野球部
2019.11.02
東京六大学秋季リーグ戦 11月2日 神宮球場
目の前で胴上げ… 投打で慶大に完敗/慶大1回戦
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
慶 大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 1 | 7 | |||||
早 大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |||||
(早)●早川、柴田―岩本 |
---|
最後の打者が打ち取られた瞬間、『宿敵』はマウンドになだれ込み、歓喜の輪をつくった。慶大はこの日の勝利で3季ぶり37度目の優勝が決定。同校91年ぶりの偉業となる10戦全勝優勝に王手をかけた。一方の早大は、8季連続で優勝から遠ざかっている。目の前で切望してきた優勝を決められる、悔しい試合となった。
代打・小藤翼副将(スポ4=東京・日大三)が三ゴロに倒れ試合終了
試合は序盤から動く。2回裏、加藤雅樹主将(社4=東京・早実)と岩本久重(スポ2=大阪桐蔭)の安打で2死一、三塁とし、打席には中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)が入った。初球のカーブを引っ張ると打球は右前に抜け、早大が先制に成功。生還した加藤は拳を突き上げ、喜びをあらわにした。
しかし一筋縄ではいかないのが早慶戦だ。中川卓の適時打の後、なおも2死一、二塁の場面で早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)が右前打を放つも、右翼手・中村健人(4年)のレーザービームに阻まれ追加点はならず。直後の3回表には、2死一塁からゴールデンルーキー下山悠介に適時三塁打を浴び同点に追い付かれてしまった。普段は冷静な下山も、三塁ベース上でガッツポーズ。慶大ベンチも総立ちで下山をたたえるなど、まさに両校の意地がぶつかり合う。
先制適時打を放つ中川卓
その後、早大は我慢の展開が続く。先発の早川は4、5回と走者を得点圏に背負ったが要所を締め、5回1失点と試合をつくって同点のまま試合は後半戦へ。『次の一点が大きく勝敗を左右する』。球場にいる誰もがそんな雰囲気を感じていた。
グラウンド整備を挟み、迎えた6回表。この回先頭の4番・郡司裕也主将(4年)を相手に、捕手・岩本が出したサインは外角低めのツーシームだった。しかし早川が投じた初球は真ん中高めへ。「ボールでもいいという要求。失投だった」(早川)。郡司の振り抜いた打球は左翼スタンドに突き刺さり、慶大が勝ち越し。試合の行方を左右する1点を奪われてしまった。
それでもバッテリーは「ソロだったので、切り替えて1点で抑えよう」と開き直り、後続を打ち取って味方の反撃を待つ。しかしその裏から慶大リリーフエース津留﨑大成(4年)がマウンドに登ると勢いを完全に封じられ、反撃の糸口がつかめない。劣勢の中、粘投していた早川だが8回。郡司に2打席連続本塁打を浴び、万事休すとなった。早川はその後走者を2人出したところで降板。後を継いだ柴田迅(社3=東京・早大学院)も流れを止めることができず、この回4点を失った。9回にも失点する一方、打線は慶大投手陣の前に沈黙。1-7で敗北を喫した。
郡司に2本目の本塁打を浴び、悔しさを浮かべる早川
『(慶大に優勝を決められるのは)三度目。悔しい。それだけです』。試合後、加藤は語った。早大に残された道はただ一つ。あす3日の2回戦に勝利し、塾の全勝優勝を阻止することだけだ。
(記事 望月優樹、写真 江藤華、金澤麻由)
黄字は打点付き
早大打者成績 | |||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (左) | 田口喜将 | 3 | 0 | 0 | .281 | 二ゴ | 二ゴ | 右飛 | ||||||
打 | 佐藤純平 | 1 | 0 | .400 | 左飛 | ||||||||||
中 | 山田淳平 | 0 | 0 | 0 | .111 | ||||||||||
2 | (二) | 金子銀佑 | 4 | 0 | 0 | .296 | 空三 | 三ゴ | 三ゴ | 二ゴ | |||||
3 | (三) | 福岡高輝 | 3 | 1 | 0 | .282 | 二ゴ | 空三 | 左安 | 四球 | |||||
4 | (右) | 加藤雅樹 | 4 | 1 | 0 | .214 | 一安 | 一ゴ | 三ゴ | 二ゴ | |||||
5 | (遊) | 檜村篤史 | 3 | 0 | 0 | .056 | 投犠 | 右直 | 中飛 | 三ゴ | |||||
6 | (捕) | 岩本久重 | 4 | 1 | 0 | .214 | 右安 | 二飛 | 遊ゴ | 二飛 | |||||
7 | (中) | 蛭間拓哉 | 3 | 0 | 0 | .211 | 空三 | 遊ゴ | 一ゴ | ||||||
投 | 柴田迅 | 0 | 0 | 0 | ― | ||||||||||
打 | 小藤翼 | 1 | 0 | 0 | .222 | 三ゴ | |||||||||
8 | (一) | 中川卓也 | 3 | 1 | 1 | .190 | 右安 | 二ゴ | 空三 | ||||||
9 | (投) | 早川隆久 | 2 | 2 | 0 | .250 | 右安 | 二安 | |||||||
中左 | 瀧澤虎太朗 | 1 | 1 | 0 | .095 | 中安 |
東京六大学秋季リーグ戦星取表 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 慶 大 | 法 大 | 立 大 | 早 大 | 明 大 | 東 大 | 勝ち点 | 勝 | 負 | 勝率 | |
1 | 慶 大 | ※ | ○3-1 ○2x-1 |
○4-3 ○2-0 |
○7-1 | ○4-1 ○2x-1 |
○13-4 ○10-0 |
4 | 9 | 0 | 1.00 |
2 | 法 大 | ●1-3 ●1-2x |
※ | ○2-1 ○5-3 |
○1-0 ○2-0 |
○2-0 ○2-1 |
○2-0 ○6-4 |
4 | 8 | 2 | .800 |
3 | 立 大 | ●3-4 ●0-2 |
●1-2 ●3-5 |
※ | ○5-2 ●2-5 ○4-0 |
△5-5 ●1-6 ○6-1 ○1-0 |
○6-1 ○6-0 |
3 | 6 | 6 | .500 |
4 | 早 大 | ●1-7 | ●0-1 ●0-2 |
●2-5 ○5-2 ●0-4 |
※ | ●0-4 ○6-2 ○4-1 |
○4x-3 ○3-0 |
2 | 5 | 6 | .455 |
5 | 明 大 | ●1-4 ●2-5 |
●0-2 ●1-2 |
△5-5 ○6-1 ●1-6 ●0-1 |
○4-0 ●2-6 ●1-4 |
※ | ○4-2 ○8-0 |
1 | 4 | 8 | .333 |
6 | 東 大 | ●4-13 ●0-10 |
●0-2 ●4-6 |
●1-6 ●0-6 |
●3-4x ●0-3 |
●2-4 ●0-8 |
※ | 0 | 0 | 10 | .000 |
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コメント
小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)
――試合を全体的に振り返っていかがですか
7回までは何とかいいかたちのゲームにはなりましたが、8回、9回(で突き放されました)。少し早川(隆久、スポ3=千葉・木更津総合)を引っ張り過ぎたということで、継投ミス、監督の責任です。あすあさって巻き返せるように頑張ります。
――今季はここまで全試合、中川卓也選手(スポ1=大阪桐蔭)が2番でしたが、きょうは金子銀佑選手(教3=東京・早実)を2番に起用されました。どのような意図がありましたか
相手は(左投手の)髙橋(佑樹、4年)なので、(右打者の)金子を2番に入れてうまく機能すればと考えていました。下に落とした中川(卓)が打ったので、それはそれで結果が出たのでこちらの考え通りだと思います。しかし、1点しか取れないというのはね。もう少し打線が機能するようにあしたあさっては頑張ります。
――5回が終わって1-1でした。グラウンド整備中にナインに伝えられたことはありましたか
いえ、特別なことはないです。もう嫌というほど、彼らも聞きたくないくらい「早慶戦は特別だ」ということを言い続けていますから、それをまたゲーム中にとやかく言っても始まらないので。しっかりと全員が認識して自覚してやっていると思っていましたので。
――先ほど「引っ張り過ぎてしまった」というお話がありましたが、改めて早川投手の投球についていかがでしょうか
本当は最後まで投げなければならないレベルのピッチャーです。この秋我々の思っている以上のピッチングを一度もしていないので、その点は歯がゆい感じがします。ただ来年に向けて、この一年間でこちらの期待は十分に伝えているつもりなので、その気になってくれると思います。
――最後に、あす以降の試合に向けて一言お願いします
もう後がないので、何とか一矢報いることができるように頑張ります。
加藤雅樹主将(社4=東京・早実)
――本日の試合を振り返っていかがでしたか
力負けです。実力の差を感じました。
――先制には成功しましたが
良いかたちで先制できたんですけれど、その後をゼロで抑えられず、流れをつかみ切れなかったです。
――慶大が優勝した瞬間の感情はどのようなものでしたか
(目の前で優勝を決められるのは)三度目なんですけれど、悔しいです。それだけです。
――あすに向けた意気込みをお願いします
本当に最後なので、悔いなくやり切りたいです。
早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)
――目の前で胴上げを許すかたちとなりました
勝てたゲームだったのかなというのもあります。目の前で胴上げされて、自分に対しての苛立ちというのもありますし、悔しいというのが率直な気持ちです。
――「勝てたゲームだった」というのは、同点で試合を折り返せだからでしょうか
そうですね、あそこの時点で「いけるかな」という感じはあったので。整備後の初球(郡司裕也主将(4年)に勝ち越し本塁打を打たれた球)とか、しっかりやらなければなと思います。
――『次の1点』が勝敗を分ける展開だったと思います。6回以降はどのような投球プランで攻めるつもりだったのでしょうか
岩本(久重、スポ2=大阪桐蔭)とは「イニングの初球の入り方はこうしよう」としっかり話していた中で、自分が失投してホームラン打たれてしまって。ホームラン一発ぐらいならそんなに流れは変わらないと感じて、そこまで引きずらずに投げようと思っていたんですけど、相手の投手が津留﨑さん(大成、4年)に代わってからは(逆転も)厳しかったかなと思います。
――郡司選手に勝ち越し本塁打を許した球は
ツーシームです。ボール球でいいという要求だったんですけれども、真ん中に入ってしまって。そこは反省したいです。
――試合前に「抑えたい」と話していた柳町達副将(4年)や郡司選手に安打を許しました
柳町さんは初回に打たれましたけど、その後は修正して抑えられて良かったと思います。けれども郡司さんは初回の空振り三振で火を付けてしまったのかなと思います。しっかりその後も投げ切らなければなりませんし、やはりキャプテンなので。郡司さんが打ってチームに相当勢いが付いていったのかなと思います。
――あす負ければ、慶大に偉業を許すことになります
そういう記録が懸かっているのは向こうにはプレッシャーですし、逆に自分たちはプレッシャーなく戦えると思うので、相手にプレッシャーを与えられるようなベンチワークをしていきたいと思います。
瀧澤虎太朗(スポ3=山梨学院)
――結果を受けていかがですか
目の前で慶応の優勝を見たのは初めてで、悔しい気持ちです。
――安打を放った打席を振り返っていただけますか
追い込まれた後にバットを一握りくらい短く持って、何とか食らい付いて打った結果がヒットにつながったので良かったです。
――段々と調子は上がっているということでしょうか
調子自体は悪くないので、上がっていると思います。
――チームの雰囲気はいかがでしたか
雰囲気自体は試合前、試合中良かったんですけど、向こうのペースに終盤飲み込まれてしまって、後半はもうどうしようもありませんでした。
――あすは森田晃介(2年)投手との対決が予想されます
打席があるか分からないですけど、そのチャンスがあったら打てるように動画見て攻略法を考えたいと思います。
――あすに向けてお願いします
出場する機会があれば必ずチームに貢献したいのと、(慶大の)10勝の全勝優勝だけは避けたいので、必ず勝ちたいと思います。
岩本久重(スポ2=大阪桐蔭)
――きょうのスタメンはいつ伝えられましたか
伝えられたのはきのうでしたが、自分はずっと出るつもりで準備していました。
――普段の試合とは全く異なる雰囲気だったと思いますが
そうですね。観客も慶応側が多かったですし、雰囲気的にはアウェー感もありました。けれど受け身にならずに、いつも通り自分のプレーはできたと思います。
――第1打席では先制点につながる安打を放ちました
カーブを狙って、最悪でも進塁打になるように打ちました。
――5回終了時で同点、次の1点が勝敗を分ける局面だったと思いますが、意識していたことは
逆転するまでは無失点で抑えようと思っていましたが、郡司選手に2本も本塁打を打たれましたし、一球のところで負けたかなと。勝負強さは慶応の方が上だったなと思います。
――郡司選手に浴びた1本目の本塁打を振り返って
真ん中に入ってきてしまったんですけれど、失投を逃さずにうまく打たれました。
――本来思い描いていたコースは
アウトコースに構えていました。
――その後の早川投手へのケアは
ソロだったので、しっかり切り替えて1点で抑えようと対応しました。
――回を重ねるごとに慶大打線の強さを見せつけられるかたちとなりましたが、終盤を振り返って
粘り強さもそうですし、何としても打つという姿勢、ベンチの雰囲気は後半になるにつれて凄みを増していたと思います。
――あすへの意気込みを
(慶大の)全勝優勝を阻止するのもそうですし、勝ち点を取り切って今シーズンを終えたいと思います。
中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)
――早慶戦の雰囲気はどうでしたか
春にも出たのですが、すごい雰囲気の中でやらせてもらっているので、出させてもらっていることに感謝しながらプレーしました。
――きょうは慶大の優勝が懸かっていました
絶対に負けないぞという気持ちだったんですけど、それを上回る相手の気迫、全勝優勝するぞという気持ちがあったので、素直に負けを認めて、あしたは切り替えてやろうと思います。
――打順が8番に下がった中で、1打席目の先制適時打はお見事でした
(7番の)蛭間(拓哉、スポ1=埼玉・浦和学院)に回った時点で最悪の事態、三振で2死一、三塁を想定して控えていたので、いい準備ができていたなと思います。
――打った球種は
カーブです。
――あすの慶大は同校91年ぶりの10戦全勝優勝が懸かっています。阻止に向けての意気込みをお願いします
早稲田としての最後の意地を見せて、全勝優勝を阻止して勝ち点を挙げられるように頑張りたいと思います。