ラグビー部
2023.05.21
関東大学春季大会 5月21日 対東洋大 早大・上井草グラウンド
「ブレイクダウンで激しく」(岡﨑)をテーマに 48ー26で東洋大に勝利!
昼下がりの早大・上井草グラウンドにて、関東大学春季大会3回戦が行われた。屈強なFWを擁する東洋大相手に、早大は『ブレイクダウン』をテーマに掲げ臨んだ。前半序盤、東洋大のFWに押し込まれ、先制を許す。その後、セットプレーで思うように精度が出せない場面もあったが、ブレイクダウンでターンオーバーするなど接点で引けを取らない。一時、東洋大にリードされたが、22ー14で前半を折り返した。後半は、ミスにより連続2トライを献上して1点差にまで詰められたが、強豪早大のプライドを見せ、48ー26で白星を挙げた。
前半は、両者拮抗(きっこう)し、緊張感ある目まぐるしい試合展開となった。前半5分、自陣左ゴール前で東洋大のモールをサックし、ディフェンスを成功させたが、大きな体躯のFWによる持ち出しを止めきれず、先制を許した。しかし、前半9分には、フッカー佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園)とCTB岡﨑颯馬(スポ4=長崎北陽台)が相手に素早く刺さるタックルからプレッシャーをかけターンオーバーし、流れを引き寄せる。続く10分にも、相手裏に蹴ったボールをWTB細矢聖樹(スポ3=国学院栃木) と岡﨑がチェイスし、FWも加わってブレイクダウンで圧倒し、マイボールにした。その後、SH宮尾昌典(スポ3=京都成章) の素早い球さばきに応えて、最後はWTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園) が公式戦初トライをマークした。前半のセットプレーでは、精度に欠けてしまう部分もあったが、19分、モール起点から追加得点を挙げて12ー7とリード。前半29分に、逆転を許すものの、その直後FB京山秀勇(人4=福岡・東筑)がギャップを突くランで大きくゲインし、最後は細矢がインゴールへ飛び込んだ。その後も得点を重ね、22ー14で試合を折り返した。
素早く攻撃を仕掛ける宮尾
後半開始早々、ペナルティキックによりピンチを迎えたが、ブレイクダウンでターンオーバーし、自陣ゴール前から脱出する。7分、エリア中央のラックからプロップ勝矢紘史(スポ2=長崎北陽台)が走りこんでパスを受け取り、ディフェンスラインをブレイク。その後、左へ展開し、矢崎がハットトリックを決める。直後、早大にミスが続き、1点差にまで追い上げられてしまうが、中盤後半に入って修正されたセットプレーと勢いあるフェーズアタックで2トライを獲得する。試合終了間際には、ロック細川大斗(社4=東京・早実)が敵陣10メートル付近からゴール前までゲインし、最後はフッカー安恒直人(スポ3=福岡)が押し込んでトライ。最終結果を48ー26とし、勝利を収めた。
ビックゲインする細川
フィジカルが脅威となる東洋大相手にブレイクダウンで何度もターンオーバーし、ディフェンスでも前に刺さる低いタックルをみせた早大は着実に成長をうかがわせている。「ブレイクダウンを中心に練習してきたので、みんなの取り組みは良かった」(SO伊藤大祐主将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)、「チーム全体で堅実に取り組めて良かった」(岡﨑)と語るように、練習の再現、テーマをこなすことができたのは大きく評価できるだろう。また、前節の課題である修正力に関しても改善を見せた。強度が増した練習によって展開だけでなく、接点も強くなる早大ラグビー部。進化していく彼らの活躍に期待したい。
(記事 長野恵治、写真 川上璃々)
コメント
大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)
――選手たちがブレイクダウンへの執着心と言っていましたが、監督はその部分について満足していますか
そうですね。そこはやはり早稲田が負けちゃいけない部分があるだろうという話をしたので、みんなやろうとしてくれました。
――矢崎選手を先発で使うというのは、どう決めたのですか
ケガ人もいますし、矢崎も慣れてきただろうということで使いました。
――(矢崎選手の)動きに関していかがですか
良い動きだったと思います。今日1番感心したのはキック処理です。そこの部分が非常に良くて、キック処理だったりディフェンスの部分が高校生とは違うのかなと思います。全く問題なかったです。
――追いつかれた場面についてキャプテンは自分たちにベクトルが向かず、レフリーにベクトルが向いてしまったとおっしゃっていましたが、監督はそれをどうご覧になっていましたか
それを今日1番の収穫にしてほしいと思っています。どんな話をしたか、どんなメンタルの状況だったかをみんなで見つめ直した方が良いと言いました。オンザグラウンドの部分ではすごくいいものが出たし、成長できていると思うので、2本取られて嫌な時間帯に自分たちがどうだったかというのは、自分たちにしか分からないし、それを自分たちで見つめ直した方がいいという話はしました。
――春の早明戦の結果についてはいかがですか
結果を受け止めているだけで、足りないところがあることは分かりましたが、執着心という部分で、自分たちのスタイルを出すとかいう部分は春も秋も変わらないんじゃないかと思っていたので、今日はその部分を出せていたので良かったと思います。
――早明戦が終わってこの1週間は充実したものだったということですか
そうですね。体もよく当ててますし、しんどい中でも今日こういう結果を出せたので良かったと思います。
SO伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――試合の総括をお願いします
最近はブレイクダウンを中心に練習してきたのでその点に関して、みんなの取り組みは良かったと思います。ですが、パーツパーツのラインアウトやスクラム、ディフェンスで抜かれたりとか、細かな部分で修正は必要だと思います。ブレイクダウンの質をさらに上げて、再来週の早慶戦に向けて切り替えていきたいです。
――キックの種類が豊富で前半うまくいっていたと感じましたが、その部分についてはいかがですか
相手の隙をつくのは、もう少し精度を上げないといけないと感じます。自分の中では、もう少しできたかなという感覚です。
――追い上げられた時、主将として何を感じましたか
自分たちにベクトルが向いてなかった時間だったと感じます。レフリーにベクトルが向くなどしてたので、もう少し自分達にベクトルを向ける必要があると思いました。
――パスミスからトライを取られたシーンを振り返っていかがですか
最近インターセプトされるなど、そういうミスが多いです。経験でしかないと思いますが、もう少しリスクとチャレンジする部分の判断を上げていかなければ、対抗戦(関東大学対抗戦)や、大学選手権(全国大学選手権)で勝てないと思います。
――ブレイクダウンの評価は高いですが、他のエリアに関してはいかがですか
ラインアウトでミスが出たのは、ネガティブなイメージがありますが、練習で時間を割いてないのであまり気にしていないです。ラインブレイクされるシーンもありましたが、ブレイクダウンを本気でやろうという結果のディフェンスでした。チームのコミット力、テーマに対する意識が今年の強さだと思うので、しょうがないかなと思います。
――ここまで春シーズン通して、チームの雰囲気はいかがですか
リーダー陣、コーチ陣の指導に対するコミット力がすごくいいと思います。毎回出る反省点に対してスタンダードを下げずに毎回コミットする力をつければ、今後に向けていい強化ができるなと思います。
――ここまでの主将としての手応えはいかがですか
やはり、もう少し自分のプレー精度を上げてチームの絶対的な存在になる必要があると思います。そうすれば僕の言動に対する選手たちのコミット力も上がると思うので、そんな主将像を目指して頑張っています。
CTB岡﨑颯馬副将(スポ4=長崎北陽台)
―― 今日の試合を振り返っていかがでしたか
大事な場面でミスをして波を作ってしまったのが、チームとして反省点です。先週の明治戦からディフェンスブレイクダウンのプレッシャーを激しく行こうというテーマがありました。そこに関してチーム全体で堅実に取り組めていたのは、プラスかなと思います。
――簡単にトライを取られてしまった場面もありました。その点を振り返っていかがですか
春のチャレンジするシーズンの中でメンバー変更などありますが、チームの中でコミュニケーションが不足し、ミスを取られてしまった時に次のプレーにうまく切り替えれなかったり、やることを明確にできなかったりしたのは、リーダー陣の責任があると思います。選手自体も若いというか、『日本一』を目指すチームとしてはまだまだだったかなと思います。
――今日のBKの動き全体振り返っていかがですか
まだまだ足りないと思います。トライを取り切ることができたシーンもありましたが、パスが全部ストライクに放たれているといえば、放たれてないですし、自分たちが目指す大学選手権決勝の舞台では、そういったパスがつながらずトライを決めることができないというシーンが予想されるので、そこが課題になると思います。
――BK内でどのように声をかけてしてリーダーシップを取られいましたか
ディフェンスラインに対して自分達から先に仕掛けていくというのを意識付けしていました。いいブレイクダウンを常に作っていこうと言って、後半からキャリアに対して入って前にボールを持ってこれたのは良かったのですが、前に運ぶところとスペースを使うところのメリハリは今後、詰めてやっていかなければいけないと思います。
――連携プレーでのミスはすぐに修正できそうですか
キックを大祐(伊藤)が蹴ってから同じ絵が見れていたので、そこに関してはすごくよかったと思います。その精度は練習を積み重ねることで仕上がってくるので、練習中も、より試合をイメージしていくことで、うまく修正できるかと思います。
フッカー佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園)
――ラインアウトを振り返っていかがですか
池本大喜(文構4=東京・早実) がいなくて、前回から高さの違いがありました。そこに僕がうまく対応できなかったのが反省点です。
――試合中に修正できましたか
ボールを一個下げてと言われたので、後半はそこまで大きく乱れることはなかったと思います。ですが、ハーフタイムになってから話し合って修正したので、もっと早く前半のゲーム中にできれば良かったかなと思います。
――スクラムに関してはいかがでしょうか
スクラムもいろいろメンバーが代わったりして感覚が合わなかったのですが、表の選手と裏の選手の差をもっと埋めていかないと、帝京、明治に勝てないと思うので、チームの課題として全員でやっていけたら良いなと思います。
――監督の評価では、接点でかなりぶつかっていて良かったというような話がありました。佐藤選手自身、この試合の評価をどう考えていますか
今回はブレイクダウンにこだわる、ボールに執着するというテーマでした。本当にしつこく取り組んだので、そこで出てしまったペナルティーはありましたが、自分たちがやろうとすることに対してのコミット力は良かったと思います。FW、BKのボールへのしつこさや接点については、明治戦から成長できた部分かなと思います。このスタンダードを継続して、そこから得た成果をつなげて最後の帝京戦を勝ちで終われるようにしていけたらと思います。
フランカー田中勇成(教2=東京・早実)
――今日の試合のテーマを教えてください
明大戦でブレイクダウンのところでやられてしまっていたので、そこから1週間、ブレイクダウンの部分を意識してやってきました。
――個人としての目標はありましたか
初めてスタメンで出場が決まっていたので、そこでしっかり自分の強みを出すということを意識していたのですが、やはりまだ多くの課題が残ったかなと思います。
――先ほどもおっしゃっていましたが、初の先発出場に対してはどのような気持ちで臨みましたか
チャンスは多くないと思っていたので、こういうチャンスを活かせるところでしっかり頑張ろうと試合に臨みました。
――A戦の試合でもタックルでは低く入って、キャリーでもかなりゲインしていたと思うのですが、その辺の自分のプレーを評価していただけますか
自分的には本当にまだまだです。相手もレベルが上がってきてB戦のようにはいかない部分が多かったのですが、だからこそレベルが上がっても精度が高いプレーをしていきたいと強く思いました。
――最後に次の試合に向けて意気込みをお願いします
2週間あるので、まずは練習でも自分からしっかりアピールして、積極的なプレーを心がけてやっていきたいと思います。
WTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)
――初選抜となりましたが、試合を振り返っていかがですか
主力の先輩方が不調だったので、その穴埋めで入りました。今日は、トライを3本決めることができましたが、全部つないでもらって僕がラストパスをもらって置くだけみたいなトライばっかりでした。トライに絡めたことは良かったですが、まだやっぱり自分の力で決めきれていないと思うので、それが今後の課題になると思います。取り切るという部分を強みにしていかないと、僕も大学ラグビーでやっていけないと思うので、そこをもう少し頑張りたいと思います。
――激しいタックルや接点が見られましたが、その点について評価はいかがでしょうか
接点を激しくいくというのは、試合に出る以上、やらなければいけないことなので、そこに関して特別に意識していたことはないです。
――オフザボールの時はどのようにチームの中でコミュニケーションをとっていましたか
早くからコミュニケーションを取ることを意識していました。ボールをもらう1個、2個前くらいからどのように自分がボールをもらうか、どこのスペースが空いてるかなどを確認して内側に伝えるようにしています。
――コンタクトの感覚はいかがですか
やはり高校よりもレベルが上がって、やっとできるようになってきたと思います。慣れてきたかなという感覚です。
――次戦への意気込みをお願いします
今日はボールへの執着心、ブレイクダウンへの執着心にフォーカスしてやれました。この良かった点を次戦の慶応戦に向けて続けていきたいです。また、課題ももちろんあるので修正して挑みたいです。
関東大学春季大会 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | スコア | 東洋大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
4 | 4 | T | 2 | 2 |
1 | 3 | G | 2 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
22 | 26 | 計 | 14 | 12 |
48 | 合計 | 26 | ||
【得点】▽トライ 矢崎(3T)、細矢、田中、栗田、佐藤、安恒▽ゴール 伊藤(4G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
東洋大戦早大メンバー | |||
---|---|---|---|
背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 門脇 浩志 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 | 後半40分交代→17川﨑 |
2 | 佐藤 健次 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 | 後半40分交代→16安恒 |
3 | 亀山 昇太郎 | スポ3 | 茨城・茗渓学園 | 後半33分交代→18下村 |
4 | 栗田 文介 | スポ2 | 愛知・千種 |
5 | 細川 大斗 | 社4 | 東京・早実 |
6 | 田中 勇成 | 教2 | 東京・早実 | 後半28分交代→24金子 |
7 | 永嶋 仁 | 社4 | 東福岡 |
8 | 村田 陣悟 | スポ4 | 京都成章 | 後半30分交代→20西浦 |
9 | 宮尾 昌典 | スポ3 | 京都成章 | 後半20分交代→21島本 |
10 | ◎伊藤 大祐 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
11 | 矢崎 由高 | スポ1 | 神奈川・桐蔭学園 |
12 | 岡本 大輝 | スポ4 | 東京・本郷 | 後半28分交代→23仲山 |
13 | 岡﨑 颯馬 | スポ4 | 長崎北陽台 |
14 | 細矢 聖樹 | スポ3 | 国学院栃木 |
15 | 京山 秀勇 | 人4 | 福岡・東筑 | 後半40分交代→26杉野 |
リザーブ | |||
16 | 安恒 直人 | スポ3 | 福岡 |
17 | 川﨑 太雅 | スポ4 | 東福岡 |
18 | 下村 勇貴 | 文3 | 東京・早実 |
19 | 西浦 剛臣 | 社3 | ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール |
20 | 永井 新之助 | スポ3 | 東京・早実 |
21 | 鈴木 風詩 | 社3 | 国学院栃木 |
22 | 島本 陽太 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
23 | 仲山倫平 | 法2 | ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ |
24 | 金子 礼人 | 法2 | 福岡・西南学院 |
25 | 守屋 大誠 | 政経3 | 東京・早実 |
26 | 杉野 駿太 | 政経3 | 東京・早大学院 |
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦監督(平16人卒) |
関東大学春季大会Aグループ星取表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
帝京大 | 明大 | 早大 | 東海大 | 東洋大 | 流通経大 | |
帝京大 | * |
6/3 13:00 静岡・エコパ |
6/25 13:00 埼玉・熊谷 |
6/18 13:00 東海大G |
○92-14 <p14T11G |
5/14 13:00 帝京大G |
明大 |
6/3 13:00 静岡・エコパ |
* |
○45-24 7T5G |
5/28 13:00 山梨・JITス |
6/25 13:00 明大G |
○58-12 10T4G |
早大 |
6/25 13:00 埼玉・熊谷 |
24-45 4T2G |
* |
○33ー19 5T4G |
○48―26 8T4G |
6/11 13:00 早大G |
東海大 |
6/18 13:00 神奈川・小田原 |
5/28 13:00 山梨・JITス |
●19ー33 3T2G |
* |
5/14 13:00 東洋大G |
○40-21 6T5G |
東洋大 |
●14-92 2T0G |
6/25 13:00 明大G |
●26ー48 4T3G |
5/14 13:00 東洋大G |
* |
6/18 13:00 東洋大G |
流通経大 |
5/14 13:00 帝京G |
●12-58 2T1G |
6/11 13:00 早大G |
●21-40 3T3G |
6/18 13:00 東洋大G |
* |
※帝京大Gは帝京大百草園グラウンド、静岡・エコパは静岡県エコパスタジアム、熊本・えがおSは熊本県えがお健康スタジアム、山梨・JITスは山梨県JITリサイクルインクスタジアム、早大Gは早大上井草グラウンド、神奈川・小田原は神奈川県小田原市城山陸上競技場、東洋大Gは東洋大川越ラグビーグラウンド、流通経大Gは流通経大第一ラグビー場、埼玉・熊谷は埼玉県・熊谷ラグビー場