなんですけど、まだ練習が始まって日は浅いですが見ていて非常に良いスタッフだなと思いますね。コミュニケーションは取りやすいですし、考えもしっかり共有できていますし。

――かなり信頼関係が築けているということでしょうか
 信頼しています。良い雰囲気でやれていると思います。

――現役時代と現在を比べてみて、学生の姿に何か違いはありますか
 選手のレベルは今のほうが遥かに高いですね。才能ある人間がたくさんいますし。もちろん、まだまだ子供だなって思うこともありますが、それは僕も現役のときはそう思われていたわけでして。社会人になってから「自分は大学時代になんて恥ずかしいことをしていたんだろう」って気づいたことがたくさんありました。そういった、学生より10年分長く生きてきた経験っていうものを、今の時点で彼らに伝えてあげたいと思っています。

  ――社会人時代に学んだこととは具体的にどのようなことでしょうか
 「すべては自分自身に返ってくる」ということだと思います。ラグビーもラグビー以外のことも、全てのベクトルを自分自身に向けられる人間になるべきだなと思うようになりました。

――中竹前監督からは引継ぎに際してどんな言葉をかけられましたか
 「『辻らしさ』を出してくれ」と言われました。

――その『らしさ』はどこにあると思われますか
 まだわからないです(笑)。でも、ラグビーが本当に好きですし、『真のEnjoy』をするのが僕らしさなのかなと思います。

――昨年は1年間フルタイムコーチとして中竹前監督の傍にいらっしゃったわけですが、中竹さんからはどんなことを学びましたか
 やっぱり選手とのコミュニケーションが素晴らしいです。自分にはないところだなと感じていました。見習いたいですよね。

――理想の監督像のようなものはありますか
 僕が現役時代の日比野弘元監督(昭33教卒)であり、益子俊志元ヘッドコーチ(昭58教卒)です。そのお二人のコーチングっていうものによって、人間として成長させてもらったと思っています。

――ここで、昨季を振り返って頂きます。早田組のラストゲームとなったあの帝京大戦。コーチとして、ノーサイドの笛をどんな思いで聞いたのでしょうか
 いやあ・・・何も考えられなかったです。うーん・・・真っ白ですね、単純に。

――負けた要因は様々あると思いますが、一番大きかったのはどこでしょうか
 やっぱり一対一の勝負のところなんじゃないですかね。

――昨季の指導について、あえて後悔があるところを挙げるとすればどんな部分でしょうか
 もう常に後悔というか、反省ばかりなんですよ。あえて言うなら、なんだろうな・・・「教えすぎた」ってことかな。僕は主に下のチームを教えていたんですけど、選手が考える環境をもっと与えてあげなくてはならなかったと思います。

――先ほどから一対一、個の力というお話が出ていますが、外国人選手を擁する新興勢力の台頭に対して、サイズで劣るワセダはどう立ち向かっていけば良いのでしょうか
 ラグビーって体の大きさも重要ですが、体が『重い』のと体が『強い』のとは別です。大切なのは体が『強い』ことなんです。そこがしっかりしていれば重い相手にも勝てますし、変に体重を増やすのではなくて強い体を作っていきたいですね。

――これからのチーム作りについてお伺いします。まず、この春の強化のポイント、課題を挙げていただけますか
 春はとにかく、全てにおいて基礎の徹底ですね。それから夏にはチームを本格的に作っていって、シーズンに入っていくというごく普通のやり方です。

――昨年は選手主導のチーム作りが例年以上に強調されていましたが、そのあたりに変化はあるのでしょうか
 そこに関してはないですね。あくまでも学生を中心に、主導というか、主役は学生なので。

――清宮克幸元監督(平2教卒)、中竹前監督と独特なチーム作りをされる監督が2代続きましたが、辻監督はどちらかというと正統派というイメージでよろしいのでしょうか
 そうですね。激しく、厳しく、常に100パーセントっていうタイプですかね。

――練習もかなり厳しくなると伺いましたが
 はい。きつくはなると思います。その必要性、重要性を、もちろん選手たちもわかっていると思います。

――有田隆平主将(スポ4)について、辻監督はどう見ていますか
 ありのままの、今のままの有田で十分だと思いますね。別に特別な何かを求めているということは全然なくて。彼ほど体を張れる人間はいないですから、このチームには。いつも通り、今まで通りやってくれれば、はい。

――有田主将を中心とした今年の4年生世代にはタレントが豊富ですが、彼らに対する期待はやはり高いですか
 毎年、4年生が全てだと僕は思っています。4年生にはとにかく求めていきます。「今年は誰のチームなんだ」ってことを、常に。

――これからのチーム作りについてお伺いします。この春の強化のポイント、課題を挙げていただけますか
 春はとにかく、全てにおいて基礎の徹底ですね。それから夏にはチームを本格的に作っていって、シーズンに入っていくというごく普通のやり方です。

――その中でも、昨年、日本代表に選ばれた山中亮平副将(スポ4)の存在はワセダにとってキーポイントになってくると思われます。帝京大戦で誰よりも悔し涙を流した彼が、もう一段階大きな選手に成長するために必要なことは何だと思われますか
 うーん…『責任』じゃないですかね。

――それは副将という立場としての責任ということでしょうか
 もちろんそれもありますし、このチームは自分が引っ張っていかなくてはいけないんだという責任ですね。自分が変わらなければチームも変わらないんだという気持ちを常に持っていて欲しいと思います。

――ことしは再び日本代表に選出されて、チームを離れる期間が長くなることも想定されますが
 それに関しては全く気にしてないです。下にも有望な選手がいますし、山中に頼っている部分がどうしても大きいので、そういう意味では良い機会だと思います。山中に関しては日本代表で得られる経験というのは絶対に大きいので、選出されればしっかり頑張ってきて欲しいと思います。

――3年生以下の世代についても一言お願いします
 新3年生世代については上級生としての自覚を持って、もっとチームを引っ張っていって欲しいです。まだ受け身なのかなというのは感じているので。「もう教えてもらう立場ではないんだぞ」と。「教える方の立場にいるんだよ」というのを理解していって欲しいですね。

――『荒ぶる』奪回に向けて、最大のポイントはどこになりますか
 一日一日、勝負するってことですね。

――最後に、ファンの方へ今年にかける意気込みを語っていただけますか
 一試合一試合をとにかく全力でやりたいと思います。その積み重ねが『荒ぶる』につながっていくと思うので。ぜひ、見守って欲しいと思います。

 
(取材・編集 塚本一成、尾崎睦)


『原点』への回帰を誓う辻監督 ◆辻高志(つじ・たかし)
 1977(昭52)年4月24日生まれ。茨城・茗渓学園高出身。00年(平12)人間科学部卒。同年、NECグリーンロケッツに入団。現役時代のポジションはSH。03年ラグビーワールドカップ日本代表。代表キャップ数7。09年、現役引退。同年、早稲田大学ラグビー蹴球部コーチに就任。10年、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。現在、NEC事業支援部所属。















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