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ヨット部

2019.08.14

早慶定期戦 8月11・12日 神奈川・葉山

負けられない一戦で宿敵を振り切る

 今年で79回目を迎える早慶定期戦が神奈川・葉山の地で行われた。慶大は早大にとって長年のライバルであるととともに、5月の関東春季学生選手権(春インカレ)で王座を明け渡した因縁の相手である。秋の関東学生選手権(秋インカレ)、全日本学生選手権(全日本インカレ)での勝利に向けて、絶対に落とせない一戦。2日間、計7レースにわたり接戦が繰り広げられたが、最終レースで慶大を突き放した早大が総合26点差で勝利を収めた。

 初日は風に恵まれ、計5レースが行われた。470級は、第1レース、田中美紗樹(スポ4=大阪・関大第一)・新井健伸(商2=東京・筑波大付)組が最後に慶大の艇をかわし、トップでフィニッシュしたが後続が続かず、慶大に先行を許す。続く第2、3、4レースでも苦戦を強いられ、第4レース終了時点で差は24点に。しかし、この日最後の第5レースでは、早大が奮起し、田中・新井組と西村宗至朗(社2=大阪・清風)・秦和也(基理4=東京・早大学院)組が前半からレースを引っ張る。後半に順位を上げた倉橋直暉(スポ1=福岡・中村学園三陽)・吉村大(人4=埼玉・県浦和)組もこれに続き、1位から3位を占めた。特に田中・新井組はフィニッシュ直前で首位に立つなど、勝負への強い執念を感じさせるレースを見せた。スナイプ級は第1レースで蜂須賀晋之介(スポ2=茨城・霞ヶ浦)・海老塚啓太(政経3=神奈川・鎌倉学園)組が1位、松尾虎太郎(スポ3=山口・光)・海老原崇(法4=埼玉・川越東)組が2位となり、慶大に4点差をつけるまずまずの出だしに。第2レースでは谷川隆治(商3=千葉・稲毛)・高橋康太(商4=埼玉・早大本庄)組が躍進を見せ、トップでフィニッシュ。チームレースらしく互いに助け合いながら、第4レースまでのすべてのレースでワンツーフィニッシュを果たし、じわじわと点差を広げていく。1日目終了時点までにスナイプ級は28点のリードを奪い、470級の出遅れをカバーして総合では12点差の首位に立った。

スナイプ級で活躍した松尾虎・海老原組(左)と蜂須賀・海老塚組

 2日目は一転して風が弱く不安定な難しいコンディションになったが、「不安定な風の中の方が(実力差が出るため)順位も大きく変わるので、きのうとは風が変わりましたが、それは早稲田にとってはいい方に働いたと思う」(秦)、「(2日目に吹いた)北風はすごく得意」(倉橋)と選手たちは気に留めず平常心を貫いた。この日最初のレースでは470級で田中・新井組が後続を大きく引き離し独走し、スナイプ級では早大が1位から3位を占めてレースを進めていたが風の影響でノーレースに。風を待って行われた第6レースで470級は倉橋・吉村組がトップフィニッシュを飾るも、ほかの艇が6位から8位に沈む。スナイプ級は前日に引き続き全艇危なげない走りで慶大との差を広げた。続くレースも途中でノーレースになり、勝負の行方は最終第7レースへ。ここで初日同様、470級が意地を見せ、ワンツーフィニッシュを果たすと、スナイプ級でもここまであまり振るわなかった入江裕太(スポ4=神奈川・逗子開成)・原潤太郎(商4=埼玉・早大本庄)組がトップでフィニッシュ。最終レースで突き放し、239-265で総合優勝を手にした。

470級のレースの様子。倉橋・吉村組(左から2番目)と田中・新井組(左から3番目)

 負けられない一戦で見事勝利を収め、多くの選手が安どの表情を浮かべた。確かに全レースで引き分け以上の成績を収めたスナイプ級、勝負どころの各日最終レースに勝利した470級ともにさすがの戦いぶりと言えるだろう。しかし、見方を変えれば、470級はほかの5レースでは勝利を譲り、総合でも最終レースを前にして12点差と最後までどちらに転ぶかわからない、実力拮抗の試合でもあった。「誰にも負けない動作を、自信を持ってレースで発揮できるようになるまで取り組んでいきたい」(田中)、「この人たちなら確実に日本一を取ることができると思ってもらえるところまでもっていきたい」(松尾虎)と高い目標を掲げているからこそ、その理想と現状にはまだ乖離がある。練習に裏打ちされた確かな自信と王者の風格をまとって西宮に乗り込むため、鍛錬の夏はまだまだ続く。

(記事 町田華子、写真 橋口遼太郎、加藤千咲、金澤麻由)

閉会式後の集合写真

結果

▽470級

〇早大(田中・新井組、西村・秦組、倉橋・吉村組、小泉凱皇(スポ2=山口・光)・嶋田篤哉(文構4=神奈川・鎌倉学園)組、佐香将太(スポ3=岩手・宮古)・松本健汰(政経2=東京・早大学院))133-119慶大

▽スナイプ級

〇早大(松尾虎・海老原組、蜂須賀・海老塚組、入江・原組、谷川・高橋/川合組)106-146慶大

▽総合

〇早大239-265慶大

コメント

470級クルー秦和也主将(基理4=東京・早大学院)

――26点差での総合優勝となりました。今回の早稲田全体を振り返っていかがですか

チームで総合優勝をすることができましたが、それぞれのクラスで問題点もありました。なので、慶応に勝っていたかというとそうでない部分の方が多いと思っています。全日本インカレへ向けての夏合宿で鍛えていきたいと思います。

――きょうは難しいコンディション下でのレースとなりましたが、その点はいかがでしたか

きのうとは風が変わりましたが、それは早稲田にとってはいい方に働いたと思っています。不安定な風の中の方が(実力差が出るため)順位も大きく変わるので、逆転するチャンスは多かったりするからです。そのチャンスを逃さずに生かすことができたのが、きょうの勝因だと思っています。

――秦選手にとっては久しぶりの実戦の場となりました。調子や感触などはいかがでしたか

けがの影響はほぼありません。しばらく練習をできていなかった分、心配はありましたが、これまでと同じ西村(宗至朗、社2=大阪・清風)と乗って、二人でいいレースができたと思います。

――きのうの第5レースでは2着でした。あのレースを振り返っていかがですか

個人の成績というのは関係なくて。チームで助けたり助けられたりした結果での2位なので。470チームに取らせてもらった順位だと思います。

――一方、他のレースでは順位が振るいませんでした

チームに大きな貢献ができなかったという点では悔しい思いがあります。ですが、総合優勝をすることができたので。個人の成績については重く捉えてはいません。ただ、内容は決していいものではなかったので、次は全日本個戦になりますが、そこではまた上位を目指して戦っていこうと思います。

――夏も折り返しですが、現在のチームの状況についてどう感じられていますか

だんだん上り調子になっています。まだオリンピックの選考があり(チームを)抜けているメンバーもいますが、集中して練習することのできる時期なので、今の調子をさらにつなげて残り3カ月頑張っていきたいと思います。

――最後にチームとして、ご自身としての今後への意気込みをお願いします

チームとして、全ては(インカレでの)総合優勝のために何でもします。主将としてチームの勝利を第一にしていきたいと思います。

470級スキッパー田中美紗樹(スポ4=大阪・関大第一)

――470級全体を振り返って

初日はシンプルなレースができなくて自ら失速してしまうシーンが全艇多く見受けられたんですけど、2日目はその反省からシンプルに風とマークを見て戦うということと、相手との駆け引きというところは少し成長したのかなと思います。

――前回の同志社定期戦では田中選手ご自身は不調とのことでしたが、今大会での調子はいかがでしたか

あまり気負いすぎないというのを思っていて。チームを勝たせないと、と思うとやっぱり無理してしまうことが多くなって、その分自分の成績につながらない。チームを助けることも必要なんですけど、まずは自分がポイントを取ることが第一優先だと考えて、レースの前半には自分が優位な位置に立てるように心がけました。

――470級は春イン(関東学生春季選手権)に続いて慶大に破れるかたちとなりましたが、結果についてはどう感じていますか

ビッグフリートと8艇のレースでは大きく違う部分もあって、ビッグフリートのレースだと私自身が他の艇の様子を見ることができないんですけど、今回はそれができたのでそれぞれの船に必要な課題を伝えられたのがプラスになったかなと思います。

――夏合宿で強化していきたいポイントは

元々チーム全体でスタートを課題として取り組んでいたんですけど、夏合宿は誰にも負けない動作を、自信を持ってレースで発揮できるようになるまで取り組んでいきたいなと思います。

――話が変わりますが、先日出場された470級世界選手権を振り返っていかがでしたか

ジュニアワールド(世界ジュニア選手権)に引き続き同じペアでの出場ということもあって調子はすごく上がっていて、昨年の世界選手権やその後のシニアの国際大会と比べれば自分たちのレースができて、上位の選手と絡む瞬間も多くなってよかったです。でもダウンウインドがまだまだ遅くて第1マークをいい成績で回っても、そこで抜かれていつもと同じくらいの下から3分の1くらいになってしまったのが大きな心残りではあります。東京五輪の選考は今回で終わってしまったんですけど、次のパリ五輪に向けて私自身は活動したいと思っているので次に向けての課題だと思って取り組んでいきたいと思います。

――次に出場する大会とそこでの目標を教えてください

東京五輪の選考は終わってしまってはいるんですけど、(東京五輪の代表を選考する)3大会目だったワールドカップに出場することになっているので、そこでメダルレース出場を目標に頑張っていきたいと思います。

スナイプ級スキッパー谷川隆治(商3=千葉・稲毛)

――今大会ではトップフィニッシュ2回など好成績のレースが多かったですが、そのレースを振り返っていかがですか

成績がよかったレースは相手をあまり意識せず、自分のコースやボートスピードに対して集中できたのでいい結果が出たと思います。逆に7番でフィニッシュしてしまったレースでは、チームレースということもあって相手を意識しすぎて自分の取りたいコースを取ることができず、悪くなってしまったと思います。

――ご自身の調子はいかがでしたか

調子はそれほど良くはなかったと思います。夏合宿に入ってからもヨットの実技の授業があったりしてあまり練習はできていなかったので、まあまあくらいでした。

――クルーの変更がありましたが、どのような意図があったのですか

高橋さん(康太、商4=埼玉・早大本庄)とは普段乗っていなくて、川合(大貴、商2=埼玉・早大本庄)とはよく乗っているのでコンビネーションが合うのではないかと思ってクルーが変わりました。

――団体戦では各クラス3艇がレギュラーになると思いますが、レギュラー争いについて意気込みはありますか

次の大きな大会としては全日本個人選手権(全日本個選)が9月に蒲郡であるので、そこでまず成績を残してレギュラーに食い込めるように頑張っていきたいです。

――今後に向けて一言お願いします

全日本個選で入賞することを目標に頑張っていきたいと思います。

スナイプ級スキッパー松尾虎太郎(スポ3=山口・光)

――スナイプ級での練習時間が少ない中でのレースとなりましたが、いかがでしたか

僕はあまり緊張していなかったので(笑)。いつも通りしっかりやればいいかなと思っていました。

――きょうは難しいコンディションの中でのレースとなりましたがいかがでしたか

きょうは、自分にとってもあまり納得のいかないダサいレースになってしまいました(笑)。風があまりない中で、今まであまりスナイプに乗っていなかったこと(の影響が)出てしまったのかなと思います。

――最終レースは8位に終わりました

すみません、ほんとに(笑)。あれは自分のミスです。それで8番になってしまっただけなので。もう少し頑張らなければいけないなと思うことばかりですね。

――早慶戦全体を振り返っていかがでしたか

いいところもすごくありましたが、基本的には課題ばかりが見つかりました。この後すぐに、早稲田の部を抜けてプロのチームで470のレースに出るのですが、それにつながるところもあったのかなと思います。

――早慶戦はチーム戦でした。第2レースではチームプレーも見られましたが、チーム戦ということについてはいかがですか

僕はいつもみんなを助けてあげなければいけないポジションにいます。なので、みんなを助けることをいつも考えていて。僕がいることで、みんなが少しでも気楽にできたらいいなと思っていました。

――東京五輪選考会に出場中だと思いますが、いかがですか

すごく厳しい戦いですが、あともう一戦、W杯があるので、そこでいい結果がでるように頑張っていきたいと思っています。

――最後に今後への意気込みをお願いします

早稲田では、僕は9月に部に戻ってきます。その時は、12月の全日本インカレまで残り2カ月しかありません。今(早稲田の)スナイプチームは日本でもかなり強い状態です。なので、その2カ月で、それをさらに強く。この人たちなら確実に日本一を取ることができると思ってもらえるところまでもっていきたいと思います。オリンピックの方は、本当に厳しい戦いで、470の方はさらに高いレベルで戦っています。一つのミスが命取りになるようなレースから学ぶことができることも多いので、オリンピックを目指すことはもちろんですが、自分のヨットのスキルをより上げていくきっかけにできればいいと思います。

スナイプ級クルー海老塚啓太(政経3=神奈川・鎌倉学園)

――早慶戦にはどのような目標を掲げて臨みましたか

僕たちは4番艇として、まず足を引っ張らないということ、松尾君(虎太郎・スポ3=山口・光)みたいに自分の味方を助けるみたいなことはできると思っていなかったんですけど、とにかく自分たちの走りをして、1艇でも相手を抜かすことが目標でした。

――調子はいかがでしたか

予想よりもすごく走ってボートスピードも出たし、コース取りも冴えていたので、テスト明けとかいろいろイベントがあったので全然練習できていなかったんですけど、実際の走りはすごく良かったです。

――軒並み上位をそろえましたが、その要因は

松尾君やほかの艇の助けもあったんですけど、とにかく自分の走りに集中する、相手を意識しすぎないというところだと思います。スタートしてなるべく早くフリーな位置に出て自分たちが取りたいコース取り、取りたい風を取って、コースを引いたらおのずと前に出てきていい順位につながったのかなと思います。

――第1レースと第5レースでトップを取りましたが、振り返っていかがですか

とてもうれしかったです。両方とも松尾君に助けてもらってのトップフィニッシュだったので、個人としてはまだ満足はいかないんですけど、チームとしてトップフィニッシュを飾れたということはとても大きなことだったかなと思います。

――2日目は風が弱く難しいコンディションでしたが、どのように捉えていましたか

2日目の1レース目が成立したのはすごく良かったなと思っていて、2レース目あたりで風が落ちるだろうなと思っていたんですけど、トップで走っていたのがノーレースになったのはちょっと残念でしたね。

――ペアの蜂須賀選手(晋之介・スポ2=茨城・霞ヶ浦)がスタートとリスクヘッジを特に意識していると話していましたが、今回のレースではその点はいかがでしたか

リスクヘッジは基本的にはできていたと思ったんですけど、チーム戦として考え切れていない部分があって、個人としていい順位を取ることを意識しすぎて別の方向に行ってしまったり、味方のカバーができなかったりという部分がありました。自艇としてはリスクヘッジはできたんですけど、チーム全体のリスクを回避することまでは見られていなかったかなと思うので、そこは課題だと思っています。

――今後の意気込みをお願いします

全日本学生個人選手権、秋インカレ(関東学生選手権)、全日本インカレ(全日本学生選手権)が控えている中で、今回はとてもいい走りができたので、これから夏合宿でもっと力をつけて上位で走れるようにできたらいいなと思います。

470級スキッパー倉橋直暉(スポ1=福岡・中村学園三陽)

――どのような目標を掲げて臨みましたか

早稲田が勝つということだけでした。

――それに向けて調子はいかがでしたか

調子は良かったです。周りをすごく見ることができていて、落ち着いてレースに臨めていたので良かったと思います。

――八景島での合宿で重点的に取り組んでいることはありますか

僕はスピードが課題なので、ボートスピードの改善に取り組んできました。

――ご自身の結果を振り返っていかがですか

全体的に言うと、まず落ち着いてレースができたなと思っていて、順位が悪い時も次どうやって抜かそうかとか次ちゃんと気持ちを切り替えようとかそういうことができていたので、前向きに臨めたレースでした。

――初日に比べて2日目は順位が良いレースが多かったですが、改善した点はありますか

初日は南風だったんですけど、きょうは北風で北風が僕すごく得意なのでそこだと思います。

――2日間のレースで得た課題は

丁寧な動作が課題です。焦った時の動作のミスが多くて、雑になってしまったので、そこでもっと気持ちを落ち着かせていつでも冷静な判断ができるように、日々の練習でもっと詰めて練習していきたいなと思います。

――次のレースに向けて意気込みをお願いします

5番以内。