アーチェリー部
2022.10.31
第64回全日本ターゲット選手権 10月22日~23日 東京・夢の島公園アーチェリー場
早大から5名が出場 園田と浦田が日本代表への挑戦権を得る
この日、全日本ターゲット選手権(全日)が開催された。全日は中学生から社会人までカテゴリーを超えて日本中の腕利きが集まる最高峰の大会だ。さらに、2日目の決勝ラウンドに進んだ選手には来月に行われるナショナルチーム選考会への参加資格を与えられる。早大からは男子1名、女子4名の5名が出場。浦田大輔(基理4=東京・早大学院)、園田稚(スポ2=エリートアカデミー)が1日目の予選ラウンドを突破し、11月に行われる来年度のナショナルチーム選考会への出場権を獲得した。
男子から唯一出場した浦田は最初のエンドこそ49点に留まるも、2エンド目から4エンド連続で55点以上をマークし、14位で前半を折り返す。後半も全てのエンドで50点を超える安定した行射で25位に入り、早大男子では2020年大会の棚田歩氏(令3スポ卒)以来となる決勝ラウンド進出を決めた。早慶のエース対決となった飛田和真(慶大3年)との1回戦で敗れて決勝ラウンドを終えたものの、「感覚が良い中で楽しく、重圧もなくアーチェリーができました」と振り返り、自身2度目の全日は充実したものとなった。
狙いを定める浦田
さすがの行射を見せたのは早大女子のエース・園田。最初の1射をXに当てる好スタートを切ると、その後も全ての射で8点以上を射抜き、4位で前半を折り返した。後半ではさらに点数を伸ばし、3位で予選ラウンドをフィニッシュ。「自分らしいアーチェリーをすることができました」と振り返る納得の1日となった。2日目の決勝ラウンドでは1回戦で樽本邑里(エディオン)を6-2で退けると、2回戦では今年のアジア大会日本代表・安久詩乃(堀場製作所)を下した阿部詩野(愛産大3年)と対戦。第1、2エンドを連取され窮地に追い込まれる。しかし、第3エンドを引き分けると、第4、5エンドを取り返し、シュートオフに持ち込んだ。シュートオフでは同じ9点を射ちながらも、中心からの距離で惜しくも及ばなかったが、粘り強い戦いを見せた。
決勝ラウンドで行射する園田
決勝ラウンド進出を逃した3人は明暗が分かれた。女子主将の髙見愛佳(スポ3=エリートアカデミー)は5度目の出場で得点、順位共に自己最高を記録。「本当に私の中でいいイメージがない」という全日で確かな成長を示した。初出場の廣木円華(人3=茨城・水戸二)は「すごく緊張した」という中でも前半終了時は34位につけるなど決勝ラウンド進出まであと一歩まで迫る奮闘を見せた。一方、渋谷樹里(スポ1=エリートアカデミー)は「特に緊張してしまった」という37点に終わった第1エンドが尾を引き、4度目の出場で初めて決勝ラウンド進出を逃した。
射ち慣れた夢の島公園アーチェリー場にて行われた今年の全日。入賞者輩出はならなかったものの、各々が収穫と課題を得ることをできた充実した大会となった。今後は団体戦の定期戦を戦いながら、浦田、園田はナショナルチーム選考会、渋谷はU20 ナショナルチーム選考会というように個人ではそれぞれの戦いに臨むこととなる。それぞれの個人での戦いで得たものを還元し、部全体のレベルアップにつなげたい。
(記事 星野有哉 写真 梶谷里桜)
結果
▽男子
◇予選ラウンド ※上位32名が決勝ラウンドへ進出
浦田 26位 644点
◇決勝ラウンド
1回戦
●浦田0-6飛田(慶大)
◇最終結果
浦田 17位
▽女子
◇予選ラウンド ※上位32名が決勝ラウンドへ進出
園田 3位 665点
廣木 49位 615点
髙見 55位 611点
渋谷 64位 588点
◇決勝ラウンド
1回戦
〇園田6-2樽本(エディオン)
2回戦
●園田5-6阿部(愛産大)
◇最終結果
園田 9位
コメント
髙見愛佳女子主将(スポ3=エリートアカデミー)
――1日目の天候はいかがでしたか
風もなく、晴れてなくて気温も高くなく、アーチェリーをするにはベストコンディションだったと思います。
――自身の射を振り返って
私自身もうちょっとできたなというのが正直な感想です。今までの全日と比べたら今年が一番良かったのですが、練習で点数が良く、(試合に調子を)合わせられた中で臨んだので、もうちょっとできたのにな、攻められたのになという射が多かったです。守りに入ってしまったなというのが正直なところです。
――今回得られた自身の収穫と課題 を教えてください
収穫は緊張した中でも頭の中で冷静に考えられたことです。今までは緊張してしまうと「どうしよう」となってしまって、頭が真っ白になり、何も得られずに終わってしまう試合ばかりでした。今回は「こうしたら当たるんだ、外れるんだ」ということを冷静に判断することができました。反省としては大事なところで決めきれないところです。エンドの最初の一本で弱くなって、焦ってしまい「どうしよう」となってしまい、そこで攻め続けられなかったのが反省だとは思います。
――今まで全日との違いはどのようなものがありますか
私の中では一番マシだったかと思います。本当に私の中で全日にいいイメージがなくて、いつも何もできずに終わることばかりでした。今年は初めて600(点)を超えて、自分の中で少し成長できたかなと感じられるものとなりました。
――全日への苦手意識が少し薄まりましたか
そうですね。ちょっと払拭できたかなと思います。
――早大から5名出場したことについて
女子主将という面から見ると、女子から4人出場できたというのは、今年も変わらず出ることができてよかったと思います。今年は廣木(円華)が初めてだったと思うのですが、そこも同級生として一緒に高め合ってこれたかなと、一番嬉しかったところです。ただ今回出場できたのは経験者として入部してきた者だけで、まだまだ早稲田のレベルの差があったかなと思っているので、大学から始めた子たちがもっともっと上がってこれるように引っ張り上げたいかないとなというのが一番ですね。
――部としてこれから取り組みたいことを教えてください
色々あるのですが、定期戦は人数が少なく、ほとんどみんながメンバーということになるので、個人の点数はもちろん、それを団体として上げていこうという思いがあります。インドアは18メートルなので、みんなにチャンスがあると思うんです。今年はインカレインドアが駒沢であるので、地元ということもありますし、インカレ以上に大学から始めた子たちが点数を射って出場できたらなというのは思っています。その子たちをみんなで引っ張り上げていこうという部の強い意識が必要なのかなと思っています。
――今後への意気込みをお願いします
ここからは一番大事な早慶戦もありますし、再来週には六大学3年生戦も控えているので、そこで点数面でも行動面でも引っ張っていけたらなと思います。
浦田大輔(基理4=東京・早大学院)
――予選ラウンドを振り返って
予選ラウンドは今までの自分の試合記録をなぜか更新できて、とても集中できてよかったです。
――36射、72射共に自身の試合新記録でしたが
全日本の試合は雰囲気が重いというか、周りが集中しているので、それに釣られて集中しないとなというのはありました。また、同的の松田(光太郎、電通大3年)くんは高校時代から一緒にアーチェリーしてきた仲なので、楽しく射てたのも大きいかなと思います。
――初の2日目はいかがでしたか
前回は70位くらいで、今回も通過できるとは思っていなかったので、自分でも驚いています。全日本のボーダーはとても高く、周りの人たちも上手い人たちばかりで、自分では予選で落ちると思っていたので、挑戦者の気持ちで挑むことができました。
――初出場となった昨年との違いは どのようなところにありましたか
昨年はまだ部活を引退していなくて、調子がよくなく、スランプ気味の時期でした。点数も600点くらいちょいでした。今回は引退して体力が落ちた部分はあったのですが、感覚が良い中で楽しく、重圧もなくアーチェリーができました。
――インカレからどのような練習をされていましたか
主に近射を数多くして、インカレの時よりも体力を戻しました。ワールドアーチェリーとかで様々な選手の射型を見て勉強をしました。
――インカレより点数が上がった鍵は体力の向上と射型の見直しということでしょうか
そうですね。体力の向上は大きかったですし、射型をしっかり直したのも大きいです。
――ナショナルチーム選考会への意気込みをお願いします
まだ実感もなく、恐れ多いですが、自分の満足できる射ができるように頑張ります。
廣木円華(人3=茨城・水戸二)
――初の全日となりましたが
まずは高校生の頃から目標にしていたこの大会に出場できたことが嬉しいです。本番では自分の力が発揮できるように最大限の準備をしました。
――具体的にはどのような準備をされましたか
夢の島はすごい風が吹くので、風の中で射つ練習であったりとか、天気を前もって調べて、当日天候が悪くなっても対応できるように準備しました。
――どのような目標を立てて臨みましたか
620点を超えられる人がエントリーできる大会だったので、620点以上、もっと言うと1エンド52点平均で624点という点数を目標にして射ってました。
――射を振り返って
点数的な目標は達成できなかったのですが、目標達成できていたとしても、決勝トーナメントにいける点数が626点だったので、自分の目標を達成しても届かないところだったのかなと思います。初めての全日本大会というので緊張もしたので、緊張の中ではよくやった方というか、自分の力を発揮できたのかなと思います。多少のミスはありながらも、ちゃんとまとめられたんじゃないかなと思います。
――32人に残るのも射程圏内だったと思いますがいかがですか
自分では結果の速報は見ないで射っていて、後からあと少しだったんだよというのを聞いて、来年もし出られたら今度こそは絶対32人以内に入って、次の日のトーナメントに進みたいと思いましたし、また1年頑張れば32人以内に入れるのではないかなという風には思います
――32位以内との距離感について手応えとしてはいかがでしたか
だいたい620点以上あれば32位以内の可能性があって、630点以上であれば絶対にいけるというのが事前知識としてありました。前半終わりで311点だったので、もう一度同じくらい射てばいけるかもしれないというのはありました。
――今回得られた課題を教えてください
すごく緊張したというのがあって、本来の射ち方ができなかったというのがありました。いつもの試合より休憩時間が長くて、後半の1エンド目とその次のエンドのミスが大きくなってしまったので、大きな大会に慣れていないなというのが反省点です。なので、休憩時間でどう過ごすかは考えないといけないですし、立ち上がりの緊張の中でももっと自分をコントロールして、気をつけないといけないところとかポイントを絞って射つようにできればいいなと思いました。
――今後への意気込みをお願いします
今回の全日本大会で目標とした点数が届かなかったので、あと一段階上がるために、試合にたくさん出て、全体的な自分の取れる点数を上げられるようにしたいです。定期戦では早稲田の勝利に貢献できるように常に上位4人に入って、チームを引っ張っていけるような点数を射てるようにこれからも頑張っていきたいと思います。
園田稚(スポ2=エリートアカデミー)
――予選ラウンドを振り返って
大学に入ってからあまり思ったようなアーチェリーができていなくて、悔しいですし、気持ちよくアーチェリーをしたというのがなかったのですが、今回は楽しく、自分らしいアーチェリーをすることができました。予選が3位でナショナルチーム選考会に駒を進めることができたので、自分にとってすごくいい試合になりました。
――3位での通過となりましたが
昨日の(得点)は偶然出たというよりは、安定してスコアを出すことができたので、成長したなと自分でも感じました。
――1回戦を振り返って
昨日のことを活かせたと思う試合でした。(相手に)良い得点を取られても、(自分も)良い調子で射てているからこの調子でいこうと思うことができたので、良い考え方がてきたのかなと思います。
――2回戦を振り返って
最初から決め切ることができなくて、5ポイント取られて危機的な状況になりました。その後のない状況からシュートオフまで持ち込むことができたのですが、最後の最後の決めなければいけない所を決めきれなかったので、そこはこれからの改善点かなと思いました。
――今回の成績を自身ではどのように評価しますか
最初の目標であったナショナルチーム選考会の出場権を得るということは達成できたので、よかったのかなと思います。
――国体から好調続いていますが
今までは高校の時の良かったことばかりを考えていて、今の自分に合った射ち方や考え方をしていませんでした。周りの方からアドバイスを頂いて、改善していったことで今回や国体のような結果が出たので、周りの方に助けられて出た成績だなと思っています。
――弓具の調整はいかがでしたか
弓具変えてから1、2ヶ月経って、自分の中でも慣れてきてすごく良い感じです。変えた当初はあまり馴染めなかったのですが、慣れてからは安定して競技できているので、良かったなと思っています。
――ナショナルチーム選考会への意気込みをお願いします
自分の目標であるパリ五輪への第一歩になるナショナルチームに入ることが今の目標になります。結果がどうであれ、自分の満足できる、後悔のない競技ができればいいなと思います。
渋谷樹里(スポ1=エリートアカデミー)
――大学入学後初の全日となりましたが
自分自身、全日本が4回目だったのですが、今までで一番緊張してしまって、上手く自分をコントロールできなかったというのが率直な感想です。
――緊張した原因はご自身ではどこにあると考えていますか
大学に入ってから正直調子があまり良くなかったのですが、先週あった記録会で久しぶりにほどほどの点数を射つことができて、そこで変に自分に期待をしてしまって、動きが硬くなってしまったのかなというのはあります。
――射を振り返って
最初特に緊張してしまって出だしがすごく悪かったのですが、射っているうちにポイントを絞って射って、当たるエンドもあったにはあったので、再来週にはアンダーの選考会(U20ナショナルチーム選考会)があるので、そこでは最初から良い射ができるように頑張りたいです。
――自己評価で点数をつけるなら
40点くらいですかね。
――その理由は
最初の出だしがあまりにも悪かったというのが全体の点数にも響いてしまったのであまり良くなかったと思います。後半も前半よりは点数を上げられはしたのですが、最後のエンドで意識してしまって良い点数を射てなかったのは反省点です。
――今後への意気込みをお願いします
まずは上手くいかなかったという悪いイメージで終わらせるのではなく、できたこと、できなかったことをしっかり自己分析して、次の試合では良い点数を射てるように練習に取り組んでいきたいと思います。