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野球部

2021.10.31

東京六大学秋季リーグ戦 10月31日 神宮球場

頂上決戦第2戦は引き分けで『奇跡』の逆転優勝ならず 『強い早稲田を取り戻す』戦いは来季へ続く/慶大2回戦詳報

TEAM
慶 大
早 大
(早)徳山、西垣―岩本
◇(二塁打)岩本2、福本

 皆の希望を乗せた飛球が、慶大二塁手・古川智也(3年)のグローブに収まる。その瞬間、『奇跡』の逆転優勝の夢は無情にもついえた。逆転での東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)優勝に向けて、勝利が絶対条件の早大は、初回に岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)が走者一掃の3点適時打を放ち、試合の主導権を握る。先発・徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)は、力強い直球を中心に慶大打線に得点を許さない。しかし、5回に1点を失うと、7回には守備のミスも絡み、同点に追いつかれる。勝ち越しを狙う早大は、8回には2死一、三塁、9回には2死二塁の好機をつくるも、快音は響かず。東京六大学リーグ単独最多47回目の優勝は、来年以降に持ち越されることとなった。

 絶対に負けられない一戦は、初回から大きな山場を迎えた。徳山は、連打と盗塁でいきなり無死二、三塁のピンチを招く。しかし、エースは持ち味の粘り強さを発揮する。3番・下山悠介(3年)を左飛に打ち取ると、続く正木智也(4年)、廣瀬隆太(2年)にも安打を許さず、初回を無失点に切り抜けた。するとその裏、打線が二死からつながりを見せる。二つの四死球と安打で満塁のチャンスをつくると、打席には6番・岩本副将。2球目のチェンジアップを捉えた打球は、右中間を破る走者一掃3点適時打となり、いきなり3点を先制した。


先制の3点適時二塁打を放つ岩本

 先発・徳山は2回以降、走者を出しながらもストライク先行の投球を見せ、慶大打線に得点を与えない。5回には、2死二、三塁から2番・渡部遼人(4年)の遊撃手への内野安打で1点を失うも、2点リードで試合の後半を迎える。

 しかし迎えた7回、好投を続けていた徳山が乱れる。二死走者無しから古川に中前打を許すと、代打・若林将平(4年)にも四球を与え、迎えるは前の打席で適時打を放った渡部遼。6球目の変化球を捉えた打球は右前適時打となり、1点を失う。さらに、本塁タッチアウトを狙った右翼手・蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)の送球が逸れ、慶大ベンチに入ってしまう。これで慶大に安全進塁権が与えられると、一塁走者・若林の生還が認められ、同点に追いつかれた。引き分けすらも許されない早大にとっては、痛恨の1点となった。


8回3失点の力投を見せた徳山

 一方の打線は、慶大救援陣の前に5回から3イニング連続三者凡退に抑えられるなど、初回以降沈黙が続いた。その中で終盤の8回、千載一遇の好機が訪れる。先頭の鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)が出塁すると、2死後、2番・福本翔(社4=東京・早実)が左前打を放ち、一、二塁の好機をつくる。打席には、昨秋の劇的弾が今なお記憶に新しい蛭間。昨秋の再来が期待されたが、慶大守護神・橋本達弥(3年)の前に、空振り三振。決定機を逃した。


8回、好機で三振に倒れ唇をかむ蛭間

 9回表のマウンドには、前日119球の粘投を見せた西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳学園)を送る。西垣は1死三塁とされるも、連続三振で切り抜け、早大に流れを呼び込んだ。そして迎えた最後の攻撃、先頭打者は今季躍進の原動力となった今井脩斗(スポ4=埼玉・早大本庄)。6球目を振り抜いた打球は、三遊間を破るかと思われたが、慶大遊撃手・朝日晴人(3年)がダイビングキャッチ。相手好守に阻まれ、貴重な走者を出塁させることができない。丸山壮史主将(スポ4=広島・広陵)も三振に倒れ、絶体絶命の状況を迎える。この場面で6番・岩本が、バットを折りながらも三塁線を破る二塁打を放ち、一打サヨナラの場面をつくる。『まだ試合は終わっていない』。この日一番の盛り上がりとなる早大ベンチとスタンド。打席には代打・小野元気(人4=千葉・芝浦工大柏)。しかし、願いはかなわず、小野は二飛に倒れる。早大ナインは、マウンドにできた歓喜の輪を見つめるしかなかった。

 『強い早稲田を取り戻す』。この言葉のもとに、現体制は幕を開けた。そして、掲げたチームスローガンは、早大野球部の精神そのものである『一球入魂』。小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)が「十字架」と語るものを背負ったチームは、苦難の連続であった。連覇を狙った春季リーグ戦は、まさかの5位。徳山、西垣の『Wエース』の状態は上がらず、打線も好機での一本を欠いた。逆襲を期した夏、小宮山監督が出した指令は、「自分の人生に於(お)いて、最も忘れられない夏にせよ」。猛練習のかいもあり、夏季オープン戦では「後半の強さ」(丸山主将)を発揮し、順調に勝利を重ねていった。

 自信を胸に臨んだ今季、開幕カードの立大戦でまさかの連敗。続く東大には連勝するも、法大戦は痛恨の2試合連続の引き分け。この時点で優勝は、絶望的となった。しかし、早大はここからはい上がる。明大1回戦では、9回2死から2点差をひっくり返しての大逆転勝利。『一球も無駄にせずに、次の打者に何としてもつなげる』。その思いが、選手たちからはひしひしと伝わってきた。続く明大2回戦、慶大1回戦を連勝。2回戦で勝利を収めれば、逆転優勝という状況に持ち込んだ。そしてこの日も、どんな状況であっても誰一人諦めることなく、目の前の一投一打に全力を尽くす。その姿はまさに、『一球入魂』を体現するものであった。一方で、優勝を逃したという事実は変わらない。この日の悔しさを晴らすために――。『強い早稲田を取り戻す』ための戦いは、まだ道半ばだ。


試合後、応援部やベンチを外れた部員らとともに写真を撮るナイン。王者・慶大に対しあと一歩のところまで迫った

(記事 杉﨑智哉、写真 山崎航平)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
1 (三) 中川卓也 4 0 0 .333 中飛   一ゴ   二ゴ     二ゴ  
2 (左) 福本翔 4 2 0 .400 右飛   左2     左飛   左安  
3 (右) 蛭間拓哉 3 0 0 .220 四球   中飛     遊ゴ   空三  
4 (一) 今井脩斗 4 1 0 .471 左安   空三     空三     遊直
5 (二) 丸山壮史 3 1 0 .237 死球     中安     見三   空三
6 (捕) 岩本久重 4 2 3 .220 右2     空三     一邪   左2
  西田燎太 0 0 0 .000                  
7 (遊) 熊田任洋 3 0 0 .114   遊ゴ   遊飛     投ゴ    
  小野元気 1 0 0 .000                 二飛
8 (中) 鈴木萌斗 3 1 0 .220   三飛     空三     中安  
9 (投) 徳山壮磨 2 0 0 .273   二飛     遊飛        
  小西優喜 1 0 0 .000               空三  
  西垣雅矢 0 0 0 .308                  
早大投手成績
名前
徳山壮磨 6 1 1 8 9 3 4 3 2 3.51
西垣雅矢 7 3 1 1 1 0 2 0 0 1.02
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位   慶 大 早 大 明 大 立 大 法 大 東 大 勝ち点 勝率
慶 大 ●3-5
△3-3
△4-4
△2-2
○8-5
△2-2
○11-2
△0-0
○15-1
○4-1
6.5 .800
早 大 ○5-3
△3-3
○8-5
○3-0
●0-4
●2-5
△0-0
△0-0
○23-1
○19-0
6.5 .714
明 大 △4-4
△2-2
●5-8
●0-3
○2-1
○5-4
△4-4
△6-6
○9-0
○22-0
.667
立 大 ●5-8
△2-2
○4-0
○5-2
●1-2
●4-5
○8-3
○4-1
○15-6
●4-7
5.5 .556
法 大 ●2-11
△0-0
△0-0
△0-0
△4-4
△6-6
●3-8
●1-4
○11-1
△0-0
.250
東 大 ●1-15
●1-4
●1-23
●0-19
●0-9
●0-22
●6-15
○7-4
●1-11
△0-0
1.5 .111
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※選手のコメントは後日別記事にて掲載いたします。