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ラグビー部

2020.12.18

全国大学選手権 12月19日 対慶大 東京・秩父宮ラグビー場

「先を見ずまずは慶応に絶対に勝つ」(丸尾)/大学選手権準々決勝前日練習レポート

 冬晴れの空の下、白いユニホームの選手たちが躍動した。全国大学選手権(大学選手権)準々決勝、慶大との対戦に向けた前日練習。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本来全部員が観戦できるはずの試合前日練習はここまで試合に出場するメンバーを中心とした最低限の人数で行われていた。しかし、NO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)の働きかけにより、大学選手権からは4年生全員が立ちあえるように。明日の試合出場選手は、部員の見守る中で押し込みタックルやパス、キック、ポジションごとの練習などを1時間ほどこなし、落ち着いた雰囲気で調子を整えた。

 

丸尾主将の言葉に耳を傾ける選手たち

 大学選手権で慶大と相まみえるのは一昨年度の準々決勝以来となる。2年前はラストワンプレーで逆転トライを挙げ試合を制したが、直前までビハインドを許す拮抗(きっこう)した展開だった。早大が慶大と対戦するのは今季二度目。関東大学対抗戦(対抗戦)の早慶戦では攻守にわたって安定した試合運びを見せ、22-11で快勝した。しかし、そこから互いに試合を重ね確実に成長した今、決して油断はならない。今年も目を離せない試合が繰り広げられるはずだ。

 早大陣営で注目を集めるのは今季初スタメン出場となるCTB伊藤大祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)だろう。対抗戦の早慶戦で公式戦デビューを果たすと早明戦でもリザーブメンバーに名を連ねたが、どちらも後半終盤での交代となり物足りなさが残ったという。思う存分グラウンドを駆けられる初めての先発に「せっかく巡ってきたチャンスなのでしっかり自分のプレーをしたい」と意気込む。フランカー村田陣悟(スポ1=京都成章)、フッカー川﨑太雅(スポ1=東福岡)との1年生トリオに期待だ。

 

パスの練習をする伊藤

 19日、11時35分に東京・秩父宮ラグビー場にてキックオフ。勝利すれば、2008年度以来12年ぶりの3年連続『年越し』を果たすこととなる。「こんなところで終わらせちゃいけない」(丸尾)。2021年も早大ラグビー蹴球部をグラウンドで見られることを願って、明日の試合を迎えよう。

(記事 山口日奈子、写真 安岡菜月)

4年生が支えるダミーに向かってタックルする選手たち

相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)※囲み取材より抜粋

――早明戦を経てどのようなことに取り組んできましたか

 自分たちが積み上げてきたものをさらに上げていくというところです。早明戦はセットプレーでうまくいかない部分があったのでそこを修正して、あとはソールの運び方を見直したりというところですかね。

――チームの雰囲気としてがっかり感はありましたか

 がっかり感はありましたよ。それは人間ですからね。ただそこから持ち直すために、こっちが雰囲気をつくってあげるのは大事だけど、やはり(選手たちが)自分たちで向き合ってどうなりたいか(という目標)をブラさないことが大事だと思います。

――去年の早明戦でも大きく負けた後に調子が上がっていきました。その時の雰囲気との違いはありますか

 去年はどちらかというと自分たちがやれることをやらなくて負けた印象。今年はやれると思っていたことが混乱して出せなかったという微妙な違いがあります。そういう意味では去年の方がやることをしっかりやろう、とスイッチを入れやすかったと思いますが、今年はもうちょっとやれたはずなのに、と。色々なことが結果的にうまく行っていただけなので最終戦で負けたことで少し揺らいでしまったという。揺らぐ必要はまったくないんですけどね。

――伊藤選手の先発について

 それは成り行きで。

――「自由にやっていいよ」と言われたそうですが

 まあ1年生ですしね。持っているものを出してほしいという期待しかないので、周りがサポートするのでそれこそ失敗をおそれずやってほしいと思います。

NO・8丸尾崇真(文構4=東京・早実)※囲み取材より抜粋

――早明戦の結果を受けて変化などありましたか

 明治には負けてしまいましたが、それまで積み上げてきたものは間違っていなかったし自信を持っていいと思うので、なにか変えることはありませんでした。なぜ負けたかを考えた時に、やはり相手より仕掛ける気持ちだったりバトルしに行く(気持ち)、そこが相手の方が上だった。それだけだと思います。それが根底にないと早稲田は勝てないので。先を見ずまずは慶応に絶対に勝つという気持ちを持ち続けることが大事だと思います。

――ご自身のプレーを振り返って反省点などは

 やはりアタックですかね。自分が前に出られないと勝てないと思うので、今までディフェンス(に力を入れて)ばかりでしたけど自分はアタックが強みなので、まずは慶応に思いっきり出していきたいです。去年も対抗戦で(アタックが)全然できなくて同じ感じだったんですけど。最後は自分が前に出られるか出られないかで勝負が決まるので、前に出たいと思います。

――1カ月前にも慶応と対戦していますが、戦略など変えていきますか

 大きくは変わらないと思いますが、慶応は1回負けて挑むという姿勢でやってくるのでいかにそれ以上の気持ちをもって戦えるかが大事になってくると思います。戦略うんぬんよりも先手先手、後手に回らず先に仕掛けることが大事だと思います。

――緊張はありますか

 それはあります。負けたら終わりですし、準々決勝で当たる相手もレベルが高いですし、相手も右肩上がりで来ているチームなので。その緊張感はありますね。ですがそんなにネガティブに考えても仕方がないので。急に上手くなることはないですし、やってきたこと、積み上げてきたことが最後に出ると思うのでそこを信じて最後までやりたいです。

――出られない4年生への思いはありますか

 コロナで厳しい中でも頑張ってきてくれた選手、Aチームででてくれた選手、平井(亮佑、スポ4=福岡・修猷館)や坪郷(智輝、法4=埼玉・川越東)もそうですが、そういうやつらをこんなところで終わらせちゃいけないと思っていますし、そういう強い気持ちはあります。絶対にあいつらの分も戦いたいと思います。

――試合前練習はこれまで4年生も観戦できなかったのですか

 例年だったら試合前練習は全部員が観るんですけど、(今年は)感染対策もあって基本的には観戦なしということになっていました。それを選手権からお願いして4年生と練習のために入る人だけ観戦を許可してもらいました。

――やはり同期がいると気持ちも引き締まりますか

 4年間本当に出られなかった人もいるので、「そういうやつらの思いも背負おう」と、ダミーを持ってもらうとそういう思いが湧いてきますね。

プロップ小林賢太(スポ3=東福岡)

――早明戦の自身のプレーを振り返っていかがですか

 良かったところとしては、フィールドプレーが十分に通用したところだと考えています。悪かった部分はセットプレーで、試合の流れを決められてしまったと言っても過言ではないと思うので、その部分は早明戦を経て課題の部分になると思っています。

――早明戦からの2週間でどのような準備をしてきましたか

 スクラムでは、早明戦を経て自分たちの1番の課題だと感じています。スクラムが安定しないとBKにいいボールが出せないので、この2週間はスクラムの練習で自分たちがやってきたことは何だったのかというところにもう一回フォーカスした上で、積み上げてきたことの精度をさらに上げようということを目標に練習しています。

――対抗戦では全試合出場を果たしました。対抗戦を経てチームはどのように成長したと感じていますか

 初戦は久しぶりの試合ということでみんな硬い部分があったんですけど、毎試合課題を明確に出すことができ、それに対して一週間一週間自分たちの課題を克服するために練習を積むことができています。正直明治戦はあんなかたちになってしまい、チームとしては(調子が)上がってきていたところだったので精神的にも打撃はあったのですが、あの経験ができたことが良かったと言えるようにしたいと思います。

――練習中、伊藤大祐選手に声をかける場面がありました。心がけているのですか

 そうですね、今年から委員という立場になって、これまでは自分のことを意識してやってきたんですけどそういう訳にもいかないと思うようになりました。初先発の選手であったり、選手権初出場の選手であったり、初めての人が多いと思うので。自分は3回目の選手権出場ということで、もちろん自分にも余裕がある訳では無いのですが、経験値というものをみんなに還元できたらなと思ってできる発信をしています。

――どういう声かけをしているのですか

 あまりBKの技術とかは分からないので、ミスしても次、とかそういうメンタル面について僕が声をかけることが少しでも緊張を和らげることにつながればいいと思って、やるようにしています。

――明日は今季2度目となる慶大との対戦です。どんな試合になると予想しますか

 選手権3回戦の帝京大戦を見ても分かるように粘り強くFWで近場を攻めてくるチームだと思うので、そこで早稲田のFWがどれだけ前に出られるか。あとはセットプレーの部分で、僕達は早明戦で経て少し自信をなくしてしまった、と言うとあれですけど本当に課題が明確になったので、そこをどれだけ修正して自分たちのスクラムができるかというところが鍵になると思います。

――明日への意気込みをお願いします

 明日は本当に早明戦の敗戦を経て課題をどれだけ修正できたかを体現する場所だと思います。自分たちがこの2週間で準備してきたことやこれまでの成長してきた部分を全部出し切るだけだと思うので、やり切りたいです。

SH小西泰聖(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

――積極的に前に出るプレーが印象的でした。早明戦ではどんなことを意識して臨みましたか

 アタックの中で結構我慢しなければいけないだろうな、とは試合前から思っていて。予想した通り僕らがアタックする時は簡単には抜けない、とにかくボールを継続しなければいけないという時間が長くて、どこでブレイクしていくかと考えた時に僕の前が空いていたので、行けるかもと思ったら行けたという感じです。ひらめいた感じですね(笑)。

――理想としてきた「得点力のあるSH」に近づいたように思いますか

 そうですね。対抗戦を通して近づいていると思います。

――早明戦からの2週間、どのような練習をしてきましたか

 早明戦を悲観して反省するとかではなく、もっとここをよくできるという部分を探して、そこを伸ばしていったり細かいところを突き詰めていった感じですね。

――先ほどゴールキックの練習をされていましたね

 一応、(吉村選手、河瀬選手に次ぐ)3番手なので(笑)。

――個人として意識したことは

 特にないです。新しくここにこだわるとかはなくて、『前のクオリティを出し続ける』というのが僕の中のテーマで、前の明治戦が良かったのは確かなので、そこを最低の目標にもう一個上に行くというマインドでやっています。

――自粛期間に強化していたパスについて、成果は対抗戦を通して感じていますか

 間違いなく僕のパスから生まれている得点があるし、アタックが継続できている。紘(吉村)とも協力しているんですけど『フェーズアタック』というのが僕らの今年の強みで、一つ一つのアタックは僕のパスから生まれているので、それが強みだということは良いパスを投げ続けられているのだなと思います。

――今季二度目の早慶戦となりますがどんな試合になると思いますか

 間違いなくタフではありますが、僕らも前の試合から成長していますし負ける気はしないです。失敗もしてきたし準備はしてきたと思います。勝つ気しかしないし、勝ちたいです。

――明日への意気込みをお願いします

 崇真さん(丸尾)のチームでもっとラグビーがしたいので。大学選手権は4年生のために全身全霊で戦いたいと思います。本当に最後の最後まで、勝つまで走り切ります。

CTB伊藤大祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)※囲み取材より抜粋

――いつ知らされましたか

 事情もあって、3日前です。

――早明戦ででた課題は

 ボールタッチが3回くらいしかなくてそのうち1回がノックオンだったりであまり貢献できなかったので、今回はボールタッチの回数を増やしていきたいです。試合がすごく楽しみですし、しっかり反省して自分を見つめ直すことができたので(ボールを)出すところは出すとか(判断をして)、いいチャンスメークをしていきたいと思います。

――慶大に対して特別に意識することは

 あのジャージーを見ると圧は感じますが、自分の力を上げてくれるいい圧でもあるので、劣勢にはなると思いますがいいプレーしたときは(その分)すごい喜びになります。

――ライバルは意識しますか

 自分の対面になった人にはしっかり勝負したいと思います。

――どんな練習をしてきましたか

 早明戦の時は「ああしよう」「こうしよう」と器用貧乏なところがでてしまったので、(選択肢を)ランするかパスするかにして、パスの練習とキャッチの練習をして、あとはスピードトレーニング。高校時代にやっていたものを原点を思い出して頑張っています。

――次戦に向けてどんなお気持ちですか

 せっかく巡ってきたチャンスなのでしっかり自分のプレーをしたいです。考えすぎず(思考を)クリアにして、走るか走らないかという感じで。行けたら(自分で)行く、行けなかったらパス。僕は(周りにとらわれず)自分のことをやりたいので、チャンスがあればどんどん走っていく。「自由にやっていい」と言われているので。

FB松下怜央(スポ2=神奈川・関東学院六浦)

――初出場となった早明戦について、自身のプレーを振り返っていかがですか

 大一番の勝負で緊張していました。最初のプレーがノックオンだったということもあってそのまま試合が終わってしまったという感じで、自分としては全然納得のいかない明治戦だったと思います。

――試合の中でプレーの修正が難しかったということですか

 そうですね、修正力がまだまだ足りなかったと思います。でも、その分しっかりキックキャッチはこっち(上井草)に帰ってきてからいっぱい練習してます。慶応もたくさんハイパントを蹴ってくると思うので、その対策はしっかりやっています。

――その他、早明戦からの2週間でどんなところにフォーカスして練習していますか

 僕はユーティリティプレーヤーなのでどのポジションの誰がけがをしても出られるようにそのポジションごとの動きに取り組んでいました。また、特に僕は早稲田のラグビーにおいてパスが重要だと思っているので、しっかりパス練習をして全てのことに対応できるように2週間頑張ってきました。

――今季2度目となる慶大戦、どんな戦いになると予想されますか

 対抗戦と同じようにすごく拮抗(きっこう)した戦いになると思うので一つ一つのプレーが大事になってきて、一つ一つのミスが負けにつながってくると思うので、しっかり集中してプレーしていきたいと思います。

――明日に向けての意気込みをお願いします

 僕はリザーブなんですけど、いつでも出られるように準備をして、出たら最高のプレーをしてチームに勝利をもたらしたいと思います。