スケート部

2018.05.13

第64回早慶定期戦 5月12日 神奈川・新横浜スケートセンター

かなわなかった41連勝、伝統の早慶戦で歴史的敗北を喫する

 1977年に行われた第23回早慶定期戦(早慶戦)。両者引き分けで終わったこの大会以来、早大は春の早慶戦で実に40連勝を積み上げてきていた。今回勝てば連勝記録を41まで伸ばすことになるはずだったが、今年の慶大はそれを許さなかった。早大は1点も得点を挙げられぬまま、0−2で敗北。代々続けてきた連勝記録はこの瞬間に止まってしまった。

 最初のフェイスオフから38分間、なかなか試合が動かなかった。第1ピリオド(P)は両チームとも攻めあぐね、双方無得点で終了。第2Pは前半に数的有利のパワープレー(※1)のチャンスが2度到来するが、ものにできず。そしてその後のキルプレー(※2)での慶大の猛撃を乗り切り、反撃を開始しようとした矢先だった。相手スティックから放たれた渾身(こんしん)の一撃が、GK谷口嘉鷹(社3=東京・早実)の隙をついた。

PSを獲得した生江。しかし、放ったシュートは枠を捉えられなかった

 1点を追う展開となった第3P。残り時間13分54秒、ゴール目前に迫ったFW生江太樹(スポ2=北海道・釧路江南)に対する相手側のペナルティにより、早大にペナルティショット(PS)が与えられる。同点に追い付くチャンスであったが、成功率は約3割とも言われているアイスホッケーのPS。ペナルティを獲得した生江が挑んだが、放ったシュートはゴールの枠から外れてしまう。その後も早大は果敢に攻め続けるが、なかなか得点に結びつかない。残り時間2分57秒、タイムアウトが取られる。「あまりゴールに近づけないから外からシュートを打って、リバウンドを狙おう」(内藤正樹監督、平4二文卒=北海道・釧路潮陵)。内藤監督の言葉を胸に、チーム全員で最後の力を振り絞る。残り時間2分5秒、後がない早大は6人攻撃を開始。敵陣へと必死で攻め込んだが、パスがうまく回らない。最終的には慶大にパックを奪われ、エンプティゴールを献上してしまった。刻一刻と試合終了が近づき、場内の時計が残り時間0秒を示す。その瞬間相手陣の氷上に、大量のスティックと紺と赤の手袋が歓喜を表すかのように舞った。

敗戦を決定づけた2点目を失い、呆然とする第1セットの選手たち

 「本当に全ての局面において慶大に負けていた」。今回の試合をそう振り返るFW鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)の表情は、固く険しかった。絶対に勝つべき試合を落としてしまったいま、今後はまたゼロからのスタートとなる。「もうすべてを失ってしまいましたので、これ以上落ちるところはない」(内藤監督)。どん底からはい上がり飛躍を果たした早大の姿を秋に見られることを、心から期待したい。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 藤岡小雪、写真 糸賀日向子、佐々木一款)

※( )内はシュート数

結果
早大 ピリオド 慶大
0(14) 1st 0(18)
0(24) 2nd 1(12)
0(13) 3rd 1(18)
0(51) 2(48)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
慶大 38:27 10田中 15史
慶大 58:15 21滝 10田中
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
12飛田 17高橋 16鈴木 33坂本 31大崎
1澤出 19杉本 9生江 25篠田 29ハリデー
15伊東 27前田 21矢島 18羽場 13吉野
14小澤田 24河田 11加賀美 4チェース 23草島
GK34谷口 B-GK39村上
コメント

内藤正樹監督(平4二文卒=北海道・釧路潮陵)

――監督としてこの敗戦をどう受け止めていますか

42年ぶりに負けたということの責任はすべて私にあります。今まで一戦一戦、40年間積み上げてきた先輩たちのことを考えると、なかなか言葉では表現できない悔しさであるとか虚しさであるとか、やってしまったことの重大さとかそういうものを感じています。

――慶大との差は技術面でしょうか、精神面でしょうか

全てですね。試合を見ていただければわかる通り、慶大の方が運動量も多かったし、この試合にかける意気込みといいますかメンタルの部分も体で表現していたように思います。やはり人間は心に思って、それをしっかりと頭で考えて行動するわけですけれども、慶大はその全てにおいてうちを上回っていたということでしょうか。一個のパックに対する反応の速さ、一個のパックを守ろうとする姿勢、一個のパスをつないでいこうとするパスの重要性、そういったものを慶大の方がよりよく表現していたと思います。

――試合中に焦りを感じることはありましたか

うちの選手は今日は局面で上手くいくことを想定して動いていたように思います。例えば、ノーマークになりそうだとか。まだパックをキープしていないのに、できるものだと思って先に一人が飛び出してしまったりして、インターセプトをされてしまったりという場面が多かったです。しっかりと勝ち切ってから動くべきでした。その辺りに焦りが出ていたと思います。

――生江太樹選手(スポ2=北海道・釧路江南)のペナルティショットの場面を振り返ってください

ペナルティーショットは確率的には何とも言えないところでしょうけども、一点負けてて追いつかなければいけないところで、キーパーにあててしまうならまだしも枠を外してしまったというのは、彼だけでなくチーム全員が強い気持ちを持たなければいけないと思いました。

――最後のタイムアウト時は選手にどんなお話をされましたか

ゴールキーパーを挙げるタイミングだったりとか、あの時間になると慶大も一点を守ろうとして守りが小さくなるであろうということで、あんまりゴールに近づけないから外からシュートを打って、リバウンドをねらうとかそういうことです。

――6人攻撃の意図は

そうですね。やはり点数を取らなければいけないのでオフェンスに人数を掛けなければいけません。こういう負けているときというのは、相手の方にパックが出てしまうもので、それも彼らが一生懸命動いているからそちらに出ていくんだと思います。ラグビーとかでも強い気持ち、勝ちたい方にボールが転がるといいますけれども、ホッケーも似たようなことで人数は向こうの方が少なかったですけれども、彼らの方がよく動いたのでパックが彼らの方に行ってエンプティを決められたのだと思います。

――秋に向けてどういったチーム作りをしていきますか

もうすべてを失ってしまいましたので、これ以上落ちるところはないので、基本から全てやらなければいけません。一個のパス、一個のシュート、一個のボディチェックをちゃんと一個一個できるかどうかを確認しながらやらなければいけないと思います。そこからやらなければいけないと思います。

FW鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)

――今日の敗戦についてどのように考えていらっしゃいますか

本当に全ての局面において慶大に負けていたと思うので、単なる実力不足だと思います。

――その負けていたというのは技術的な面でしょうか、それともメンタルの面でしょうか

気持ちの面ではしっかり準備をしてきたので浮き足立った選手は一人もいなかったと思います。しかし慶大のシステマティックなホッケーに本当に全部引っかかってしまって、技術面で負けていたと思います。

――試合中の心境はいかがでしたか

試合中は焦らないように、焦らないようにと選手達で声を掛け合ってはいました。ですが、気持ちの面では落ち着いていても肝心なプレーでは良い攻めも全くできずにいましたし、試合の残り3分くらいになってからいよいよやばいな、と思いました。

――シュート数では慶大を上回っていたのに、負けてしまったという点についてはどのように考えていらっしゃいますか

シュート数は上回ったのですが、有効なシュートというのはほとんどありませんでした。向こうの方が有効なシュートを打っていて、僕らのシュートは全部単発で終わってしまって二次攻撃、三次攻撃に全くつながらないものでした。だから慶大の守りに捕まっていたのだと思います。

――最後に、ここから秋に向けてどのようなチーム作りをしていくか教えて下さい

早慶戦で慶大に42年ぶりに負けたチームとなってしまいましたが、これから必ず復活して秋リーグ、インカレを獲って、二つのタイトルを獲ったチームだと言われるように皆で意識を変えていきたいです。氷上で一人一人がアグレッシブに、足を動かして、一人一人が責任感を持ったプレーができるチームにしていきたいと思います。