相撲部

2018.05.06

4月22日 第8回早稲田杯 早大東伏見相撲場

真剣勝負の早稲田杯!今こそ相撲に興味を持つとき

 もはや春の恒例行事となった早稲田杯が第8回を迎え、ことしも東伏見で開催された。素人の早大男子学生を対象に、相撲に興味を持ってもらおうという目的で始まったこの大会は、実際にまわしを締めて相撲部員が稽古する土俵で相撲が取れる貴重な体験イベントである。ことしは19人もの有志が集い、熱戦を繰り広げた。

 19人の出場者の中にはちびっこ相撲や柔道の経験者がいる傍ら、全くのスポーツ未経験者も混在するなど、いたって多種多様である。そんな彼らはまず、まわしを締めて相撲部員を相手に四股やすり足、簡易的なぶつかり稽古などを体験。心身ともに高まったところで開会式が始まった。ここで相撲部特別参与であるデーモン閣下(社卒)とやくみつる氏(商卒)が登場すると、会場は盛大な拍手に包まれた。大相撲のご意見番としてもお馴染みのお二方は、早大卒ということもあり、長きにわたって相撲部のために尽力し、この大会でも閣下は第1回から関わっている。閣下の美声が響く校歌斉唱が終わると、いよいよ取組の開始である。

呼び出しを担当したデーモン閣下。

 まず、抽選で4つの組に分かれて予選リーグが行われた。「今回はいつも以上にレベルが高くて迫力があった」と若林魁主将(スポ4=岐阜農林)が振り返ったように、ことしは予選から白熱する取組の連続だった。大相撲でも珍手である二丁投げやはりま投げが飛び出したときには、留学生を含む多くの観衆も思わず盛大な拍手。こうした予想以上のレベルの高さから急遽、敗者復活戦まで行われ、良い雰囲気の中、予選と敗者復活戦を勝ち抜いた選手たちによる決勝トーナメントが行われる運びとなった。そして強者がそろった決勝トーナメント。ここでは一段と気合の入った真剣勝負の相撲が見られた。勝つと満面の笑みで喜び、負けると本気で悔しがる。これが相撲の真骨頂かと思わせる取組がそこにはあった。準決勝からは閣下が呼び出しを担当。大相撲さながらのこぶしの効いた声で呼び出され、迎えた決勝の土俵に立ったのは、ちびっこ相撲経験者で昨年度準優勝の松田凌人(基理2)と柔道経験者の勝山烈(文構1)。両者とも立ち合いから低く当たると、まず松田が右を差す。そのまま土俵際へ追い込み寄り切るかと思われたが、勝山も柔道仕込みの体幹の強さと必死のおっつけで粘りを見せる。しかし、実績のある松田は強かった。一度かわされても前に出続けて寄り切り。観客からの大歓声が響くと、それは昨年果たせなかった優勝をつかみ取った瞬間だった。

白熱した決勝戦。審判長のデーモン閣下が見つめる。

 今大会、どの出場者も相撲を全力で楽しんでいる姿が印象的だった。たとえば、当会(早稲田スポーツ新聞会)を背負って出場した元田蒼(政経3)のように、スポーツの経験がほとんどないような人でも気軽に参加できる。こういった大会は、全国を見渡してもそうないように思う。さらには、3位となった酒井貴之(政経4)のように4年連続で出場した強者もいる。彼らには、この大会を通して相撲の良さを発信するインフルエンサーになることが期待される。大会後には相撲部特製のちゃんこ鍋を食べて健闘をたたえ合い、心もお腹もいっぱいに。ことしで創部101年目を迎える相撲部は、こうした純粋に相撲が好きな早大生たちの思いも胸に日々邁進(まいしん)していく。

(記事、写真 吉岡拓哉)

※掲載が遅くなりましたことをお詫び申し上げます

コメント

デーモン閣下(社卒・相撲部特別参与)、やくみつる氏(商卒・相撲部特別参与)(抜粋)

 

――きょう一番の取組を教えてください

デーモン氏 やっぱり決勝はアマチュアの子たちがやる相撲とは思えないような、立ち合いから頭で当たっていく内容だったので、勝ち残ってきた選手たちはそれなりに結構ちゃんとした相撲を取っている人が多くて、我輩は決勝の相撲が良かったと思う。やく先輩はまた違うんじゃないですか?

やく氏 優勝した松田くんが最初の予選4組の中で見ていて、この子が優勝するのかなとは最初の相撲から思っていましたね。自分はきょうの参加者それぞれがどういう経歴があるのかの予備知識が全くないんですけども、全く経験がなかったり、大相撲を見てもいなかったりというような学生が逆に参加してくれていたことが(相撲の)広がりを感じて、良い傾向だなとは感じましたけどね。これを機に興味を持ってくれるんでしょうか。経験者はなおのことですけどね。

 

――偶然にも予選リーグ第3組に、上位3人がひしめき合う死の組となりましたね

デーモン氏 結局くじで決めるという対戦のルールがあるので、本当なら決勝トーナメントに残れたかもしれない人が残れなかったりという状況があるなと途中で思ったんだけど、期せずして敗者復活戦が行われることになったので、そこから(3位になった)酒井くんが這い上がってきたり、小倉くんの相撲がだんだん良くなってきたりだとかが面白かったね。

やく氏 小倉くんは途中から立ち合いを変えたんだよね。最初は低い立ち合いでちょっと引かれた場面があったから、次から立ち合いを修正してくるだとかね。

デーモン氏 みんなそれぞれね、素人なりにちゃんと修正点を考えて取るところが面白いなと思ったね。あと1勝もできなかったけど、金くんはものすごい上半身に力がありそうで、最初の取組からこいつは力自慢なんだなって感じで、がっぷり四つで力比べをやっているんだけども、「いや~、相撲は力じゃないんだよね~」って見ていたら、善戦はしているんだけども1勝もできなかったりだとかね。相撲は下半身で取るということを覚えればもっと楽に勝てるのにという人が、彼に限らずたくさんいたね。

やく氏 あと、図らずも敗者復活戦から参加というかたちになってしまった稲葉くんが取組直前に(胸を張って後ろに体を反る)イナバウアーをやっていて、誰か指摘してやれよという感じで見ていましたね(笑)。イナバくんだから。絶対意識してやってるよ、あれは(笑)。

デーモン氏 この雰囲気だからなかなか指摘できないよね(笑)。だから本当は実況とか解説があれば面白いかもしれないなとは思うよね。きょうみたいに観衆がたくさんいるなら、来年からやるのもありかな。

 

――きょうを振り返って、学生相撲の魅力はどんなところだと思いますか

デーモン氏 学生相撲と言っても、きょうは相撲部員ではない完全な素人がやっている相撲なので、いわゆる学生相撲とは違うもの。それはそれで奇想天外で、やり慣れてくるとこういう攻めは絶対しないだろうというものがいっぱい出てきたので、セオリーに反しているだとか、矛盾しているような攻め方や守り方、そういうところがある意味面白かったと思う。

やく氏 とりあえず丸があって、組めばお相撲みたいな、言わば本能的なものですよね。組んだら相手を投げたくなる、押したくなるという本能的な部分が面白いんだけども、やっぱり全く経験がないような人でも、ここに来たらとりあえず礼をするとか、そういうところは神妙な気持ちになりますね。相撲として体をなすっていうのかな。そこは若い衆も肌で心得ていて、ちゃんとしているなとは思いますね。

デーモン氏 きょう選手として出ていた人は、やく先輩の言われた通り、みんな勝っても負けても礼をちゃんとしていて、相撲場に来たら相撲のルールに敬意を表して行うというところが実践されていて、非常に良かったなと思う。

 

――現在角界の問題が騒がれる中で、このイベントの存在意義は何だと思いますか

デーモン氏 角界に問題が起きる起きない関係なく、このイヴェントは8年前からやっているので、これはこれで伝統的な行事になってきた。相撲界を取り巻く問題はね、相撲協会の人たちがいろいろと意識改革していかなければならない部分は当然たくさんあるんだけれども、その前に世間一般の日本人がそれを取り扱うときの知識の不足というか、「相撲ってそういうものじゃないんだよな」とか「無責任な発言をしているな」とか思うことが我々にはたくさんあってね。そういう意味では、(この大会は)まず相撲を取るところから始める企画なので、そういうところから「相撲とは何ぞや」というものを体験してみると、これから何か大相撲で問題があったときにも思うことが変わってくるんじゃないかなと我輩は思う。

やく氏 最初に言ったこともそうなんですけど、これらの問題に対して物申している人の門外漢ぶりというか、そもそも興味を持っていない人が騒いでいるんじゃないかと感じられてね。ここに集まった人たちがそれぞれ分散して相撲を語れるようになったら、そういった無知蒙昧(もうまい)な人たちの考えを変えることができるんじゃないかと期待しています。

若林魁主将(スポ4=岐阜農林)

――今回の早稲田杯を振り返っていかがですか

僕はもう4年目なんですけど、今回はいつも以上に迫力があってレベルが高く、見ていて本当に楽しかったですね。

――その中で特に印象に残った取組はありますか

やっぱり決勝戦ですね。本当に初心者とは思えないレベルで、速さや粘り腰もあってよかったですね。

――今回は素人参加の大会でしたが、経験者と未経験者の違いはどんな部分だと思いますか

経験者は組んだらそこまでかもしれないですけど、やっぱり立ち合いが全然違って、そこの駆け引きが経験者と未経験者では差がでるので、きょうも完全な未経験者もいた中で少しでも経験がある人は立ち合いの面で圧倒しているなという感じでしたね。

――きょうの大会を見て、相撲部員として感じるものはありましたか

そうですね。まず相撲をそもそも楽しんでいるなというのが感じられて、本当にみんな真剣だし、勝っても負けても本気で喜んだり悔しがったりしていて、相撲を通してコミュニケーションを取ったり、良い雰囲気になっているなというのは感じられましたね。

――では、ことしのチームとしての目標を聞かせてください

ことしは部員6名で少ないんですけど、去年達成できなかったインカレ優勝というのが最終的な目標で、まずは6月の東日本学生選手権でベスト4以上に残りたいですね。(実力的には)1部残留が目標なんですけど、それ以上のベスト4という目標を掲げて頑張って、最終的にはインカレで優勝を目指すという意気込みで頑張っていきたいです。

――最後に、主将としての抱負をお願いします

そうですね。本当に部員が少ない中でチームワークが大事だと思っているので、やっぱり部員とのコミュニケーションを図ったり、一人一人が自覚を持てるようにまず自分が率先して稽古したり、私生活の質を高いものにしていったりしてチームをまとめていけたらなと思います。

松田凌人(基理2)

――優勝おめでとうございます。

ありがとうございます。

――決勝戦の感想を聞かせてください

相手の勝山くん(烈、文構1)とは予選で同じブロックで、突っ張りで距離を取られると力で負けて嫌だなと思ったので、何とか立ち合いで前ミツを取って、そのまま寄り切ったって感じでしたね。

――これまでにスポーツの経験はありますか

小学4年生まで相撲をやっていて、やめた後は中学校の部活動で野球をやっていました。今は野球サークルに入っています。

――その野球の練習が今の相撲に生かされてはいますか

それは全くないですね(笑)。もう(相撲をやっていた頃の)経験だけです。

――自分の持ち味は何だと思いますか

そうですね。スピードとまわしを取った後の投げ技とかですね。

――最後に、相撲の魅力を教えてください

自分はサッカーや野球をやっていて、それはみんなで協力してやるんですけど、相撲は個人スポーツだから自分の動き次第で結果が変わるので、そこが魅力だなと思います。

勝山烈(文構1)

――きょう全体を振り返っての感想を聞かせてください

負けた相撲は、潜り込まれて自分の力が発揮できなかったので、そこが反省点だと思います。

――これまで相撲の経験はありますか

ことしの春休みに1ヵ月だけ地元でやっていました。見るのが好きだったという感じです。

――相撲以外に何かスポーツはやられていましたか

高校では柔道をやっていました。今の相撲には少なからず生かされているとは思います。

――白熱した決勝戦の感想を聞かせてください

さっきの反省が決勝戦の感想です(笑)。

――きょうここに来るきっかけは何でしたか

相撲に興味があったので、入学式の日にビラをもらって大会の存在を知って、出てみようと思いました。

――大相撲で好きな力士はいますか。

僕は逸ノ城関が好きですね。あとは豪栄道関や地元が同じ宇良関も好きですね。

――きょう入部を決意したということで、今後に向けての抱負をお願いします

まずは基本を身に付けて、自分の得意なかたちを見つけていきたいと思います。

酒井貴之(政経4)

――きょうを振り返っての感想を聞かせてください

優勝した松田くん(凌人、基理2)と準優勝した勝山くん(烈(文構1)は本当に強くて、連覇したかったですけど、それは叶わず。でも3位でよかったです。

――きょう一番印象に残った取組は何ですか

そうですね。最初の勝山くんとの一番ですね。これはなす術ないという感じで、リーグ戦も3位に終わってしまったので、もうこれで終わったんだなと思っていたら、まさかの敗者復活戦が行われることになったので、それが一番印象的でした。

――普段、大相撲は見ますか

はい。それは毎場所見ていて、少し問題もありましたけど、それも含めて信頼が回復して、視聴者が相撲自体を楽しめるようになったらいいなと思います。

――今回で4年連続での出場となりましたが、自分にとって早稲田杯とはどんなものですか

4年間全て出たので、もう思い出の1ページですね。1年目から全部思い出せます。本当にこの大会を通していろんな人に出会えたので楽しかったです。

――今後はどんなかたちで相撲に関わっていきたいですか

そうですね。マスコミに就職して記者になるのが夢なので、そこで自分が取材できたらいいなと思います。