野球部
2020.04.19
東京六大学秋季リーグ戦 1960年11月7日 神宮球場
金澤、拙守に泣く 打線も奮起せず優勝へ黄信号/早慶6連戦 2回戦
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
慶 大 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | |||||
早 大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |||||
(早)●金澤―野村 ◇(三塁打)所 |
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両校共に優勝が懸かる中での早慶戦。前日の1回戦では慶大有利という下馬評を覆し、早大がエース安藤元博(教3=香川・坂出商)の力投などで先勝を果たした。土曜日の試合が雨天順延となっていたためこの日の2回戦は月曜日だったが、講義が休みになった学生らが大勢詰めかけ、6万人の大観衆が神宮球場を埋め尽くした。このカード2勝0敗なら優勝が決まる早大は、今季3勝を挙げている金澤宏(商4=山口・岩国)が先発。一方後がない慶大は、昨季の早慶戦で先発、救援として連勝に大きく貢献した三浦清にマウンドを託した。
金澤は早慶戦直前の練習で右手を負傷し、必ずしも本調子というわけではなかった。その立ち上がり、先頭打者こそ抑えたが、2番・榎本博明を四球で出塁させてしまう。するとすかさず盗塁を決められ、1死二塁のピンチに。次打者を投ゴロに打ち取って2死とするが、4番・大橋勲を迎えた場面でそれは起こった。榎本に三盗を企てられると、捕手・野村徹(政経4=大阪・北野)は焦ったか、三塁送球が大きく逸れてしまう。この間に榎本が一気に本塁へ生還。下手投げであるがゆえに投球動作が大きいという弱点を突かれ、思わぬかたちで1点を献上することとなった。
さらに続く2回、連打と敬遠四球で無死満塁と絶体絶命の大ピンチを背負う。8番打者を抑えて1死とし、打順は9番の三浦へ。ここで慶大・前田祐吉監督は勝負に出る。なんとまだ1回しか投じていない三浦を代え、代打玉置忠夫を送り出したのだ。するとその初球、捕手・野村が痛恨の捕逸を喫する。1点を追加され、なおも二、三塁から玉置の打球は一ゴロに。ここで一塁手・村上唯三郎(1=愛媛・西条)は三塁走者が本塁に突入すると思ったのか、一塁を踏まずに本塁へ送球。しかし三塁走者は動いておらず、野選で再び満塁としてしまった。金澤は続く打者に押し出し四球を与え、この回2失点。しかし後続は断ち切ったことで、試合の大勢を決められることは阻止した。
3回以降は金澤が立ち直り、慶大のスコアボードに0を並べる。反撃したい打線は3回、1死から所正美(4=県岐阜商)が三塁打を放って好機を演出すると、金澤の犠飛で1点を返した。しかしその後は前日の救援失敗の雪辱に燃える慶大2番手・角谷隆の前に、得点を奪うことができない。5回には石黒行彦(3=宮城・仙台一)が本盗を狙うが、成功させることはできなかった。すると9回、金澤は無死から6番・村木博に三塁打を許すと、1死後にスクイズを決められ万事休す。その裏打線は先頭打者こそ出塁したものの後続が倒れ、1-4で敗戦を喫した。
これで1勝1敗となり、今度は慶大が優勝に王手をかけた。早大は何とか2勝1敗として優勝決定戦に持ち込むべく、背水の陣で翌日の3回戦に臨むこととなる。
3回戦の記事に続く(4/26更新予定)
(記事 池田有輝)
※学部は判明者のみ記載、名前と学年は当時