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フェンシング部

2020.09.20

全日本選手権(個人戦・選抜) 9月17日~19日 駒沢体育館

全日本選手権に4選手が挑戦も、勝利ならず

 通常とは大きく異なり、各種目の出場枠が16名に制限され開催された全日本選手権(個人戦・選抜)。早大からは、4選手が出場した。日本を代表する実力者が集結した今大会に、果敢に挑むも壁は高く、勝利することはできなかった。それでも、コロナ禍で開催された今大会に出場できたことは、これからにつながる貴重な試合となった。

 小山が男子サーブルに出場

 初日に行われた男子サーブルに、小山桂史(スポ4=東京・クラーク)が出場する。初戦の対戦相手は、全日本選手権にて4度の優勝経験を持つ島村智博(警視庁)。小山は、島村と練習で何度か対戦をしたことがあり、相手の動きをイメージしてから試合に臨んだ。持ち前のスピードを生かす攻撃をした小山は、リードこそ奪えなかったものの、点差を広げられることなく、6-8で前半を終える。だが、「後半からは技術や動きが相手に読まれるようになってしまった」(小山)。前にダイナミックな攻撃を仕掛けてくる島村に対し、小山は後ろに下がるも受けきれず、立て続けにポイントを許した。何とか追いついていきたいところだったが、落ち着いていた島村の流れを止めることはできず、8-15でゲームセットとなり、初戦で姿を消すこととなった。

ダイナミックにアタックする小山

 溝口、狩野が女子フルーレに出場

 3日目に行われた女子フルーレには、溝口礼菜(スポ4=千葉・柏陵)と狩野央梨沙(スポ2=宮城・常盤木学園)が出場する。溝口の対戦相手は、去年の全日本選手権で優勝した辻すみれ(朝日大学)。守りに強い辻に対し、溝口はなるべく攻めずに待つ戦略で挑んだ。試合開始から、両者にらみ合いの時間が続く。だが試合開始から1分45秒ほどで、審判から消極的であるとしてイエローカードを出されてしまう。その後ポイントを徐々に許し、第1セットを0-3で終えた。第2セットに入り、「時間切れがきてしまうので、ちょっとずつ点数をまくろう」と、攻めの姿勢をとった溝口。だが、低い体勢で守りを固め、出足を突いてくる辻との打ち合いを制することはできず、一方的な試合展開に。第3セットも、溝口は接近しアタックするものの、相手の守りを崩すことはできず、2-15と大差をつけられた。連覇を狙う相手に、はね返される結果となった。

狩野は、大学1年生ながら世界ランキング7位の上野優佳(中央大学)と対戦する。「相手はオフェンスもディフェンスもとても上手い相手なので、チャンスだけ狙う意識」で試合に臨んだ狩野。目の前で剣を右回転、左回転と、ゆっくり大きく回し、相手の隙をうかがっていた。それでも詰め寄る上野にポイントを許し、2-5で第1セットを終える。試合を隣で見守っていたのは、姉で早大OBの狩野愛巳(令1スポ卒=現日清製粉グループ)。セット間に、姉から「足でしっかり下がるという意識よりも、相手が仕掛けてくるタイミングであえて下がらないというアドバイス」を受ける。そのアドバイスもあり、上野との打ち合いを制する場面もでてきた第2セットは、五分五分の展開となった。だが第3セットに入ると狩野は相手の素早いアタックを止めることができず、7-13で試合終了。勝利をつかむことはできなかった。

打ち合いからポイントを取った狩野(左)

 増田が男子エペに出場

 加納虹輝(令2スポ卒=現日本航空)、安雅人(令2スポ卒=現ワセダクラブ)が部を卒業し、早大男子エペの中心となった増田陽人(商3=岡山大安寺中教校)。対戦相手は、増田と一緒に練習をしている宇山賢(三菱電機株式会社)。「普段あまりしないことをしようと思っていました。なるべく我慢して、とにかく攻撃をしないで耐えて耐えて、勝負の時に、普段しないことをして驚かせて、攻撃を成功させて」、ロースコアの勝負を制する作戦であった増田。第1セットは前後に、第2セットは上下に、軽いステップを刻み、宇山の攻撃を耐えようとしていた。それでも「相手も(作戦を)理解していて、裏を取られた感じです。前半戦は、それがうまくいかなかった」と、第2セットでは、5連続でポイントを許した。追い込まれた第3セットだが、増田は軽いステップをやめ、相手の動きに反応せずに不意に入り込むなど、スタンスをガラッと変えた。「(宇山選手が)腕が長い選手だけあって、懐に入ってしまえば、自分の有利な方向に進めることができました」と、積極的な攻撃が有効に働き、点差を縮める。それでも積極的な攻撃は、反撃にも合いやすく、10-15でゲームセット。狙い通りの試合運びとは、ならなかった。

 コロナ禍のため、今大会を迎えるまでに多くの困難があった。「本当に練習場所がなく、フェンシングができない環境だったので、大変でした」(狩野)というように、フェンシングから強制的に離れざるを得ない状況にも置かれた。失われた感覚を取り戻すために、今まで以上に多くの苦労があったことだろう。次の大会がいつになるのか不透明であり、モチベーション維持することも工夫が必要であった。一方で時間ができたことから、「自分を見つめることができた」(増田)と振り返るように、それぞれが自身のフェンシングや将来を考える機会になった。
例年であれば今大会のあとには、関東大学選手権などが待ち受けている。だが感染防止の観点から中止が相次いで決定されるなど、依然として難しい状況が続くフェンシング界。開催が実現できた今大会も、感染対策徹底のため出場枠を16名にまで大幅に制限された。早大フェンシング部においても、出場できなくなった選手は少なくない。それでも「久しぶりに緊張感を味わえたので、この大会に出られたことに感謝しています」(狩野)というように、大会が開催されたことには、非常に大きな意味があった。12月には早慶対抗定期戦が開催される予定だ。例年通りとはならない今シーズンだが、限られた試合の中で、彼らが活躍する姿を願うばかりだ。

(記事 樋本岳、写真 大貫潤太、大島悠希)

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽男子サーブル

小山桂史(スポ4=東京・クラーク) 14位 


1回戦:●8-15 島村智博(警視庁)

▽女子フルーレ(エペ、サーブル)

溝口礼菜(スポ4=スポ4=千葉・柏陵)13位 


1回戦:●2-15 辻すみれ(朝日大学)

狩野央梨沙(スポ2=宮城・常盤木学園) 14位 


1回戦:●7-13 上野優佳(中央大学)

▽男子エペ

増田陽人(商3=岡山大安寺中教校) 16位 


1回戦:●10-15 宇山賢(三菱電機株式会社)

コメント

小山桂史(スポ4=東京・クラーク)

――試合を振り返っていかがですか

対戦相手が事前に分かっていたので、いろいろと考えながら試合に臨みました。実力では相手が上手ということは分かってはいましたが、前半は競る展開にはなったので、自分のペースを崩さずに始められました。後半からは技術や動きが相手に読まれるようになってしまったというところですね。

――何か対策を立てて臨まれましたか

イメージトレーニングとまではいかないですが、様々な場面を想定して臨むようにはしました。

――どのような意気込みで臨まれたのでしょうか

本日の対戦相手はこれまで何度か練習で対戦経験があり、1回戦はなんとか勝ちに行きたいと思っていました。

――今大会を迎えるにあたって、どういったことが大変でしたか

トレーニング面はもちろんですが、技術面以外にも体力面や筋力を鍛えるのが難しかったです。練習が再開されても、できる内容が限られていました。そのため、体づくりなどの根本的な部分が思うようにいきませんでした。

――逆にコロナ禍で得られたものは、何かありましたか

これまでは「とりあえず毎日練習して…」という感じだったので、感覚的に練習に取り組むことが多かったように思います。しかし、練習場から離れたことで、1度頭で整理してから臨もうという思いになりました。自分を見つめ直すきっかけになり、とても良い経験でした。

――先の見通しが立たない中ですが、今後の目標などがあれば教えていただけますか

やはり大会の再開が決まっていない中で、何かの大会に向けて頑張っていくということは難しい現状ではありますね。それでも、このコロナ渦で得られたものもありましたし、これまでとは違った視点で見られるようにもなったので、生かしていきたいです。特に、もう少し安定して勝てるようなフェンシングを目指していければな、と思います。

溝口礼菜(スポ4=千葉・柏陵)

――きょうの試合を振り返ると

相手が去年のチャンピオンだったので。でも勝ちたい思いが強く、びびってしまい、相手のダイナミックな攻撃にやられました。

――前回優勝の辻すみれ(朝日大学)が相手と決まってから、どのような戦略を持って臨みましたか

守りが強い選手なので、なるべく攻めたくない戦略でやっていました。想像よりも上だったので、分析以上だなと感じています。

――第2、第3セットでは攻めの姿勢も見えましたが、どのような切り替えをされましたか

いかないと負けてしまう。時間切れがきてしまうので、ちょっとずつ点数をまくろうと思ったのですが、そのちょっとずつに迷いがあって、相手のダイナミックな技にやられました。

――今大会を通じて、改善していきたい部分は見えましたか

コロナの影響で試合慣れをしていなかったので、少しずつ試合の勘を取り戻したいということで、試合をやることが課題です。

――コロナ渦の中で大変だったことはありますか

3カ月くらい部活もやれていなくて、1日休んだら3日分休んだと言われるくらいなので。

――やはり感覚を戻すのが大変でしたか

戻すのに時間がかかって、ディベロップができたのかなというと難しく。やれることはやったのですが、実力を相手に見せられたなと思っています。

――逆にコロナ渦の中でプラスにできた部分はありますか

自分しか試合がなかったので、チームメイトが一生懸命サポートをしてくれました。本当にありがたさを感じれたのがプラスだったと思います。

――今大会はどのような大会でしたか

いつもとは少し違うなと思っていて、コロナウイルスの検査に2時間かかったり、チームメイトがいないことで、しっかりとアップできなかったりしました。ただ試合に出れて良かったと思える大会でした。

――これからの目標をお願いします

来年もフェンシングを続けるので、来年こそは個人でも団体でも上の順位にいきたいと思います。

増田陽人(商3=岡山大安寺中教校)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

相手がものすごく強いので、ロースコアの少ない点数でリードして勝つという作戦ではあったのですが、それを相手も理解していて、裏を取られた感じです。前半戦は、それがうまくいかなかったのかなと思います。

――対戦相手が宇山賢(三菱電機株式会社)ということでしたが、どういった戦略で臨まれましたか

一緒に練習をしているので、普段あまりしないことをしようと思っていました。なるべく我慢して、とにかく攻撃をしないで耐えて耐えて、勝負の時に、普段しないことをして驚かせて、攻撃を成功させていこうという気持ちで臨みました。

――第3セットではかなり攻めに転じたと思いますが、どのように切り替えましたか

細かいステップで動いていましたが、2セット目が終わった時点で、それをやめて、止まってみたり、相手の手に反応せずに大きく入り込むなど、変化をしました。

――第3セットでの攻撃に関して、いかがですか

(宇山選手が)腕が長い選手だけあって、懐に入ってしまえば、自分の有利な方向に進めることができました。前半では緊張があり、懐に入りきれず、そこを狙われてしまったのかなと思います。

――今大会をむかえるまでに、どのようなことが大変でしたか

モチベーションを保つことが大変でしたね。同じ練習相手と同じ練習を、同じ場所と時間帯でするしかない一方で、コロナ禍で外出できないことからリフレッシュ方法が限られてしまい、マンネリ化からモチベーションが下がることを、どう防ぐか、自分の中で考えていました。

――逆にコロナ禍でプラスになったことはありますか

1番大きかったことは、自分を見つめることができたことがありますね。来年に就活があり、この先も競技を続けていきたいのですが、どういう企業に勤めるのかなど、今までは練習ばかりで何も考えていなかったです。自粛期間中に、今自分はどういう成績があり、どのポジションで、どの企業さんであったらよいのか、どういうことをアピールしたら雇ってくれるのかなど、先のことを考えることができたのかなと思います。

――これからの目標を教えてください

団体戦では、12月に早慶戦があります。去年まで、すごい強い先輩たちがいたのですが抜けられて、新チームになりました。男子エペは何十年も負けていないので、確実に勝っていきたいなという気持ちがあります。長い目標だと、パリ五輪があります。そこに向かって、一つずつ準備をしていきたいと思います。

狩野央梨沙(スポ2=宮城・常盤木学園)

――同世代の上野優佳(中央大学)選手が対戦相手でしたが、どういった意識で臨まれましたか

相手は世界ランキング7位ということで、自分がどこまで戦えるか、チャレンジ精神の方が大きかったです。

 

――攻める場面と相手の出方を見て反撃してた場面が見受けられました。実際はどういう意識でプレーされてましたか

相手はオフェンスもディフェンスもとても上手い相手なので、チャンスだけ狙うと意識でプレーしていました。

――ビハインドの展開で考えてたことや、どのような心理で戦っていたか、教えてください

3セット目まであまり焦らずに試合していました。自分が負けている状態で点数を欲しがることが相手に対して1番の思う壺になってしまうと思ったので、無理して点数をとりに行こうとは思っていませんでした

――姉の狩野愛巳(日清製粉グループ)からセット間に、どのようなアドバイスを貰っていましたか

1セット目では、まず相手のアタックを足でしっかり切ることを意識していましたが、うまくいかず、セット間では、足でしっかり下がるという意識よりも、相手が仕掛けてくるタイミングであえて下がらないというアドバイスを受けました。1セット目よりも2セット目の方が試合運びは良かったと思います。

――コロナ期間で1番苦労したことは、どのようなことですか

コロナ期間の初めのほうは、本当に練習場所がなく、フェンシングができない環境だったので、大変でした。体重も増えました(笑)

――一方で自粛期間を経て、プラスになったことはありますか

遠征が続いていて、自分のフェンシングを振り返る時間がなかったので、自分を見直すいい時間になりました。ウェイトトレーニングにも時間を費やすことができました。

――残念ながら大会中止が相次ぐ中で、開催された今大会でしたが、いかがでしたか

今大会への出場が決まった時には、直近の目標ができたので、練習にやりがいを感じながら頑張れることができました。また、久しぶりに緊張感を味わえたので、この大会に出られたことに感謝しています。

――今後の目標を教えてください

2024年のパリ五輪で金メダルを取ることが長期の目標です。短期の目標では、早慶戦があるので、もっと強くなって活躍できるように頑張ります。