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ア式蹴球部

2022.07.07

MF植村洋斗 闘いの記録 -『自分らしさ』を求めて-

 今季、早大の『10番』を背負う男はプロ内定を決め、「大学でもっと飛び抜けた存在にならなくては」と将来を見つめていた。前期関東リーグ全11試合に出場し、そのうち10試合はスタメンで出場。出場時間は、チーム最長を記録している。1年生からコンスタントに試合に出続け、大学年代を代表するボランチとして活躍。第36回デンソーカップ、DENSO CUP SOCCER第19回大学日韓(韓日)定期戦でもメンバーに名を連ねた。順風満帆に見えるサッカー人生だが、岐路に立つたび挫折。「突出した武器というものがなくて、なんでもこなせるただの選手だった」。植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)はこの難題と闘い続けた。

 

今季2人目のJリーグ内定者となった植村

 サッカーを始めたのは父の影響。幼い頃から兄と公園でサッカーをしていた。家が近かったこともあり、横浜F・マリノスプライマリー、そしてジュニアユースへ。しかし、ユース昇格への道は閉ざされた。植村は「正直、なんで上がれないんだろうと思った」と当時の心境を振り返る。一方で、自身の中で課題ははっきりしていた。『突出した武器の欠乏』。自分にしかない”色”を手にしていなかったのだ。

 

第36回デンソーカップチャレンジサッカーでは、Uー20全日本選抜としてプレーした植村。得意のボール奪取やドリブルの推進力で攻守においてチームに貢献した

 「高卒でプロになる」という新たな目標を胸に、日本大学藤沢高等学校に入学。進学の決め手は「熱意に惹かれた」と語る恩師・佐藤輝勝監督の存在だ。1年生ながらスタメンとして出場した2017年度全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会(インターハイ)で準優勝し、注目を集めると、2017年度U-16全国ルーキーリーグ交流大会でMVPを獲得。ケガでの離脱を経て、3年時には、桐光学園戦でのアシストでチームを5年ぶり5回目の全国高等学校サッカー選手権出場に導いた。Jリーグチームに練習参加し、目標である”プロサッカー選手”に近づいたように見えたが、一歩及ばず。再び『突出した武器の欠乏』という課題に直面した。「武器が欲しい」。植村は、”自分らしさ”を手に入れるため大学進学を決意する。

DENSO CUP SOCCER第19回大学日韓(韓日)定期戦において、全日本大学選抜に選出された植村。早大から唯一の選出となったが守備で輝きを見せた

 早大への進学とア式蹴球部(ア式)への入部。この決断にも佐藤監督の存在があった。「監督から関東一部の強いチームに、早稲田か明治に行けと言われたので」決め手は監督の一言と笑みをこぼす。早大での1年目は、ついて行くのに必死だったという。学生が主体となってサッカーをし、人間としての成長も大切にするという環境への適応には時間がかかった。「いろいろな壁にぶつかったが、自分の中でプロサッカー選手になるという目標があったので、あくまでそこはブレずにやってこれた」と当時を振り返る。

 「やっぱり武器を見つけるより何でもできる選手に魅力を感じる。それもまた自分らしさなのかなと思う」。2年生の植村はnoteにこうつづった。大学で最も成長した部分として、選手自身で解決する意識とコミュニケーションを挙げる。いっぱい、いっぱいだったと振り返る高校時代の練習参加から大きな成長を遂げ、練習参加で「余裕、自分の良さというのは出せるようになった」のだ。”自分らしさ”を出すという長年の課題についに終止符が打たれた。

順大戦でシュートを放つ植村

 7日、ジュビロ磐田への2024シーズン加入内定が発表された。夢は結実したが、「今のままやっていてはダメだと思います。内定選手としてより一層、ギアをあげて、気を引き締めて、練習中から周りとの違いを見せていかなくてはいけない」と現状に満足することはない。自分に必要なのは、「一番は結果。目に見える結果を取ること」と覚悟を口にする。『自分らしく』。サックスブルーを身にまとい、”JUBILO”の名の示す『歓喜』に包まれる日はもう間近だ。

(記事 水島梨花、写真 水島梨花、前田篤宏)

 

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◆植村洋斗(うえむら・ひろと)

2001(平13)年8月26日生まれ。173センチ。神奈川・日大藤沢出身。スポーツ科学部3年。関東大学リーグで、1部通算41試合出場1得点。

 

奇しくも、植村選手と6月24日に横浜FC内定を発表されたMF小倉陽太選手(スポ3=横浜FCユース)は関東1部通算出場数41、通算得点数1と全く同じ記録です。植村選手は、小倉選手について「タイプは違うけれどポジションは被っています。パリ五輪など先を見据えた時には、絶対ライバルになる相手」「2人で切磋琢磨して早稲田をもっと強くしていかないといけない」と語ってくださいました。同時期に内定を決めた同期として、そしてパリ世代のライバルとして共闘する2人の今後に期待がかかります!

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