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相撲部

2019.11.10

第97回全国学生選手戦 11月3日 大阪・堺市大浜公園相撲場

集大成のインカレは悔しい結果に 夢は次代へ

 土俵上に浮かんだのはまたしても苦い表情だった。年に1度の全国学生選手権(インカレ)。この舞台でベスト8入りを果たすことは早大相撲部にとって何よりの悲願だった。Bクラストーナメントでは決勝で法大を下し、見事優勝。幸先のよいスタートを切ったかのように見えた。ところが、Aクラスでは勝ち点もぎ取ることはできず、結果は0勝4点。13位という順位に終わった。

  3年ぶりのBクラススタートとなった早大。ルーキー二人の活躍も光り、順調に決勝へと駒を進めた。しかし、決勝では勝ち頭の一人である二陣の長谷川聖記(スポ3=愛知・愛工大名電)がまさかの敗北。中堅を終えた時点で1—2という後がない状況となった。ここで土俵に立ったのは前日に室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)がキーマンとして名前を挙げていた佐藤太一(社4=大分・楊志館)。いなしを交えながら果敢に攻める佐藤だったが、相手は簡単には落ちない。長い相撲となった。佐藤は中に入り、我慢。右の腕を返すと、自らの体を預けるようにしてすくい投げを決めた。執念を見せた佐藤に対して室伏監督は、「(この相撲が)彼がやってきたことの全て」と最大の賛辞を贈った。続く大将の橋本侑京主将(スポ4=東京・足立新田)が立ち合いから相手を圧倒すると、早大は見事Bクラス優勝を果たした。

Bクラス優勝に大きく貢献した佐藤(奥)

 Aクラス予選1回戦では日大と対戦。学生相撲界屈指の強豪校相手に長谷川、橋本が渾身(こんしん)の相撲で白星を挙げた。Bクラス優勝、日大相手に2勝。ここまでの流れは決して悪くなかった。室伏監督も「いけるかなというのがどこかにあった」と振り返る。しかし、勝負の世界はそう甘くない。決勝トーナメント進出のために是が非でも勝ち越さなければいけない九州情報大戦で4連敗を喫し、1—4。悪い流れを断ち切ることができないまま続く同大戦でも大きく負け越してしまい、無情にも13位という結果でインカレは幕を閉じた。

同大戦で敗れ、天を仰ぐ橋本

  大会を増すごとにチーム力の向上を見せていた早大相撲部。選抜大会では二度ベスト8入りを果たした。だからこそ、今年こそはという思いを誰もが抱いていた。しかし、突きつけられた現実はまたも厳しいものだった。「とにかく悔しい」(佐藤)。ベスト8の壁まで『あと一歩』のところだっただけに悔しさのにじむ土俵となった。

  選手、監督が悔しさを吐露したその一方で、橋本は明るい口調で「チームとしてはやりきれた」と語った。早大相撲部はこの1年間わずか7人で強豪校相手に下克上を挑み、数々の土俵を沸かせてきた。目標を叶えることはできなくとも、そのチーム力は多くの人の胸を打ったことだろう。「いいチームだった」と語る橋本の表情はとても晴れやかだった。インカレベスト8の夢までは『あと一歩』。『もう一歩』前へ進めるのは次代の使命である。今年度限りで相撲部を引退する4年生の思いも乗せ、早稲田の相撲道はこれからも真っすぐと続く。

(記事、写真 望月清香)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

Bクラス優勝を果たした早大

★「ありがとう」に包まれた四年間

四年間共に戦った三人

「三人でつくったチーム」。橋本主将は試合後にこう口にした。三人とは橋本、佐藤、そしてマネジャーの富樫みちる(文構4=千葉・東葛飾)だ。

  高校時代から大相撲を見るのが好きだった富樫。「好きなものに携わりたい」との一心で早大相撲部の門を叩いた。しかし、マネジャーとしての活動は決して楽なものではなかった。他の部活動のマネジャーが練習のサポートや試合の記録などを通して直接競技と関わるのに対し、相撲部のマネジャーの主な仕事は料理。相撲を陰で支えるいわば『女将業』だ。それまであまり料理経験のなかった富樫は当初は戸惑いを覚えた。またマネジャーだけでなく、サークル活動にも励んでいたため、金曜日の帰宅時間はいつも夜遅く。翌日の朝9時に自宅から1時間半かかる稽古場に通うことは決して容易ではなかったはずだ。それでも富樫は道場に通い、部員のために栄養バランスの整った料理を作り続けた。「なぜマネジャーをこれまで続けてこられたのか」。そう尋ねると返ってきた答えは「どんなに大変でも行きたいと思わせてくれる場所だったから」だった。

 富樫にとって早大相撲部は「宝物」であり「一番の居場所」なのだという。大好きなチームに貢献したい。そんなどこまでも真っすぐでひたむきな思いが彼女の原動力だった。その思いは徐々に部員にも伝わっていく。「マネージャーも含めて相撲部」(佐藤)。「チームの一員というか中核」「感謝しかない」(橋本)。入部当初、部員との間に距離感を覚えていた富樫の姿は今はもうどこにもない。富樫は早大相撲部にとって欠かすことのできない存在となっていた。「全員に対してありがとうって思っている」(富樫)。周囲への感謝の気持ちを忘れない富樫はいつしかたくさんの愛と「ありがとう」に包まれていた。

  このインカレをもって、四年間慣れ親しんだ土俵に別れを告げ、新たなステージへ一歩踏み出す。彼女の人生はこれからもきっとたくさんの「ありがとう」で溢れることだろう。

(記事、写真 望月清香)

結果

Bクラス準々決勝 対大東文化大 4勝1敗

先鋒 ◯田太初段(押し出し)城代弐段

二陣 ◯長谷川参段(押し出し)阿部選手

中堅 ●鳥居弐段(上手投げ)有川参段

副将 ◯佐藤弐段(突き落とし)小野里四段

大将 ◯橋本参段(押し倒し)橋本弐段

Bクラス準決勝 対専大 3勝2敗

先鋒 ●田太初段(突き落とし)戸田参段

二陣 ◯長谷川参段(寄り倒し)福田初段

中堅 ◯鳥居弐段(下手投げ)牧園参段

副将 ●佐藤弐段(押し倒し)工藤弐段

大将 ◯橋本参段(寄り倒し)山本弐段

Bクラス決勝 対法大 3勝2敗

先鋒 ◯田太初段(突き出し)松浦初段

二陣 ●長谷川参段(首投げ)望月弐段

中堅 ●鳥居弐段(押し出し)一佛弐段

副将 ◯佐藤弐段(すくい投げ)上平弐段

大将 ◯橋本参段(押し倒し)雑賀参段

※Bクラス優勝

Aクラス予選1回戦 対日大 2勝3敗

先鋒 ●田太初段(叩き込み)石岡参段

二陣 ◯長谷川参段(上手投げ)榎波参段

中堅 ●鳥居弐段(下手投げ)イェルシン参段

副将 ●佐藤弐段(叩き込み)沢田参段

大将 ◯橋本参段(押し出し)川副参段

Aクラス予選2回戦 対大東文化大 1勝4敗

先鋒 ●田太初段(寄り切り)山中参段

二陣 ●長谷川参段(寄り切り)ムンクバット初段

中堅 ●鳥居弐段(浴びせ倒し)末大初段

副将 ●佐藤弐段(押し出し)宮崎参段

大将 ◯橋本参段(押し出し)末陸弐段

Aクラス予選3回戦 対同大 1勝4敗

先鋒 ●二見弐段(寄り切り)村上参段

二陣 ◯長谷川参段(外掛け)デミデジャムツ初段

中堅 ●鳥居弐段(寄り倒し)田中参段

副将 ●佐藤弐段(突き落とし)竹林参段

大将 ●橋本参段(寄り切り)トゥルクトクホ参段

※予選敗退 決勝トーナメント進出ならず

コメント

室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)

――きょうの結果を振り返っていかがですか

残念ですね。日大に2点取って、九州情報や同志社には春先勝っていたのでいけるかなというのがどこかにあったんですが、やっぱりここで勝てないのが弱さというか本当の意味での強さはついていないのかなと思いました。

――Bクラス優勝という結果についてはいかがですか

Bクラスで優勝したのは本当に良かったと思います。勢いがついて「よし」っという感じでいて、初っ端が日大だったので…。日大で勝っていれば話は変わったのかなと思います。

――日大戦では負け越しはしましたが、橋本選手、長谷川選手はいい相撲で勝ったのではないでしょうか

いい相撲でした。本当にいい相撲でした。

――やはり九州情報大戦がチームとしてのヤマ場だったのでしょうか

やっぱりあそこで勝たないと。あれで気持ち的に切れたところがあったと思うのでそういうところの修正をチームでしていかないといけないと思うし、来年の課題です。インカレで勝てなくて悔しい思いをしていつも終わっているので、今後なんとかしないとなと思います。

――同大戦を前にオーダーの変更がありました。田太隆靖選手(スポ1=東京・足立新田)を二見颯騎選手(スポ2=東京・足立新田)に変更した意図を教えてください

(田太は) Bクラスは良くて、めいいっぱい取れましたし、使わないと駄目だなと思って使っていましたが、二見は来年は中心選手にならないといけない選手なので、やはり来年のことを考えても二見は使わないといけないなと思いました。最初から二見を使うつもりもあったんですが、今回は1年生を鍛えないといけないと思って(田太を)先発にしました。この先のことを考えました。

――昨年に続き、あと一歩のところでの敗退となりました。何が足りないのでしょうか

何が足りないのかを僕自身も追求しないとなと思います。どうやって鍛えるのか、それが練習なのか、メンタル的なことなのか、そういったところを見直してやりたいなと思います。

――今大会が最後のインカレとなった橋本選手、佐藤選手への思いを教えてください

これは涙が出てしまうんですが、よくやったと思います。入ってきた当初は二人とも弱くて大丈夫かなと思った子だったので。橋本も高校時代そんなに実績を残していたわけではなくて大学に入ってからなので、よくあそこまで強くなったと思います。感慨深いものがありますし、稽古はうそをつかないということを彼らが実践してくれたと思います。

――佐藤選手は法大戦での相撲が良かったですね

いい相撲でしたよね。ああいう一番が彼がやってきたことの全てなのかなと。あそこで負けたら終わりだという状況の中で、彼がやってくれたというのは非常に大きいなと思います。

――最後に、来年はどのようなチームをつくっていきたいか教えてください

本当に一からですね。橋本、佐藤が抜けた穴はすごく大きいのでそれをどうするかと考えるとまだまだ考えないといけないなと思います。それぞれの代のチームカラーがあるので、今度は長谷川を中心にどんなカラーになるのかまだ分からないですけど、頑張ってほしいなと思います。

橋本侑京(スポ4=東京・足立新田)

――最後のインカレが終わった今の率直な気持ちを教えてください

団体戦でベスト8に入りたかったのですごく悔しいんですが、やれることはやったのかなと思います。主将としてチームをまとめるという仕事を僕なりに頑張った結果がこれなので、そんなに悔いは残っていないのかなと思います。

――右ひじにテーピングをしていましたが、どうされたのですか

きのうの個人戦の3回戦くらいの時にひじが極まって靭帯が伸びてしまったみたいで腫れていました。病院は行ってないんですが、曲げるのが痛くてコンディションはあれだったんですが、それでも自分なりの相撲が取れていたのかなと。満身創痍の中、頑張れたんじゃないのかなと思います。

――Bクラスで優勝し、日大相手に2勝したところまではいい流れだったのではないでしょうか

Bではしっかり勝てました。前日に個人でベスト8に入ったのでBで負けられないなという気持ちもありました。自分から前に攻められていたので良かったと思います。日大戦ではひじもこんな状態でちょこまかできないので一発で持っていくつもりでいました。3回とも立ち合いで一気に攻めていこうという気持ちを持って取り組みました。

――やはり九州情報大戦がチームとしてのヤマ場だったのでしょうか

九州情報と同志社でどっちも勝って2勝を取りたかったです。やっぱり、九州情報で勝って勢いをつけて同志社を迎えたかったんですが、同志社も農大(東農大)に勝って勢いがついていました。あそこでやっぱりどうしても勝ちたかったですね。

――学生相撲最後の団体戦はやはり勝って終わりたかったですね

そうですね。やっぱり最後締めて終わりたかったんですが、ちょっとまだ自分の甘さが出たので、しっかり精進しないとなと思いました。

――学生相撲最後の団体戦が終わった今、悔しいという気持ちとやりきった気持ちはどちらが強いですか

僕の場合、まだ試合があるんですが、チームとしてはやりきれたのかなと。もちろん悔しいですが、僕と佐藤と富樫と3人でつくれる僕らなりの色の出たチームを最後のインカレまでつくり上げられました。見ている人からしても面白いチームをつくれたのかなと思います。

――どんなチームでしたか

僕が主将ですが、あまり怒ったりしないというか、僕が指示を出したりすると、太一(佐藤)が「こうしたらいいよ」とかって言ってくれるので、僕は結構自由にやらせてもらいました。本当に仲のいいチームで選手同士のコミュニケーションがとれたと思います。僕は主将ですけど、後輩から言われたりもするので、僕も締めるときは締めるんですが、太一が締めるところをしっかり締めてくれるのでいいバランスだったと思います。富樫は裏でしっかりサポートしてくれましたし、1年生の新しく入ってきた千華ちゃん(吉村、法1=東京・東京学芸大付)によく教えてくれたりしました。自分で言うのもなんですがいいチームだったと思います。

――最後に後輩たちへメッセージをお願いします

インカレに早稲田は弱いところがあるし、僕らの代は東日本(学生選手権)で1部に上がれなかったんですが、宇和島(全日本大学選抜宇和島大会)で日大に勝ってベスト8になったりもしました。僕が(全国大学選抜宇佐大会で)2位になったのも長谷川が(東日本学生個人体重別選手権で)優勝したのもチームがあってこその結果だと思っています。本当にチームとして力はついてきたと思うので自信を持ってやってほしいですし、結果が出た選手は自信を持ってほしいし、負けたからといって落ち込むことはないと思います。主将の僕がそこまで引き上げられなかっただけなので今回の負けを気負わずに楽しんで取ってほしいです。来年は来年で4年生が引っ張っていくと思うので、僕らのいいところはまねしていいですし、悪いところは直して、いいチームをつくってもらいたいです。僕も来年度もできる限り早稲田の相撲部に関わっていきたいなと思っているので影ながら応援していきたいです。

佐藤太一(社4=大分・楊志館)

――最後のインカレが終わった今の率直な気持ちはいかがですか

今は終わったというよりかはさっきの取り組みの悔しさが勝っています。

――最後の土俵となりましたが、何か意識することはありましたか

あんまり思いこまずに最後最後と思うと緊張してしまって体が動かないと思ったのであんまり意識しないでいました。

――どのような気持ちで臨みましたか

きょうはやっぱり来年につなげたいという気持ちが大きかったです。来年の選抜大会もそうですし、1部に上げて終わりたかったんですが、どっちも達成できなかったので悔しいです。

――後輩たちのためという気持ちが強かったのですね

最後に(後輩に)残せるものはと考えたら春の経験を積んでもらいたいというのと1部になってもらいたいというのがありました。いろいろな人が「1部に上がりたい」という気持ちでいたので実行できなくて残念です。

――Bクラス決勝の法大戦での相撲はすばらしかったのではないでしょうか。振り返っていかがですか

自分の相撲が取れたかなと思います。足がけっこう出ていたし、我慢もできたので良かったかなと思います。

――長谷川選手が星を落としてしまい、後がない状況となりましたが、プレッシャーなどはありませんでしたか

どちらにしろ自分が(白星を)取って回したいなと思っていたのでそこまで動揺というのはなかったです。いつも通り相撲が取れたのかなと思います。法政はいつも合同稽古とかでやっているのでいつも通り頑張ろうという気持ちでした。きょう一番良かったと思います。

――Aクラスでは残念ながら白星を挙げることができませんでしたが、振り返っていかがですか

1部になると簡単に取れなかったというのがありますね。ちょっとうまくいかないところが自分の中でありました。2回戦と3回戦はどちらも自分が取らないといけないところで落としてしまってこういう結果になってしまったので悔しいです。

――やりきったという気持ちよりも悔しさが強いと

悔しいです。とにかく今はそういう感じです。全然駄目というよりはチャンスはあったのに惜しいところで取れなかったのでそこが悔しいです。

――最後に、早大相撲部での四年間はどのような四年間でしたか

監督の部活の運営の仕方や人柄というのがあって、すごく人として成長させてもらった四年間だったと思います。選手としてだけではなくいろいろな面で成長できたかなと思います。

長谷川聖記(スポ3=愛知・愛工大名電)

――きょうの結果を振り返っていかがですか

目標としていたベスト8を達成できなかったので悔しいという思いが強いです。4年生を気持ちよく送り出せなかったのが申し訳なかったなと思います。

――Bクラス決勝の法大戦では敗れてしまいましたが、きょうのご自身の状態はいかがでしたか

状態は悪くなかったんですが、稽古でよくやっている相手で動きとかも分かっていたので、向こうの方が考えていたのかなと思います。

――Aクラス予選1回戦の日大戦での相撲はいい相撲だったのではないでしょうか

いい相撲であったんですが、あれがBクラスとかで出なかったのは駄目なところかなと思います。

――九州情報大戦を振り返っていかがですか

やっぱり勝たないといけない立場でああいう相撲を取ってしまったので、その後の人に勢いをつけられなかったのかなと。そういうところをしっかり 勝たないといけないなと思います。

――13位という結果を受けて今のお気持ちは

悔しさはありますけど、今の順位や結果が現状なので受け止めないといけないなと思います。

――橋本選手、佐藤選手と土俵に上がるのは今大会が最後になりましたが、お二人への思いを教えてください

本当に一つ学年違いでいろいろお世話になって、相撲の面でもチームを引っ張ってきてもらったので本当に感謝の思いしかないです。

――最後に、来年に向けての意気込みをお願いします

自分が引っ張っていかないといけないという自覚はあるのであしたから動いていかないとな思っています。

――どのようなチームにしたいですか

今まで先輩たちがつくってきた「みんなで勝つ」というのをつくりたいです。人数が少ないのでみんなで力を合わせて勝てるようなチームにしていきたいです。