ハンドボール部
2022.11.08
全日本学生選手権 11月3日 愛知・岡崎中央総合体育館
延長戦に及ぶ激闘 宿敵に惜敗し、無念の初戦敗退/1回戦・対関学大
ついに全日本大学選手権(インカレ)が開幕した。早大の初戦の相手は昨年のインカレで逆転負けを喫した関学大。毎年行われる定期戦では3試合連続で引き分けており、早大にとっては負けられない宿敵だ。前半はシーソーゲームとなり、同点で終える。後半、中盤で相手選手の退場を誘うと、早大は流れに乗り4点のリードを奪った。しかし、勝利が見えたかに思われた終盤で早大は得点を重ねられず、同点に追い付かれてしまう。試合は延長戦に及び、両者一歩も譲らない展開に。迎えた延長戦だったが、前半終了間際、早大は攻撃のリズムを作れず、カットインでついに相手に逆転を許してしまった。あと1点が遠いまま、試合終了。延長戦までもつれ込んだ激闘は早大の惜敗に終わり、無念の初戦敗退となった。
「どっちが勝ってもおかしくない試合」と江連織圭主将(スポ4=千葉・昭和学院)が語るように、試合は立ち上がりから鎬を削り合う展開が続いた。開始直後に関学大に2得点を奪われ、不穏な空気が流れたが、「1発目に突っ込んで試合の出だしを迎えられた」と山本桃虹(スポ2=東京・佼成学園女)が振り返るように、山本と山田梨央(スポ1=千葉・昭和学院)の連続得点で早大は攻撃の立て直しを図ることに成功。その後は点を取っても取られる展開が続き、両チーム共に流れを簡単には渡さない。1点ビハインドで迎えた前半残り10秒で山本がカットインを決め、14-14の同点で折り返した。
前半で攻撃の起点を作った山本
後半でも互いに点を取り合う時間帯が続いた。試合が動いたのは開始15分。村上楓副将(スポ3=福岡・明光学園)がカットインで相手の退場を誘うと早大は流れをつかみ、4点のリードを奪った。その後ディフェンスでは江連主将がスーパーセーブを見せ、オフェンスでは浦野詩織(スポ3=愛知・旭丘)が強烈なロングシュートを決めるなど、早大はリードを守る。しかし、勝利への道筋が見えたかに思われた試合時間残り5分、相手ディフェンスがマンツーマンで村上に付き、その動きを封じる。すると、「オフェンスもディフェンスも足が止まってしまい、せっかくのいい流れを無駄にしてしまった」と村上が語るように、早大はミスや退場が続き、守っていた点差が残り2分であっという間になくなってしまった。逆転を許すことは何としてでも避けたい残り30秒、相手シュートを江連主将がなんとか止めたところで、後半が終了。勝利をつかみかけた早大であったが、試合の行方は延長戦までもつれ込んだ。
シュートを決めた村上(写真右)に駆け寄る選手たち
同点で迎えた運命の延長戦。延長戦は前半後半それぞれ5分間で行われた。出だしでインカレ初出場の鶴田文乃(スポ2=山梨・日川)がサイドシュートを決め、幸先の良いスタートを切るが、その後点を取り返されると、互いに得点の好機を作りながらも決め切れない時間帯が続く。しかし、前半終了間際、相手にカットインを決められ、ついに逆転を許してしまう。これにより、後半から一転して、早大が関学大の背中を追う展開に。1点ビハインドで迎えた延長戦後半。早大は江連主将が好セーブを見せ、村上が7mスローを決めるなど、最後まで攻撃の姿勢を崩さなかったが、あと1点が届かなかった。試合終了の笛が鳴ると、結果を飲み込めない早大の選手たちの感情とは裏腹に、会場は相手チームの歓声と喜びの涙に包まれた。
相手のシュートを止め、雄叫びを上げる江連主将
宿敵である関学大と初戦で戦うことを知り、勝利にこだわって練習を続けてきた選手たち。「勝てる試合だったと思うので本当に悔しい」と村上が語るように、両チームともに一歩も譲らない、長時間に及ぶ熱戦が繰り広げられた。また、「延長戦の前に円陣を組み、気持ちを上げましたが、焦りや不安、緊張感などが一人一人の心に少しはあった」と山本が振り返るように、延長戦前の終盤で追い付いた関学大と、勝利を目前にして追い付かれ、延長戦を迎えた早大の心持ちは大きく異なっていた。それでも、前半の立ち上がりでの立て直しやペナルティスローでの得点力、粘り強いディフェンスなど早大らしいプレーが多く見られた激闘であった。
激戦を終え、礼をする早大の選手たち
インカレが最後の公式戦となる4年生に対して、「少しでも多く勝った姿を見せて恩返ししたかった」(山本)後輩の選手たち。「もっと色々できること、できたことがあった」(浦野)と、たくさんの後悔が残ったインカレとなった。今季のチームで行う試合は残すところ早慶戦のみ。笑顔で有終の美を飾ることができるか。そして来年のインカレでは、この悔しさを忘れないよう胸にしまい、また一回り成長して強くなった選手たちの勇姿が見たい。
(記事 野中美結、写真 渡辺詩乃、野中美結)
全日本学生選手権 | ||||
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早大 | 28 | 14-14 12-12 1-2 1-1 |
29 | 関学大 |
GK 江連織圭(スポ4=千葉・昭和学院) LW 青木里奈(スポ3=東京・白梅学園) LB 浦野詩織(スポ3=愛知・旭丘) PV 杉浦亜優(スポ1=愛知・名経大市邨) CB 村上楓(スポ3=福岡・明光学園) RB 山本桃虹(スポ2=東京・佼成学園女) RW 山田梨央(スポ1=千葉・昭和学院) |
コメント
江連織圭主将(スポ4=千葉・昭和学院)
――試合を振り返って感想をお願いします
試合を終えてからナイスゲームだったとたくさんの人に言っていただきましたが、どっちが勝ってもおかしくない試合で勝ちきれなかったことが本当に悔しいです。
――試合中何度もキーピングでチームを支えていましたが、どのような気持ちでゴールを守っていましたか
絶対勝つって思ってずっとプレーしてました。その中でも冷静に、予測しながら相手の先手を取って仕かけていくことを意識していました。
――今回の試合で早稲田らしいプレーを挙げるとすれば
ディフェンスです。点が取れない状況の時も、こっちに波が来ている時も、とにかく粘り強くディフェンスを続けていたところが早稲田らしかったと思います。
――今回の試合で発揮できたことは
これもディフェンスだと思います。試合中、間が広くなっても修正して、フォローの位置を取って連携して守ることができたと思います。
――今年の1年間は主将として歩んだ1年間でしたが、どのような1年間でしたか
周りの人に助けられて、何とかやってこれた1年間でした。同期と後輩に支えてもらったり、コートに立てるプレーヤーの同期がないので男子部の同期から刺激をもらったり、部員が少ないので平日は男子部の1年生とか週末はOGOBの方に練習来ていただいたりしました。関わってくれた方に本当に感謝しています。
――早大ハンド部での4年間の公式戦を振り返っていかがですか
コロナやケガでしっかり試合に出ることができたのは今シーズンが最初で最後でした。勝てないことが多かったけど、それでもみんなとハンドボールができたのは楽しかったです。
村上楓副将(スポ3=福岡・明光学園)
――試合を終えて感想をお願いします
勝ちたかったし、勝てる試合だったと思うので本当に悔しいです。
――試合の終盤、マンツーマンで相手にマークされていましたが、その時に意識していたことは
マンツーマンされた時の対策もやっていたので、心配はしていなかったのですが、オフェンスがあまりうまくいっていない感じだったので、「間広いからもっとスピードつけて突破しにいって」とタイムアウトの時に声をかけました。マンツーマン付かれてからは、自分は本当に何もできなかったので、もどかしかったです。
――マンツーマンに付かれてから早大は7人でオフェンスをしていましたがどのような意図があったのですか
マンツーマンされた時、キーパーを下げて人数を増やし、数的有利の状況を作ってオフェンスしようとしたのですが、うまくやらせて貰えませんでした。
――ここをもっと頑張れたという点はありましたか
個人的には、ディフェンスでもっと守れるシーンがあったのではないかと感じます。あと一歩付いて行ければ守れたかもしれないと思ったシーンがいくつかありました。チームとしては、後半の終盤最大4点差つけた時、オフェンスもディフェンスも足が止まってしまい、せっかくのいい流れを無駄にしてしまったと思いました。有利な状況だからこそ攻める姿勢を持ち続けなければいけなかったのに、逆に相手に流れを渡してしまい、最終的に追いつかれてしまったので、もっと時間を使うとか、サイドまで持って行ってシュートで終わるとか、なにかやれる事があったのではないかと思います。
――今回の試合でのご自身のプレーを振り返っていかがですか
良くも悪くもいつも通りという感じでした。特別良かったわけでもなく悪かったわけでもなかったです。でも、後半カットインで相手を退場させたのは、チームにとっていい流れになったと思うので、大事な所で仕事できたと思いました。あとは、ペナルティースローを確実に決めることができたので良かったです。ただ、さっきも言ったように、ディフェンスはもっとやれたと思うので、今後の課題にして、またレベルアップしていけるように頑張ります。
浦野詩織(スポ3=愛知・旭丘)
――試合を終えて感想をお願いします
まず悔しいです。もっと色々できること、できたことがあったなと感じる試合でした。全員ケガなく終えたことができたことは良かったと思います。
――関学大戦に向けてチームで対策してきたことは
ディフェンスの型を意識しました。とにかく点を取らせず、自分たちの攻めの時間を作ろうとしていました。関東のチームと違って対戦機会が少なく、試合経験が少なかったので、より堅く守るために自分たちで考えてディフェンスを作り上げ、相手の好きにさせないことを意識していました。
――延長戦でのシュートチャンス時に考えていたことは
決めることだけを考えていました。私が個人的にできることは相手を止めること、切り込んで決めることなのでとにかくチャンスを作ることばかり考えていました。
――チーム全体がディフェンスでリードを守る場面が多く見られましたが意識していたことは
両45を自由にさせないことは特に意識しました。スピードが早いので(勢いに)乗られる前に前から止めて、ディフェンスのシステムが崩れないこと、間をつかれないことを意識しました。
――ご自身のプレーを振り返っていかがですか
まだまだ改善点ばかりだなと感じました。特にディフェンスの核としてプレーさせてもらっていたので、そこの安定感はもっとつけたいです。オフェンスもシュート確率を上げたり、選択肢を増やしたりする必要があると感じました。次は私たちの代なのでさらに成長していきたいです。
山本桃虹(スポ2=東京・佼成学園女)
――試合を終えて感想をお願いします
悔しいです。4年生3人のためにも勝ちたかったし、たくさんの人がインカレに向けて関わって応援してくださったので、少しでも多く勝った姿を見せて恩返ししたかったです。
――緊迫した雰囲気の中、山本選手が自らシュートを狙いに行く場面が多く見られましたが、考えていたことは
体を張ったプレーでチームの雰囲気を上げようと考えていました。とにかく突っ込むことをずっとイメージしてました。
――前半、後半、延長戦でのチームの雰囲気はどうでしたか
延長戦や(今回の試合の中で)追いかけるゲーム展開の経験が少なかったり、相手に流れが来たり、前半から延長戦にかけて少し緊張感や不安が漂っている風に私は感じました。延長戦の前に円陣を組み、気持ちを上げましたが、焦りや不安、緊張感などが一人一人の心に少しはあったと思います。
――勝敗の分かれ目はどこだったと思いますか
早稲田3点リード時の5対5になり始めた後半終盤だと思います。4点差に広げていった時に、マンツーをつかれて5対5になったのですが、オフェンスがかみ合いませんでした。そしてそこから、パスのキャッチミスや退場が続いてしまい、流れをつかめませんでした。5対5になることは予測できていたのですが、練習を通して(攻撃の)きっかけとかの詰めが甘かったなって思っています。一人一人の役割とか狙い目がちゃんと共通意識できていなかったのと、勝負強さが相手の方が強かったです。
――ご自身のプレーを振り返っていかがですか
5対5になった時にオフェンスをコントロールする力、自分が全部決めてやるくらいの強い気持ちが足りなかったところに後悔しかないです。あとは「サイドに打たせない」というチームの約束事を徹底できなかったことがダメでした。良いところとしては、1発目に突っ込んで試合の出だしを迎えられた所です。そこは自分の役割として意識していことができたので良かったと思います。