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2021.10.27

【連載】秋季早慶戦直前特集『乾坤一擲』第7回 今井脩斗

 今季、今井脩斗(スポ4=埼玉・早大本庄)のバットから快音が止まらない。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)開幕時点で通算2安打だったが、今季は打率5割7分7厘、3本塁打、14打点と打撃3部門すべてでリーグトップ。飛躍のシーズンとなった。三冠王への期待も高まるが、一番に思うのはチームの勝利だ。逆転優勝に向けた早慶戦に向けての意気込みを伺った。

※この取材は10月20日にオンラインで行われたものです。

「ここまできて、(自分が)決めない訳がない」


笑顔で取材に答える今井

――ここまでのチームの戦いをどのように評価しますか

 法政戦で引き分けてしまったのは、自分たち打線がピッチャーの援護をできなかったというのがありました。打撃が課題でしたが、それをなんとか明治戦では、なんとか要所で一本出たのは、一つステップアップしたかなと感じています。

――ここまでの打撃成績を事前アンケートでは「自分でもよく分からない」と書かれていましたが、なぜこのように書かれたのでしょうか

 バッティングは水物とあるように、色々な練習の成果は出てくれたなという感じなので、どこをどうしたからこうなったというのがいまいち自分でも分からなくて、普通にやるべきことを打席の中でしっかり出せた結果だと思っています。

――印象に残っている打席はありますか

 やっぱりそれは明治との1回戦(〇8―5)の最終回、9回表のあの打席(1点ビハインドの2死一、二塁から逆転の右越え2点二塁打)ですね。

――占部晃太朗新人監督(教4=早稲田佐賀)との練習が生きた場面でしたか

 そうですね、もう感謝しかないですね。日頃から投げてもらった練習の成果だと思うので。

――ここまで打点もリーグトップということで、以前お話されていた「打撃で試合を決定づける」ことができていますが、その点についてはいかがですか

 ここまではできているかもしれないですが、早慶戦がまだ残っています。そこで結果が出せなければ話にならないので、そこ(で結果)を出してこそとは思っています。

――明大戦では4番になりましたが、決まったのはいつでしたか

 2日か3日くらい前ですかね。

――どなたから言われましたか

 自分が初めて聞いたのは、占部からでした。

――打順が4番に変わって意識したことはありましたか

 これといって特に変えることは全くなかったですね。ただ打順が、数字が変わっただけって感覚なので。

――打席に立って感じた違いはありましたか

 個人的にはあまり、何も差は感じなかったですね。

――明大1回戦を総括していただけますか

 9回2死まで負けていましたが、それでもチームの雰囲気はまだ終わらないぞとか、前向きな気持ちとか、みんなでつなぐぞっていう気持ちはすごくあったなとベンチで感じていました。それで9回2死で自分に回してくれたというチャンスだったので、ここまできて、(自分が)決めない訳がないというか。自信を持って、ここまでつないでくれたチャンスですし、絶対死に物狂いで決めてやろうって感じで打席に入りました。

――2打席連続のホームランをありましたが、手応えはいかがでしたか

 自分が人生で2打席連続というのは初めてだったので、2打席目のフライが上がった時に、え?もしかしてホームラン?みたいな(笑)、感じだったので、入った時はもうびっくりしましたね、こんなことあるんだって思いながら。

――1本目も2本目も自信を持って打てましたか

 しっかり相手の失投を逃すことなく、打てたなと思っています。

――逆転の適時打を打った後はどのような心境でしたか

 ベンチとかアルプスのみんなとかがすごく大喜びしていて。自分が一番印象に残っているのは、三塁コーチャーの占部がフットガードを取りに来るときに泣いていて、それを見て打てて良かったなというふうに思いましたね。

――やはり特別な思いはありましたか

 9回2死で2点差で、負けている状況でランナーなしというすごいビハインドの状態で。球場にいた大半の人が「ああもう早稲田負けたな」みたいに思われていたと思うのですが、その中でもみんな諦めないで、なんとかなんとかっていう前向きな雰囲気があった中で出たので、自分も打った直後二塁ベースからベンチを見た時は最高の景色でしたね、みんなが喜んでいる景色というのは。

――ホームランを打った時とも異なるものだったのですか

 ホームランはビハインドの状況だったので、打ってこれでチームに勢いついてくれればいいなという感じで回っていたのですが、逆転した瞬間はみんなのたまりたまったものが爆発した瞬間だったので、その時はまた一味違った喜びがありました。</p

「気持ちの面が全く春とは違う」


明大1回戦9回に逆転打を放った今井(右)と抱き合う占部

――積極性がアピールポイントの一方で、追い込まれてからもヒットを打てている要因はありますか

 マイナスなことを打席の中で一切考えていなくて、ここまできて三振してしまってもそれは相手が上なだけであるから、それなら自分のスイングを貫こうというのは意識しています。あとはあの状況で打席に立てることを楽しんだという感覚はありました。

――これまでのシーズンと今シーズンで変わったところはありますか

 ラストシーズンというのが一番大きいかなと思っていて、自分たちは結果がどうであれこれが終わったら引退ですし、自分たちの代で始まった時に、何としても優勝して日本一になるっていうのを掲げていたので、それに挑戦できる最終のチャンスなので、気持ちの面が全く春とは違うなという感じですね。

――状態や技術面で変わったところはありますか

 自分の体感としては、心理的な要素がぶれなくなったから成績が安定してきたかなと思うので、大きく技術面とか体のパフォーマンスが変わったかと言われると、あまり。今まで通りかなという感じです。

――逆にこれまでは打席の中でネガティブになってしまうことがあったのですか

 打席結果や打ち損じをすると、「今の球仕留めきれなかった」とかいろいろ考えてしまったのですが、「自分のスイングをしていれば打てるっしょ」という割り切りというか。ポジティブに楽しむというのを掲げているので、そういうメンタルになってからは、過去のことは打席の中で振り返らずに、次、次みたいな感じで割り切りができているので、それでフレッシュな気持ちでスイングが新たにできているかなと思っています。

「野球をやっている以上は自分の成績よりもチームの勝ちが最優先」


東大1回戦で3ランを放つ今井。三冠王は目の前だ

――早大での野球人生を振り返っていかがでしたか

 けががいろいろと多かったので、自分的には、色々けがしたなっていうけがのイメージしかないですね。ひたすらリハビリして、何とか野球に復帰できるようにみたいな、マイナスをゼロにする作業をいっぱいしていたなって感じます(笑)。

――その中で成長したと感じた部分はありますか

 練習できない期間に、自分のことを、調子とか感覚とかを見つめなおすことの重要さはすごく実感したので、何で自分が好調不調なのかとか、何で今これができないのだろうっていうのを受け止めて考える姿勢というか習慣はつきました。

――この点が今年になってから活きましたか

 そうですね、そういうのを経験したことで、自分のメンタルがなんでぶれるのだろうとか考える時間がすごく多くあって、そういうのを見つめなおしたりして、自分の中でかみ砕いていったりしていったら、ほとんど解消してマイナスの要素が自分の中でなくなっていったのが大きいかなと思います。

――開幕戦で、高校時代もチームメイトだった山下拓馬(法4=埼玉・早大本庄)選手が戦線離脱してしまいました

 3年生の時から抑えとか中継ぎとか任されて、主戦級で活躍していたので、それを欠いたのは自分だけでなくチームとしても痛いことだと思います。それを何とか2年生のピッチャー陣がカバーしてくれているので、打者陣も山下がいなくてもたくさん点が取れるのがベストなので、1点でも多く取れるようカバーしてやるという気持ちになっています。

――早慶戦に向けてのチームの雰囲気はいかがですか

 練習から早慶戦を意識したプレーというか、早慶戦を考えながらの練習がみんなできていると思うので、そういった面はすごいいいかなと思います。

――明大戦をきっかけに状態は上向いていますか

 ビハインドでの逆転の試合を経験したので、実際の試合で追う展開になったとしても、経験したことによって何とか逆転できるという気持ちの面での安定は絶対にすると思うので、その経験はすごく大きかったなと思います。

――現在、打撃3部門でリーグトップと三冠王もかかっています

 個人的にはあまり意識していなくて、ここまで何も気にしてないからこそ出た結果かなと思うので、ここで下手に早慶戦で打席(数)がとか打率がどうとか考えなくていいかなと思っています。それで最終的にもしタイトルが取れるってなったらそれはそれで嬉しいことですが、野球をやっている以上は自分の成績よりもチームの勝ちが最優先だと思っているので、絶対に慶應に負けられないという気持ちで打席に臨んでいこうと思います。

――早慶戦でも4番を打ちたいという思いはありますか

 4番は大学に入った時からの目標であったので、それでかつ早慶戦で、となると自分の理想ではあるので、その姿というのは、何としても打ちたいというのはありますね。

――早慶戦はどのような舞台ですか

 自分が小さい頃から早稲田を知るきっかけになったのが早慶戦です。憧れた舞台なので、そこで自分が実際に神宮でプレーするのは言葉に表せないくらいありがたいことだと思います。その舞台をかみしめながら、楽しみながら、臨みたいなと思っています。

――早慶戦への意気込みをお願いします

 自分たちのやることをしっかり全員が出し切れば、負けることはないと思っているので、自分たちの力を信じつつ、サポートしてくれる仲間の存在に感謝して、試合に出させてもらっている以上は、一球一球魂込めてプレーできたらと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋優輔)

◆今井脩斗(いまい・しゅうと)

1999(平11)年5月9日生まれ。178センチ、90キロ。埼玉・早大本庄高出身。スポーツ科学部4年。内野手。右投右打。事前アンケートで多くの選手が1日だけ部員と入れ替われるならという質問に、今井選手の名前を挙げていたことに「正直に嬉しい」と話してくれました。早慶戦でも、チームメイトも羨むほどのパワーが勝利を手繰り寄せてくれるでしょう!

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