スケート部
2021.12.26
全日本選手権大会 12月25日 さいたまスーパーアリーナ
あゆしん、全日本デビューで見事表彰台!さいたまスーパーアリーナをあゆしん色に染め上げる/アイスダンスFD
大会3日目、アイスダンスのフリーダンス(FD)が行われた。早大の高浪歩未(国教3=ケイ・インターナショナルスクール東京)・西山真瑚(人通2=東京・目黒日大)組は、終始笑顔で明るくフレッシュ感に満ちた演技を披露。リズムダンス(RD)との合計で148・29点を獲得し全体の3位、初出場にして見事表彰台に上がった。
FDの演技を行う高浪・西山組
FDでは、高浪はフレッシュイエローのワンピース、西山はそれに合わせてリニューアルしたという爽やかな水色の衣装に身を包み『パリのアメリカ人』を演じた。序盤のコレオグラフィックキャラクターステップから、弾ける笑顔でキレのある足さばきを披露し観客の手拍子を誘う。曲の緩急に合わせて手足を大きく使ったメリハリのある動きに、1・83の出来栄え点がついた。2人の距離を一定に保ちつつ息の合ったツイズルでは会場から拍手が起こる。両手を広げた決めポーズの後、スローテンポな曲調にがらりと変化しワンフットステップへ。ぴたりと揃ったフリーレッグの美しさ、そしてエッジを深く使った持ち前のスケーティングの滑らかさが光る。
続くカーブリフトでは、西山はイーグルポジションでリンクを大きく使い、高浪は指先まで神経の行き届いた柔らかくしなやかな動きを見せた。西山のソロのスピンの周りを高浪がくるりと滑ってから、引き寄せられるように近づいてコンビネーションスピンへ。美しいポジションのキャメルスピンと重心のしっかりとしたシットスピンでレベル4判定を受けた。安定感のあるローテーショナルリフトは、回転が加わっても美しいポジションをキープし、ダイナミックで見応えのあるものだった。
リフト後、高浪が着氷した後の流れもスムーズに決まる。再びアップテンポな曲調に戻り、終盤の見せ場であるミッドラインステップへ。豊かな表情でジャッジや観客へのアピールを忘れずに、音を拾いながらぐんぐんとスピードに乗っていく。互いに手を取り合い、引き合うような伸びやかな姿勢のスライディング、ラストのツイズルを経て、笑顔で互いを見つめ合いフィニッシュ。大きなガッツポーズと満面の笑顔に充実感が表れる。ストーリー性のあるプログラムを体いっぱいで表現した2人に惜しみない拍手が贈られた。FDの得点は90・19、RDとの合計は148・29でRDから逆転の3位表彰台を決めた。
3月に結成を発表してから「あゆしん」として大きな注目を集めてきた2人。感染症の影響で思うように練習ができない時期もあったが、RD、FD共に大きなミスなくまとめて練習の成果を発揮した。躍動感いっぱいの笑顔溢れる演技で、鮮烈な印象を残す全日本デビューを果たした。大会前に掲げていた「さいたまスーパーアリーナを自分たちの色に染める」という目標については、「たくさんのファンのみなさんの手拍子だったり、拍手を聞いて、自分たちなりには染められたのかなと思ったので、すごく満足」と振り返った。日本アイスダンス界の未来を担うあゆしんカップルは、結成時からの目標である2026年ミラノ五輪に向けて最高のスタートを切った。
(記事 中島美穂、写真 及川知世)
銅メダルを手にする高浪・西山組
結果
▽アイスダンス
高浪・西山組
FD 3位 90・19点
総合 3位 148・29点
コメント
高浪歩未(国教3=ケイ・インターナショナルスクール東京)・西山真瑚(人通2=東京・目黒日大)
――FDを振り返っての感想をお願いします
高浪 まず私は先シーズンパートナーがいなくて1年のブランクがあったので、真瑚くんに全日本の舞台まで連れてきてもらったことを感謝していて、ありがとうございますという気持ちです。また、あゆしんとして国内選手権が初で、シニアとしても国内デビュー戦だったこともあって、RDとFDともとりあえず楽しんで、いつも通り練習してきたことをやって結果がついてきたらな、と思っていたので、それが今日のFDで、とても楽しく演技ができて良かったです。
西山 まずはこのコロナ禍で、このように全日本選手権を開催してくださったことに、関係各所の方に本当に感謝したいなという気持ちが1番にあります。そして高浪・西山組として国内、シニア大会でRD、FD共に満足のいく演技ができてとてもうれしく思っています。
――9月のカナダでの大会から衣装が変わっていますが、その背景などがあれば教えてください
西山 変わったのが僕なのですが、カナダのコーチたちとも色々相談をしながら、歩未ちゃんのこの衣装がすごく綺麗な衣装なので、それにちゃんとマッチするような衣装にしようか、というので、色々、僕のコーチでもあるジョーイ・ラッセルさんという方にアイデアを頂きながら衣装をリニューアルしました。
――FDはミュージカル曲ということで、かなり観客も盛り上がって、終始手拍子もありましたが、そのあたりいかがでしたか
高浪 アメリカに振り付けに行っている時に、2人で一緒に「パリのアメリカ人」のミュージカルを見て、こういう主人公がいるから、こういうところはこういう風に演技できたらなと2人で話し合って、それを振り付けしてもらってから陸上とかでも一緒に鏡を見ながら、頑張ってきたので、そこが今日も出せたかなと思っています。
西山 今シーズン初めて本当にたくさんのお客さんの前で演技をする機会だったので、この全日本という大きい舞台で、たくさんのお客さんの前で、どういう評価というか、ファンの方にどのように映るのかなと思っていたのですが、みなさんがあたたかく、手拍子や拍手をしてくださったので、すごく今まで頑張って練習してきてよかったなと思ったのと、この曲を選んでよかったなという風に思っています。
――全日本の前にインタビューさせていただいた際に、目標として「さいたまスーパーアリーナをあゆしん色に染めたい」、とおっしゃっていましたが、お二人にとって初めての全日本はどのようなものになりましたか
高浪 こんなに大きいさいたまスーパーアリーナという会場で滑れるということはなかなか無いと思って一昨日リズムダンスに臨んだのですが、やはり大きな会場で今日もまたたくさんのお客さんがいらっしゃって、そこで自分たちなりに楽しく、フリーダンスではミュージカルで、リズムダンスの方ではアリアナとアップテンポな曲で会場を盛り上げられたなと思っています。
西山 この試合の前に自分たちが目標としていた「さいたまスーパーアリーナを自分たちの色に染める」ということは今回RD、FD通して演技をして、たくさんのファンのみなさんの手拍子だったり、拍手を聞いて、自分たちなりには染められたのかなと思ったので、すごく満足しています。
※以下囲み取材より
――表彰台が決まりましたが、それについての感想をお願いします
高浪 今回全日本に臨む上で、まずは自分たちの練習してきたことを出すことを大前提としていて、そこで結果とか順位がついてきたらなと思っていたので、とりあえず表彰台が決まったことはとてもうれしく思っています。
西山 同じく表彰台が決まってよかったなと思っています。