ヨット部

2018.08.14

早慶定期戦 8月11・12日 神奈川・葉山沖

伝統の一戦を僅差で制す

 今年で78回目を迎える早慶定期戦が神奈川・葉山沖にて行われた。両校とも多くのOBが観覧艇からレースを見守り、応援部と共に船上からエールを送った。選手たちはライバルである慶大との戦いに対して「絶対に勝ちたいという思いがあった」(元津志緒、スポ4=長崎工)と口をそろえた。今大会には両クラスから4艇ずつが出場。初日は安定した風域で4レースを消化した。総合で8点差という僅差で大会を折り返す。最終日は弱風の中、2レースが行われ、早大は結果的にリードを広げ、伝統の一戦を制した。

 第1レース、470級は1位から3位を慶大に明け渡し、8点差を付けられてしまう。しかし、スナイプ級では反対に1位から3位に早大勢が入り、総合得点は同点に。第2レースでもスナイプ級はワンツースリーフィニッシュで慶大に差を付け、総合で4点のリードを奪う。その後、470級で小泉凱皇(スポ1=山口・光)・嶋田篤哉(文構3=神奈川・鎌倉学園)組に代わって出場した、蜂須賀晋之介(スポ1=茨城・霞ケ浦)・吉村大(人3=埼玉・県浦和)組が2位に入ったが、第3レースを終え、総合得点は2点差に詰められてしまう。この日の最終レースでは元津・古橋捷太(先理4=東京・早大学院)組が4年生の意地を見せ、トップでフィニッシュ。また、スナイプ級でも松尾虎太郎(スポ2=山口・光)・海老原崇(法3=埼玉・川越東)組がトップフィニッシュを決め、松尾・神宮泰祐(政経4=東京・早大学院)/海老原組は初日の全レースで1位を獲得という結果になり、総合得点に大きく貢献した。松尾は「自分の中では当たり前のことをした結果」と冷静に振り返る。総合成績で早大は8点リードという僅差で初日を終え、勝負の行方は翌日に持ち越された。

トップでフィニッシュする松尾・海老原(左)組

 最終日は弱い北風が吹き、午前中に1レースを消化。しかしここで、470級に出場した蜂須賀・吉村組がリコールを犯してしまい、3番でフィニッシュしたものの9点を得てしまう。スナイプ級では松尾・海老原組がついに1位を慶大に譲り、総合得点は5点差に縮まる接戦となって、勝負は最終レースに託された。最終レースでは、前日に続き元津・古橋組がトップでフィニッシュするなど470級チームはまずまずの順位でまとめた。スナイプ級でも尾道佳諭(スポ1=山口・光)・神宮組が1位を獲得。最終的に総合得点は15点差となり、早大が総合優勝を決めた。

総合優勝が決まり、笑顔の選手たち

 それぞれの選手が強い思いをもって臨んだ伝統の早慶戦。ここまで関東学生春季選手権、同志社定期戦と団体戦での勝利を重ねてきた早大にとって、全日本学生選手権(全日本インカレ)における総合優勝に向けて、早慶戦での勝利はどうしても手にしたいものだった。「勝てたことが何よりもうれしい」と、岩月大空主将(スポ4=愛知・碧南工)は表情を緩めた。一方で、今大会は470級チームの主力である田中美紗樹(スポ3=大阪・関大第一)がデンマークで行われたセーリング・ワールド・チャンピオンシップに出場したため不在の中でのレースであった。470級はクラス優勝とはならず、「(田中が)いない中でも勝ちきりたいという思いが強かった」(元津)と悔しさも残った。また、普段の団体戦では各クラス3艇が出場するが、この早慶戦では4艇ずつ出場し、4番艇は頻繁に選手の交代が行われた。選手の実力が拮抗(きっこう)し、チーム内でレギュラー争いが起きることはチームの底上げのために有益なことである。より一層高いレベルで全日本インカレに臨めるよう、夏合宿を通してチーム全体の成長を目指す。

(記事 加藤千咲、写真 千葉洋介、大島悠希、加藤千咲)

集合写真

結果

▽470級

●早大(元津・古橋組、小泉・嶋田/蜂須賀・吉村組、西村宗至朗(社1=大阪・清風)・秦和也(基理3=東京・早大学院)組、佐香将太(スポ2=岩手・宮古)・永島慶也(政経4=神奈川・逗子開成)組)112-105慶大

▽スナイプ級

〇早大(岩月・三宅功輔(商4=東京・早大学院)組、入江裕太(スポ3=神奈川・逗子開成)・原潤太郎(商3=埼玉・早大本庄)組、松尾・神宮/海老原組、尾道/谷川隆治(商2=千葉・稲毛)・高橋康太(商3=埼玉・早大本庄)/神宮組)97-119慶大

▽総合

〇早大209-224慶大

コメント

スナイプ級スキッパー岩月大空主将(スポ4=愛知・碧南工)

――早慶戦を終えて、率直な感想をお願いします

一番は本当にうれしいです。自分が4年生としてこのチームをまとめてきた上で、早慶戦は絶対に勝ちたいところだったのでひとつここでしっかり勝ち切れたのは安心した部分と、勝てたことに何よりもうれしいです。

――慶大と僅差での勝負となりましたが、何か意識していたことはありますか

意識していた部分というのはほとんどなくて、点数を気にするよりもいつも通り練習のレースだったりフリートレースだったりという、早慶戦ということを一切意識せずに普通にスタートしてレースをするということだけをきのうも全体に伝えましたし、この大会に臨む上でも全体にそういうことは発信していました。点数とかを気にしだすといつも結構ぐちゃぐちゃになってしまうので、そうではなくてしっかりレースをやってフィニッシュしたときに点数がどうかというところをいつも気にしていました。やっぱり470級とスナイプ級の合計点で争っているので、470が苦しいときにスナイプが助けたり、スナイプが苦しいときに470がしっかり走ってくれたり、チームで戦うというところが見られたのがインカレを見据えても良いチームとしてできあがってきたなと思いました。

――2日間のレースを振り返っていかがですか

自分としては毎回言うんですけど、良い部分もありましたし自分の課題だったり反省しなきゃいけない点というのがすごく見えて次のレースに向けて何をしなくてはいけないかというのが明確になったのですごい良かったです。スナイプチーム全体としてもしっかり走れて勝ちレースが多いところではあったので、チームの実力がしっかり上がっているという確認としてすごく良かったです。

――普段の団体戦とは違って4艇ずつの出場となりましたが、尾道選手と谷川選手の艇の走りはいかがでしたか

しっかり前を走れる部分があったので、成長が見られたなと思います。また、前にいても守り切れた場面や順位を落としてしまう場面もあり、自分も含めてそういうところの課題が明確になりました。反省すべき点が多く見つかることがチームとしてのレベルアップにつながって一人ひとりの失敗がチームの学びになるので、そういった部分では良かったです。

――今季はここまで団体戦での勝利が続いています

言ってみれば負けなしみたいな感じにはなっていると思いますが別にそれをチームとして意識しているとかはなくて、一戦一戦それぞれチームの目標を決めて戦って、一勝一勝積み重ねているところなので、負けなしというよりはその一戦一戦をちゃんと見つめてチームとして勝ち切ることができているという印象です。負けがないことはいいことではあるのでこのまま秋のインカレ(関東インカレ)、全日本インカレ(全日本学生選手権)という風に向かっていければチームの雰囲気としてもすごく良いと思うので、次は個人戦(全日本個人選手権)があるんですが、チームとしては関東インカレが10月にあるのでそこをしっかり勝ち切って良い雰囲気のまま全日本インカレに向かいたいと思います。

――一戦一戦勝ち切ることができている勝因やポイントはありますか

今年のチームの目標としても掲げているチーム全体で戦ってチーム全体で勝ち切るというところ。40人以上部員がいる中でも全日本インカレであれば選手として出るのは12人ですが、選手だけが戦っているかと言ったらそうではなくて、サポートがしっかり準備をしてくれてご飯も作ってくれてといった支えがあってしっかり勝ち切れている。また、監督のボートでのサポートであったりコーチのアドバイスであったり、全てを含めてやっと勝ちにつながっているというところが早大の強みではないかなと思います。

――夏を通して強化したい部分はありますか

例年に比べて今年は夏の大会が少ないので、1日1日ただぼうぜんと乗るのではなくて、いかにチームの中で練習しながら課題を見つけてそれに対して1個でもいいから課題を解決する練習につなげていきたいです。やっぱりレースがない分他の大学との合同練習というのは積極的にやっていて、お互いオープンにしていって関東の大学がどんどん強くなっていって、より早大がその環境でまた強くなることを求めているので、早大だけでの練習もそうですけど合同練習でより早大の実力や今の位置関係を見つめて今後のレースにつなげていくという夏にしていきたいと思っています。

470級スキッパー元津志緒(スポ4=長崎工)

――早慶戦を終えて、率直な感想をお願いします

4年にとっては最後の早慶戦ということもあり、絶対に勝ちたいという思いがありましたのでチーム全体として勝つことができたのは良かったと思っています。ただ、470チームとしては負けていますので、まだまだこれからレベルアップしていける部分があるということを再認識することができましたので今後につなげていきたいと思います。

――田中選手が不在だったことによる影響はありましたか。また、その中でのレースはいかがでしたか

そうですね、田中が不在ということでレースを引っ張る存在が1人欠けていたというのはありますが、田中がいなくても勝つことができれば戻ってきたときにさらに強いチームになると思っていましたので、いない中でも勝ちきりたいという思いが強かったです。

――470級チームは慶大に終始リードされる展開となりましたが、2日間のレースを振り返っていかがですか

早大は1日目、全体としてスタートでのミスが多く前半から慶應に抑えられる展開となり苦しいレースとなってしまいました。2日目は初日に比べスタートは改善したものの、その後のポジショニング、タクティクスが悪く1上マークから慶應に1、2位を譲ってしまう場面があり厳しいレースでしたが、順位を上げられるポイントで最後まで粘り強く戦い、最終レースは勝ちレースで終えられたのは良かったかと思います。良い面もありましたが、課題の残る大会となったと思っています。

――早慶戦で見つかった課題や良かった点は

2日間通して、特にポジショニングの面では改善しなければいけないと思いました。今回は4対4の戦いだったものの、インカレでは何十艇もいる中でどこに自艇を置くのかが重要になってくると思うのでチームとして強化が必要だと感じました。

――交代で出場していた小泉選手と蜂須賀選手の艇の走りはどのように評価されていますか

小泉に関しては本人も言っていたのですが、周りの艇を気にしすぎてしまいレーシングスピードがないということがあり序盤、苦しい走りをしていたように思います。レース前の帆走練習ではスピードは良かったので少しもったいないなと感じた部分はありました。蜂須賀はスタートでリコールがあり今後スタートの仕方を変えていく必要があると思いました。チームとしても夏前からスタートは力を入れてきたので、これから、もっとシビアに取り組む必要があると感じています。

――夏合宿で強化したい部分はどのような点ですか

夏合宿では、470は全日本470などレースが多く、練習する時間が限られているのでレースで学べるタクティクス、ポジショニングの面を強化していければと思います。

スナイプ級スキッパー松尾虎太郎(スポ2=山口・光)

――早慶戦はどのような意気込みで臨まれましたか

自分は2年生という立場で昨年負けている大会で、今年の大会は早大がずっと勝ち続けているので、このままの勢いで全日本インカレへと勝ち続けるために、どうしても勝ちたい大会でした。また、慶大というライバルの大学が相手でお互いの実力がもろに分かる大会なので、その中で勝ちたいと思った大会でした。

――1日目は全レースをトップで終えましたが、調子はどうでしたか

自分の中では当たり前のことをした結果だと思います。自分の調子の良し悪しに関わらず、自分の実力を出し切れたと思います。

――2日目のレースを振り返ってどうですか

2日目のレースも場面場面で良い場面がありました。風にむらがあり、予測の出来ないことが起こりやすい海面で、順位を2位と3位にまとめることができて良かったです。最後のレースも、慶大を意識して慶大を抑えながらのレースとなったのですが、その中で最後に順位を3位に上げることができたので、自分の中では納得のいくレースでした。

――初日と2日目どちらも満足度は高いですか

はい、すごく満足度の高いレースとなりました。

――これからの夏の期間を通して改善したいところはありますか

ヨットという競技はスピードが大事な競技であるので、そのスピードをさらに上げられるような練習をしたいと思います。

470級スキッパー小泉凱皇(スポ1=山口・光)

――早慶戦はどのような意気込みで臨まれましたか

昔から早大に入ることが憧れであり、自分が入って初めての早慶戦で伝統ある大会なので、早慶戦だけは勝ちたいという強い思いがありました。

――2日間のレースを振り返ってどうでしたか

個人的には全然上手くいかず、練習の時はチームメートと同じスピードで走ることができたのですが、レースになると余計なことなどを考えてしまって走りに集中することができなかったので、個人的には良くなかったです。

――蜂須賀選手との交代での出場となりましたが、彼に対する意識はどのようなものですか

もちろん、早大の中でレギュラー争いがあるので勝ちたいという思いはありますが、交代する時は自分が良くなかったから交代されるので、自分がその前のレースで得た知識や予想を2人でコミュニケーションを取って、共有しています。

――早慶戦特有の観覧艇からの応援はどうでしたか

船の上から応援されるのは嬉しいものではあるのですが不思議な感覚で、舞い上がらないようにと自分をコントロールしました。

――大学生となって初めて迎えるこれからの夏や、それ以降の意気込みを教えてください

全日本インカレのレギュラーになれるように、同期を含めて皆が強いので、他の人に負けないように、1分1秒を大切に毎日レベルアップ出来るようにしていきたいです。