ハンドボール部
2023.04.14
関東学生春季リーグ 東京・国士舘大学多摩キャンパス体育館ほか
関東学生春季リーグ展望
関東学生春季リーグ(春季リーグ)が男子部は4月15日(対東海大)、女子部は4月22日(対東海大)にそれぞれ開幕する。新体制となったワセダセブンがどのような戦いを繰り広げるのだろうか。
男子部は、全日本学生選手権(インカレ)での優勝を目指す。一昨年度、昨年度とインカレで初戦敗退を喫した。さらなる飛躍を遂げるための弾みとして、そして目標達成に向けて新チームは目の前の春季リーグに挑む。新体制の男子部を率いるのは、高校時代に三冠という輝かしい成績を収めた田井健志主将(スポ4=香川中央)だ。ディフェンス力に定評があり、高校時代に主将を務めていた経験を生かしてチームを引っ張っていく。オフェンス面では、狩野直樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)に注目だ。長身から放たれる強烈なロングシュートで得点量産を狙う。また、オフェンスの要として活躍してきた白築琢磨(文構3=東京・早実)が上級生となった。司令塔としてオフェンスを組み立て、攻撃の幅が広がることは間違いない。一方、ディフェンス面では村松涼雅(商2=岩手・不来方)が新戦力となる。早大のディフェンスを支えてきた昨年度主将の永橋優太朗氏(令5スポ卒=千葉・市川)が抜けた穴を埋めることとなった村松。新たなディフェンスの要として大きく貢献してくれるだろう。さらに、キーパーの塚本智宇(スポ4=富山・高岡向陵)も最上級生に。守護神のキーピングがチームの命運を握る。伝統の『堅守速攻』は今年度も受け継がれる。粘り強い守りとスピード感あふれる攻撃が魅力だ。選手全員がそれぞれ自分の持ち味を発揮し、勝利をつかみ取りにいく。10年ぶりの日本一奪還に向け、まずは目前に迫った春季リーグで結果を残したい。
シュートを放つ白築
2023年、女子部の目標は春季・秋季リーグ上位進出、インカレでのメダル獲得だ。体育館には「春季リーグ上位進出」と書かれた紙が貼られており、チームで意識を統一して日々練習に励んでいることがうかがえた。昨年、2部のチームとの入れ替え戦も経験した早大にとって厳しい戦いにはなるが、この目標は今年のチーム状況を考えると越えられない壁ではない。村上楓主将(スポ4=福岡・明光学園)が今年のチームを「メンバーの入れ替わりがなく、慣れていてやりやすい」と語るように、昨年とほとんどメンバーが変わることなくチームの完成度も高い。また、これまで部員数の少なさから弱点だった体力面もラントレに積極的に取り組むことにより、「走れるチーム」になってきているという。「動きが良く、チームになじんでいける」と村上が期待する新1年生石坂美紀(スポ1=千葉・昭和学院)を含め、新入生8人が入部することからも昨年までの厳しいチーム状況は改善されるはずだ。さらに、攻守の要である浦野詩織副将(スポ4=愛知・旭丘)、速攻が武器のサイドシューター青木里奈(スポ4=東京・白梅学園)、ケガから復帰したGK川村夏希副将(スポ4=東京・佼成学園女)など下級生の頃から試合に出場していた選手が最上級生となり、チームをまとめ上げる。そして何といっても今年一番の注目選手は村上主将だ。的確な判断力とスピードで相手を翻弄(ほんろう)し、早稲田のゲームメイクをしてきた彼女に注目するのはプレー面だけではない。「目標を達成するには厳しく言わなきゃいけない部分がある」と村上が語るように主将としてのリーダーシップにも期待がかかる。経験豊富な4年生が中心となり、去年の悔しさをバネに春季リーグでは着実に勝利を積み重ねていきたい。
練習中、ゴール前からチームメイトに声をかける川村
昨年までの状況とは異なり、今年はすべての試合が有観客で行われる。待ちわびた春が訪れ、男女ともに戦いの準備は万全だ。インカレに向け、まずは春季リーグでいかにワセダらしいハンドボールが展開できるか。今年も早稲田大学ハンドボール部から目が離せない。
(記事・写真 澤崎円佳、野中美結、丸山勝央、渡辺詩乃)
コメント
田井健志主将(スポ4=香川中央)
――今年のチームの特徴は何ですか
まだチームが始まったばかりでまとまりがなく、あまり目立った選手が早稲田にはいないので、チーム全体で戦って一人ひとりの役割を果たすチームだと思います。今年のチームは僕もそんな得点能力があるわけじゃないですし、エースの狩野(直樹、スポ4=埼玉・浦和学院)君は背が大きくてシュートもすごく強く打てる子なのですが、欠点とかもあって。そういった良いところと悪いところっていうのはどの選手にもあると思うのですが、役割を分担することで自分の良いところを出していけるチームを目指していきます。
――開幕を控えた現段階でのチーム状態はいかがですか
チーム状態ははっきり言ってあんまり良くはなくて、合宿とか練習試合や練習会みたいなものもありましたが、そういったところでも結構大差で負けてしまう試合が多くありました。でもそれは僕的には今はまだ良いと思っていて、逆にこの時期にチームの状態が分かってよかったなと。春季リーグ(関東学生春季リーグ)始まってからこの状態に気付くとか春季リーグ終わってから気付くという段階だとやっぱり僕たちの目標にしているインカレ(全日本学生選手権)日本一に対して多分遅くなってしまうと思うので、今この段階で課題に気付けたということは春季リーグ、秋季リーグ(関東学生秋季リーグ)にむかって自分たちの目標を高めていけるので良いかなと思います。
――主将になって心境に変化はありますか
心境の変化はあんまり変わったところはないですが、昨年は一つ上の代がいたので僕が結構発言をしても4年生の先輩の方から「いやそれは違うよ。」みたいな意見を結構言われることがありました。でも今では僕が言ったことが全てみたいになってしまうところがあるのでそこはちょっと主将になって変わったところであり、自分の発言とかに責任感を持たないといけないと感じています。
――今年度ディフェンス、オフェンスそれぞれで注目している選手を一人ずつあげてください
ディフェンスで注目しているのは村松(涼雅、商2=岩手・不来方)君ですね。去年はディフェンスの要となる3枚目と言われるポジションを中惣さん(健友氏、令5スポ卒=石川・小松)や永橋さん(優太朗氏、令5スポ卒=千葉・市川)がやっていて狩野君とかもやっていますが、そこに新2年生の村松君が入ることでディフェンスの要となってくるので僕たちが良いディフェンスができている時は村松君が活躍しているときだし逆に悪いディフェンスになっているときは村松君が活躍できていないということなので 村松君がキーマンになるかなと思っています。オフェンスはやっぱり前の代からオフェンスを引っ張ってくれている新3年生の白築(琢磨、文構3=東京・早実)君です。一番期待しているというか頑張ってもらってもらわないときついかなと思っています。白築君がセンターというポジションで、狩野と僕の4年生二人が両エースつとめているのですが、二人を生かすも殺すも白築君次第なので二人のコントロールをうまくやってほしいかなと思っています。
――フランスのモンペリエでの練習で収穫はありましたか
僕たちってどうしてもすごい選手に対してちょっと怖気づいてしまい、勝手なイメージで相手チームに日本代表の選手がいたらやばいかもってなってしまうところがあります。でもフランスの選手達はそういったことがほとんどなくて、195cmといった身長の高い選手や逆に170cmの身長が低いサイドシューターの選手が同じチームで練習していますが、こういった体格差があったとしても果敢に向かって行ったりオフェンスの間切り裂いて行ったりといったような負けたくないという気持ちは強く感じたし日本に持ち帰りたいなというふうに思いました。
――開幕に向けて特に意識してチーム全体で強化してきたことはなんですか
強化してきたことはディフェンスです。今も現在進行形で強化していて合宿とかたくさんやりましたが、去年に比べて僕たちは失点数が多くて相手にいっぱい点をとられてしまっています。こういった時にチームとしての目標は堅守速攻と毎年言っていますが、堅守速攻の堅守という前提の部分がないため自分達のオフェンスに繋がらないので、まずはしっかりと守れるようになろうということで2月は僕とかはいませんでしたが、2月、3月強化してきました。
――今年の個人の目標をお願いします
僕は高校の時に春、夏、秋と全国大会でそれぞれ優勝しているので日本一は経験していますが、大学での日本一はまだ経験したことがないです。僕が大学で経験した全国大会は全部一回戦で負けてしまっているので、一度しかない勝負でやっぱり勝ち切りたいというのが一つ目標です。あとは個人的な話なのですが、地元に帰ってきて高校の時のチームメートと集まった時に日本一の話で盛り上がらないでほしい、新しい話で盛り上がってほしいと顧問の先生に言われました。今高校の同期で関東に来ているのは僕しかいませんが、こっちで活躍したよという話を向こうでできるような活躍をしたいなというふうに思います。
――先ほどインカレ日本一とおっしゃっていましたが、他にチームの目標はありますか
チームの大きな目標は日本一ですが、その前提としての目標は初戦突破です。僕の代は全国大会で一回も勝ったことがない代なのでまずは初戦突破しないと優勝とか言ってられないですし、一発目の試合に勝つってことがどれだけ難しいことかというのも僕は高校時代に全国大会経験してきて知っていることなのでまず初戦突破というところは目標としています。
――そのチームとしての目標を達成するための鍵となるものは何でしょうか
鍵となるところはディフェンスが一番大事になってきます。あとは早稲田のチームの弱点としてメンタル面でちょっと弱いところがあります。やはり全国を経験した選手も少ないですし、ハンドボールにおける経験も他大学のすごい選手に比べたら浅いところがあると思います。まずは自分たちが弱いということを確認した上でリーグ戦もですが、どれだけチャレンジャーとして向かっていけるかという気持ち、負けちゃダメだとか勝ちたいとかいうのではなく自分のベストを尽そうという気持ちで挑むことが試合に臨むにあたって大事なことだと思います。
――春季リーグを通してポイントとなる試合や意識している相手はいますか
意識している相手は中央大学とかです。去年全国大会で優勝しているので日本一の相手に勝つことで僕たちの目標である日本一に近づけると思いますから意識しています。でも目の前の相手を倒すだけなのでそこまで特別意識しているところは無いです。
――最後に春季リーグへの意気込みをお願いします
結構厳しい試合が多いと思いますが、そこで最初にも言ったチーム一丸となって選手それぞれの役割を果たして試合に勝つ姿を見ていただけたらと思います。どうせなら勝ったチームを取材したいと思いますし、僕たちも暗い雰囲気で取材を受けるよりかは気持ち良く取材を受けたいので、早スポさんにも頑張ってもらっているので恩返しをするために頑張りたいと思います(笑)。
村上楓主将(スポ4=福岡・明光学園)
――昨シーズンを振り返って
去年はチームで立てた目標を結果的に1年通して達成できなかった年になってしまって、すごく悔しかったしインカレも一昨年対戦して負けた関西学院大学にまた負けてしまってすごく悔しい思いをした1年でした。
――今年の目標は
今年はとりあえず春リーグで1部の上位に入ることで、秋リーグは上位で1位、2位に入ってインカレでメダルを獲得するという目標を立てました。
――それはミーティングなどで立てた目標ですか
そうですね、新チームが始まってまず4年生で集まって話してどうしていくかというところを決めて、その後に下級生も一緒にミーティングをして今年はこういう目標でいくことを伝えました。
――新体制の雰囲気や特徴は
私たちの同期や下級生も含め、結構1年生、2年生の時から試合に出ていたメンバーが多く、そのままメンバーの入れ替わりがなくきた感じなので、慣れていてやりやすいです。新入生が入ってきてくれてすごく上手な子とかもいるし、経験がある子たちもいるから人数が増えてさらに良い雰囲気になってきていると思います。
――今年のチームの強みは
試合経験があるメンバーが多く、試合慣れしていることが一つ強みなのかなと思います。あとは新チームになってからラントレも結構やっているので走れるチームになってきていると思います。
――逆に弱点は
毎年人数が少ない中でやってきているので、その分一人一人の負担が大きくてケガ人が何人かいることが不安要素です。その子達たちも復帰してくれると思うので大丈夫だと思います。
――今年の注目選手は
DFは、3枚目で私の同期の浦野と、あとは新2年生の山野(紗由、スポ2=北海道・釧路江南)と杉浦(亜優、スポ2=愛知・名経大市邨)が結構頑張ってくれていて、あとキーパーの川村が戻ってきたので、大きいキーパーなのでこの4人が強みなのかなと思います。OFの注目選手は、新1年生ポストの石坂美紀で、高校も強いところから来ていて動きもよく、チームにも馴染んでいけるかなというのがあります。
――主将になってからの心境の変化は
去年も副将をやっていて、特別変化があったわけではないですが、去年はとにかく引っ張っていこうと思っていましたが、今年は目標を達成するには厳しく言わなきゃいけない部分があります。自分もあまり言いたくないけれど、やっぱり勝つためには厳しくしなければいけない。いやだなと思いながら怒っています(笑)。
――来シーズンの意気込みをお願いします
去年1年間で自分たちが立てた目標を達成できなかったので、今年こそは絶対に達成したいです。とにかくあと1ヶ月でリーグが始まるので、一戦目は去年優勝した東海大学なんですけど、しっかりそこに勝てるようにコンディションを整えて強いチームになっていけるように頑張りたいと思います。