レスリング部

2018.08.27

全日本学生選手権 東京・駒沢体育館

学生王者の座をかけて、チーム一丸の戦いが幕を開ける/全日本学生選手権展望

 1週間におよぶ和歌山での強化合宿を終え、全日本学生選手権(インカレ)へ向けた最終調整に入った早大レスリング部。前期のシーズンの集大成であり、また秋以降の大会、そして年末の天皇杯全日本選手権に向けた自身の立ち位置を確認できることもあり、選手たちのモチベーションは最高潮に達している。今回は「インカレももう近くなってきたので、一人一人集中力をどんどん上げていっているのかなと感じます」(米澤圭主将、スポ4=秋田商)というレスリング部の練習を取材させていただいた。

 早大レスリング部の練習は2時間ほど。太田拓弥監督によれば、6分間で行われるレスリングという競技において、集中できるベストな時間だという。また、午前中にはランニングやウエイトなどを中心の朝練を行なっており、基礎体力の増強にも抜かりはない。練習は米澤圭主将を中心に選手主体でメニューを考える。練習の軸となっているスパーリングでは男女、スタイルの垣根を超えた試合形式の組み合いが行われた。スパーリング中には周りの選手たちが絶え間なく盛り上げる声やアドバイスを送っており、チームの雰囲気の良さもうかがえた。その後はがぶりの状態、タックルに入られた時など、試合におけるシチュエーションを想定した攻防の練習も行った。米澤凌(スポ1=秋田商)は「みんな考えて練習をしている。高校とは全然違う練習内容で、自分の身になることばっかりで、考えさせられる練習だなと感じています」と述べるように、選手たちの自主性を重んじた練習が早大レスリング部の最大の特徴だ。独特なスタイルの選手が多い早大だが、それは主体性を持った練習の姿勢から由来するものかもしれない。

須崎優衣(スポ1=東京・安部学院)(左)と坂井(右)のスパーリング

 最後のインカレに挑む4年生は5選手全員が出場する。65キロ級で2連覇中の主将の米澤圭は9月上旬に控える世界大学選手権の兼ね合いもあり、1つ階級を上げた70キロ級で挑む。「最後のインカレだからってあまり気負いしすぎず、挑戦者のつもりで楽に戦えたら」と米澤圭主将。明治杯全日本選抜選手権(明治杯)の前に負傷した肩に不安は残るが、3連覇と2階級制覇という離れ業にも期待だ。伊藤駿(スポ4=京都・網野)は米澤圭と同じ70キロ級で出場。昨年2位に終わった雪辱を果たし、初のインカレ制覇を達成できるか。齋藤隼佑(スポ4=群馬・館林)、橋本星良(人4=茨城・土浦日大)、 小林奏音(スポ4=長野・佐久長聖)は自身の持つ力を出しきり、有終の美を飾りたい。

 太田監督は特に期待したい選手として、岩澤侃(スポ3=秋田商)、吉村拓海(スポ3=埼玉栄)、宇井大和(スポ3=和歌山・新宮)の3選手を挙げた。早大入学以降、ここまで大きなタイトルを獲得できていないだけに、今年のインカレでは飛躍を期待したい。今年度はJOCジュニアオリンピック杯優勝、明治杯全日本選抜選手権3位入賞など成長著しい松本直毅(スポ3=神奈川・横浜清陵総合)にも注目だ。「準々決勝と準決勝が山場になる」と語る松本だが、昨年の3位以上の成績を期待したい。昨年のインカレでは惜しくも2位に終わった早大の絶対的エース・山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)は1年時以来、2年ぶりの優勝を目指す。

ポイントを奪い喜びの声を上げる山﨑(左)と悔しそうに笑みを浮かべる松本(右)

 昨年のインカレは期待されながらもまさかの減量失敗による失格となった梅林太朗(スポ2=東京・帝京)。それだけに今年こそは納得のいく結果を残したいところだが、アジア・ジュニア選手権で負った左ひざのケガの経過が良好とは言えず、不安を抱えながらの戦いとなる。手負いの状態でどこまでの成績を残すことができるか、成長の見せどころだ。前期のシーズンでは思うような結果を出すことができなかった坂井剛光(社2=福岡・小倉商)、野本州汰(スポ2=群馬・館林)、臼池優月(社2=茨城・鹿島学園)の奮起にも期待したい。太田監督が常に課題として挙げている「チーム内の実力差」の改善につながるはずだ。

 初のインカレに臨む1年生の3選手は太田監督も「既に大学トップレベルの力を持っている」と太鼓判を押す実力者たちだ。昨年の高校生王者・米澤凌(スポ1=秋田商)は1つ階級を落とし、65キロ級での出場となる。65キロ級は群雄割拠の激戦区だが、「どうせなら五輪階級の65キロ級で、チャレンジのつもりで。決勝で乙黒さん(拓斗、山梨学院大)とやってみたいという気持ちがある」と意気込む。加えて、65キロ級には東日本学生リーグ戦でチーム唯一の全試合全勝を果たすなど、勢いのある安楽龍馬(スポ1=山梨・韮崎工)も出場する。1年生がどこまで勝ち上がれるかも太田監督が期待するところの1つだ。小玉彩天奈(社1=高知東)は川井友香子(至学館大)と対戦する2回戦が大きな山場となる。今年度の明治杯女王相手にどう戦うか注目したい。

主将の米澤圭を中心にチーム一丸となって学生王者を目指す

 いよいよ明日からインカレが開幕する。インカレは早大レスリング部の選手が揃って出場する、唯一と言っていい大会だ。個人にとってはもちろん、チームにとってもこの大会は多くの収穫が得られる重要な位置付けとなる。主将の米澤圭を中心にチーム一丸となって学生王者の座をかけた戦いが幕を開ける。

(記事、写真 林大貴)

コメント

太田拓弥監督

――和歌山の合宿はいかがでしたか

関大、関学大、同志社大、立命大、近畿大、徳山大、天理大といった近畿の大学を中心に、あとは和歌山、佐賀、沖縄、兵庫の高校生、と地元の子供たちと合宿をやって、ただ山﨑、松本、優衣。彩天奈は代表の合宿と丸かぶりしていたので、それ以外のメンバーで合宿に行ったんですけど。ちょっと比較的練習相手も一段下のレベルだったので、朝の砂浜のトレーニングと山のランニングのトレーニングと技術の再確認というところを合宿ではやってきました。

――最近の練習ではどういったことに取り組んでいますか

きのうがですね、合宿明けの練習だったんですけど、きのうは試合形式のスパーリングをちょっと多めにやって、きのうはちょっと多めだったのできょうはポジション練習を取り入れている感じですね。スパーリングも1人2本ぐらいやって、そのあとポジション練習という形ですね。

――ポジション練習というのは具体的にはどういった練習ですか

足を取った状態からレディーゴーで100パーセント、首を抱えた状態からレディーゴーで100パーセントとか諸々いくつか。状況設定というよりはシチュエーションごとの練習ですね。

――それはインカレに向けての最終調整でしょうか

インカレへ向けてというよりかは、火曜日はこの練習、水曜日はこの練習といった具合でスケジュールがある程度決まっているので。ただいつもだったら土曜日は試合形式のスパーリングが1人4本なんですけど、きのうそれをやっているので、きょうはポジション練習を多めにしています。

――練習時間は2時間ほどとお聞きしましたが、短時間で集中して行うというスタイルなのでしょうか

2時間やらないぐらいですね。試合時間は6分しかないですから。野球やサッカーみたいに3時間4時間やるような競技ではないので、2時間程度が人間の集中力、格闘技に集中する時間を考えたらそれぐらいがベストかなと思いますね。海外に行けばもっと短いですね、90分ぐらいで終わりますね。多い大学で2時間半から3時間ぐらいで、平均的には2時間ぐらいですね。技術練習とか技の確認とかになるとちょっと長くなりますけど。

――インカレで期待している選手などはいらっしゃいますか

そうですね、侃(岩澤、スポ3=秋田商)と拓海(吉村、スポ3=埼玉栄)あたりは実力がありながらもなかなか結果が出ていないので、インカレで飛躍して欲しいというところですかね。あと大和(宇井、スポ3=和歌山・新宮)とかを含めた3年生。直毅(松本、スポ3=神奈川・横浜清陵総合)もここ最近はすごく成長が見て取れるので、いいところまでいってくれるんじゃないかなと思っています。4年生はもう実力があるので、あとは1、2年生がどこまでいけるかですね。

米澤圭主将(スポ4=秋田商)

――きょうの練習を振り返っていかがですか

みんな合宿をケガなく終わって、インカレももう近くなってきたので、一人一人集中力をどんどん上げていっているのかなと感じましたね。

――和歌山の合宿の方はいかがでしたか

自分自身、和歌山合宿は2日目でバッティングしちゃいまして、ここ(左目の上)を切っちゃって、しばらく練習ができなかったんですよ。なのでそこが自分的には心残りなんですけど、しっかりそこで体の調子を整えつつ、走ったりして体力も付けつつ合宿明けの練習でしっかり自分の調子を戻していくというかたちで今やっています。

――チームとしてはいかがでしたか

遊ぶときは遊ぶ、練習するときはちゃんと練習する、メリハリを持った練習が合宿ではできたので、その点は良かったかなと思います。

――練習を拝見させていただいて、チームの雰囲気は非常に良さそうでしたが、主将として心掛けていることはありますか

そうですね、本当に試合が近いので、自分自身ケガしていることもあって、ケガだけはしないで欲しいと思って。そこをまず第一で。それプラス一人一人コンディションも全然違うと思うので、ちゃんと一人一人のコンディションとピーキング、試合までの持っていき方を意識して。練習しすぎてもだめだし、やらなすぎてもだめなので、そこは強制的に練習をやらせるということはなくて、自分の体調と相談して、練習に取り組むようにはチームには言っています。

――ケガというのは明治杯全日本選抜選手権のときに痛めていた箇所ですか

そうですね、そこを痛めていて、なかなか治りが悪くて。来週あたりに病院に行って、痛み止めとかを打ってもらって試合に出ようかなと思っています。

――練習のメニューは誰がどのように決めているのですか

基本的に最近は自分が決めることが多くて。そのときの状況にあった練習、攻防のがぶった状態とか四つ組の状態とかを入れながら。試合でこの場面になるであろうという部分を切り取って、そういったところを多めにやっているんじゃないかなと思います。

――インカレへ向けて意気込みなどはありますか

自分はインカレの後に世界学生選手権という大会があるんですけど、そっちは65キロ級で出るんですけど、インカレは70キロ級で出るということで。理由としては減量が連続して続いちゃうっていうのがあって、自分的にも厳しい部分があって。70キロ級で(インカレに)出て、世界学生選手権に向けて落としていこうと思っています。減量しながらの70キロ級に出ないといけないので、ちょっと厳しい戦いになるとは思うんですけど。最後のインカレですけど、最後だからってあまり気負いしすぎず、挑戦者のつもりで楽に戦えたらいいかなと思っています。

松本直毅(スポ3=神奈川・横浜清陵総合)

――世界ジュニア選手権へ向けた代表の合宿があったそうですが

やっぱり、トップの選手とはレベルの差があるなという印象でした。

――全日本の合宿に参加するのは今回が初めてになりますか

1回去年学連の上位が全日本の合宿に参加するというのがあって、それで1回参加したことはあったんですけど。純粋な全日本合宿に参加するっていうのは今回が初めてでしたね。

――何か得られたものなどはありましたか

体力強化はそれなりにできたかなとは思っていて。技術練習というのはあまりなかったんですけど、見ていて得られたものというか、こういうふうに守るんだなとか、こういう技があるんだなとかは知ることができましたね。

――前期のは飛躍のシーズンとなったように見ている側からは感じたのですが、ご自身振り返ってみてどうですか

成績的には良かったと思うんですけど、自分と競るぐらいというか、学生トップレベルの選手とは組み合わせ上まだ当たっていないので、なんとも言えないというか。このインカレで当たることになると思うので、そこでどう変わっているかなというのが気になるところですね。

――現在の調子はいかがですか

今ちょっと指の方をケガしているんですけど、大したことはないので。それ以外は調子はいい方だと思います。

――インカレでトップレベルの選手と当たるだろうとおっしゃっていましたが、インカレでの目標などはありますか

とりあえずは準決勝までは行きたいかなと。準々決勝でちょっと勝負というか山場があって、準決勝でもまた勝負があるんですけど、とりあえずは準々決勝は勝ちたいなと。それで準決勝でどう戦えるか、自分の実力が確認できるかなっていうところですね。

米澤凌(スポ1=秋田商)

――きょうの練習はいかがでしたか

きょうの練習は朝練から結構ハードだったんですけど、試合前なので追い込んでやろうと練習に取り組みました。

強い高校生もいて、刺激をもらったりして、下から上までというか、小さい子から社会人の方まで来てくれていて、色々な経験ができたかなと思います。

――高校と大学の練習で違いを感じるところはありますか

高校ではがむしゃらにレスリングをやっていたんですけど、大学ではしっかり考えてやるレスリングだなと感じます。

――早大のレスリング部の練習はいかがですか

みんな考えて練習をしていて。もつれだったり、簡単に点数を取らせないような粘り強いレスリングをしているなと思います。高校とは全然違う練習内容で、自分の身になることばっかりで、考えさせられる練習だなと感じています。

――インカレでは65キロ級で出場するようですが

自分は普段70キロ、71キロぐらいなので、(70キロ級だと)フィジカル負けもしていて。その中で少し減量はするんですけど、65キロ級で挑戦してみてもいいかなって思って。チャレンジのつもりで。あとは五輪階級も65キロ級と74キロ級で70キロ級はないので、どうせなら、負けてもいいから五輪階級の65キロ級で出ようと思いました。

――インカレでの目標はありますか

しっかり自分の力を出せれば決勝まで行けるかなというところなので、決勝で乙黒さんとちょっとやってみたいという気持ちはあります。