漕艇部
2022.04.18
第91回早慶レガッタ 4月17日 東京・隅田川
対校エイト、王者に返り咲く
強い風が吹く隅田川で、伝統の一戦・早慶レガッタが開催された。昨年と同じように規模は縮小して行われたものの、ゴールの際には両校応援部や関係者の歓声があがった。早大女子は最初からリードを保ち続け、32連覇を達成。続く第2エイトは序盤のアクシデントによる差を詰めることができず、敗戦した。最終レースの対校エイトで早大は、速報では同タイムとなるほどの接戦を制した。年に一度の歴史的な戦いで、早慶両校はプライドをかけしのぎを削った。
勝って喜ぶ女子舵手つきクォドルプルのクルー
大学部門のトップバッターは女子舵手つきクォドルプル。31連覇中の早大は「負けてはいけない試合」(勝又真央、スポ4=東京・小松川)というプレッシャーの中でレースに挑んだ。スタートで一気にリードを作った早大。中盤でオールを水面に引っ掛ける場面があったものの、冷静に対処し、更にリードを広げてゴールした。圧倒的な強さを見せた『女王・早稲田」は連覇記録を32に伸ばし、来年につなげた。
ラストスパートをかける第2エイト
続く第2エイトは、早慶ともにクルーの半数以上が2年生という若い構成。また、公式大会のルール改正により早慶戦史上初、男子エイトに女子コックス(仙田早紀、文2=埼玉・浦和一女)が乗ることでも注目されていた。スタートは両校互角。しかし、700mの両国橋手前で早大の船をトラブルが襲う。一度止まって体制を立て直すことを余儀なくされた。その間に一気に差を広げた慶大を追いかけ、再スタートした早大だったが最後まで差を縮めることはできず、敗戦した。
ゴールして喜ぶ対校エイトクルー
最終レースは花形の対校エイト。昨年は4分の1艇身差で惜敗した。今回のクルー9人中7人がこの敗北を知っているため、危機感をもって練習に取り組んでいた。迎えた本番。「スタートからとにかく一歩前に出る」(中島湧心主将、スポ4=富山・八尾)というプラン通り、スタートダッシュを決めた早大は、最初のカーブ・両国橋付近で一気に頭を取り、波の高い中盤で徐々に慶大を引き離す。その差は一時1艇身以上に。しかし、ラスト700mの吾妻橋付近から慶大がラストスパートをかけ、猛追を見せる。ゴール直前の桜橋を通過する頃には、差は半艇身以下まで縮まっていた。「全員焦っていました」(濵野圭吾、商4=埼玉・春日部)と慌てて早大もペースを上げ、半艇身差で逃げ切った。昨年涙をのんだ早大は、悲願を果たし隅田川に『紺碧の空』を響かせた。
完全優勝とはならなかったものの、対校エイトは王者に返り咲き、女子は32連覇を達成した。この勢いを1か月後の全日本選手権、秋の全日本大学選手権につなげたい。
(記事 冷水睦実、写真 安齋健、宮島真白、宮下幸、阿部健、 永留琴子、横山勝興)
結果
対校エイト
C 片倉 潤樹(法3=早稲田佐賀)
S 中島 湧心(スポ4=富山・八尾)
7 越智 竣也(スポ4=愛媛・今治西)
6 阿部 光治(スポ4=愛知・猿投農林)
5 濵野 圭吾(商4=埼玉・春日部)
4 小林 里駆(スポ4=静岡・浜松西)
3 青木 洋樹(スポ3=東京・成立学園)
2 三浦 武蔵(商4=山梨・吉田)
B 菅原 陸央(政経4=秋田・本荘)
1位
第2エイト
C 仙田 早紀(文2=埼玉・浦和一女)
S 松並 大智(基理2=静岡・沼津東)
7 森長 佑(スポ4=福井・若狭)
6 上路 達也(基理2=東京・世田谷学園)
5 中舛 蒼士(社2=東京・早大学院)
4 榎本 拓海(商2=東京・早大学院)
3 川名 航平(政経4=東京・早大学院)
2 市ヶ谷 成真(スポ4=早稲田佐賀)
B 沢木 優介(スポ2=青森)
2位
女子舵手つきクォドルプル
C 勝又 真央(スポ4=東京・小松川)
S 髙田 涼花(社4=静岡・浜松西)
3 桐原 初菜(文構3=早稲田佐賀)
2 郡 磨璃(スポ3=東京・文京学院大女)
B 茂内 さくら(社4=秋田)
1位
木目田健二監督(平22法卒=東京・早大学院)
――今日の試合を終えて一言
コロナ禍でこのような大会を開催できたことが私の個人的には奇跡的なことだなと思っています。いろんな大会関係者の方に支えていただきながら大会を開催することができて、学生諸君がこの場に立てたということだけでも率直に嬉しいなと思います。本日の結果は結果ということで、好敵手の慶大さんと一緒に夏のインカレに向けて、トップを争うのが早大と慶大という、早慶レガッタの続編を展開していきたいと思います。
――下級生メンバーが中心の第2エイトについて
2年生中心のメンバーでしたので、クルーを組んだ時から選手たちに、君たちは今回成長して、今年の全日本インカレ、来年以降の早慶戦と全日本インカレで大活躍する選手だから、このセカンドエイトでどれだけ成長できるかがかなり重要だという話をしていたのですが、その期待に応えるかたちでものすごいスピードで成長してくれました。今回のこういうミスは総合力の問題だと思っているので、チーム全体として反省して、また来年以降慶大さんに挑むために改善していきたいと思います。
中島湧心主将(スポ4=富山・八尾)
――今日の試合を終えて一言
結果としては何とか対校エイトで接戦を制することができたのですが、この結果に慢心することなく今後の夏に向かって尽力していければと思います。
――昨年と同様に最後までどちらが勝つか分からないレース展開となりましたが、レース中に昨年のことが頭によぎりましたか
私たちのレースの中で、そのことは常に頭にありました。言問橋あたりまでは何とかリードを保つことができたのですが、その後は慶大さんのスパートの勢いがすごくて、僕たちが勝ち切ることができなかった昨年の情景が浮かびました。
――今日のレースプランとそれがどれだけ実現できたかを教えてください
スタートからとにかく一歩前に出て、そこから漕げるポジションのところで一気に差を開いていこうというプランでした。最後に差を詰められはしましたが、そのレースプラン通りにレースを進めることができました。
(記者会見から抜粋。その他のコメントはコメント集として掲載します。)