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ラグビー部

2023.06.04

招待試合 6月4日 対慶大 岐阜・メモリアルセンター長良川競技場

春の早慶戦で白星を挙げるも、「物足りなさ」(大田尾監督)の残る試合に

 心地よい風がふく岐阜県メモリアルセンター長良川競技場。秋の早慶戦を前に招待試合として春の早慶戦が開催された。先制点を決め、試合を最初に動かしたのは早大。連続でトライを決め12-3とリードして前半を終える。後半に早大は2トライを追加し流れに乗ったと思われたが、終盤に連続失点。必死のプレッシャーでなんとかインゴールを守り切り、26-17と勝利した。しかし、大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)は「もっとやれるし、もっと力を持ってるし、選手たち自身、歯痒さはあると思います」と試合を振り返る。宿敵・慶大を相手に『物足りなさ』の残る試合となった。

 前半の立ち上がりは両者互角の戦いとなった。その中でも早大は展開プレーでじわじわと敵陣へ攻め入る。12分、敵陣ゴール手前の相手スクラムからSH宮尾昌典(スポ3=京都成章) がボールを奪うと素早くスクラムの裏を周り、CTB野中健吾(スポ2=東海大大阪仰星)にパス。そのまま勢いよくトライを決めた。14分、自陣ゴールポスト手前で反則を取られ、相手のペナルティーゴールを許してしまった早大。その後も慶大の攻撃が続くが、鋭く低いタックルでゲインラインの突破を阻止。一方で、攻撃ではSO伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)のキックから何度か好機を演出するものの、なかなか決めきることができない。試合は膠着(こうちゃく)状態が続いたが、26分に会場を沸かせるトライが生まれる。自陣で相手のペナルティーから伊藤がクイックスタート。スピードあるプレーで相手を交わしていき、一気に敵陣へ前進。さらにショートキックし、俊足を生かして伊藤自らボールを追っていく。すると、ボールが吸い込まれるように伊藤の手に入り、そのままインゴールへ飛び込んだ。その後は得点を重ねられず、12-3で前半を折り返した。

自らクイックスタートからトライを決める伊藤

 さらに点差を広げたい早大は、後半5分、敵陣22メートルライン付近でWTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)から巧みなパスを受けフランカー永嶋仁(社4=東福岡)が相手を交わし前進 。最後はサポートに入ったフッカー佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がインゴールを割った。続く20分、フェーズを重ね再び敵陣に攻め入る早大。インゴールまであともう少しのところで反則を取られ相手ボールになるが、プレッシャーをかけてすぐにジャッカル。ボールを取り出した宮尾がトリッキーな動きでディフェンスを翻弄し、相手の隙を突いてトライを挙げた。26ー3とここまで慶大にトライを許さなかった早大。しかし、後半終盤、主力選手がベンチに下がると一気に流れは相手に移り、2連続で失点する。なかでも、30分に自陣22メートルライン外側からモールで相手に大きく前進され、押し返すことができないままトライを献上した。このトライが大きな打撃となり、そこから早大は勢いを取り戻すことができない。試合終了間際まで慶大の攻撃が続いたが、粘り強くディフェンスし、リードを守って26-17で勝ち切った。

力強いゲインで活躍が光った野中

 「このままだと帝京大にまた大敗するんじゃないか」(大田尾)。早慶戦終了後、監督はそう語ったという。早大は26ー17で慶大に勝利したものの「受け手に回った時間が長かった」(伊藤)と、点差を引き離せず、納得のいくゲーム内容にはならなかった。『日本一』に向け、春の残す試合にどのように挑んでいくべきか。この早慶戦を機に選手たちがさらに気合を入れ直したことだろう。次戦に控える流通経済大戦こそは快勝に期待だ。

(記事 川上璃々、写真 濵嶋彩加)

コメント

大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)

――今日の試合内容の評価をお願いします

 80分通して見たらゲーム自体は安定したものだったかなと思います。特にセットプレーやゲインラインの突破などは良かったと思います。ですが、個人的なことなのですが、佐藤健次や村田陣悟(NO・8村田陣悟、スポ4=京都成章) はもう少しやれるというのが正直なところです。FWの主力選手が前半にそぐわなかったという点で、物足りなさを感じます。

――後半選手交代を多く行ったのは、その物足りなさからでしょうか

 そうですね。どんどんフレッシュなメンバーを入れ込んだ方がいいと思いました。健次とは少し話し合って後半プレーが変わったと思います。

――チーム全体の動きはいかがでしたか

 全体的に物足りないにつきます。もっとやれるし、もっと力をもってるし、選手たち自身で歯痒さはあると思います。自分たちで変えられるものはあると思うので、自ら変えてほしいなと思います。

――伊藤主将のトライシーンについてどう見ていましたか

 春に取り組んでるところを出せてきていますし、プレースピードがありました。

――秋の早慶戦を前に今回の結果を受けて手応えは

 慶應は甘くない相手ですし、今年よりブレイクダウンを強化してきているなと感じます。本当に早稲田もしっかりここからチームを作っていかなければいけないなと思います。

――次戦に向けて意気込みお願いします

 このままいったら帝京にまた大敗するんじゃないかという話をしました。そこに対して選手たちがどうアクションするのかなと思っています。彼らの持ってないものを出すとか、難しいスキルでプレーするとかではなくて、持ってるものをもっと出すということ、その点に次回は期待したいですね。

SO伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――今回のゲームテーマは

 ブレイクダウンをもう一回ファイトしようというテーマでした。基本的にやられた部分が多かったなと思います。

――試合前半のチームの動き振り返って

 後半の入りみたいな動きができず、受け手にまわった時間が長かったです。

――自身のキックからトライにつなげた場面がありましたが、振り返っていかがですか

 相手のキックが伸びたので、チャンスかなと思いました。判断は良かったと思います。

――キックを使ったゲームメイクで何度かトライチャンスが見られましたが、その点についていかがですか

 何回かトライを取れるシーンでトライを取れなかったというのが、基本的に今できていないポイントなので、取り切れるところで取るというのをチームで意識付けしていきたいです。

――多くの主力選手交代した中での後半チームの動きをどう振り返りますか

 正直、もうちょっとリザーブの選手にインパクトがほしかったところです。

――秋の早慶戦に向けて手応えは

 今日改めて対戦してみて簡単な相手ではないと分かりましたし、今後何かしら変化していくチームだと思います。今日経験できたことをしっかり秋につなげて、国立の舞台で勝てるように頑張りたいです。

――では、次戦まで何を意識して練習していきますか

 とにかく体を当てるというのをみんなでもう一回確認してやっていきたいなと思います。

フランカー永嶋仁(社4=東福岡)

――今日の試合のテーマを教えてください

 僕の中ではブレイクダウンで圧倒するというのがテーマでした。というのも、慶應さんがブレイクダウンにかけてくるのですが、自分たちもこの春はそこに力を入れてやってきたので、ブレイクダウンを強みにしている慶應さんを相手に、どれだけできるのかを試していました。チーム全体としてもブレイクダウンの話はしていました。

――ブレイクダウンについて、実際にプレーしてみていかがですか

 良かった場面もあるのですが、やはり試合の入りはすごく受けてしまって、後手に回ってしまったのでそこは課題だなと思います。

――CTB岡﨑颯馬(スポ4=長崎北陽台) 副将が不在の中での試合となりましたが、ご自身は副将として何か本試合意識したことはありますか

 自分が率先して体をぶつけたり、声を出したりして引っ張っていくことや、途中のハドルを組む場面でも自分がしっかり声をかけて、みんなの意識をひとつにすることを心がけていました。

――セットプレーについて振り返っていかがですか

 本当に自分がしたいと思っていたことが全くできず、後半の最後のきつい場面でモールトライも取られてしまったので、まだまだ甘いなと思います。

――後半、選手交代が重なったと思うのですが、その時のチームの動きを振り返っていかがですか

 交代して出てきた選手が前半から出ている選手よりも、しっかり動いたり走ったり、チームを引っ張っていくプレーをしなければならない中で、出てきた選手も他の選手と同じような動きになってしまって、チームに勢いを与えるようなプレーは少なかったのかなと思います。

――チームの雰囲気はいかがでしたか

 良くも悪くもなく、という感じです。

――次戦の流通経大戦に向けて、意気込みをお願いします

 やはりまず、一人の選手として自分が率先して体を張ることを意識して、チームとしては試合の入りが課題だと分かったので、そこの部分はしっかり修正していきたいと思います。

 

招待試合
早大 スコア 慶大
前半 後半 得点 前半 後半
12 14 14
26 合計 17
【得点】▽トライ 野中、伊藤、佐藤、宮尾▽ゴール 伊藤(3G)
※得点者は早大のみ記載
慶大戦早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
勝矢 紘史 スポ2 長崎北陽台
後半36分交代→17山口
佐藤 健次 スポ3 神奈川・桐蔭学園
後半22分交代→16安恒
亀山 昇太郎 スポ3 茨城・茗渓学園
前半36分交代→18下村
栗田 文介 スポ2 愛知・千種
細川 大斗 社4 東京・早実
後半19分交代→20田中
池本 大喜 文構4 東京・早実
後半10分交代→19鈴木
永嶋 仁 社4 東福岡
村田 陣悟 スポ4 京都成章
後半26分交代→21永井
宮尾 昌典 スポ3 京都成章
後半26分交代→22島本
10 ◎伊藤 大祐 スポ4 神奈川・桐蔭学園
11 矢崎 由高 スポ1 神奈川・桐蔭学園
12 野中 健吾 スポ2 東海大大阪仰星
後半36分交代→24金子
13 岡本 大輝 スポ4 東京・本郷
後半5分交代→26守屋
14 細矢 聖樹 スポ3 国学院栃木
後半0分交代→25磯崎
15 久富 連太郎 政経4 島根・石見智翠館
後半13分交代→23京山
リザーブ
16 安恒 直人 スポ3 福岡
17 山口 湧太郎 スポ2 神奈川・桐蔭学園
18 下村 勇貴 文3 東京・早実
19 鈴木 風詩 社3 国学院栃木
20 田中 勇成 教2 東京・早実
21 永井 新之助 スポ3 東京・早実
22 島本 陽太 スポ4 神奈川・桐蔭学園
23 京山 秀勇 人4 福岡・東筑
24 金子 礼人 法2 福岡・西南学院
25 磯崎 錬太郎 商4 徳島・城東
26 守屋 大誠 政経3 東京・早実
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦監督(平16人卒)