応援部

2018.09.07

平成30年度夏季合宿 9月3~5日 富山・氷見市

厳しさを乗り越えて得るもの 密着!夏季合宿

 「都の西北、早稲田の杜に…」。朝7時。毎朝の校歌斉唱の時間だ。青く澄み渡った海の見える氷見の町には、部員たちによる『早稲田大学校歌』が響き渡っていた。毎年夏と春に合宿を行う早大応援部。この夏は、今の執行委員である4年生が、新人時代に同じく夏季合宿で訪れた富山県氷見市で行われた。天候にあまり恵まれず、練習は計画通りとはいかないところもあったが、それぞれがその場その環境でできる全力を尽くし、練習最終日の総合練習(※1)では幹部も納得のいく成果を見せる。秋の大会シーズンやステージ発表に向け、部員は厳しい練習を乗り越え、体力・精神力共に大きな成長を遂げた。

 合宿では、午前練習、午後練習、夜練習が行われる。合同で練習をする日もあるが、基本的にはリーダー、吹奏楽団、チアリーダーズの3パートに分かれての練習だ。目前に迫る野球の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)の練習を重点的にするのかと思いきや、チアリーダーズと吹奏楽団はそればかりということはなく、むしろそれぞれ11月、12月に行われるチアリーディングステージや定期演奏会に向けた練習を多く行っていた。早大応援部は野球応援だけをしているわけではなく、準硬式野球部やラクロス部、バレーボール部など、幅広い部活の試合へ赴いている。秋の大会シーズンが始まると、それらの応援練習に時間を多く費やすことになるので、合宿である程度ステージ発表の練習を積んでおくのだ。台風の発生により天候が荒れた際には、練習場所である氷見市ふれあいスポーツセンターに向かうときに通るトンネルに規制がかかり、宿舎での練習となってしまう。しかしそれでも、チアリーダーズはスタンツ(※2)を組まずに曲中の移動や仕草、ラインダンス等を確認する空通し(からどおし)を行う、吹奏楽団は声で自分の楽器パートを歌い、拍子がころころと変わる難易度の高い曲のリズムを確認するなどをして、できることを見つけては精度を高めていった。

スタンツを組まずに空通しをするチアリーダーズ

 リーダーは合宿8日目、リーダーだけで行う最後の練習の日に『地獄巡り』を行った。この『地獄巡り』とは、合宿でのリーダーの練習の集大成ともいえるもので、学注のようにユーモアを含むネタを全体に話しながらランニングをしたり、新人が先輩リーダーをおぶって歩いたり、しゃがんだまま足首をつかみ歩く『あひる』をしたりして、何キロもひたすら町の中を進むものだ。このとき、3年生以下のリーダーは主将である渡邊友希(政経4=静岡・沼津東)の背中をがむしゃらに追いかける。柳澤遼輝副将・リーダー練習責任者(人4=埼玉・春日部)や小川駿也新人監督(教4=東京・早稲田)ら4年生幹部は、時に厳しい言葉を掛け新人らを鼓舞しながら、集団から遅れる者がいないようしっかりと目をかけていた。しかし、台風の影響で実施する時間帯をずらしたことと、例年よりも高い気温が相まって、体調不良者が出てしまい『地獄巡り』は中止となってしまう。リーダーたちは、この不完全燃焼の思いを、翌日の総合練習(※1)へ向けることとなった。

『地獄巡り』で、渡邊の合図を待つリーダー

 「○○さん、ご案内いたします!」。食事の際には新人が、元気よく声を張り上げて4年生を席に案内する。この夏季合宿で鍛えられるのは、体力面だけではない。普段の練習時よりもずっと規則が厳しくなり、精神面でも大きな負荷をかけられるのだ。特に今回が初めての合宿となる新人は、しゃんとしていない時間はないのではないかと思うほど、常に動き、気を回している。これは、ただ体力があるだけでは本当の意味での応援にならないということだ。「自分たちの応援で体育各部を勝たせてやろうと思う精神力」が必要であると渡邊は話す。夏季合宿を終えた応援部は、さっそく今週末から体育各部の応援に向かう。厳しい練習を乗り越えた応援部の向かう先には、きっと早大の勝利が待っているだろう。

※この記事は8月28日から9月6日に行われた夏季合宿のうち、9月3日から5日までを取材したものです

※1 総合練習については関連記事に詳しく記載しています

※2 チアリーダーズの演技における組体操のようなもの

(記事 今山和々子、写真 平松史帆)

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戦いの秋へ向け準備万端!/平成30年度夏季合宿 総合練習(9/07)

渡邊友希代表委員主将(政経4=静岡・沼津東)

――きょうまでの練習を振り返っていただけますか

 合宿はこの10日間あったのですが、環境としては天候がすごく悪くて、(外でリーダーが)走っている最中に土砂降りになってしまい切り上げになったりだとか、警報が出て交通規制がかかってしまう関係でふれあいスポーツセンターで練習しているのにすぐに帰らなければいけなかったり、イレギュラーな事態が数多くあってそういう意味では苦しんだ部分はありました。しかしそれでも最後の総合練習3パートで全員まとまって4年間で一番良いものができたので、練習面に関しては4年間で1番大満足の結果でした。

――総合練習の出来栄えをお願いします

 4年間で何回も総合練習を経験したのですが、その中でも今回の総合練習はリーダーをはじめとして、チアリーダーズも吹奏楽団も本当にみんなベストを尽くしたというものでした。最後のエンドレス『コンバットマーチ』、エンドレス『紺碧の空』というずっと続くものがあったんですけれど、今までで一番長かったんじゃないかというくらいやったのですが、それも最後まで全員倒れないでやり切ったということで、今回の総合練習は本当にベストというか、持てうる力を全て出し切りました。満足しています。

――4年間の応援生活で最後の合宿でした。新人時代と同じ宿でしたが、思い入れはありますか

 3年前1年生のときに来たときはとにかく何もわからない状態で、ただ毎日毎日もう早く終わってくれと思いながら言われたことをただこなしていく合宿だったのですが、今年自分たちがこの合宿を回していく立場となって、ただ言われたことだけを頑張ればよかった1年生時代と違って自分たちが最高学年として、ケガ人が出そうになったときに練習を切り上げるべきだとか重要な判断を迫られるようになって、そういった意味では3年前よりも精神的な面できつかった部分がありました。それでも3年前新人時代を過ごしたところで4年生として帰ってきたというのは、それだけで懐かしかったですし、また新人時代に最後やり切ったときの景色を4年生としてもう1回見ようという気持ちで頑張りました。

――主将として合宿に参加してみていかがでしたか

 真面目な話ではないんですけれど(笑)。合宿の食事って主将だけ別の上座で食べているんですよ。寂しかったなと。それは今までの合宿と違いました。でも逆にそっちにいるからこそ、みんなが楽しそうに話しているのを見ていいなと思うことができました。全員を見ながら食べるのが、主将として参加する合宿の醍醐味(だいごみ)なのかなと思います。

――初めての合宿参加となった新人たちの姿を見ていかがでしたか

 合宿中は規則だったり練習だったりがいつもよりも厳しくて、つらい環境だったんですけれども、その中でも新人たちは自分で体調不良になってしまった子でもやれますと言ったり、もう安静にしてきょうの練習は止めとけと言ってもやらせてくださいと言ってくる子が多くて、そういう意味では本当に、リーダー新人の子たちは素晴らしい負けん気を持っているなというか、自分がやってやろうという気持ちに溢れている、エネルギッシュな新人だったなと思います。

――この合宿の一番の意義は何だと思いますか

 この夏季合宿というのは、秋のリーグ戦の直前に行われるものです。もちろん野球応援だけでなく、秋は色々な体育各部の試合がスポーツの秋というくらいいっぱいあるので、その過密なスケジュールに耐えうるだけの体力と、自分たちで体育各部を勝たせてやろうと思う精神力の2つをこの10日間で鍛えるというのが一番大きい意義だと思います。

――最後に、秋季リーグに向けてお願いします

 春のリーグ戦のときはまだまだ野球部に対して自分たちの応援が勝利まで後押しできていなかった部分が数多くあったので、秋のリーグ戦はそういった部分をなくして、全試合応援の力で勝たせてやるといった気持ちでやって、その上で野球部の方と、早大生と全員で優勝パレードまで一緒に行きたいなと思っています。

柳澤遼輝副将・リーダー練習責任者(人4=埼玉・春日部)

――きょうでの練習を振り返っていかがですか

初日から天候に恵まれず、またそういったことが多くあって、その中でどのような練習をするのかということを多く考える合宿でした。雨の中走る練習になってしまったり、下級生にとってはつらい練習になったと思います。その中でも付いてきてくれたので練習としては良かったです。(リーダーだけで行う練習の)最終日の地獄巡りでは体調不良者が出てしまって最後までできなかったことは残念でした。ただ総合練習は全員が他のパートも引っ張ることができ、最後はしっかりと締まったのでいい練習になったと思います。

――きょうの総合練習を振り返っていかがですか

最後のエンドレス『コンバットマーチ』、『紺碧の空』で今までではリーダーの下級生が離れたところで行っていたんですが、今回から4年生に近づいて我々の動きで下級生を鼓舞し下級生も我々に気合をぶつけてくるといった形式をとりました。それが完璧なかたちと言いますか、全体の気持ちを感じる総合練習となったと思います。

――この合宿を通して、下級生の頑張りに対してどのように感じていましたか

3年生に関しては下級生を引っ張っているので少しでも下級生が遅れていたら厳しい練習を課していたのですが、日に日に良くなっていったのでそこは本当に良くなったと思います。2年生に関しては、最初の頃は人数の多い3年生と新人の間に挟まれて存在感がない状態だったんですが、合宿で日々を重ねるにつれて、存在感を出してくれたと思います。新人は体調不良者が絶えない中での練習となりましたが、その中でも最後まで参加できる人間は参加してくれていて、できない人間はできないなりに一生懸命練習していました。全体として下級生が頑張って成長して良い練習を作ろうとしてくれていたので、良い練習になりました。

――こちらの宿はご自身が新人時代の合宿の宿だとお聞きしましたが、思い出すようなことはありましたか

 2日目で転んでしまって、最初の何日か練習できなくて。そういったことを気負ってしまっていたことを思い出しました。泣きながら、バクセンという応援を作る役割を与えられたときにつらさのあまり、涙を流しながらバクセンをしたりというようなことを思い出しました。

――新人時代と比べてご自身の中でいかがですか

 新人時代は周りが見えていなくて、ただただついていくことで精一杯で。周りの景色が見えていなかったんですけど、4年生になって前で走ってみると、地域の方々の声援などを聞くことができ、そういった意味では面白かったです。

――今週末から始まる秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします

 我々にとっては最後のリーグ戦となるので、この合宿で得た3パートの一体感を全力で発揮して、活気のある最高の応援席を作ることで少しでも野球部の力になって野球部の優勝につながればと思います。全力で頑張りたいです。

若松佑副将・吹奏楽団責任者(教4=埼玉・川越)

――きょうまでの練習を振り返っていただけますか

 吹奏楽団は例年12月に定期演奏会をやるんですけれども、それに向けての演奏練習やマーチングの練習を主に行いました。特にドリル練習に今回は力を入れられたかなと思います。

――成果発表はいかがでしたか

 例年マーチングの演奏…ドリルというのですが、夏合宿では定期演奏会に向けて、まだ8、9月なので1、2曲しかやらないのですが、今回初めて6曲も発表することができて、こんなに早いペースで進めることができたのは初めてなので、吹奏楽団としては大変喜んでいます。夏合宿にしては良い成果発表ができたかと思います。

――総合練習の出来栄えはいかがでしたか

 すごく良かったと思います。吹奏楽団が最後まで演奏をし続けないと応援は成り立たないので、そういった意味でもスタミナというか、最後まで吹き続ける気力というのを養えたかなと思います。

――総合練習の中の学注で、木村さん(太一旗手、商4=東京・国士館)が吹奏楽団について「吹奏楽団がいないと応援はできない」と触れられましたが、それについてはいかがですか

 自分たちも常日頃思っているのですが、リーダーがテクを振ったり拍手をしたり、チアが指揮台の上でダンスを踊るというのができるのは、自分たちの応援があってこそです。応援部というもの自体は、はっきり言ってしまえば裏方で、実際にはスポーツをしている選手たちがいて、それを応援する立場なんですけれども、その応援部の中でも裏方になるのが吹奏楽団だと思っています。吹奏楽団自身ではなかなか気づけないんですけれども、自分たちがいないと応援が成り立たないというのはすごく思いますね。

――最後の合宿はいかがでしたか

 夏と春で、一年に2回(合宿を)やっているので、今回は7回目になるんですけど、今回の総合練習が7回の中でも特に良くできた総合練習だったと思います。もう明々後日からリーグ戦が始まるので、それに向けて良いスタートダッシュができるのではないかと。良い終わり方ができるのではないかと思っています。

――新人たちの姿を見ていかがでしたか

 ここの磯波風(いそっぷ)さん(宿舎)は、自分たちが新人のときに来て、また3年ぶりに帰ってきたという感じなんですけれども、3年前の自分が新人だったときに手足口病が合宿中に流行っていて、部員の3分の1ほどがかかってしまいまして、自分もその中の1人でした。新人としての合宿を最後まで自分は乗り切ることができなかったんですけれども、今の新人は1人も倒れることなく最後まで付いてきてくれて、先ほども話した通りドリル練習がとんでもないペースで進んでいてもがむしゃらに付いてきてくれて。本当に、良い新人を持ったと思います。

――最後になりますが、秋リーグに向けてお願いします

 春季リーグ戦は悔しい結果に終わってしまって。最後にケイオーに一矢報いることができたのが唯一の救いだったので、そこから秋に向けて良い流れがおそらく野球部の中ではできているのではないかと思います。応援部もそれに負けないように初戦から良い流れをつくって、野球部を優勝させたいと思います。

鈴木凜副将・チアリーダーズ責任者(文構4=東京・頌栄)

――きょうまでの練習を振り返っていかがですか

チアリーダーズは今回の合宿はチアリーディングステージの練習が主になります。通常の基礎練習が減ってでもチアリーディングステージの練習に費やすことで、チアリーディングステージでやる6曲の通しを、人が(スタンツを組んで)上がっているわけではないのですが、通すことができたのは私が応援部に入ってから初めてでした。夏に全体像をつかむことができたのは今後につながると思います。

――こちらの宿はご自身が新人時代の合宿の宿だとお聞きしました

私たちはたくさんの所に合宿に行っているのですが、氷見の方は特に大歓迎してくださって。宿舎の方もそうですし、ふれあいセンターでも声をかけてくださって、練習にもたくさんの方が来てくださったことがすごく印象に残りました。満足そうに帰って行かれる方もいらっしゃって、すごく温かい雰囲気の中練習することができました。そちらに関してはすごく感謝しています。

――この合宿を通して、新人の頑張りはどのように感じていましたか

ひとことで言うと強いです。体力面で強いと感じます。春季早慶戦でも体調不良者を出さずに、早慶戦を終えることができました。ここでの10日間でも慣れない中で仕事にも追われて、一番新人が大変だと思うんですが、チアリーダーズの新人は大きな体調不良者を出さずに、また大きなケガ人も出さずに合宿を終了できました。チアリーダーズの合宿での目標は、ケガ人ゼロ、体調不良者ゼロというものだったので、目標を達成できてすごく良かったと思います。

――秋のバンド曲である『ウィーアー』はどのような経緯で決まったのでしょうか

私たちの経験から、幅広い世代の方が知っている曲がいいということで4年生を中心に曲の候補を上げていく中で、野球部の方々と相談して多くの方が知っていて盛り上がる『ウィーアー』にしました。

――今週末から披露することとなります

5回の守備回というのは、いい意味でも悪い意味でも応援席をもう一度奮い立たせて、いい方向にもっていくという意味で私たちは行っているので、指揮台でスタンツをする私たちを見て、お客さんの方を盛り上がらせて、そこから一緒にもう一度応援に向かっていけるように応援席をまとめられたらと思っています。

――秋の応援で注目してほしい点はありますか

基本的には春と変わらないんですが、好プレーをした選手の個人的な名前で呼びかけるのが秋から取り入れた部分です。選手一名一名にエールを送りたいと思っています。春からあまり変わっていないからこそ、今の応援というものを応援席に行き渡らせて、声援で優勝させることを目指して私たちも練習をしているので、私たちの応援も一助となって野球部に優勝していただきたいと思います。

――秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします

春季リーグ戦の方は悔しい結果に終わってしまいましたが、最後の早慶戦では野球部のまとまりを私たちも感じましたし、一緒に応援も盛り上がることができて、一緒にいい応援席を作れたと思うので、早慶戦でできた盛り上がりをそのまま秋につなげて優勝したいという思いがあります。私たち4年生も最後の野球の応援になり、1年生のときに優勝を経験しているというのもあるので、最後は優勝していいかたちで終われたらと思います。