ア式蹴球部

2018.07.15

アミノバイタルカップ2018 7月14日 静岡・時之栖スポーツセンター裾野Aグラウンド

土壇場で地力発揮!苦境はねのけ2回戦進出、慶大と再戦へ

 夏の大阪での大学日本一を目指す戦いが始まった。早大にとっては2年ぶりの総理大臣杯全日本大学トーナメント(総理大臣杯)出場をかけたアミノバイタルカップ関東大学トーナメント(アミノ杯)が開幕し、1回戦で日大と対戦。昨年、関東大学リーグ戦(リーグ戦)の2部で低迷し、今季からは東京都大学リーグを戦う相手に対して2度先行を許し、苦戦を強いられる。しかし、FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)のPKで追い付くと、土壇場でFW武田太一(スポ3=ガンバ大阪ユース)が決勝弾。苦しみながらも生き残った早大は、16日の2回戦で1週間ぶりにライバル慶大と顔を合わせることになった。

 勝ち進めば過密日程が控えるということもあり、リーグ戦でサブに回っていた選手も数多くスタメンに名を連ねたが、日大の鋭いプレスや素早い攻守の切り替えを前に、立ち上がりから守勢に回った。やや浮き足立ったように序盤を過ごすと、先手を取ったのは番狂わせを狙う日大。6分にFKからDF長谷川雄介(3年)に頭で決められ、ビハインドを背負った。スコアが動いてからも、早大は引いてブロックをつくる相手を前に「ボールを持たされているという感じ」(DF冨田康平、スポ4=埼玉・市浦和)とペースをつかめず、相手ゴールに迫ることはできない。逆に危険な位置でボールを失うシーンも目立ち、9分、20分には、関東大学選抜にも名を連ねるMF金子拓郎(3年)にあわやというミドルシュートを許した。それでもGK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)の好セーブなどでピンチを切り抜けると、ウォーターブレイクを挟んでからは早大が徐々に好機をつくり始める。すると37分、それまで積極的な仕掛けを見せるなど奮闘していたFW梁賢柱(スポ2=東京朝鮮高)が、DF小笠原学(社4=青森山田)からのクロスにヘディングで合わせて決め、追い付いた。これをきっかけにペナルティエリア内に効果的なボールが供給され始め、42分には梁のミドルシュートがバーを直撃するなど、明らかに風向きが変わったが、前半は同点のまま終了した。

サイドでスタメン出場し、積極的な姿勢で流れを呼び込んだ梁

 前線に岡田と武田を投入して臨んだ後半、早大は両サイドバックがより積極的な攻め上がりを見せるようになる。立ち上がりから主導権を握ったが、ゴール前で高い集中力を保つ日大にことごとく跳ね返され、思うようにシュートを打つことができない。すると59分、またしてもセットプレーから長谷川に頭で合わせられ、再び追いかける展開となった。その後、状況は変わることなく、シュートシーンを思うようにつくれずにいると、早大ベンチはセンターバックにDF井上純平(商4=東京・早実)を、続けて中盤にMF阿部隼人(社2=横浜F・マリノスユース)を投入。井上はビルドアップの起点となる鋭いパス、阿部はシンプルなボールさばきを見せ、「推進力を加えて勇気を示すプレー」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)でチームの攻撃にリズムをもたらした。75分にCKからDF坂本寛之(スポ2=横浜F・マリノスユース)、78分には流れの中から岡田がそれぞれ日大ゴールを脅かし、反撃への機運が最高潮に達すると、セカンドボールを回収し続け、波状攻撃を仕掛けた80分に、冨田の左クロスを相手DFが手で触れてしまいPKを獲得。岡田が冷静に相手GKの逆を突いて決め、再び同点とした。早大が逆転へ向け攻勢を強める一方、運動量が落ちてきた日大は、延長戦も視野に入れ、自陣で全員守備の構えを見せる。しかしアディショナルタイム、日大の選手が足をつって試合が止まった直後のプレーで、左サイドの深い位置まで冨田が侵入。折り返しを、ニアサイドに走り込んでいた武田がゴールに流し込むようにワンタッチで合わせて、逆転劇が完結した。

プレッシャーのかかるPKを確実に決めた岡田

 一発勝負の厳しさ、そして日本一への道の険しさを、初戦から突きつけられることになった。しかし今年の早大には、90分間の戦いで勝利を積み重ねてきた自信がある。所属リーグ上では格下に分類される相手に、リードされる時間が続き、得意の速攻を繰り出せる状況にない。『焦れ』が起きてもおかしくない状況にあったが、冷静に攻撃のかたちをつくり続けて逆転につなげた。「サイドで高い位置を取って仕掛けるということは繰り返せた。続けられたことに意味がある」(外池監督)。この日、他会場で慶大が東京国際大を相手に下剋上を起こしたことで、2回戦での早慶戦が実現した。たとえ旗色が悪くても、試合終了の笛が鳴る瞬間に相手より多く得点を挙げていればいい――主導権を握って試合を進めることがもちろん理想になるが、仮に苦しい展開を強いられても、そんな強かな姿勢を変わらず発揮できるか。敗れたチームは総理大臣杯出場の可能性がついえるというプレッシャーもかかる一戦。1週間前のリベンジに意気込む宿敵を打ち砕き、大阪行きへ前進したい。

スターティングイレブン


(記事、写真 守屋郁宏)


アミノバイタルカップ2018 第7回関東大学トーナメント大会
兼総理大臣杯全日本大学トーナメント関東予選 1回戦
早大 1-1
2-1
日大
【得点】
(早大)36’梁 賢柱、81’岡田 優希(PK)、90+3’武田 太一
(日大)06’,59’長谷川 雄介
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 12 小笠原 学 社4 青森山田
DF 杉山 耕二 スポ2 三菱養和SCユース
→67分 32 井上 純平 商4 東京・早実
DF 23 坂本 寛之 スポ2 横浜F・マリノスユース
DF 冨田 康平 スポ4 埼玉・市浦和
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
→72分 18 阿部 隼人 社2 横浜F・マリノスユース
MF 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
MF 22 神山 皓亮 商3 栃木・真岡
MF 19 杉田 将宏 スポ1 名古屋グランパスU18
→HT 29 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 20 梁 賢柱 スポ2 東京朝鮮高
FW 15 直江 健太郎 商4 東京・早実
→HT 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
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コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――なかなか事前の対策ができない状況にあったと思いますが、今日の試合はいかがでしたか

そうですね。でも想定していたとおりで、言い方は悪いですけど、向こう(日大)も関東の今のチャンピオンとやるということで守備的に来るだろうし、セットプレーやカウンターに対して狙いを持ってくるだろうなというのはありました。うちもターンオーバー的な形で臨んだんですけど、最初にセットプレーで取られたということで後手を踏むことになってしまいました。そこはすごく試練だったと思います。でも、梁とか神山みたいに自分の特徴を出し続けるというところにチャレンジし続けた選手もいたので、そこはひとつ糸口になるかなと思っていました。2失点目もセットプレーで取られて、その後に入った井上とか阿部は難しい状況でゲームに入ったと思うんですけど、チームとしてやるべきことを整理させて、引き込もうとしてくる相手に対して推進力を加えて、勇気を示すプレーが目立ったので、結果として、今回の(選手)選考に関して意味があったという方向に持ってこれたことはよかったと思います。

――速い攻撃を繰り出すことが難しいという展開は、今までになかったように感じます。ベンチからどのように見ていましたか

PKのシーンもそうですし、最後の(勝ち越しの)シーンもそうだし、パワープレーにはならずに、しっかりサイドで高い位置を取って仕掛けるということは繰り返せたと思います。精度という部分では10本蹴ってやっとみたいな感じはありましたけど、やっぱり続けられたことに意味があったと思います。そのあたり(精度)の部分はもっとやっていかないといけないと思うんですけど、とはいえこういうものだとも思うので(笑)。僕はすごくポジティブに考えています。

――とにかく次に進むことができます。まだ対戦相手は決まっていませんが(※インタビュー後に慶大に決定)、月曜日の試合に向けていかがですか

慶応さんにしても東国(東京国際大)さんにしても、リーグ戦や早慶戦で非常に激しい試合をしたチームなので、どちらが来ても楽しみだし、自分たちとしては戦いやすいと思います。遠征メンバーや今日駆けつけてくれたメンバーも含めて、チームとしてのパワーを持って臨みたいなと思います。

――戦いやすいというのは、謙虚さを保つ意味でやりやすさがあるということですか

そうですね。チャンピオン、第1シードという肩書きで大会に臨めるというのはなかなかないし、向こうからしてみればやってやると思って来ると思うので。慶応さんは言うまでもないですし、東国さんからいえば0-2から追いつかれたということが残っていると思うので、リベンジみたいな思いで来ると思うし、その思いがうちにとっても試合をやる意味になってくると思うので、チャレンジできることが大事かなと思います。

DF冨田康平(スポ4=埼玉・市浦和)

――相手の分析が十分にできなかったとは思うんですが、その中でどんな対策を持って試合に入りましたか

分析のできる映像が1つしかなかったということもありましたけど、その中でどんな対策を練るかというのはスカウティング班が中心となってやってくれていました。相手は5バックか4バックで、しっかりとリトリートをして少ない人数でカウンターを仕掛けてくるという戦い方だったので、自分たちは押し込んだ中でしっかり真ん中を攻めて点を取るということ、ディフェンスとしてはカウンターをやらせないことを意識していました。

――立ち上がりの早い時間帯でセットプレーから失点してしまいました

セットプレーは、カウンターをケアした中で相手の唯一の点を取るパターンということで、本当に集中しないといけない場面でした。自分が開始早々にファウルをしてしまって、ああいう風に失点してしまって本当にもったいなかったです。自分としてもやっちゃいけないプレーだったなと思っています。

――前半は苦しい時間帯が続きました。試合の流れとしてはどう感じていましたか

ボールを持たされているという感じで、相手が引いてゴール前をしっかり守っている中で、自分たちは(相手にとって)うまいように回させられて、ゴールに近づけないという感じが続いていました。縦パスを入れたり、リズムを変えて真ん中に入れたりして、相手を少しずらしてから縦に進むというプレーがやれたらもっと良かったかなと思います。

――後半は、前半と比べるとうまく試合に入ったと思いますが、ハーフタイムはどういうことを整理しましたか

1点を先に取られたということもあったと思うんですけど、相手は残ってカウンターを仕掛けてくるというよりも、全員で戻ってという感じだったので、自分たちサイドバックがもっと高い位置を取って攻撃ができる状況になっているということで、自分がサイドで仕掛けて、どんどん相手を押し込んでいこうというような話をしました。

――その結果、PK獲得のクロス、最後のアシストと結果に直結するプレーがご自身にもあったと思いますが、いかがですか

自分もア式でサッカーをやってきた中で、結果を残せたことが少なくて、こんなに得点につながるプレーを多くできたのは珍しかったと思います。でも、自分のクロス精度であったり、突破の質、サイドの崩し方にはまだまだ課題があったので、もっと改善すればもっとチャンスもつくれたと思います。

――1日置いてすぐ次の試合があります。意気込みを教えてください

この初戦もそうでしたけど、厳しい状況は絶対に続いていくと思います。普段のリーグ戦の戦い方とは違って、本当に点を取らなければいけないし、点を取られちゃいけないというシビアな状況が続くと思うので、その中でやるべきことを個々がしっかり認識した上で、最大限自分の力を出して、一人ひとりがチームの勝利に貢献できるようにやっていければいいかなと思います。

FW梁賢柱(スポ2=東京朝鮮高)

――今日はスタメン起用となりました。どんな思いで試合に入りましたか

ワセダに入って、公式戦でスタメンで出たのは初めてでした。失うものがないですし、今は相馬くんがケガをして出ていないというのがあって、相馬くんがずっと左サイドでスタメンを張っていて、誰もそこに脅威を与えられていないので、相馬くん以上のプレーをして、自分が脅威を与えてやろうという強い意志を持って試合に入りました。

――追う展開になり、チームとしてもなかなかうまくいかない中で、特に前半は梁選手の仕掛けが際立っていたように思います

今日は自分が試合を決めるという覚悟を持って臨んでいました。形は泥くさいヘディングということでしたけど、1点取れてよかったなと思います。

――その得点シーンを振り返っていただけますか

あまりヘディングは得意じゃないんですけど、とりあえず気持ちで、根性でボールに当たっていきました。それがゴールに入ってよかったです。

――後半を振り返っていただくとどうですか

後半は暑さに少し負けて、足も止まっていたんですけど、「仕掛け続けろ」と監督からも言われていたので、仕掛けるというのはやめなかったです。

――次戦に向けて一言お願いします

次も厳しい戦いになるんですけど、チームの総力戦なので、頑張っていきたいと思います。