相撲部

2018.11.07

第96回全国学生選手権 11月4日 東京・両国国技館

集大成のインカレは紙一重で予選敗退。この悔しい『気持ち』は必ず成長の糧に

 ついにこの時が来た。チーム始動からの1年間、この日のために練習してきた集大成の大会。大学相撲において最も大きな大会である全国学生選手権(インカレ)の団体戦が、相撲の聖地・両国国技館で行われた。目標はベスト4。これは稽古を重ねるなかで常に念頭に置いてきたものだ。しかし、その目標は夢に終わった。早大は、Aクラス予選を1勝5点の10位で終え、上位8校による決勝トーナメント進出を逃す結果に。唯一の4年生としてチームをまとめた若林魁主将(スポ4=岐阜農林)はこの日で引退となり、後輩たちに夢を託して土俵を去ることとなった。

  Aクラス予選の初戦は、『早慶戦』。慶大がBクラスを勝ち上がったことにより実現した注目の一戦だ。その先鋒戦、橋本侑京(スポ3=東京・足立新田)が立ち合いで3度つっかけて指導が入るも、動揺は見せず。しっかり電車道の相撲で勝利すると、続く二陣・長谷川聖記(スポ2=愛知・愛工大名電)も秒殺の相撲。このまま5点獲得も期待される流れで迎えたのは、中堅・二見颯騎(スポ1=東京・足立新田)。しかし、ここであえなく押し出されて敗れると、副将・若林魁主将(スポ4=岐阜農林)も相手の突きにやられて力負け。悪い空気のなか2-2で大将・佐藤太一(社3=大分・楊志館)を迎える。それでも佐藤。徹底した突き押しで相手を圧倒。苦しみながらも慶大から1勝を奪い取る。続く2回戦の相手は強豪・近大。実力差を考えれば、なんとか1点取りたいという相手だったが、あえなく全敗。それでも橋本、長谷川、佐藤は個人戦でも実績のある強敵相手に健闘し、次につながる内容だった。そしてこの時点で、3回戦の拓大に勝てば自力での優秀8校決勝トーナメント進出が決まるという状況になった。

唯一の4年生として、主将を務め上げた若林

  迎えた運命の拓大戦。今年の実績的には格上と言える相手に、まず先鋒・橋本が気迫をみせる。相手は前日の個人戦でベスト8に入り、橋本の高校時代からのライバルであった勝呂歩紀(3年)だ。並々ならぬ空気の中、立ち合いから激しい突き合いが繰り広げられる。その後、のど輪を突かれ土俵際に追い込まれるも、驚異の粘りで攻めに転じる。そして最後は、倒れ込みながら執念の押し出し。勝った瞬間、橋本は今年一番の雄叫びをあげ、この『気持ち』は、仲間にも伝染した。続くは二陣・長谷川。橋本とともに今年のチームを引っ張ってきた一人だ。その立ち合い、長谷川はもろ差しを食らい、体勢的には非常に厳しいものとなる。しかし、長谷川は左上手を取り対抗。何度も寄られるが、必死の粘りで土俵に残る。すると、最後は『気持ち』を前面に押し出した寄りで浴びせ倒し。この瞬間、早大応援団は最高潮に盛り上がり、その目線の先には満面の笑みを浮かべて喜ぶ長谷川がいた。そして、ついにベスト8まであと1点。勝利はもうすぐそこまできた。しかし、続く中堅・二見は立ち合いの変化に屈し、敗れてしまう。続く副将は主将・若林。ここで決められるか。その立ち合い。若林はうまく左に動き、それに惑わされた相手を土俵際に追い詰める。相手の体勢は最悪。誰もが若林の勝利を確信した。しかし、突き押しを続ける若林は腕を取られ投げられる。同体で土俵を割ったかに思われたが、軍配は相手に。まさかの大逆転負けだった。この悔しさの中、最後に登場したのは大将・佐藤。しかし、立ち合いから果敢に前に出るも、跳ね返され力負け。早大相撲部の1年がはかなくも終わった瞬間だった。

拓大戦で白星をあげ、喜びを爆発させる橋本

 この1年間、『インカレベスト4』という目標を心に刻み戦ってきた。しかし、その目標は果たせなかった。それでも、「本当に褒めてあげたい」と室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)。正規部員7人という少人数で残した成績は「全日本大学選抜金沢大会ベスト8」、「東日本学生リーグ1部残留」など誇っていいものだ。さらには今回の結果で、来年の全日本大学選抜宇和島大会、宇佐大会の出場権も獲得できた。そして、この日の何よりの収穫は『気持ち』を見せられたことだろう。前日の個人戦とは段違いに強い『気持ち』が、取組の一つ一つに現れていた。来年は今年の主力メンバーが多く残る。だから来年こそは。この悔しさと新たな希望を胸に、早大相撲部はたゆまぬ努力で前進し続ける。

(記事 吉岡拓哉、写真 元田蒼、望月清香)

1年間、少人数ながらAクラスで戦い抜いた選手たち

結果

団体戦Aクラス予選

1回戦 対慶大 3勝2敗

先鋒 ○橋本参段(押し出し)長谷川貴初段

二陣 ○長谷川参段(寄り切り)中村弐段

中堅 ●二見弐段(押し出し)長谷川大参段

副将 ●若林参段(寄り切り)北原弐段

大将 ○佐藤初段(突き出し)石井初段


2回戦 対近大 5敗

先鋒 ●橋本参段(送り倒し)元林参段

二陣 ●長谷川参段(上手投げ)長内参段

中堅 ●二見弐段(押し出し)神崎参段

副将 ●若林参段(寄り切り)谷岡参段

大将 ●佐藤初段(押し出し)渡辺参段


3回戦 対拓大 2勝3敗

先鋒 ○橋本参段(押し出し)勝呂歩参段

二陣 ○長谷川参段(浴びせ倒し)井田弐段

中堅 ●二見弐段(はたき込み)松原参段

副将 ●若林参段(小手投げ)勝呂隆弐段

大将 ●佐藤初段(押し出し)志村参段


※16校中10位 優秀8校決勝トーナメント進出ならず


コメント

室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)

――最終的に10位という結果に終わりましたが、この結果についてどう思いますか

これが今の実力なんで、それを受け止めて、もうしょうがないかと。本当に悔しいですけど、これを受け入れるしかないですね。

――初戦の慶大戦で3点取りましたが、この対戦はいかがでしたか

いや、あの試合では基本的に4-1か5-0で勝たないといけなかったのが正直本音で、あそこで若林が負けたというのが、今回の最大のポイントだったと思います。

――2回戦の近大戦は1点も取れませんでしたね

そうですね。そこはやはり実力差があったので。ただ、その中でも橋本と長谷川、そして佐藤もいい相撲を取っていたんで、別にそこは悲観していなかったです。もう切り替えて、あと一番になるかもしれないけど、最後までいこうという風に思っていました。

――そして、最大の山場である拓大戦は本当に惜しかったですね

そうですね。そこでやっぱり勝ちたいというのがあったんですけど、結果、橋本と長谷川が勝って、うちにはまたとないチャンスで、あそこで若林が勝っていれば勝負は決まっていたんですけど、そこは本当に勝負は甘くないなというか、九分九厘勝っていたんですけど土俵際で逆転を食らったというのは、彼の今回の試合の入り方、その全てを物語っているんじゃないかなと思います。

――その拓大戦で、橋本選手と長谷川選手が勝った相撲についてはいかがですか

やっぱり、橋本は相手が高校時代からずっとライバルで、同じ東京都のチームで一緒にやっていた相手だったので、正直やりづらいということは本人が言っていたんですけど、でもそういうことは全く出さずに必死だった。あの必死さが長谷川にも伝わったし、たぶん後ろみんなに伝わったんじゃないかなと。あの一番は本当に評価できると思います。

――最終戦が終わった今、この1年の戦いを振り返っての総括をお願いします

今年のチームは4年生がごっそり抜けた中での船出だったので、厳しい戦いが予想されていたんですけど、金沢大会(全日本大学選抜金沢大会)でベスト8に入ったり、リーグ戦(東日本学生リーグ戦)でもなんとか1部に残留できたり、(今回の結果で)来年の選抜大会(全日本大学選抜宇佐大会、全日本大学選抜宇和島大会)の出場権を獲得できたので、そういった意味では、去年は選抜大会の出場権を取れなかったから、それが取れたというのは本当に褒めてあげたいと思いますね。この人数でやったというのは。

――それでは最後に、来年に向けてのチームづくりと目標について聞かせてください

来年は橋本と長谷川が中心選手となって、新入部員が何人入るかは分からないんですけど、そこをどうやってこちらで補うか、人数が少ないのはもう分かっていることなので、いかにしてAクラスで戦うか、そして何が必要なのかをもう一回再認識させて、基礎練習からしっかりやっていけたらなと思っています。

若林魁主将(スポ4=岐阜農林)

――まず、団体戦10位という結果を振り返っていかがですか

本当に悔しいですね。後輩は本当によく頑張ってくれたと思うんで、最後に自分が勝てなくて申し訳ない気持ちですね。

――きょうの若林選手自身の相撲を振り返って、初戦の慶大戦で負けた相撲はどうでしたか

消極的になったとかではないんですけどね。相手が前ミツを取ってきて、上手く取られたなというのが正直なところで、それに対応しきれなかったのが敗因ですね。気持ちが弱かったということではないんで、次につなげていこうといった感じでしたね。

――先ほどの話にも出ましたが、拓大戦は本当に惜しい相撲でした。改めて振り返ってみてどうですか

自分ができること、自分の相撲を取り切ろうと、最後はそのつもりでいって、途中から最後の最後まで自分の相撲が取れたんですけど、最後の詰めで自分の悪い癖が出てしまって。あそこで勝っていれば、チームも勝てたんで、チームにはすごく申し訳ないことをしてしまったんですけど、最後はしっかり自分の相撲が取れたんで、そういう面では悔しかったですけど良かったなとは思います。

――今回、目標のベスト4には届きませんでしたが、今年1年の戦いを振り返ってみていかがですか

本当に後輩たちに助けられた試合がこの1年通して多くて、僕はほとんど結果を残せなかったんですけど、それでも後輩たちや心強いOBの先輩方がいてくれたおかげでここまでしっかりやってこれて、自分なりにいい相撲が取れるという点もあったんで、そこは良かったかなと思います。

――主将として、やり切ったという気持ちはありますか

そうですね。最後に勝利という面では貢献できなかったんですけど、それでも本当にチームのことを思って一生懸命頑張って、やり切れたかなとは思います。

――最後に、来年以降も戦う後輩に向けての言葉があればお願いします

きょうこの大会で、来年の宇佐(全日本大学選抜宇佐大会)、宇和島(全日本大学選抜宇和島大会)への出場が決まったんですけど、それも後輩たちだけのポイントで決めたので、来年は今年よりもっともっと強くなると確信しています。本当に3年生の侑京と太一、そして長谷川聖記が中心となって、盛り上げていってもらって、次こそはベスト4、さらにはもっと上を目指していってもらいたいなと思います。

橋本侑京(スポ3=東京・足立新田)

――10位という結果ですが

やっぱり、悔しいですね。最後の拓大戦で勝っていれば、ベスト8には間違いなく残れたので。もう本当に、あと一歩まで追い詰めたかなと思って。遠かったベスト8ではなく、紙一重で取れなかったので、本当に悔しいです。

――先鋒として入りましたが、特別な意識はありましたか

やはりチームに流れを作ろうと思って、心がけて挑みました。

――慶大戦は、最初に白星を挙げ、チームに流れを呼び込む形になったかと思います

そうですね。Bクラスから上がってきたチームが相手でしたが、慶大戦が一番緊張しました。昨年、Bクラスのチーム(法大)との試合で負けてしまったので。Bクラスのチームは、僕らからしたら勝ちやすい相手かもしれませんが、そういうところが逆に落としやすいところでもあると思います。緊張したのですが、一番しっかり取れたので、良かったです。

――拓大には本当にあと一歩というところでした。振り返っていかがですか

そうですね。自分は、先鋒として1点を取ることができました。昨日、個人戦でベスト8に入った強い相手で、昔から知っている仲の良い選手でした。そこで1点取ることができて、自分としてはチームに流れを呼び込めたかなと思います。

――昨年、悔しさを味わったインカレですが、今年の悔しさはどうですか

やっぱり、悔しいですね。今日は自分は2勝1敗で、チームとしては選抜宇和島・宇佐大会出場を決める点数もギリギリになってしまいました。僕が近大戦でいい相撲を取っていれば、みんながもう少し点を取れたかもしれないですし、そういう中では全く満足はしていません。個人戦の結果も含めて、悔しいですね。

――1年間振り返って、どういう戦いでしたか

今年は本当に、昨年と比べると、自分の一番がチームにとって重い一番になってきたと思います。自分と長谷川(聖記、スポ2=愛知・愛工大名電)が点を取らないとチームとしては厳しいなと。今回の試合でもそういった展開になりました。昨年と比べると、一番一番の重みを感じながら相撲を取ってきました。

――若林主将は今日で最後の相撲になりましたが、メッセージはありますか

本当に、ありがとうございました、としか言えないです。4年生が一人しかいない中で、僕たちも支えられるように頑張ってきたのですが、それでも支えてきれていない部分がありました。一人で大変な中、昨年よりメンバーが大きく減る中で、監督やいろいろな方から言われることもあったと思います。プレッシャーも少なからずあったと思います。本当に、ありがとうございました、お疲れ様です、と伝えたいですね。

――来年に向けては

来年は4年生なので、責任が出てくるポジションですし、学生相撲という枠ではひと区切りになる1年です。責任を感じつつも、1試合1試合を楽しんで、臨めたらいいなと思います。

――最後に、来月の全日本選手権に向けて、抱負をお願いします

昨年は負けてしまって予選落ちでした。一番レベルの高い試合なので、本当に一番でも多く勝てるように頑張ります。上位入賞を目指して頑張りたいです。

長谷川聖記(スポ2=愛知・愛工大名電)

――今大会10位という結果に終わりましたが、振り返っていかがですか。

悔しい結果になってしまったんですけど、みんなで声を出して持っている力を出し切れたと思うので、その辺りに関してはすごく良かったかなと思います。

――個人としては3戦中2勝でしたが、ご自身の相撲を振り返っていかがでしたか。

内容はあまり良くなく、脇が開いてしまったりして悪いところが出てしまったので、勝ちは勝ちでも内容は悪いのでそう言った点を直していかないとなと思います。

――拓大戦では勝った瞬間に喜びの表情が伺えましたが、やはり特別な思いはあったのですか。

前の橋本先輩(侑京、スポ3=東京・足立新田)がああいう相撲で勝ってくれたので、自分も続いて、後が続けるような相撲が取れれば良いなと思っていて、勝てたので良かったかなと思います。

――今大会で若林主将(魁、スポ4=岐阜農林)は最後の土俵となりましたが、この2年間を振り返って学んだことや、思いなどはありますか。

自分は短い間だったんですけど、やっぱり1人でチームをまとめてくれたというのはすごいなと思いますし、魁さんがいるだけですごくチームが明るくなるので、(いなくなるのは)寂しいんですけど、これから魁さんから学んだことを来年再来年と自分たちが後輩たちに伝えていければいいなと思います。

――最後に来年はどのような年にしたいか聞かせてください。

個人的には今年はやっぱり怪我が多くて、思うような相撲がなかなか取れなかったので、その悔しい気持ちをバネにして自分を追い込んで稽古して、団体でも個人でも良い結果が残せればいいかなと思います。

佐藤太一(社3=大分・楊志館)

――10位という結果をどう受け止めていますか

そうですね。すごく残念です。

――大将戦の土俵を務めるのは選抜金沢大会以来でしたが、意識はありましたか

2ー2で回ってくることはあると思っていました。拓大戦はそのシチュエーションだったので、そこで決められなかったのが、とても残念です。

――慶大戦では白星を挙げました

慶大戦は、相手のこともあるのですが、2ー2で回ってきて勝てたのは、良かったかなと思います。

――拓大戦で2ー2で回ってきた時はどういうお気持ちでしたか

先鋒戦と二陣戦でとてもいい相撲を取ってくれたので、自分も流れにのって勝ちたかったのですが、結果的に消極的になってしまい、引いてしまいました。自分の力を信じていなかったのがこういう形につながってしまったと思います。とても残念ですね。東日本(学生選手権)から、今日のためにやってきたのに、というところはあります。

――インカレの団体戦のメンバーに最初から入るのは初めてだったかと思います

そうですね。ただ、他の試合でも使ってもらっているので、他と比べて特別な緊張はなかったです。

――昨年のインカレと比べると、本当にあと一歩で、というところでした。昨年と比較すると、いかがでしょうか

そうですね、昨年は(団体戦に)出場できない悔しさもありました。今年は出られたし、大将戦まで回してくれたのに、という点で、余計に悔しいところがありますね。

――今年1年を振り返っていかがですか

今年は東日本での悔しさから始まって、そこからなんとなくは結果がついてきました。ただインカレでこういう結果になったというのは、本当に残念です。

――若林主将は今日で引退になります

寂しい気持ちはありますが、残るみんなはまた次に向けて目標ができたと思います。また努力して、頑張っていきたいです。

――来年の目標を

来年はしっかり1部に入って、ベスト8に入って、そこから勝負できるような選手になりたいと思います。

二見颯騎(スポ1=東京・足立新田)

――今大会が今年度の集大成となりましたが、ワセダでのこの1年間を振り返っていかがですか。

今年は一応団体戦に全部出させてもらったんですけど、そこでも重要な場面でなかなか勝つことが出来なかったので不甲斐ない1年でした。

――やはり高校時代に比べると相手の実力の強さを感じますか。

そうですね。自分は1年生で、他はもうだいたい3、4年生だったり上級生だったりするので、やっぱり大学でのレベルの差は痛感しました。

――今回初めてインカレの舞台に立った訳ですが、何か特別な思いはありましたか。

4年生の若林先輩が土俵に上がるのが最後ということで、最後の団体戦なのでやっぱり予選を突破したいという気持ちはいっぱいありました。

――最後に今後の課題をお願いします。

来年になったら2年生になって、後輩も入ってくるので、今までは1年生だったのでただ思い切って相撲を取るだけだったんですけど、これからは先輩になるという心構えで相撲を取っていきたいです。