ア式蹴球部

2018.09.04

第42回総理大臣杯 9月3日 大阪・ヤンマーフィールド長居

白星するり…。終了間際の失点で日本一への道断たれる

 あまりにもあっけない幕切れとなった。大学サッカー日本一を決める総理大臣杯全日本大学トーナメント(総理大臣杯)に関東地区第5代表として出場した早大は、鹿屋体大と対戦した。1点をリードして迎えた後半アディショナルタイム。誰もが早大の勝利を半ば確信していた時間帯に痛恨の同点ゴールを許してしまう。この日の早大には、終了間際の同点劇で鹿屋体大に傾いた流れを引き寄せる力は残っていなかった。延長後半5分、ミスにミスが重なってしまいついに逆転ゴールを奪われ、あえなく敗戦。日本一のタイトルを懸けた戦いで、早々に姿を消す厳しい結果に終わった。

 立ち上がりは両チームともボールの収まりどころが定まらず、落ち着かない展開となった。早大はMF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)やDF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)が繰り出す高精度のロングボールを多用し、サイドチェンジで相手を揺さぶりにかかる。9分、右サイドのスローインから細かくつないでいき逆サイドの相馬へ。「(FWが)触っても触らなくても枠に飛んでいくボール」(相馬)はそのままゴールに吸い込まれていき、早い時間帯で先制に成功。このまま相手を押し込みたいところだったが16分に右サイドから崩され、失点を喫し振り出しに戻される。その後は相馬のサイドチェンジを起点に敵陣に攻め込むも、ラストパスの精度や最後の崩しの部分での連携ミスが響きもどかしい時間帯が続く。しかし迎えた45分、MF鍬先祐弥(スポ2=東福岡)が相手のパスミスをカットし、すぐさま右サイドのMF石神佑基(スポ4=埼玉・市浦和)へラストパス。DF1人をかわしたあと豪快にファーサイドへシュートを放ち、ボールをゴール左上隅に突き刺す。今夏の好調さを買われ、スタメンに抜擢された石神の見事な勝ち越し点により、前半をリードして折り返した。

厳しいマークを受けながらも仕掛け続け、2つの得点も決めた相馬

 後半開始と同時にFW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)を投入し、4−2−3−1へ布陣を変更。相手の攻撃陣に対して守備陣がマッチアップしやすいかたちを取り、中央を固めることで守備の安定を図った。最後尾のGK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)が「攻められている感覚自体はなかった」と振り返ったことからもわかるように、その目論見は一定の成果を挙げていた。しかし60分、2ボランチの間にパスを通されると、相手FWの囮の動きに惑わされ、そのままミドルシュートを打たれ失点。再び試合を振り出しに戻される。突き放したい早大は石神に代えてMF藤沢和也(商3=東京・早実)を投入。すると69分、相馬が藤沢とのワンツーで抜け出しゴール。「今までの自分にはなかったかたち。名古屋の練習でやってきた『(パスを)出して出て行く』プレーを大学の試合で出せた」(相馬)。プロの舞台で揉まれた経験をそのまま生かし、三たび早大がリードを奪う。ややオープンな展開になり、ピンチの数が増えながらも得点を許さないまま時計の針は90分を指した。第4の審判員が掲げたアディショナルタイムは3分。このまま早大が逃げ切れると誰もが確信しかけていた90+3分だった。左サイドのハーフウェーライン付近からのロングパスにFW藤本一輝(鹿屋体大2年)が抜け出して早大ゴールを陥れる。試合終了間際に許してしまった痛恨の同点弾により、試合は10分ハーフの延長戦へと突入した。

U21日本代表の活動から合流後、即先発出場した小島も奮闘したが…

 既に交代枠を使い切った早大は、選手同士を配置転換し、相馬と岡田を前線に置くことで得点の確率を高める布陣で延長戦を迎えた。岡田がポスト直撃のシュートを放つなど、何度か狙い通りのかたちをつくれたものの、やはり劇的な同点ゴールを挙げた鹿屋体大の勢いに抗うことは容易ではなかった。105分、ついにこの日初めてのリードを許す。DF杉山耕二(スポ2=三菱養和SCユース)の小島へのバックパスを藤本に奪われ1対1の状況に。小島のディレイと杉山の懸命なカバーリングも虚しく、無情にもボールはネットを揺らす。なんとか同点に追いつきたい早大は終了間際にCKを岡田が頭で合わせるも、バーの下を叩いたボールはゴールラインを割ることなくクリアされ、万事休す。大阪の空に鳴り響いたタイムアップの笛は、同時に早大ア式蹴球部(ア式)の日本一への道のりが断たれたことを示していた。

シュートがポストに嫌われ悔しがる岡田

 「(相馬や小島といった)メンバーが戻ってきたことで、前期の遺産を拠りどころにしてしまった。なんとかなるんじゃないかという空気感があったと思う」と、外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)は悔しそうに語った。U21日本代表に参加した小島を始め、ア式の外で活動していた選手たちが再合流して間もない時期に迎えたこの一戦。「それを言い訳にはしない」と、岡田を始め多くの選手が口を揃えたが、やはり連携やコンディションの面で難しさが出てしまったのは事実だろう。「前期に比べてタイムマネジメントを徹底できなかった」(岡田)ことも、悔しさを増幅させる。しかし、2週間もしないうちに関東大学リーグ戦(リーグ戦)が再開する今、下を向いている時間はない。図らずも総理大臣杯で早期敗退を喫したことで、リーグ戦に向けた準備期間が生まれた。転んでもただでは起きない。この屈辱をさらなる成長の機会と捉え、前期リーグ以上の快進撃の足がかりとしたい。

スターティングイレブン


(記事 森迫雄介、写真 守屋郁宏、大山遼佳)


第42回総理大臣杯全日本大学トーナメント 2回戦
早大 2-1
1-2
0-0
0-1
鹿屋体大
【得点】
(早大)09’,70’相馬 勇紀、45’石神 佑基
(鹿屋体大)16’岡田 浩平、60’渡邊 宥也、90+3’,105’藤本 一輝
※延長=10分ハーフ
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 12 小笠原 学 社4 青森山田
→72分 冨田 康平 スポ4 埼玉・市浦和
DF 杉山 耕二 スポ2 三菱養和SCユース
DF 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 牧野 潤 スポ3 JFAアカデミー福島
MF 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
MF 10 石神 佑基 スポ4 埼玉・市浦和
→63分 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
→HT 29 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
→64分 13 高岡 大翼 社4 広島皆実
MF 11 相馬 勇紀 スポ4 三菱養和SCユース
FW 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
→88分 15 直江 健太郎 商4 東京・早実
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関連記事

『サブ組』が躍動!4得点で乱打戦制し5位を勝ち取る/アミノバイタルカップ(7/23)

4年生の意地見せた!2年ぶり総理大臣杯出場を決める/アミノバイタルカップ(7/21)

コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――約1カ月間この試合に向けて準備を進めてきたと思いますが、どういう準備をしてきましたか

アジア大会で抜けていた小島や梁、大学選抜に行っていた鍬先、武田、特別指定で(内定先のJクラブに)行っていた相馬、冨田というメンバーがいない中で金沢遠征とかもありましたけど、それなりに底上げはできたかなという実感はありました。今日は戻ってきた小島であったり、ほぼぶっつけで集まったメンバーという感じもあって、やりながらなんとかコンビネーションをやっていくということにチャレンジをしました。でも、逆に細かなところの連携や意思の疎通のズレが随所に出てしまっていて、そこが隙となってアディショナルタイムに点を入れられてしまったり、最後の失点だったりに終結してしまったかなと思います。

――先発選手のコンディションにばらつきがあるようにも見えましたが

それは当然ありました。でも、お互いにそれぞれの場所で変化をしてきて、この試合を通じて、違う環境で得た経験を良い意味で還元できるような場にできればいいなと思っていました。でも、鹿屋さんにしてみればこの大会を非常に重要だと思っていただろうし、そこに向けてすごく一枚岩になっていて、阪南との試合も今日も非常に一体感のある戦い方をしていました。そういう向こうの粘り強さに対して、うちが隙をつくってしまったという印象がありますね。

――交代の決断が比較的早かったように感じましたが、やはり過密日程への意識もありましたか

今回は早め早めに行こうというイメージはありました。でも、当然できるメンバーだと思って送り出しているし、そこに対してブレはなかったです。ただ急に集まったメンバーでゲームをやって、その中でゲームを動かしてということはこの試合が初めてで、局面がぶつ切りになってしまっているシーンはあったかなと思います。それなりにかたちもあったと思う一方で、ゲーム全体として個々のやり切れた感は多少物足りなかったというのはありましたね。

――試合の締め方という点で、どういった部分に問題があってあの同点弾につながってしまったと思われますか

意外とみんな足がつっているという状況が(後半の)30分過ぎくらいからあって、延長という可能性がある中である程度引っ張りたいなというのがありました。今振り返ると、最後に(交代を)使わずに、そのままの状態で行き切ってしまっても良かったかなと。新しい連携をつくることでみんなの負荷を増やしてしまったというか、そのままのリズムで行っていたほうがゲームの流れとしては終わらせやすかったのかなと思いますね。

――延長に入って選手の配置も変えたと思いますが、意図を教えてください

(最後の交代で)試合を締めに行っていたので、点を取りに行かなきゃいけないという状況を考えると、鍬先がもう足をつっていたので、直江をボランチにして、鍬先はサイドバックにいるほうがボランチよりは負担が少ないかなというのがありました。相馬と岡田が前でどう仕掛けられるかというところで、いくつかチャンスもあったのでそこで決められればというのはあったと思いますね。

――総合的に振り返っていただいて、今日の敗因はどこにあったと考えますか

メンバーが戻ってきたことで、やっぱり前期の遺産みたいなところを良い意味でも悪い意味でも拠りどころにしてしまって、なんとかなるんじゃないかという空気感があったと思います。たとえば『小島が戻ってきたから最後は守ってくれるかな』とか、『相馬が戻ってきたからそこに持っていけばなんとかしてくれるかな』とか、そういうものが一人ひとりに隙をつくり出したというところは否めないと思います。ちょっとしたメンタルや気持ちの持っていき方はすごくデリケートで、サッカーはそこの部分が重要だなと改めてわかったので、どうそこを見直していくかということは最大のテーマだし、優勝するためには今の状況のままではだめだと思うので、みんなで向き合ってもう一回り大きくなっていくというところにはチャレンジしたいなと思いますね。受け入れて、ワセダらしく次に向かいたいと思います。

FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)

――この大会に向けてどういった準備をしてきましたか

アミノバイタルが終わってチームが休みに入って、再始動してからまたこの大会を目指してやってきて、遠征や試合を重ねてチームとしてまた一つレベルアップしたものを出せるように取り組んでいました。

――きょうの試合前の雰囲気はいかがでしたか

新しいチャレンジというところで目標を設定していたので、すごく前向きにできていたと思います。

――ベンチから見て試合の入りはいかがでしたか

良かったと思います。狙い通りのことはできていたなと。ただ、向こうも修正してきて徐々に押し込まれて、2点目を取れたのは良かったですけど、後半に入って相手に上手く修正されて。後半の修正力が足りなかったのかなと思います。

――見ていて必要だと思ったことは

声を掛け合うことと、準備期間が短いこともあったので、より強調してうまくいかない部分や連携ができていない部分を話し合って解決するとか、ミスに対しても前向きに捉えるところが足りなかったです。

――その連携ですが、前線の選手と後続の選手のプレスの連動がうまくいってないように見えました

そうですね。前の選手からしたらチャンスと思ったらボールに行きたい気持ちはありますし、後ろの選手からしたらリスクがあるから回避したいと、どちらの言い分も分かるので、どういう判断をするか、誰がスイッチになるかという基準が不明確だったと思います。

――試合終了間際までリードしていました。終わらせ方についてどう思われますか

そこも(前後が)分離したり、攻め時と守り切る時の意思統一ができていなかったなと。自分も含め、時間のマネジメントもリーグ戦で勝っている時と比べて徹底できていなかったと思います。

――相馬選手がJリーグで戦っていたり、小島選手がアジア競技大会に出場していたりと、コンディション面でも難しい部分があったと思います

まあサッカー選手っていうのはそういうものですし、それを言い訳にしてパフォーマンスが落ちるようでは本物ではないと思いますし、実際それを言い訳にして試合に臨む選手はいませんでした。ただ試合を続けるにつれてコンディション面での難しさが出るのはしょうがないことなので、そこに関しては僕も気を使うとかはしてないですね。

――悔しい結果となりましたが、これを踏まえて今後のリーグ戦にどう生かしていきたいですか

それぞれが前期の活躍でつかんだ(ア式の)外でのチャンスを生かしてプレーしていく選手や、4年生含めて色々な状況が生まれると思いますが、良くも悪くも時間ができたので、バラバラだったチームをもう一度1つにして、ワセダとして何か結果を残すところに向き合えるように、キャプテンとしてつくらなければいけないと考えているところです。また、前期までとは違うかたちのものをやっていかないといけないし、それだけのものを成長してきた上で得てきたと思うので、そこをもう一度冷静になって考えたいと思います。

GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)

――直前までアジア大会がありましたがコンディションはいかがでしたか

いいとは言えないです。一昨日試合をして移動も含めて中1日でした。大阪に合流したのは試合前日の夜だったので限られた時間の中でどうコンディションを整えるかを考えました。トレーナーの人にも協力してもらって試合に出させていただきました。

――相手の攻撃はどう分析していましたか

基本的にはカウンターが中心と分析していました。序盤からリトリート気味に守備をしてそこから縦に速いカウンターで攻撃してこようとしていました。自分たちの中でボールの失い方として中盤で勝手に失わないことと切り替えを早くすること、攻撃しながらのリスク管理とバランスをチームとして意識していました。カウンターではあまりやられませんでしたが一瞬の隙でやられてしまい、自分たちの未熟さを感じました。

――全体的に守備についてはいかがでしたか

我慢強く守備をしようと全員で声を掛け合ってプレーしていました。とにかく慌てずにリアクションに対応しないということは意識していました。いい守備の時間帯もありましたがそれを継続してできなかったのが今後への課題です。

――失点を振り返っていかがでしたか

ほとんどの失点が連携でのミスによるものでした。リアクションで対応してしまったので最後のシュートも味方に当たってコースが変わってしまいました。自分たちから仕掛けに行く守備をしていかないと、こういう全国での試合は厳しくなってくると感じました。

――プレスが曖昧な場面が多く見られましたが

まさに2失点目は一瞬誰がプレスに行くのかの判断が遅れてしまいました。そういう一瞬の隙で勝負が決まってきてしまうので個人としてもチームとしてももっと隙を与えないということに取り組んでいかなければいけないです。

――失点した際、攻められている感覚はありましたか

攻められている感覚自体はありませんでしたが完全に自分たちから崩れていった試合でした。全てのクオリティーを高めなければいけないです。

――後期リーグに向けてどう切り替えていきますか

あと2週間弱あり、チームから離れていた選手が多くいたのでしっかり東伏見に戻って連携を高め、後期も強いワセダで居続けられるようにします。

MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)

――今日はどういったゲームプランでしたか

一発勝負のトーナメントなので、しっかり守備をやりながらも攻撃は全員で出て行くっていうチームの団結や信頼を意識して臨みました。

――Jリーグでの出場も続いていましたがコンディションはいかがでしたか

ないと言えば嘘になりますが、そこは気にせず試合に入れたと思います。久しぶりの90分だったので違う体力(を使う)部分はあったけど、って感じですね。

――ゴールシーンを振り返っていただきたいのですが、先制点の場面はシュートを狙っていたのですか

まあ、シュートっていうか、なんて言うんですかね。よく言われる『触らなくても入るボール』っていう相手が一番嫌がるであろうボールを狙った通り蹴れたので、あれは良かったと思います。2点目は今までの自分にはなかったかたちでした。(ボールを)出して出て行くことを繰り返す、名古屋グランパスでたくさん練習していたことを大学の試合で出せたのは良かったと思います。

――この結果を受けて、チームに足りないと思ったところは

全日本大学選抜、U21日本代表、Jリーグ組など選手が結構分かれてしまって連携が足りなかったところも、言い訳にはしたくないですが多少はあったと感じました。チームの連携の部分と個人の能力、最終的にシュートブロックするのも、クロスでアシストするのも、シュートをするのも個人の能力であると思うので、その両面を鍛えていけば、もっと良いチームになっていけるんじゃないかと思います。

――リーグ戦に向けてはそういったところを擦り合わせていくことになりますか

そうですね。あと2週間弱あるので、そこでチームでしっかり話し合いながらやっていきたいです。