ハンドボール部
2018.11.11
全日本学生選手権 11月11日 大阪市中央体育館
堅守から流れをつかむ!盤石な試合運びでベスト8進出/2回戦・対関学大
「自分たちの流れを60分間継続できたと思います」(高田紗妃主将、スポ4=福岡・西南学院)。早大が大舞台で、ベストゲームを見せた。全日本学生選手権(インカレ)2日目。相対したのは前日の1回戦で富士大を下し勝ち上がってきた関学大だ。前半はロースコアの接戦となったが、得意のディフェンスからリズムをつくり、オフェンス陣が奮起。最後まで一度もリードを譲らぬまま試合を制し、3回戦へと駒を進めた。
前半は4年生が流れをつくった。序盤で島崎愛(社4=熊本国府)が得た7メートルスローのチャンスを久保涼子(スポ4=群馬・富岡東)が確実に決め切り先制。さらに関東学生秋季リーグ(秋季リーグで)は得点機が少なかった島崎は積極的にゴールに向かっていった。速攻に加え、フェイントを混ぜたポストシュート。前日の試合後、「前半から点に絡めるようにしたい」と口にしていた島崎がその言葉を体現して見せた。ディフェンスでは相手のセンターの動きを封じるために敷いた1−5ディフェンスが功を奏す。トップの高田が高い位置からプレッシャーをかけることで相手に思うような動きをさせず、失点を最小に抑えることに成功。セットディフェンスが機能すると、それは得点に結びつく。1回戦では見ることができなかった早大のテーマ、『ディフェンスから速攻』の形からの得点も生まれ、徐々にムードが高まっていった。相手キーパーの好プレーに阻まれ、テンポよく得点を重ねることはできなかったが、要所でサイドの職人・杉山瑞樹(社3=神奈川・横浜創英)のシュートが光り、8−7の1点リードで前半を終えた。
前半の得点に絡んだ島崎
後半に入ってもディフェンスの集中力は切らさなかった。全員で足を動かし、声を出し、つけ入る隙を与えない。必死にボールに食らいつく一つ一つの泥臭いプレーが、関学大オフェンスを沈黙させた。得点シーンでは下級生が躍動する。前半無得点に終わっていたエース吉田瑞萌(スポ2=東京・佼成学園女)は「前半のことを一切忘れて新しいゲームだと思って臨めた」と気持ちを切り替え、気迫のカットインで得点をもぎ取る。さらに、「支えてもらった4年生に恩返しのプレーを見せたい」と語っていた期待のルーキーコンビ阿部美幸(スポ1=東京・佼成学園女)・紅林詩乃(スポ1=東京・佼成学園女)は2人で5得点を挙げ、関学大を突き離した。前日に多く見られたパスミスもこの日は格段に減り、「バックチェックの仕方を徹底していた」(高田)ことで、速攻からの失点を0に抑える。関学大との得点差はみるみる開いていき、完全にワセダのゲームに持ち込んだ。要所ではケガのため戦線を離脱していた金庭亜季(社4=群馬・富岡東)が出場。「何か一つでもプレーで恩返しをしたい」と語っていた金庭がリバウンドを拾い、『得点』という最高の形でチームに貢献すると盛り上がりは絶頂に。そのまま1度も流れを渡さぬまま試合終了。5カ月越しに早関定期戦の決着もつけ、ベスト8に進出した。
吉田は後半目を覚ました
安定した試合運びで『連戦の2日目』を制した早大。4年生も全員が出場し、完璧なゲームを見せてくれた。しかし、「頂点を目指すにはここで満足してはいけない」(久保)。選手たちはすでに次の試合を見据えている。あす早大と対戦するのは関東リーグに所属する東海大だ。春・秋のリーグでは敗戦を喫しているが、「今のワセダできょうの雰囲気だったら絶対に勝ち切る力はある」(金庭)。三度目の正直。東海大と当たる今年最後の公式戦で、リーグ戦のリベンジを果たす。
(記事 宅森咲子、写真 湯口尊、白石智奈美)
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全日本学生選手権 | ||||
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早大 | 22 | 8−7 14−9 |
16 | 関学大 |
GK 北村早紀(スポ3=群馬・富岡東) LW 杉山瑞樹(社3=神奈川・横浜創英) LB 吉田瑞萌(スポ2=東京・佼成学園女) CB 伊地知華子(社4=宮崎学園) PV 島崎愛(社4=熊本国府) RB 富永穂香(スポ4=東京・佼成学園女) RW 久保涼子(スポ4=群馬・富岡東) |
コメント
高田紗妃主将(スポ4=福岡・西南学院)
――素晴らしいゲームでした。勝利の感想をお願いします
優勝する、日本一になるための大事な一戦だったんですけど、勝てて良かったなと思います。
――きょうの試合展開はいかがでしたか
自分たちの流れを60分間継続してできたなと思います。(ボールを)ポロっとするミスだったり、ちょっとやばいなというところもあったんですけど、セットディフェンスだったり、セットオフェンスにしても堅く攻めて堅く守ることができたので、流れを相手に渡さずにできたと思います。
――最初は今までと違うディフェンスシステムを敷いていましたが、その意図を教えていただけますか
センターの14番の子がユースの代表でキーマンだということはわかっていたので、あの子に自由にさせないようにきょうのシステムを取りました。
――それがうまくいったということでしょうか
そうですね。序盤からハマってくれたと思います。
――ディフェンスが良かったと思いますが、ディフェンス面を振り返っていかがでしょうか
きのうの試合が終わった後に、ディフェンスから速攻が前半0本だったというところが反省として出たので、やっぱりディフェンスをもっと厚く、そして速攻に持っていこうという話をしていました。それが前半の序盤からできたので流れがこっちにきたんじゃないかなと思っています。
――オフェンス面ではパスミスも少なく、逆速攻もありませんでした
ミスが起こるのはわかっていて、ミスも実際起こったんですけど、バックチェックの仕方を徹底していたので、それが相手にハマってくれて失点もなく、良かったと思います。
――あすに向けて一言お願いします
去年の先輩たちと今ベスト8で並んでいるので、先輩たちを超えるというところでも一勝したいと思いますし、メダルも懸かっていますし、東海大とはずっと戦ってきている関東の仲間なので、しっかりと勝ちきりたいと思います。
金庭亜季(社4=群馬・富岡東)
――勝利の感想をお願いします
率直にうれしいです。きのうは結構危ない試合で、出だしは悪くないのにズルズルしてしまって中盤離されてしまいました。でもきょうは前半競っていたけどリードは譲らずに後半から一気にガッとワセダの流れをつくれたことがよかったと思います。
――良かった要因は何でしょうか
技術面ももちろんそうなんですけど、きょうはコート全員、ベンチ全員がハンドボールを素直に楽しんでいたのかなと思います。雰囲気というと抽象的で嫌なんですけど、一人一人の気持ちが前面に出ていたのかなと思います。
――きょうはディフェンスがすごく良かったと思います。見ていていかがでしたか
いいな!って思いました(笑)。ワセダの持ち味はディフェンスだと思うので。秋リーグ(関東学生秋季リーグ)から通して安定しているなと思っていて、紗妃(高田主将、スポ4=福岡・西南学院)が引っ張ってみんなの運動量を増やして。もう、見ていて安心します。
――金庭選手自身は、以前「プレーで貢献したい」とおっしゃっていましたが、きょうは得点が生まれましたね
あれはラッキーゴロでしたよね(笑)。きのうもちょっと出させてもらったんですけど、久しぶりの公式戦だったのでビビっちゃってて。相手にというより自分にビビっちゃってたなというのがあって、先輩たちにも「亜季ビビってるよ」って言われたんですけど、自分もそうだなと振り返って思って。きのうえじ(江島朋夏、スポ4=東京・佼成学園女)がいいプレーしていたじゃないですか。えじの早スポのコメントとか見ても、「チャンスというのは何回もくるものじゃない」と言っていて。私はずっと試合に出ていたからそんな風に言えていなかったなと思って。それはこういう(ケガ人の)立場になったから気づけたというか。きょうは素直にハンドボールを楽しみたいとか、いい姿を見せたいなと思ったし、自分が自分がって欲張るんじゃなくて、自分のやれる役割をもう一回振り返ってみて、きのうイメージづくりしていました。
――あすに向けて一言お願いします
あしたは東海大で、秋季リーグで惨敗してしまった相手で、あの時はメンタル的にもやられてしまった部分もあります。でも今のワセダで、きょうの雰囲気だったら、厳しい相手ではあるんですけど絶対勝ち切る力はあると思うので、絶対勝ちます!
久保涼子(スポ4=群馬・富岡東)
――お疲れ様でした。勝利の感想をお願いします
もう普通にうれしいです。あしたも試合ができるのと、きょうは(4年生が)みんな出れたのでそこは大きかったなと思います。
――ベスト8ということで先輩方の記録と並びました
まあ並ぶことはスタートだと思っています。頂点を目指すにはここで満足してはいけないので、超えていきたいと思います。
――関学大と対戦する上で対策していたことはありますか
早関定期戦で引き分けだったんですけどそのときこちらは阿部(美幸、スポ1=東京・佼成学園女)と紅林(詩乃、スポ1=東京・佼成学園女)がいなくて、向こうもセンターをやっている子がいなかったんです。きのうのミーティングでその子がある程度のプレーはしてくると話したので、どう守るかは一つカギでした。
――安定した試合運びができた要因は何でしょうか
きょうはディフェンスで最初1ー5を敷いたんですけど、それが上手く機能して。やられている部分もあるんですけど、許容範囲というか。自分たちで崩れることがないディフェンスができたんだと思います。
――オフェンスでもミスが少なかったように思います
関学大が結構高めでプレーするタイプだったんですけど、そこを愛(島崎、社4=熊本国府)が下を切ったり、詩乃(紅林)が裏へスライドしてサイドへ落としたり、要所で上とポストが絡まっていたのが良かったと思います。
――自身のプレーは振り返っていかがでしょうか
きのう迷惑をかけてしまった部分があるので、絶対にペナ(ペナルティスロー)は決めようと思っていました。けどそこだけじゃなくてこの大会を通じて速攻の精度が上がりきっていない部分があります。サイドシュートも含めてもう少しワセダらしさを出せると思うので、頑張ります。
――最後にあしたへ向けて意気込みをお願いします
あしたももちろん勝ちます!
吉田瑞萌(スポ2=東京・佼成学園女)
――お疲れ様でした。まず勝利への感想をお願いします
はい、うれしいです。まずはきょねんの先輩の記録に並んだということで、うれしいなと実感しています。
――試合前の雰囲気はいかがでしたか
会場が開くのが遅くてアップも短かったのでバタバタしていたんですけど、前半からみんなで盛り上げて入れたので、良かったと思います。
――安定した試合運びができた要因は何ですか
瑞樹さん(杉山、社3=神奈川・横浜創英)や愛さん(島崎、社4=熊本国府)が、最初から気迫を持ってどんどんシュートを狙っていけていたので、後半自分にもチャンスが回ってきて良いリズムでいけたかなと思います。
――後半5得点を挙げられました。自身のプレーは振り返っていかがですか
前半0得点だったので、ちょっとやばいなと思っていたんですけど(笑)。後半は前半のことを一切忘れて新しいゲームだと思って臨めたので、5得点挙げることができて良かったと思います。
――最後にあすへ向けて意気込みをお願いします
あすは関東対決でまだ東海大には勝ったことがないですけど、きょうしっかり話して最後インカレで勝てるよう頑張りたいと思います。
阿部美幸(スポ1=東京・佼成学園女)
――素晴らしいゲーム内容でした。勝利の感想をお聞かせください
また4年生たちと試合ができると思うととても嬉しいです。
―試合全体を振り返っていかがですか
前半はとてもミスが多く、運良く一点勝っていた感じだったのですが、後半は本来の力を出すことができて、早稲田大学らしく勝てて良かったです。でも次からの試合では後半の逆転がさらに難しくなると思うので、前半については反省点が多いです。
――今回の試合では、オフェンスのパスミスがとても少ないように見受けられました。その点についてどう思いますか
試合の序盤ではロングパスのミスが目立つ部分がありましたが、それ以降は外でも中でも繋ぐという声かけをチーム全体が積極的に行い、ミスの減りに繋がったと思います。
――後半、阿部選手自身の得点シーンが見られました。プレーを振り返っていかがですか。
まだまだな部分もありますが、本領発揮できて良かったです。
――あすの試合に向けて一言お願いします
あしたの相手はおそらく、まだ一回も勝利したことがない東海大学なので、絶対勝ちます!
紅林詩乃(スポ1=東京・佼成学園女)
――お疲れ様でした。勝利の感想をお願いします
まあとりあえず一安心っていう感じがあって。前半から、あんまりポポポポンって(シュートを決めると)いうことができなかったので。しかも、早関戦(早関定期戦)いなかったので、ちょっとどうなるかなって思ってたんですけど、まあとりあえず勝てて、あしたも試合できるということで、一安心です。
―素晴らしいゲームだったと思うのですが、試合展開を振り返っていただけますか
試合の前半の立ち上がりは、毎回の課題だったんですけど、きのうもきょうもそんなに悪くなくて。試合の前半は良かったんですけど、決めきるところで決めきれなかったりというところで点差を離すことがなかなかできなかったのは、そこは反省でまた課題となることだなと思います。後半は、もうやるしかないということで、結構全員が走り回って、全力で、勝つってことよりも楽しもうってことで、できたのが良かったなって思います。
――オフェンスではパスミスが少なかったと思うのですが、その点に関していかがですか
きのうに比べて、全員の足が動いていたので、そのパスミスがなかったのは良かったかなって思います。
――紅林選手自身、後半得点が見られましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
どちらかというと、点取ったのも速攻だったので、まあなんか良いとこに走ってたなっていうのは自分でも思うんですけど(笑)。セットオフェンスだったら、どうしても同じポジションにいてしまって、動くことができなかったのが何回かあったので、そこはあしたからもこれからも反省として、上に合わせて動くっていうことをやっていこうかなって思います。
――あすに向けて意気込みをお願いします
東海大は、春も秋も結構負けてたので、三度目の正直ということで、ちゃんとリベンジが出来るように。そして勝って、大体大とあたって倒して、ちゃんと日本一に導けるように、自分の力を精一杯出し切って頑張りたいと思います。