ハンドボール部
2021.10.03
関東学生秋季リーグ 10月2日 神奈川・桐蔭横浜大学体育館
内容に課題を残したが、日女体大から今季初白星を奪取
上位チームとの対戦を終え、勝ち点を獲得できず背水の陣が続く早大にとって転換点にしたい日女体大との対戦。前半は相手フローター陣のミドルシュートに苦しみ点を取りあう展開に。後半に入ると徐々に早大の攻撃が日女体大ディフェンスを瓦解させていき、5点差をつけて危なげなく勝利。今季初の白星を挙げたが、「勝てたけどみんなの課題が残る試合だった」とPV紅林詩乃主将(スポ4=東京・佼成学園女)が振り返るように手放しで喜べる内容の試合とはならなかった。
関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)初勝利を目指す早大に対するは秋季リーグ最下位に沈む日女体大。早大は前半から突き放し勢いに乗っていきたい。しかし、序盤から試合はシーソーゲームに。日女体大ボールの攻撃で始まった試合は先制点を決められる。しかし、早大も事前から狙っていたという紅林のポストプレーを中心にセットオフェンスで着実に得点。お互いに3点差以上離されない緊迫した状態が続く。この状態の中、輝きを見せたのがRB阿部美幸(スポ4=東京・佼成学園女)。12分過ぎに二次速攻から同点に追いつくシュートを決めると、相手の得点を挟みながら3連続得点を挙げ、捉えかけた相手を離さない。さらに、紅林が味方のシュートのリバウンドをキープ。そこから放ったシュートが、相手ゴールに突き刺さり、逆転に成功。しかし、相手ベンチがタイムアウトのカードを切ると、潮目が変わった。残り1分半で再逆転を許す。だが、ここでチームを救ったのはまたも阿部美。カットインからの得点で追いつき、二次速攻で攻めていったシーンでは左腕から強烈なロングシュートを放ち、再び逆転に成功。何とか勝ち越して前半を終えた。
フリーでシュートを放つ阿部美
前半で得た僅かなリードを少しでも広げていきたい早大だが、後半開始後も前半同様、点の取り合いの展開を打破できない。「トップ(DF)を置いて速いパスをさせないように」(紅林)ディフェンスシステムを1-5にして修正を図るが、勝負を決める一手とはならず。だが、GK川村夏希(スポ2=東京・佼成学園女)が段々と相手シューターに合っていき、約10分間を完封。その間にも早大は上手くスペースに入り込んだCB村上楓(スポ2=福岡・明光学園)のシュートや紅林のポストシュートで点差を広げていく。さらには、この日波に乗っている阿部美が「そんなに強く当たってこない」(阿部美)相手DF陣の虚を突くクイック気味のディスタンスで得点。日女体大を沈黙させた。その後は広げたリードを生かしながら危なげない試合運びを見せ、今季初勝利。重要な勝ち点2を獲得した。
シュートを決め、渾身のガッツポーズをする紅林主将
一見すると待望の初勝利となるうれしい試合だが、「素直に喜べない課題が多く見つかった試合だった」と阿部美が振り返るように、その内容に関しては十分なものとはいえない。とはいえ、勝敗を分けるターニングポイントをものにして、何とか勝ち点を得た早大。この勝利で波に乗っていきたいところだ。次戦の相手は秋季リーグで日体大から金星を挙げ、調子の良さが窺える国士舘大。そんな相手を前にして、紅林は「チャレンジャーとしてがむしゃらに勝ち点を取りに行きたい」と意気込んだ。今季の早大の真価が問われる一戦が始まろうとしている。
(記事 杉原優人、写真 宮島真白)
関東学生秋季リーグ | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 27 | 13-12 14-10 |
22 | 日女体大 |
GK 川村夏希(スポ2=東京・佼成学園女) LW 木村百花(スポ1=東京・白梅学園) LB 浦野詩織(スポ2=愛知・旭丘) PV 紅林詩乃(スポ4=東京・佼成学園女) CB 村上楓(スポ2=福岡・明光学園) RB 阿部美幸(スポ4=東京・佼成学園女) RW 青木里奈(スポ2=東京・白梅学園) |
コメント
PV紅林詩乃主将(スポ4=東京・佼成学園女)
――率直な試合の感想は
今までずっと苦しい展開が続いていたので、1勝できたことはほっとしたし、うれしいことなんですが、全員が楽しかったかというとなかなか自分たちのペースに持ってこられない展開だったので、勝てたけどみんなの課題が残る試合だったかなと思います。
――前回の試合から2週間空きましたが、改めてチームで準備してきたことはありましたか
この2週間で心の面だと、相手に勝とうとしても相手は毎試合変わるものなので、自分の力を試合で出し切るというのをずっと言っていたので、そこは相手どうこうではなく自分の力を出し切ることに集中するようにこの2週間で準備できたかなと思います。あとは、プレーで言うとディフェンスで後半の体力が切れた時になかなか運動量が上がらなかったので、心拍数を挙げた状態でどれだけ動けるかというのはこの2週間で準備してきたことだと思います。
――個人では9得点の活躍。調子のよかった要因は
元々相手の3枚目DFがチェンジミスの多いディフェンスだったので、そこを狙いに行こうと初めから言っていました。ちゃんとフローターが(シュートを)狙いながらPVを見てくれたことが一番の要因かなと思っています。
――後半途中ではディフェンスシステムを1-5ディフェンスに変えた場面もありましたが、どのような意図がありましたか
CBから45への速いパスからやられることがあって、間が広くなってしまっていたので、一回トップ(DF)を置いて速いパスをさせないようにやったのですが、少しどうだったのかなと思います。
――相手CBが左利きの選手になっていた時間もありましたが、右利きのCBと比べて違いは感じましたか
そこまでの大きな変化はないですが、あるとしたら私がいる側(相手CBから見て左側)のDFだと、今までの右利き(の選手)だと、パスする瞬間が必ず分かったり、(パスを)飛ばせないような(DF)の入りになるのですが、左利きだとどこでも投げられてしまうというのはこっち側のDFとしては嫌だったかなと思います。
――次戦の国士舘大戦へ向けて意気込みをお願いします
このチームでできる試合もそんなに多くないし、秋リーグ(関東学生秋季リーグ)ではあと2試合しかないので、まずは全員の力を出し切って楽しんで勝つというのを忘れずに、まだ1勝しかしていないのでチャレンジャーとしてがむしゃらに勝ち点を取りに行きたいなと思います。
RB阿部美幸(スポ4=東京・佼成学園女)
――率直な試合の感想は
勝ってうれしかったですが、楽しめたかというとそうではないと思うし、素直に喜べない課題が多く見つかった試合だったので、あまりチームとして力を出し切れてはいなかったんじゃないかなと思います。
――ここまでの関東学生秋季リーグの4試合を全敗という状況で迎えた今回の試合でしたが、気持ちの面でこれまでの試合と違った部分はありましたか
今までとそこまで違った気持ちで臨んでいた訳ではないですが、2週間空いたことで自分の中で上手く気持ちを切り替えて臨めたのかなと思います。
――個人ではミドルシュートもよく決まり、9得点。調子のよかった要因は
今回の対戦相手を分析する時に相手ディフェンスがそんなに強く当たってこないということだったので、パスなどを考えずに突っ込もうと考えて突っ込んだら空いたことが多かったので、どんな時でも自分で前を狙えたことがよかったかなと思います。
――セットオフェンスでPVに落とすシーンが多く見られましたが、試合前からチームとして狙っていたプレーでしたか
そうですね。分析の時もPVが裏(のスペース)にスライドする動きに対してDFが付いてこないから(PVが)空くよねという話をしていて、結構狙っていました。紅林がしっかりDFをブロックしてスペースを作ってくれていたので、出しやすくてよかったなと思います。
――次戦の国士舘大戦に向けて意気込みをお願いします
相手も調子が良いんですが、こっちも1勝してここから波に乗っていけるように、しっかり勝ち切って最終戦に繋げたいと思います。