卓球部
2020.12.14
関東学生選手権大会 12月12、13日 駒沢屋内競技場
まさかの男子部全員ランク入りならず…
11月末に開催された全日本学生選抜強化大会(全日学)からほどなくして、関東学生選手権が12月12日より開幕した。この大会は13日までの2日間で6回戦(ベスト32)までが行われ、18日にベスト16以降が決定するという流れであった。その中で早大男子部はひとりもランク(ベスト16以内)入りを果たせず、大会を終えることとなってしまった。
6回戦にて悔しがる川上
その中で6回戦まで進出したのが川上尚也(スポ3=静岡学園)と岩永宜久(スポ2=福島・帝京安積)の2選手だ。主将の五十嵐史弥(スポ3=石川・遊学館)がけがの影響で棄権したことで、今大会でのエース格としての期待がかかっていた川上。スーパーシード(4回戦からのシード)から、4回戦、5回戦をともにストレート勝ちで制すなど順調な滑り出しを見せた。しかし、6回戦で「相手をしっかりと見れていなかった」と左利きの中央大の浅津(2年)相手にまさかのストレート負けを喫し、ベスト32で敗退。今大会での収穫は「ない」と言い切るなど、早大の主力選手としての悔しさをにじませた。一方の岩永は、「しっかりと振り切ることができた」と要所での粘りが光り、4,5回戦での接戦をものにする。しかし、6回戦では法大・佐藤(3年)のバックハンドを主体とする攻めに対応できずにストレート負け。共にチーム内では気を吐いたものの、課題を残す結果となった。
粘りの卓球を見せた岩永
その他の4回戦以降に出場した選手たちも強豪校ないし、上位選手の壁に阻まれ5回戦までで敗退してしまう。その中でも唯一初日からの勝ち上がりで出場したのが、久保田烈央(スポ3=群馬・桐生)だった。持ち前の強烈なフォアハンドを駆使して3回戦までを順調に勝ち上がり、「今大会の目標」としていた4回戦進出を実現させた。こうして迎えた4回戦でも、明大・大野(3年)相手に各ゲームを接戦の末に奪い取り、格上選手相手にストレート勝ちを決めた。5回戦では苦手とする左利き選手とのぶつかり合いで敗退したが、「サーブレシーブに関しては自分の持っている力は出せた」と初となる上位進出の中で大いに自信をつけた。年明けに行なわれる全日本選手権でのさらなる躍進を期待したい。
得意のフォアハンドを打ち込む久保田
とはいえ、今大会では誰もランク入りを果たせず、チームとして来年のリーグ戦での上位進出に暗雲立ちこめる内容となったことは事実だ。特に優勝を目指す上での強敵となる明大、中大、専大は、複数選手のランク入りを果たしている。それを受けて川上は、絶対的エース・五十嵐不在の中でも、「一人一人の意識をもう少し高めてやっていかないといけない」と危機感をにじませた。そして、全体として「卓球のはじまり」であるサーブレシーブの徹底を説いた。それ以外にも各選手ごとに課題が洗い出されたことだろう。今大会をステップアップとし、次回以降の大会では個々人がさらなる成長を見せてくれることを期待したい。
(記事 篠田雄大、写真 鬼頭遙南 荻原亮)
★大物ルーキーが初陣で感じた「大学独特の雰囲気」
関東学生選手権に出場した選手の中で、柏竹琉(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)の存在も欠かすことはできない。国際大会での優勝経験を持ち、現在もTリーグの「岡山リベッツ」に所属する超大型ルーキーだ。そんな男が早大生として臨む初の大会では、格下選手相手にまさかの4回戦敗退。その中で柏が感じたのは、「大学独特の雰囲気」だった。
これまで多くの観衆やファンからの注目を集めるTリーグ、異質な環境の中で戦う国際大会などあらゆる環境で実績をあげてきた柏。だが、大学の名前のもとで戦うことに今までに感じたことのない「圧」を感じたという。「Tリーグは、失うものがなく、楽な気持ちで向かっていける」。個人として臨む試合とは異なる緊張を覚えた柏は、2ゲームを先取しながらも、その後3ゲームを立て続けに奪われ、まさかの敗退を喫した。
サーブを打つ柏
「早稲田大学というプライドの中で戦うプレッシャーに耐えられなかった」。この言葉から、大学の名のもとに卓球をする難しさを筆者も感じずにはいられなかった。だが、その一方で常に選手たちの気持ちを1つにし、その名のもとで数多く応援団がついてくれるのが大学として戦う強みだとも感じる。「今後4年間でそのプレッシャーに打ち勝っていきたい」。大学ならではの難しさを乗り越え、さらには味方に付けることができればまさに鬼に金棒だ。柏の今後の活躍から目が離せない。
(記事、写真 篠田雄大)
▽男子シングルス
▽4回戦
○久保田3―0大野(明大)
○岩永3-1荒井(東経大)
○福田3―0原(東海大)
○杉本3―1石沢(埼玉工大)
○川上3―0窪田(慶大)
●柏2―3岩本(日大)
●松本1―3髙橋(東経大)
▽5回戦
○川上3-0新井(東経大)
○岩永3―0小林(専大)
●福田1―3竹崎(明大)
●杉本1―3福原(日大)
●久保田0―3遠藤(専大)
▽6回戦
●川上0-3浅津(中大)
●岩永0―3佐藤(法大)
川上尚也(スポ3=静岡学園)
――試合を終えた今のお気持ちを教えてください
誰もランク(ベスト16)に入れなかったのと、自分が一番上という立場でこういう結果になってしまったのが悔しいです。「もっとできたんじゃないか」という感じです。
――ご自身が戦った3試合を振り返ってみていかがですか
全員左ききで、内容的には悪くはなかったのですが、相手をしっかり見れていなかったというか…。1、2試合目は良かったのですが、3試合目は自分中心に見すぎていて、もう少し相手のことを考えれば良かったなと思います。
――逆に収穫などはありますか
今日はないですね。ないです。
――今後に向けての抱負をお願いします
今年の試合は終わってしまったので、切り替えるしかないのですが、来年には全日本がありますし、リーグ戦もコロナが終息すればやってくると思うので、今は早稲田は五十嵐(史也、スポ3=石川・遊学館)という大きなエースしかいないのですが、周り(の学校の選手たち)はしっかりランクに入ったりしているので、来年のリーグ戦に向けて一人一人の意識をもう少し高めてやっていかないといけないなというふうに思います。
――具体的に修正していくべき課題はどのあたりにあるのでしょうか
全体的に考えが甘いというか…。早稲田のチーム内ではミスがあってしまうボールに対しても、他のチームは一本でも多く返してくるというところがあって。自分が先にミスをすることが多かったので、何本も連続で打つということが課題の1つです。あとは、ラリーだけではなくて、サーブレシーブという卓球のはじまりのところを徹底していかないと、中堅層には勝てても、自分よりも格上の人には負けてしまうので、そこも考えてやっていきたいなと思います。
福田純大(スポ3=福岡・希望ヶ丘)
――公式戦は久しぶりだと思うのですが、今大会にはどのような意気込みで臨まれましたか
なかなか試合が出来なくて、もう3年生なので、残り少ない試合を全力で頑張ろうと思いました。
――今日の2試合をふり返っていかがでしたか
1回戦は良いプレーができて簡単に勝つことができました。2回目の竹﨑選手(竹﨑千明、明大)は、同学年で小学校の時から何度もチャンピオンになっていて、1度も勝ったことがなかったので向かっていこうと思ったんですけど、レベルの差がありました。
――良かった点と反省点について教えてください
良かったのはけっこう対策をしていて試合前は自信があったことは良かったと思うのですが、いざ試合をしてみると想定していたよりも強くて。準備は良かったと思うのですが、でもまだ足りなかったと思います。
――対策というのは竹﨑選手に対するということですか
そうですね、動画を見たり。
――今後はどのような点に重点を置いていきたいですか
カットマンの選手に負けたんですけど、あまり当たることはなくて。攻撃が得意なので、このまま練習していけばいいと思います。
――全日本選手権に向けて一言お願いします
全日本選手権は中学2年生以来なのですが、日本で一番大きな試合だと思うので、今大会以上に準備して臨みます!
久保田烈央(スポ3=群馬・桐生)
――久々の公式戦だったと思いますが、どのような意気込みで臨まれましたか
久しぶりの試合だったので、とにかく1つでも多く勝ち上がってスーパーシード(4回戦から出場)の選手と戦うことを目標としていました。実際にスーパーシードに当たることができて、なおかつ勝つことができたので、とても実りのある大会にできました。
――きょう早大から出場された選手の中で、唯一初日からの勝ち上がりということになりました
昨日試合をしているというところで、相手選手よりは試合勘はあったと思います。ただ、相手選手の方が実力は上だったというところでしっかりと対策も練ることができたので、初日からの勢いも相まって勝つことができたのかなと思います。
――対策を具体的に教えてください
相手のスーパーシードの選手の動画がユーチューブに上がっていたので、その映像を見て、相手がどのようなサーブを出してくるのかやコースごとの球の返ってくる場所だったりをパターンの練習だったりとか、サーブレシーブの精度を高める練習をしていました。
――きょうの4回戦、5回戦をそれぞれ振り返ってください
4回戦は3対0で勝つことができたのですが、どのゲームもせった展開だったので一本も気が抜けなかったんですけど、要所要所で自分の持ち味であるフォアハンドを使って相手を威圧したり、下げさせることができたので、自分の得意な部分で勝負することができたので良かったです。5回戦は、個人的に左利き選手に苦手意識があり、十分な対策ができていなかったんですけど、サーブレシーブに関しては自分の持っている力は出せたと思います。ストレート負けという結果にはなったのですが、2ゲーム目で少しリードを奪う展開にできたので、自分なりに精一杯頑張れたと思います。
――きょうの試合を踏まえて、今後はどのような練習をされていきたいですか
今まではスーパーシード級の選手と対戦する経験があまりなかったのですが、きょうは2回もそのレベルの選手たちと戦うことができたので、この経験を忘れずに、全日本予選で勝ち上がってもう一度レベルの高い選手に挑戦したいと思います。
岩永宜久(スポ2=福島・帝京安積)
――全日学選抜から今日に至るまでの約2週間、どのような練習を積まれてきましたか
全日学選抜では思ったようにプレーできず、久々の大会だったのもあって緊張してしまった部分があったのですが、この大会ではその反省を活かせるような練習をしてきました。
――今日の3試合を振り返ってください
1試合目と2試合目は競った試合を勝ちきることができて良かったのですが、3試合目の相手は何度か対戦している相手で、対策も積んできたつもりではあったのですが、相手のパターンになってしまって、自分のプレーができなかったので非常に悔しいです。
――3試合目で相手のパターンにさせてしまった要因は何だとお考えですか
相手はバックハンドが得意な選手だったので、フォアハンド側にボールを集めようとしていたんですけど、相手のバックを振らせてしまう展開から始まってしまったので、もっと早く自分の展開にできるようにボールを集めることができていたら良かったと思います。
――この大会を通しての良かった点と反省点を挙げてください
良かった点は競った場面でも粘れて、しっかりと振り切ることができたところです。悪かったところは、相手の得意なところや失点しているパターンを変えることができずに、相手のおいしいところにボールを結構打ってしまったところだと思っています。
――この大会を踏まえて今後どのような練習を積んでいきたいですか
今回の試合では、サーブレシーブの展開で相手に先に攻められてしまったり、しっかりと打てないところに返されてしまうことが多かったので、もっと自分のサーブレシーブから良い展開をつくっていけるような練習を心がけたいです。
――全日本選手権に向けての意気込みをお願いします
去年の全日本選手権では3回戦で負けてしまったので、今年はもっと上まで勝ち上がれるように今回の反省を踏まえて頑張っていきたいです。
松本累(商2=東京・早実)
――選抜を終えてから今大会までにどのような準備をされてきましたか
前回の試合では、自分から攻めていく展開のミスが多くて、そのプレーを今大会までに改善しようと思って準備していたのですが、今大会は自分が攻める展開にならないで相手に責められる展開が多かったので、自分のプレーを出し切れなかったことが今回の敗因かなと思います。
――今日の試合をふり返って良かった点はありましたか
序盤は良かったんですけど、終盤はけっこう相手に押される展開が多くて、それでも気持ち的には折れずに相手に向かっていくような姿勢でプレーできた点は勝ったと思います。
――反対に反省点はありますか
勝ちたい気持ちが先行してしまって相手のプレーがあまり見えずに自分がやりたいことをずっとやってしまったことが敗因で、もっと相手がどうしているんだろう、というのを見て、相手に合わせて自分がプレーを変えていくことができたらもっと良かったと思います。
――今後どのような練習に重点を置いていきたいと考えていますか
今回は相手のサーブを受けるレシーブという技術から消極的な感じで、相手に攻められることが多かったので、レシーブから自分で攻める展開を作れるようにレシーブを練習していきたいと思います。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
次の大会は来年春の関東学生卓球リーグ戦という試合なので、そこに向けて個人の力をレベルアップしていって、チームの勝利に貢献できるような選手になりたいと思います。
柏竹琉(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)
――大学入学後始めての公式戦だったと思いますが、どのような意気込みでこの大会に臨まれましたか
コロナでいろいろな大会が無くなって、この時期に初の大会を迎えて、大学の独特な雰囲気を感じることができました。ただ、試合ではそれに呑まれてしまった感じがしています。
――大学独特の雰囲気とは具体的にどのようなものですか
みんなが声を出していて、すごく圧を感じました。高校の時は気持ち的には割と楽にやれていたんですけど、早稲田大学というプライドの中で戦うプレッシャーに耐えられなかったという感じでした。ただ、それは今後試合を通してなれていける部分だと思うので、4年間でそのようなプレッシャーにもどんどん打ち勝っていきたいです。
――ご自身はTリーグにも所属されていますが、その環境で戦うプレッシャーともまた異なるのでしょうか
そうですね。Tリーグは観客の数がすごく多くて、相手も非常に強いので、失うものは無いという感じで意外と楽に向かっていけます。逆にきょうの相手は実力的には勝っているはずの選手だったのですが、勝たないといけないというプレッシャーがありました。
――きょうの試合で2ゲームを連取した後に3ゲーム立て続けに奪われてしまうという結果に終わりましたが、戦っている中でご自身に何か心境の変化があったのでしょうか
途中から相手の作戦が変わって、自分がしたいようなことができなくなって、技術的にもまくられてしまった要因はあったんですけど、一番は気持ち的に受け身になってしまいました。最初の2ゲームまではレシーブから攻めていって、しっかりと前に前にという意識のもとでできていたんですけど、途中から受け身になってしまってどんどん相手選手の調子を上げてしまったというところが大きかったですね。自分からもっと攻めていれば3-0で楽に勝てていた試合だったと思うので、非常に悔しいです。
――今大会を踏まえて、今後はどのような練習を積んでいきたいですか
バックを多用してしまって、結局バック対バックで崩されてしまったので、そこを鍛えるのはもちろん、バックサイドを回り込んでフォアで打つという「回り込み」を今回はあまり使えなかったので、今後はこれを実践で使って、苦手なバックにもしっかりとつけ込まれずに対応できるような練習をしていきたいです。
――今後の目標を教えてください
全日本選手権の予選は落ちてしまったので、次の大会は春のリーグ戦になります。かなり長い期間があるんですけど、あるからといってのびのびやるのではなく、今回の反省点を踏まえて、コーチからもアドバイスをいただいたので、そこをしっかりとやっていきたいと思います。
杉本和也(スポ1=福岡・希望が丘)
――試合を終えた今のお気持ちを教えてください
悔しい気持ちでいっぱいです。
――今日の試合を振り返ってみていかがですか
リードしていたところで受け身になることがあったので、そこが敗因だったと思います。
――逆に収穫はありましたか
大学生はパワーがある人が多いので、その人たちはラリーが強いのですが、台上で勝負できたのが良かったと思っています。
――試合中に長い中断がありましたが、何が起きていたのでしょう
鼻血が途中で出てしまって、それで休憩していました。
――改めて、今後の練習方針や課題を教えてください
大学生はみんなラリーが強くて、同じようなプレースタイルをしているので、自分がもう少し細かい技術で相手よりも上にいきたいと思います。
――次はどの大会に参加されるのでしょうか
1月に行われる全日本選手権に出場するので、そこで頑張りたいと思います。