庭球部

2018.09.14

関東大学リーグ 9月12・13日 神奈川・慶大日吉蝮谷コート

島袋が決めた!チームでもぎ取った涙の一勝/男子中大戦

 勝利が決まった瞬間、島袋将(スポ3=三重・四日市工)はコートにあおむけで倒れ込んだ。コートサイドで応援していた部員から大歓声が上がる。島袋は起き上がると、決戦の相手・望月勇希(中大3年)と両者共に笑顔で抱擁を交わし、健闘をたたえ合った。関東大学リーグ(リーグ)男子第4戦。中大との一戦は、雨での順延も絡み二日間、計11時間近くにも及んだ死闘の末、早大に軍配が上がった。

 滑り出しは順調だった。ダブルス1の坂井勇仁主将(スポ4=大阪・清風)・田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)組は、坂井が前衛で攻めるいつもとは違ったパターンで相手を翻弄(ほんろう)。「相手がそれにちょっとびっくりしていたと思う」と主導権を握り、ストレート勝ちを収める。ダブルス2の齋藤聖真(スポ4=神奈川・湘南工大付)・島袋組も、課題の出だしこそブレークを許すが、すぐに立て直し、こちらもストレート勝ちで確実に一勝を持ち帰った。ところが、ダブルス3の古賀大貴(スポ3=大分舞鶴)・安上昂志(スポ3=福岡・柳川)組は、第1セットからミスが重なる。第2セットを取り返し、最終セットも一度はマッチポイントをしのいだが、勝負どころでのダブルフォルトが響き、敗戦。跳び上がって喜ぶ中大部員たち。ダブルスをリードして折り返したものの、コートに暗雲が立ち込めた。

接戦の末に1勝をもぎ取り、沸き立つ中大陣営と敗れた古賀(右)・安上組

 シングルス6戦のうち、3勝すれば早大の勝利が決まる。先に試合に入る3選手で勝利を決めたいところだったが、苦戦は続いた。今リーグで初めてシングルスに登場した坂井が、中大のルーキー清水一輝を相手に3-6、3-6であっさりと敗戦。「ダブルス3を落とした流れを止められなかったのがふがいない」(坂井)。主将の敗戦で断ち切れなかった不穏な空気は、同時に試合に入った小林雅哉(スポ3=千葉・東京学館浦安)、木元風哉(社2=埼玉・早大本庄)にも及んだのだろうか。どちらもしぶとくラリーを続けてくる相手との我慢比べとなるが、両者共にフルセットの末、勝ち切れず。その間、坂井の後に試合に入った藤井颯大(スポ2=同志社国際)が、サーブを軸に相手を全く寄せ付けず値千金の一勝を持ち帰ってはいたが、この時点で総合スコアは3-4。王手をかけられ、ついに追い込まれた。この状況で試合に臨んだのは古田伊蕗副将(スポ4=静岡・浜松市立)と、島袋。先に一勝をもぎ取ったのは古田だった。「自分も絶対に諦めない、気持ちで負けないということを意識した」(古田)。快勝した藤井颯、隣のコートで奮闘する島袋の姿に刺激を受けたという古田は、持ち味の粘り強いテニスを繰り広げる。第2セットの序盤はどちらに転ぶか分からないブレーク合戦が続いたが、先にキープに成功すると流れをがっちりとつかみ、白星を手に入れた。4-4。勝負の命運はエース島袋に懸けられた。

大事な場面で持ち味を発揮した古田

 島袋の相手は、先月の全日本学生選手権シングルスで優勝した望月。エース対決は、序盤から一歩も譲らぬラリー戦となる。我慢強くプレーした島袋に対し、相手のミスが重なり第1セットを先取。第2セットも3-1とリードし、勝利は近づいたかと思われた。「相手がプレーを変えてきたので焦ってしまった」(島袋)。息を吹き返した相手の攻めたショットに対応できず、5ゲームを連取されセットを落とすと、最終セットになっても流れは変わらず、1-4と追い込まれた。ところが、この場面で会場に雨が降り出し、翌日への順延が決定。これが恵みの雨となる。「精神的に追い込まれていたので、ラッキーだった」(島袋)。気持ちを新たに臨んだ二日目は、初めのゲームをブレークし、流れをつかんだ。サービスゲームは確実にキープしタイブレークに持ち込むと、コースを突いたフォアストロークなどで先行。最後は相手のショットがネットに掛かり、激闘に終止符が打たれた。

勝利の瞬間、コートに倒れ込む島袋

 「勝った瞬間はほっとした」(島袋)。追い込まれた状況の中、逆転で勝利をつかんだ早大。「本当に島袋が頑張ってくれた」(坂井)、「島袋に感謝」(古田)と、4年生を中心に涙を流す選手も多かった。これでリーグ4勝となり、全日本大学対抗王座決定試合(王座)への出場権を獲得。しかし大変な苦戦を強いられたことで募る危機感は大きい。勝つチャンスのあった接戦で勝ち切れず、流れを悪くしてしまう場面が多くあった。改めて一人一人が目の前の一本にどん欲に臨む姿勢が重要になる。二日後、リーグ最終戦で相対するのは慶大だ。「この5戦で一番力のあるチームなのは間違いない」(坂井)。最大のライバルに快勝して弾みを付けられるか。王座を前に、大一番を迎える。

(記事、写真 吉田優)

結果

◯早大5-4中大


ダブルス1
◯坂井勇仁主将・田中優之介6-3、6-3宇佐美皓一・望月勇希
ダブルス2
◯齋藤聖真・島袋将6-4、6-2清水一輝・星木昇
ダブルス3
●古賀大貴・安上昂志3-6、6-4、6(5)-7小峰良太・杉山和誠


シングルス1
◯島袋将6-4、3-6、7-6(2)望月勇希
シングルス2
●坂井勇仁主将3-6、3-6清水一輝
シングルス3
●小林雅哉6-3、2-6、4-6田中凛
シングルス4
◯古田伊蕗副将6-4、6-2杉山和誠
シングルス5
●木元風哉3-6、6-4、4-6斎藤和哉
シングルス6
◯藤井颯大6-2、6-2小峰良太

コメント

坂井勇仁主将(スポ4=大阪・清風)、古田伊蕗副将(スポ4=静岡・浜松市立)

――非常に大きな一勝を得ました。率直に今どのような気持ちですか

坂井 本当に島袋が頑張ってくれたっていう印象しかないです。島袋までの4勝も振り返ると、古田や藤井がしっかり勝ってくれて、ダブルス2本もですし、負けちゃった選手たちも小林、木元、古賀・安上としっかり頑張ってくれていたので、僕が一番ふがいない試合をしてしまったと思います。でもとにかく島袋様々ですね。

古田 島袋に感謝ですね。自分が持っている以上の力を発揮してくれたと思います。それまでの颯大もですし、ダブルス2本取ってくれたっていうのが大きかったと思うので、改めてダブルスの大事さっていうのを感じました。

――9本のオーダーはどのような意図で組みましたか

 いろいろなコンディションがあって、今戦える選手でしっかりベストなオーダーでこういうふうになりました。それでもダブルスはしっかり3-0を付けたかったなっていうのが本音ではあります。僕と田中はずっとダブルス1で出ていて、軸になっていかなきゃいけないと思うのですが、ダブルス3-0付けられなかったっていうのはちょっと悔しいです。

――それぞれご自身の試合を振り返って、坂井選手はダブルスで確実に勝利を持ち帰りました

坂井 田中のキープを軸に展開できたかなっていうのはありました。僕が昨日は結構前で動けていたので、相手のストロークよりも前に詰めてポイントを取るパターンがはまっていたと思います。いつも僕はストロークを打っているので、相手がそれにちょっとびっくりしていたなっていうのがあります。

――一方のシングルスは悔しい敗戦でしたが振り返っていかがですか

坂井 シングルスはダブルス3を落とした流れをそのまま僕が引きずって小林、木元に流してしまって、そこを止められなかったのがふがいないです。シングルスでは今年はそんなに結果を出せなかったんですけど、出たからには何かもうちょっと発揮したかったです。

――古田選手は負けられない状況での試合でしたが、どんな気持ちで臨みましたか

古田 自分はとにかく自分のプレーをすることに集中していました。僕の前に試合をした颯大がすごくいい流れでつないで僕に渡してくれたので、そういった意味ではすごくやりやすかったです。隣で島袋もすごく競った試合をしていて、島袋も最初はいいプレーをしていたので、それに負けじと自分も絶対に諦めないというか、気持ちで負けないということを意識して取り組みました。

――順延となった今日のシングルス1に向けて、チームとしてはどのような言葉を掛けていましたか

坂井 僕らは島袋に声を出して盛り上げていい流れをつくることだけですね。言ってしまえば島袋頼みだったので、しっかり声を出せる人が出してやろうと。あとはああいった劣勢からの展開だったので、島袋が勝っても負けても堂々とやろうと話しました。

――試合後はお二人とも涙を流していらっしゃいましたね

古田 相手も強い選手でしたし、1-4という状況で正直負けてしまうかもっていう思いもありました。そんな中でも島袋がああいういいプレーをして勝利をもぎ取ってくれたので、感極まって・・・。

坂井 出ちゃいましたね。

古田 本当にいい試合でした。

――これで4勝となり王座出場を決めた中で、最終戦の慶大戦を迎えます。そこに向けてはいかがでしょうか

坂井 慶應は春も対戦して春は5-4だったので、まだどういうオーダーでいくかは全然決めていないんですけど、この5戦で一番力のあるチームなのは間違いないので、全員チャレンジャーの気持ちで、慶應という素晴らしいチームに向かっていければいいんじゃないかなと思います。

古田 すごい強いチームなので、相手をリスペクトしながらいい勝負をして、その上でなおかつ勝つことができたらいいと思います。ガチンコ勝負になると思うので、楽しんでやりたいと思います。

島袋将(スポ3=三重・四日市工)

――二日間に及ぶ試合を勝って終えて、今の気持ちはいかがですか

僕自身が勝てたのもそうなんですけどチームが勝てたという部分ですごくうれしいです。でもやはりここまで苦しんだっていうのはチーム自体にも多少問題があると思うので、そこを次の早慶戦に向けて改善していく必要があるなと改めて強く思いました。

――きのうのダブルスからお聞きします。優勢な試合運びを常にできていたと思うのですが振り返っていかがですか

僕らの課題として出だしがすごく悪いので、そこを特に意識してやったんですけど昨日もやはりブレークされて始まってしまいました。すぐに返してイーブンにはできたんですけど、次は慶應が相手ということでブレークされるとそのまま持っていかれるかもしれないので、勝てたのはよかったですけどまだまだ改善できる部分があると思います。それ以外はいいプレーができているので、これから大きく変えるのではなくてどうやってやったらブレークされずにキープできるかっていうことだけを強く考えて、きょう、あすと練習で調整、改善していきたいと思います。

――シングルスは負けられない状況の中で始まりましたが、どんな気持ちで試合に入りましたか

僕が入る前から状況があまりよくなくて、自分に懸かるだろうと思いながら試合に入って、とにかく周りは気にせずに自分の試合で勝つことだけにこだわろうと思って臨みました。

――ファーストセットを先行して試合が始まりました

我慢強くプレーできてそれに焦って相手がミスをしてくれたり、自分も粘るだけじゃなくて攻撃面でもいいプレーができて6-4というかたちで取れたのはすごい大きかったです。

――セカンドセット中盤からはゲームを連取される嫌な時間帯が続きましたが、どのような気持ちでプレーしていましたか

相手がちょっとプレーを変えてきたので自分が焦ってしまって、何をしたらいいのかがあやふやなままミスを連発してしまいました。でもミスが続いても1ゲーム、2ゲームあたりでストップさせなきゃいけないんですけど、そのままセットを持っていかれてしまったっていうのは自分の甘さを感じたセットでした。

――雨での中断や翌日への順延など気持ちを保つ上で難しい部分もあったと思うのですが

でも1-4できょうに持ち越せたっていうのは僕としてはラッキーだったかなと思います。セカンドセットでリードされた場面から逆転されて取られて、ファイナルセットも勢いよく0-3にされたので、体力的にはあまりきつくはなかったんですけど、精神的に結構追い込まれていたので、順延になったのは精神的にすごくラッキーでした。

――うまく切り替えてきょうに臨めたということでしょうか

そうですね。追い込まれた厳しい場面でしたけど、スコアはあまり気にせずに勝ち負けは関係なく、相手もいい選手でいいプレーをしてくるので、とにかく楽しもうと思ってチーム全員と戦いました。

――きょうは最初からいいプレーが続きました

我慢強くプレーができたかなと思います。もう後がなかったのでいつものような自分のテニスは捨ててというのはおかしいですけど、いつも以上にしつこくしつこくプレーすることを考えていました。そしたら相手が焦ってミスをしてくれて、それが勝ちにつながった、我慢勝負で勝てたのかなと思います。

――勝った瞬間は思わずコートに倒れ込みましたが、やはりプレッシャーは大きかったですか

ワセダはいつもこれだけ勝っていてやはり負けられないっていうプレッシャーはすごくあったし、プラスS1同士の戦いで僕自身も負けたくなかったですし、ここでチーム自体も負けたくなかったので、勝った瞬間はほっとしましたね。

――これでチームとしては王座出場が決まりました

王座に行けるというのは一つの目標が達成できたということなので、そこに関しては素直によかったなと思います。

――二日後、王座に向けても重要な慶大戦を迎えます。意気込みをお願いします

今回の中大戦以上のタフな戦いになるとは思います。今回改めて一人一人が危機感というものを持てたと思うので、逆にいい雰囲気で早慶戦を迎えられたらいいかなというふうに思います。僕自身も単複出るとしたら春の早慶戦のリベンジとして絶対勝つ気持ちで臨みたいなと思います。