相撲部
2020.12.15
第69回東日本学生リーグ戦 12月13日 埼玉県立武道館
団体メンバー“定員割れ”のなか5年連続1部を死守 激動の1年を有終の美で締める
今年度最後の大会となった東日本学生リーグ戦。本大会では、9人制の団体戦が8校総当たりで繰り広げられる。選手数が足りない早大は柔道部から1人を招集し、それでもなお残る1枠は欠いたままという、厳しい状況で戦い抜いた。開始から連敗が続くも、明大戦で勝利をつかむとリーグ戦1部を死守。1部の座を5年連続で維持した。
学生最後の大会となった長谷川(左)と浅田(右)。中央は柔道部から招集された空
初戦から苦しい戦いが続いた。日大(最終結果2位)、日体大(最終結果1位)との連戦では、各個人が健闘を見せたものの、団体勝利には結びつかなかった。勝利への兆しが見え始めたのは4回戦の拓大戦。まずは長谷川聖記(スポ4=愛知・愛工大名電)がチームに勢いをもたらすような寄り倒しを決めるも、そこから3連敗。これ以上負けられない中で、連敗を止めたのは鳥居邦隆(社2=愛知・愛工大名電)だった。チームに活力を与える会心の押し出し。その後は一進一退の攻防を続けたが、先に5敗目を喫してあと一歩のところで負け越した。それでも大将戦の二見颯騎(スポ3=東京・足立新田)が白星で締めると、結果は4勝5敗。惜敗はしたが、次につながる試合運びで終えた。
そこで迎え撃つは明大。ここまで同じく4連敗中の明大との一戦は、1部残留に向けて絶対に負けられない戦いとなった。先鋒・長谷川から2連勝を飾るも、その後は不戦敗含め2連敗で競る展開に。しかし、この状況でも連敗を止めたのは鳥居だった。立ち合いからスピード感ある足運びで、前に出続けての押し出し。直後の栗田裕有(スポ1=新潟・海洋)は動き勝ちからのはたきで激勝。これで流れを奪取した早大はそのまま5勝目を獲得。ついに団体での1勝をつかんだ。
その後は大きく負け越す戦いもあったが、地道に勝ち点を積み重ね、結果は7位。これによりリーグ戦1部の地位を死守することに成功した。学生最後の大会として臨んだ長谷川の意地も見られれば、7戦中5勝の大活躍を見せた1年栗田の活躍など、4年生から1年生まで、まさに早大相撲部全体で勝ち取った結果だった。
今大会、『早稲田勢』として戦い抜いた8人
4年生がけん引してきた現体制もついにこの日で『千秋楽』。主将の長谷川は「早稲田らしく、伸び伸びと相撲を取って、さらにもう一つ上を目指して」と後輩に期待を寄せた。一方、来年度は唯一の4年生となる二見は来年度を見据え、今年見られたチームワークの良さを活かしたチーム作りをしていきたいと語った。『○○年ぶり』という結果づくめだった今年度。来年はどんな活躍を見せてくれるのか。新生・早大相撲部にも注目だ。
(記事 大貫潤太、写真 早稲田大学相撲部提供)
★前向きになれた4年間
主務として仕事をこなし、頼られる存在であった浅田大介(社4=石川・金沢学院)。他方で、茶目っ気あふれるその性格に先輩からも後輩からも愛される存在でもあった。各部員の個性が光る早大相撲部。そのなかでも、対談企画では「1番の変わり者」と部員から評されるほど個性あふれる浅田は、ムードメーカーとしても部を盛り上げていた。
また、取り口も独特だった。相手の差し手を絞り上げ、相手のあご下に頭をつけながら拝むようにして出るのが浅田流。もともとは相手の引きに乗じてついていくような相撲スタイルだったが、学年が上がるにつれて自ら前に出ていく相撲も見られるようになった。
立ち合いで仕切る浅田
保育園時代から始めたという相撲は今年で17年目。浅田の人生そのものだ。そして相撲人生最後に選んだ場所が早大相撲部だった。4年間で変わったのは相撲スタイルだけではなかった。早大相撲部で出会った人とのつながりは内気な青年に前向きな姿勢をもたらした。今後の居場所は『土俵から社会』へ。豊かな人間性、そして前向きな姿勢の浅田は社会でも多くの人を魅了するだろう。
(記事 大貫潤太、写真 吉岡拓哉氏)
結果
1部リーグ本戦
1回戦 対日大 3勝6敗
先鋒●長谷川参段(外掛け)草野参段
二陣●土屋参段(押し出し)川副四段
三陣●田太初段(押し出し)城間参段
四陣●─── (不戦敗)岩永参段
中堅◯鳥居弐段(押し出し)宮崎参段
六陣◯栗田弐段(送り出し)新井参段
七陣◯空選手 (蹴返し)田中参段
副将●浅田参段(寄り切り)大谷参段
大将●二見参段(押し出し)川渕参段
2回戦 対日体大 2勝7敗
先鋒◯長谷川参段(寄り倒し)高橋参段
二陣●土屋参段(寄り切り)石崎参段
三陣●田太初段(引き落とし)嘉陽参段
四陣●─── (不戦敗)古田弐段
中堅●鳥居弐段(はたきこみ)外尾弐段
六陣◯栗田弐段(押し出し)石崎参段
七陣●空選手 (押し出し)今関参段
副将●浅田参段(押し出し)ジャグダルスレン参段
大将●二見参段(寄り切り)バドジャルガル参段
3回戦 対東農大 2勝7敗
先鋒●長谷川参段(突き落とし)丸山参段
二陣●土屋参段(寄り切り)日下参段
三陣●田太初段(突き落とし)川田弐段
四陣●─── (不戦敗)有瀬参段
中堅◯鳥居弐段(押し出し)猿川弐段
六陣◯栗田弐段(寄り倒し)森本参段
七陣●空選手 (すくい投げ)加藤参段
副将●浅田参段(寄り切り)山内参段
大将●二見参段(押し出し)白山参段
4回戦 対拓大 4勝5敗
先鋒◯長谷川参段(寄り倒し)長内弐段
二陣●土屋参段(押し出し)坂前弐段
三陣●田太初段(突き落とし)水間弐段
四陣●─── (不戦敗)立花弐段
中堅◯鳥居弐段(押し出し)斉藤参段
六陣●栗田弐段(寄り切り)松永参段
七陣◯空選手 (掛け投げ)角田初段
副将●浅田参段(押し出し)井田参段
大将◯二見参段(寄り切り)松田弐段
5回戦 対明大 6勝3敗
先鋒◯長谷川参段(寄り倒し)福井弐段
二陣◯土屋参段(寄り切り)松村弐段
三陣●田太初段(押し出し)神弐段
四陣●─── (不戦敗)成田初段
中堅◯鳥居弐段(押し出し)村上弐段
六陣◯栗田弐段(はたき込み)太治初段
七陣◯空選手 (合掌ひねり)永山弐段
副将●浅田参段(寄り切り)宇都宮参段
大将◯二見参段(寄り切り)八幡弐段
6回戦 対中大 3勝6敗
先鋒◯長谷川参段(寄り切り)棚橋弐段
二陣●土屋参段(押し出し)住木参段
三陣◯田太初段(押し出し)野地弐段
四陣●─── (不戦敗)齋藤参段
中堅●鳥居弐段(押し倒し)土井参段
六陣◯栗田弐段(はたきこみ)平野参段
七陣●空選手 (浴びせ倒し)由留部弐段
副将●浅田参段(寄り切り)影山弐段
大将●二見参段(押し出し)持田参段
7回戦 対東洋大 9敗
先鋒●長谷川参段(寄り切り)干場参段
二陣●土屋参段(押し出し)亀井参段
三陣●田太初段(送り出し)羽出山弐段
四陣●─── (不戦敗)麻田参段
中堅●鳥居弐段(切り返し)小野弐段
六陣●栗田弐段(押し出し)大塔参段
七陣●空選手 (寄り倒し)落合参段
副将●浅田参段(押し出し)角参段
大将●二見参段(すくい投げ)オドフー参段
早大は1部7位
コメント
長谷川聖記主将(スポ4=愛知・愛工大名電)
――学生として臨まれる最後の大会でした。終えられた今の感想はいかがですか
これまで先輩方が守ってきた一部を死守することができ、ほっとしています。これで終わりという実感はあまりありませんが、自分の相撲を取り切って悔いなく終えることができました。
――柔道部の選手を招へいされた経緯、そしてどのような稽古を積まれたのか簡単に教えてください
今年はリーグ戦が延期になり、柔道部の4年生がすでに引退していたので、橋本(侑京、令和2卒)コーチが空に電話をかけ、空、柔道部の監督に了承をいただいて参加してくれることが決まりました。練習では、立ち合いを中心に行っていました。
――一部を死守できたことに関して、どのように思われますか。また、室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)からかけられた言葉はありましたか
少ない人数でしたが、チーム力を発揮して、一部を死守できたことはとても価値があると思います。監督からは「お疲れ様」と声をかけていただきました。
――激動の1年でしたが、相撲部にとってこの1年はどのような1年でしたか
新型コロナウイルスの影響でなかなか練習できない期間もありましたが、その期間で色々と考え、自分自身を見つめ直す良い期間になりました。大変でしたが、この期間があったから、今年の結果につながったと思っています。今年1年、自粛期間、結果を含めて特別な1年間でした。
――後輩たちにはどのようなことを期待したいですか
早稲田らしく、伸び伸びと相撲を取って、さらにもう一つ上を目指してもらいたいです。
――4年間過ごされてきた浅田選手に対してはどのような思いがありますか
特にこの1年間、一緒にチームを作って戦ってきたこと、悩んでいる時や困っている時に助けてくれたことなど、浅田には本当に感謝しています。
――早大相撲部を応援してきた方々に対して最後に一言お願いします
4年間、応援ありがとうございました。本当に皆さんの応援が力になっていました。この1年間は、無観客となりお会いすることができませんでしたが、今後OBとしてお会いできることを楽しみにしています。今後とも相撲部をよろしくお願いします。
浅田大介(社4=石川・金沢学院)
――学生として臨む最後の大会でした。終えられた今の感想はいかがですか
清々しい気分です!
――今年度のチームは上級生として見て、どのようなチームでしたか
それぞれが個性を持ちながらも、仲が良く、強いチーム力を持ったチームだと思います
――話は変わりますが、相撲をここまで続けてこれたのは何が大きかったのでしょうか
大会やボランティアなどの活動を通して、応援してくれる人がいると身近に感じることができたことが大きかったと思います。
――唯一の同期として過ごした長谷川主将に対してはどのような思いがありますか
1年生の頃からひたむきに相撲と向き合い、彼の強さはそこにあるんだと思います。今年は主将としてチームを引っ張れるよう奮闘していました。最後にチームで結果を残すことが出来たのは彼の地道な努力が大きく影響したのだと思います。本当に感謝しています。
――浅田選手ご自身がこの4年間で成長できた部分があるとしたら、どのようなところでしょうか
成長と言うのか分かりませんが、性格はとても変わりました。昔の内気な自分から今の様々な人と関わりを持ち、積極的に活動している姿は想像できませんでした。相撲も勢いのある攻めの形になりました。全体的に前向きになったんだと思います。
――浅田選手にとって相撲はどのようなものですか
17年以上相撲を続けて来たんだなと考えると人生の一部であり、今の自分を作ってくれた大きな存在だったと思います。
二見颯騎(スポ3=東京・足立新田)
――大会を終えられた今、どのようなことを思われますか
全体的にどの選手も相撲内容がよかったり、勝つことができていたので、良かったと思います。無事に一部残留もできて、ほっとしています。
――大将として臨まれた大会でしたが、どのような思いで臨まれましたか
チームの勝ち負けが自分で決まる取り組みは、「絶対に勝つぞ」という意気込みでした。今回はその場面がなかったので、気楽に自分の相撲を取ることを心がけました。
――現4年生と臨む最後の大会でしたが、お二人への思いを教えてください
最後の試合となり、寂しい気持ちもあるのですが、一緒に戦えてうれしかったです。最後までチームを引っ張ってくれて、本当に感謝の気持ちしかありません。
――来年度はどのようなチームを作っていきたいですか
チームワークの良いチームです。僕たちは、他の相撲部と比べると人数が少ないので、その分全員で力を合わせて勝つようにしたいです。また、今年の活躍もチームワークによるものだと思うので、この点を意識してチーム作りをしていきます。
――最終学年として迎える、来年度へのご自身の意気込みをお願いします
いよいよ最終学年となるので、全ての試合に全力で取り組み、今までの成績を上回れるように頑張りたいと思います。特に個人戦でも何かしら入賞できるようにしたいです。最後の一年は、悔いが残らないように相撲に取り組みます。