ハンドボール部
2021.11.07
全日本学生選手権 11月6日 山梨県甲州市塩山体育館
まさかの大苦戦 8点差をひっくり返す大逆転勝利!/1回戦・対東学大戦
2年ぶりの全日本学生選手権(インカレ)が開幕した。この1年の集大成であるインカレ、初戦の相手は東海地区の強豪校である東学大。試合序盤から相手の猛攻を受け、4点を連取されてしまう。東学大が屈強なフィジカルで突破し得点を積み重ねるのに対し、早大はなかなかセットオフェンスが決まらない。これにより逆速攻からのゴールを許し、前半を5点ビハインドで終える。後半が始まると早大はディフェンスシステムを0-6ディフェンスから1-5ディフェンスに変更し、運動量の向上を図る。しかし、オフェンスでのミスから逆速攻を許し最大8点差まで広げられる。ここで終われない早大は4年生を中心に積極的なディフェンスから相手のミスを誘い、LW木村百花(スポ1=東京・白梅学園)のサイドシュートを含む5連続得点で追い上げ、LB浦野詩織(スポ2=愛知・旭丘)の3連続得点で逆転。死力を尽くした熱戦は最終スコア28―27で早大は劇的な逆転勝利を収めた。
早大にとって予想外の展開で試合は進んでいった。東学大はインカレに合わせて背番号を変えてくるという奇策を講じ、試合開始5分で早大は4点を先取される。追いかける早大は浦野のロングシュートやRW青木里奈(スポ2=東京・白梅学園)のサイドシュートで応戦するが、東学大フローターのカットインに苦戦し、点差が縮まらない。得点が欲しい早大は阿部史歩(スポ2=岩手・不来方)や山本桃虹(スポ1=東京・佼成学園女)を使い、戦術に幅を持たせる。コートを広く使い、速いパス回しで打開策を見い出そうとするが、肝心なシュートの精度を欠き、得点を奪うことができない。東学大の多彩な攻撃パターンに翻弄され、相手の勢いを跳ね返すことができず、チームとして苦しい時間が続く。終盤に早大はシュートミスが続き、持ち味であるディフェンスからの速攻という展開をつくりだせず、11-16で前半を終えた。
サイドで得点を量産した青木
何としても東学大のオフェンスを止めたい早大は、PV紅林詩乃主将(スポ4=東京・佼成学園女)をトップに置く1-5ディフェンスに切り換える。序盤は豊富な運動量で相手のミスを誘いオフェンスにつなげるが、シュートが入らず得点することができない。徐々に東学大が早大の立体的なディフェンスに順応していき、4連続得点で早大を突き放す。早大ベンチはタイムアウトを要求し、プレーの修正を図る。「ディフェンスで守らないといくら点を取っても縮まらない」(紅林)という声掛けのもとディフェンスからリズムを作り、紅林主将のこの日初得点となるポストシュートをきっかけに連続得点で追い上げる。東学大フローターのロングシュートで1点を失うが、絶好調の青木が速攻にサイドシュートと得点を積み重ね、後半19分過ぎにRB阿部美幸(スポ4=東京・佼成学園女)の速攻でついに同点に追いつく。一進一退の攻防の末、GK川村夏希(スポ2=東京・佼成学園女)の好セーブで一気に流れを引き寄せ、紅林主将の気迫のこもったプレーが相手選手の反則を誘い、ペナルティースローを獲得。このチャンスを任されたのはチーム最多の7得点を記録した浦野。チーム全員からの声援を背に受け放たれたボールは、豪快に相手ゴールに突き刺さり、後半26分ついに逆転。追い上げムードの中、紅林主将のポストシュートで連続得点し、勝利を呼び寄せる。最後には東学大が意地を見せ、追い上げられる展開となるが、2失点で切り抜け試合終了。チーム一丸となって望んだ2年ぶりのインカレは劇的な逆転で初戦突破となった。
チームメイトと喜びを分かち合う紅林主将
大逆転勝利で初戦突破となった早大。「絶対に気持ちを切らさないことは意識していて、試合が終わったときにどれだけ疲れていても倒れたとしてもいいので、今出せるものを出し切ろう」と浦野が振り返るように、チーム一丸となって最後まで死力を尽くした今回の試合。次戦の相手は早関定期戦も行う関学大。前々回のインカレでもベスト8をかけて戦った因縁の相手である。「今日の反省を生かして明日は余裕を持って楽しめる試合をして、もう一度勝ってベスト8へ行けるように勝ち切りたい」と紅林主将は意気込んだ。劇的な逆転勝利の勢いのまま勝ち進んでいきたい。
(記事 小澤慶大、写真 杉原優人)
全日本学生選手権 | ||||
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早大 | 28 | 11-16 17-11 |
27 | 東学大 |
GK 川村夏希(スポ2=東京・佼成学園女) LW 木村百花(スポ1=東京・白梅学園) LB 浦野詩織(スポ2=愛知・旭丘) PV 紅林詩乃(スポ4=東京・佼成学園女) CB 村上楓(スポ2=福岡・明光学園) RB 阿部美幸(スポ4=東京・佼成学園女) RW 青木里奈(スポ2=東京・白梅学園) |
コメント
PV紅林詩乃主将(スポ4=東京・佼成学園女)
――率直な試合の感想をお願いします
一応インカレで1勝ということなので、展開も落ちつかなかったですが、勝ててよかったっていう感じです!
――展開は予想外だったと思いますが、どの辺りが予想と違いましたか
まず、一番初めの予想外が背番号が全員違くて、この番号とこの番号に強く当たろうと言っていたんですが、その番号の人が全然わからなくて、誰に当たればいいかわからないという話になって、とりあえず分からないので試合中に見ながらこの人に当たろうとしてたんですが、それになかなか対応しきれなくて前に行かなきゃいけないのに当たれなかったり、関東リーグだと左利きのRBなんですが、右利きのRBだったので当たり方も全然違くて、そこの上からのロングシュートに関しては対応しきれなかったです。
――最大8点差がついた時は主将としてどのような声掛けをしましたか
点差が離れていく度にとりあえずディフェンスで守らないといくら点を取っても縮まらないとずっと言っていたので、ディフェンスの時に運動量上げて守ろうと言っていて、でもやっぱり自分が落ち込めば落ち込むほどみんなも落ち込んでいくと思うので、できるだけ「追いつく!追いつく!」と言って、みんなにプラスの声掛けを60分間通しても点差が離れた瞬間にも意識していたかなと思います。
――次戦の関学大戦へ向けて意気込みをお願いします
結局、一年の時(2018年)と同じような流れで関学大で、でも早関戦もできなくて自分たちにとってほぼ初めましての相手なので、今日の反省を生かして明日は余裕を持って楽しめる試合をして、もう一度勝ってベスト8へ行けるように勝ち切りたいなと思います。
RW青木里奈(スポ2=東京・白梅学園)
――率直な試合の感想をお願いします
勝ててよかったです!本当に。
――青木選手が得点源となりましたが、試合を通してどこがよかったですか
分析の時にこのGKは上が苦手と分かったので、一発目思い切り遠目上狙って、入ってからは見たら先動いてたりして、撃ちやすかったのでよかったです。
――点差が離れていく度に落ち込む部分もあったと思いますが、自分の中でどうやって切り替えていましたか
誰かが調子悪い時は誰かがカバーすればいいと言われていたので、そこで自分は今日調子のよかった方なので、カバーしようと思ってずっと気持ちを作っていました。
――次戦の関学大戦へ向けて意気込みをお願いします
ベスト8目指します!
LB浦野詩織(スポ2=愛知・旭丘)
――試合を終えて今の率直な感想をお聞かせください
ほっとしたということと、ふわふわしている感じがあります。
――劇的な逆転勝利を果たした要因はありますか
絶対に気持ちを切らさないことは意識していて、試合が終わったときにどれだけ疲れていても倒れたとしてもいいので、今出せるものを出し切ろうと思っていました。
――後半からディフェンスシステムの変更がありましたが、どうですか
1-5ディフェンスに換えるタイミングは運動量を上げたいときであり、0-6ディフェンスのときには、相手に強く当たることができていなかったため、運動量を換えて守ろうと意識していました。
――次の関学大戦に向けての意気込みをお願いします
今日はずっとハラハラしていた展開であったので、明日は落ち着いて。今日の後半のように最初からプレーしていきたいです。