ラグビー部
2021.01.11
全国大学選手権 1月11日 対天理大 東京・国立競技場
「自分にもチームにも迷いはない」(丸尾)/大学選手権決勝前日練習レポート
1月10日。澄み渡った快晴の下、全国大学選手権(大学選手権)決勝の前日練習が行われた。パス練習やポジションごとの練習のあとは、決勝に出場しない4年生が持つダミーにタックル。そして午後にはBCチームによる部内マッチが行われた。23人に選ばれなかった4年生にとっては最後の練習であり、最後の試合。その意気込みや気迫を間近に感じ、出場メンバーの気持ちも高まったことだろう。
練習に打ち込むNO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)
早大が勝利すれば17回目の優勝となり、昨年度に続き2大会連続での優勝は、2007・2008年以来13年ぶりとなる快挙だ。初優勝を目指し意気込む天理大はもちろん一筋縄ではいかない相手。部内での『BATTLE』、自分との『BATTLE』を積み重ねた23人は、スタッフやコーチも含めた部員全員の思いを胸に、日本一をかけた最後の『BATTLE』へと挑む。
気合の入った部内マッチ
(記事 山口日奈子、写真・音源提供:鳥越裕貴氏)
決勝で、上井草で学んだ全てを出し尽くせるか
コメント ※現地での取材はしておりません
相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)※囲み取材より抜粋
――練習を見届けた今日の感想は
この日を迎えられてよかったし、もうやれることはやったので、(あとは試合を)やるだけです。
――平井選手(平井亮佑、スポ4=福岡・修猷館)はフィフィタ選手を早く止めるという点での起用でしょうか
それもありますが、大祐(伊藤大祐、スポ1=神奈川・桐蔭学園)より平井の方がここ(早稲田)で4年間やっているという、そういう部分ですかね。チーム全体を見て、というところです。
――4年生としての思いという点、また戦術の理解度という点はありますか
4年の思いに期待するつもりは別にないです。それは勝手に出てくる話だと思うので。ただ大祐のけがが多かったりとか、今年コロナ禍があったりだとか、そういう意味で平井を(起用しました)。大祐は当然もう理解してますが、チームの中のユニットでの動きという意味では彼(平井選手)の方が一日の長があるので。
――伊藤選手に交代する意図としてはやはりアタックやスピードですか
そうですね。大祐に期待したいのはそういうアタック力。より攻撃的にという部分です。
――昨年の大学選手権決勝では前半が良く勝ち切れましたが、今年の試合展開のイメージはありますか
最初からフルスロットルで行きたいですね。ただそれを分かっていても、去年経験しているとはいえ、こういう舞台で選手ができるかどうかということだと思います。「様子を見て」というチームではないので、僕らには無駄な時間は1分もないと思っています。
――選手にこれから伝えたいことは
作戦的、戦術的なところではなく、どうやって臨んでほしいかという僕の思いを伝えたいと思います。
――監督自身も早稲田出身ということで、その部分で伝えておきたいことは
早稲田にはチャレンジしてきた文化があると思います。『強い者に勝つ』という姿勢を貫いてほしいし、そういう姿に早稲田のファンの方たちの共感してもらえる部分があると思うので。勝ち負けよりは愚直にチャレンジし続ける、挑み続けるという姿を、大学最高の舞台で体現してほしいです。
――去年の大学選手権準決勝の時に見た天理大と、今年の天理大との違いは
去年はうちが上手く行き過ぎたというところもありましたし、相手のアタック時間があまりなくミスが多かったというのもありました。でも(今年は)よりテンポアップしてくると思うし、何よりも9番(SH藤原忍)・10番(SO松永拓朗)が去年の齋藤(直人、令2スポ卒=現サントリー)・岸岡(智樹、令2教卒=現クボタ)のように(1年生の頃から)4年間(出場してきた)というところもあるので、ゲームの進め方はどんどんバージョンアップしていると思います。あとはフィフィタの自分だけじゃない(視野の広さ)というところもすごく見えるので、そこは間違いなく脅威ですね。
NO・8丸尾崇真(文構4=東京・早実)※囲み取材より抜粋
――目標の決勝前最後の練習はいい顔で終えられたようですね
なんか変に、いい意味で落ち着いているというか、自分にもチームにも迷いはないのかなと思います。
――円陣ではどのようなことを話されたのでしょうか
ここから急にスキルや技術が上がることはないですけど、気持ちや覚悟の面、戦う気持ちはこれからいくらでも上げられるので。明日の決勝までに覚悟を持って臨もうと話しました。
――小学校から早稲田で過ごしてきて、今日が最後の練習ですがどんな気持ちですか
本当に優勝して終わりたいです。ここでやってきた練習も、辛かったことも何もかも明日の大学選手権で勝つためにやってきたので、やっぱり勝って終わりたいですね。
――朝起きた時、最後だという実感は
最後は明日なので。今日は練習が最後かもしれないですけど、まだ道の途中ですし、明日試合が終わるまで、最後まで突っ走りたいです。
――今日は練習を見てもらったのは4年生のみですか
そうですね。4年生だけです。
――丸尾選手から見た相良監督はどのような人物でしょうか。キャプテンとして話をする中で印象に残っていることはありますか
一つ一つの言葉に重みがあるので僕はすごく信頼しているし、チームでも信頼しているし、慕っているなと思います。言葉が何かっていうのは、はっきりとは覚えていないですけど、一つ一つの言葉は、その都度自分に刻んでいます。
――明日は天理大にここを上回れば、という点はありますか
やはり勢いがあるチームですし、いかに何回でもしぶとく粘り強く、強い相手に立ち向かえるか、戦い続けられるかというところが鍵になると思います。本当に、何回でも何回でも、というのを忘れずに試合に臨みたいです。
フランカー村田陣悟(スポ1=京都成章)※囲み取材より抜粋
――花園決勝の、母校京都成章高校の試合をどのように見守りましたか
ありきたりですが、後輩たちが勝って僕たちも優勝するというビジョンが僕にはありました。でも負けてしまって。後輩の分を取り返すではないですが、僕が後輩たちのためにも体を張って頑張っている姿を見せたいと思います。
――伊藤くんと絶縁したという話もありますが
そうですね(笑)。口は聞かないと言って(笑)。でも試合が終わったらナイスゲームと言って終わりましたね。
――口を聞かないというのは村田選手の方から言ったのですか
いえ、伊藤の方から(言われました)。
――後輩の戦いぶりからもらったものはありますか
ディフェンスです。早稲田が決勝でやろうとしている、前半から仕掛け続けることが(京都)成章はできていたと思います。そのようなところは見習って、僕たちも最初からエンジン全開でいきたいと思います。また、昨日の夜のミーティングのあとにFWだけで集まって、崇真さんから「腹を割って話そう」と言われて。昨日の直前練習があまり良くなかった中で、腹を割ってどこがダメなのかを話しました。だからこそ成長できていますし、試合でももっと成長できると思います。ネガティブにはなるのですが、そのようなところから逃げずに話し合うことで、組織力を上げる良いミーティングになったと思います。
――昨日のミーティングはどれくらいの時間行ったのですか
19時半からから21時15分くらいまでです。
――ミーティングは急遽決まったのですか
はい。最初は全体で話していたのですが、後からFWで集まって。FWのスクラムやラインアウトなど試合の各場面のことを話したり、相手への対応に関するメンタルマネジメントなどを話したりしました。
――昨日のミーティングは今日の練習にどのような影響がありましたか
全員の共通認識もありましたし、その中での細かなプレーについても全員で話し合えました。具体的には、スクラムでBチームに押された時にどのように対応したらいいかを話し合いました。(普段は)スクラムの前列の人同士で話していたのですが、それでは全員で押すことができないので。バックローの選手とも話して『全員で押す』という共通認識を作りました。(これまで)前列の選手が言えていなかった、バックローにどのようにしてほしいかということを伝えられたと思います。一人一人、誰がどう思うという感じで話せていました。
――村田選手はどのようなことを言ったのですか
崇真さんから、スクラム以外でも(天理大に)フィフィタ選手などのスーパーラグビーも経験した外国人選手がいるということについてどう思うかと聞かれて。自分は「やるしかない」と答えました。試合に入ったらそのようなことは全然関係ないので。全員が言っていて共通認識としてあったのは、「1人で倒すのではなくて組織となって全員で(倒す)」ということです。ディフェンスの場面だったら、ファーストタックラーとセカンドタックラーで倒して防御するということを指します。もちろんスクラムについても同じです。
――村田選手は、自身のディフェンスに物足りなさを感じているとおっしゃっていました。今シーズン、1年生ながらレギュラーを張ってきて、自分の中で変わったところはありますか
スキャンして前に出るという部分は1番成長できたと思います。早いスキャンができなければ良いディフェンスもできないですし、良いディフェンスには横とのコミュニケーションが大事なので。最後になって共通認識を持って組織で戦う大切さも学ぶことができました。
――天理大学は、久々の関西勢の優勝を目指して戦います。関西の誇りをという気持ちも村田選手は分かると思いますが、ご自身はどのような気持ちで立ち向かいますか
そこはもう関西とか関係なく(戦います)。去年優勝している自分たちに対して、天理大学はチャレンジャーという気持ちで来ると思いますが、それに対しては僕たちも去年は去年、今年は今年と考えてチャレンジャーという意識で向かいます。
CTB平井亮佑(スポ4=福岡・修猷館)※囲み取材より抜粋
――明日の試合、天理大のフィフィタ選手とどうマッチアップしていきますか
印象としては、(フィフィタ選手は)今大学の中で一番身体が強いCTBだと思っていて、自分もフィジカルや接点の部分で勝つというのを強みとしているので、一歩も引かないで何回でも立ち上がって向かっていこうということは意識しています。余裕を与えてしまうとパスやキックなど色々なオプションが生まれてしまうので、それに流されないようにしっかり前に出て、相手に考える時間を与えないようにしたいなと思っています。
――同じCTBの長田選手(長田智希、スポ3=大阪・東海大仰星)とはどのような会話をしていますか
特にフィフィタ選手がいるから、というわけではなく普段通りにコミュニケーションをとりながら試合の中で改善していければいいね、という話はいつもしています。
――平井選手の代には修猷館出身の選手が3人います。心強さや誇りなどは感じますか
そうですね。この代が終わったら修猷館出身の選手は早稲田からいなくなってしまうので、そのプライドであったりずっと一緒にやってきたという連帯感は常に感じていて。こうやって3人でメンバーに入って試合に出れるということに感謝してプライドを持って戦っていきたいと思います。
――同じポジションである伊藤選手のプレーについて
僕にないものがいっぱいあるなと感じています。ランニングスキルだったりパスだったり、アタック全般自分に無いものがあって、そこから学ばせてもらったこともたくさんありますし、自分の成長にもつなげられていたかなと思います。明日の試合ではどのタイミングで大祐が出てくるかまだわかりませんが、自分の持っている強みをそれぞれが出して試合をできたらいいなと思います。
CTB伊藤大祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)※囲み取材より抜粋
――母校の桐蔭学園が花園で優勝を果たしました。後輩の試合を見ていて得たものはありますか
後輩が決勝を戦っているのを見て、勝利したいという気持ちの強さが見えたのでそこは僕も学びたいと思いました。あとは期待されている中でも力を出す勝負強さというのはすごいことだと思うので、僕も自分のできることをしっかりして、チームに貢献したいなと思います。
――明日の試合はベンチスタートとなります。自分ではどう受け止めていますか
後半から入ることによって僕のランも生きてくるところがあると思います。あと、僕が得意な、ボールを早く外に運ぶのか、自分でランするのかという判断の部分でいい判断をして(プレーの)質を高めることができれば、平井さんとはまた違ったプレーができると思います。
――天理大の早いディフェンスに対してどう対策をしていますか
ポジショニングをはっきりすれば、自ずと判断もしやすくなると思うので、ポジショニングはずっと意識してやっています。
――ゲームの中で使い分けているということですか
そうですね、ずっと同じポジショニングをしていたら良くないと思うので。いろんなポジショニングをするようにしています。