ハンドボール部
2018.04.28
関東学生春季リーグ 4月28日 東京・東京女子体育大学体育館
遅すぎた反撃。思うように得点を奪えず
関東学生春季リーグ(春季リーグ)初勝利を目指す早大は、同じく初勝利を目指す日女体大との一戦に臨んだ。試合は序盤こそ1点を争う接戦だったが、早大は思うようなオフェンスができず無得点の時間帯が続く。ディフェンスでは手ごたえを感じる面もあったが、ちぐはぐとした攻撃を後半に入ってからも修正することができず、リーグ戦では2013年春季リーグ以来となる一桁得点での敗戦となった。
試合序盤はお互い一歩も譲らない一進一退の攻防となった。前半14分、伊地知華子副将(社4=宮崎学園)がサイドシュートを決め再びリードを奪うと、声援に応えるようにガッツポーズを見せチームを盛り上げる。しかしその後30分以上もの間、ワセダセブンから笑顔が見られることは無かった。堅守速攻を掲げ、今大会初勝利に意気込む日女体大に対し、声を出しチームを鼓舞する主将の高田紗妃(スポ4=福岡・西南学院)を中心に全員でハードワークする早大、という構図が続く。しかしリードを奪った直後に同点とされると、さらに17分にはパスミスを奪われたところから速攻で得点を奪われ、その後も同じような展開から5連続失点を喫した。大沢アビ直美(スポ3=東京・佼成学園女)が幾度となく好セーブで得点機会を阻止するなど粘り強いディフェンスで応戦したが、日女体大ディフェンスの前に早大はセットオフェンスで攻めあぐねる場面が目立ち、結局追加点を奪うことなく4-8というロースコアで前半が終了した。
春季リーグ初得点を決めた高田
悪い流れは後半に入っても続くこととなった。後半開始後、立て続けに得点を奪われると試合は日女体大の一方的な展開に。「簡単なパスミスや(ディフェンスの間を)抜けてもキーパーを最後まで見ないでシュートを外すということが多すぎました」(大沢)と振り返るように、シュートを打つところまでは行けてもあと一歩のところで決められない。精彩を欠いたきょうの早大オフェンスからは中々得点のにおいは感じられなかった。前半14分以来の5点目が決まったのは試合が終盤に差し掛かっていた後半18分。左サイドから切り込んだ杉山瑞樹(社3=神奈川・横浜創英)がシュートを決め、安堵の表情を浮かべた。以降は吉田瑞萌(スポ2=東京・佼成学園女)のミドルシュートも決まるなど、徐々に得点が生まれ始める。だがそれは早大にとってあまりにも遅すぎる反撃であり勝機を見出すには難しい展開だった。終盤に得点を重ねたものの、試合中盤の得点を奪えない時間が大きく響き、8-16のスコアで敗戦。試合終了後、選手たちはガックリと肩を落とした。
伊地知の2連続得点で一時はリードを奪った
順位の近い相手との対戦であっただけにきょうの一敗は早大にとって痛い一敗となった。得点力不足に悩まされる早大だが試合後、多くの選手たちから「明日こそ勝ちます」という前向きな言葉を聞くことができた。ダブルスコアという大差がついてしまった試合となってしまったが結果よりも内容を見るのであれば、試合の始まりと終わりの各15分間は相手に引けを取らない展開であり、早大らしい粘りのディフェンスも終始機能していたため、決して悲観する点ばかりではない。きょうの試合で得られた反省と収穫――。それらはこれからの早大にとって大きな武器になるはずだ。
(記事 斉藤俊幸、写真 小松純也、佐々木一款)
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関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 8 | 4−8 4−8 |
16 | 日女体大 |
GK 大沢アビ直美(スポ3=東京・佼成学園女) LW 杉山瑞樹(社3=神奈川・横浜創英) LB 吉田瑞萌(スポ2=東京・佼成学園女) CB 伊地知華子副将(社4=宮崎学園) PV 島崎愛(社4=熊本国府) RB 楯如美(スポ3=岐阜・飛騨高山) RW 久保涼子(スポ4=群馬・富岡東) |
星取表(4月28日現在) | ||||||||||||||
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早大 | 筑波大 | 東女体大 | 東海大 | 桐蔭横浜大 | 日体大 | 日女体大 | 国士館大 | |||||||
7位 | 早大 | * | 17●29 | 8●16 | ||||||||||
3位 | 筑波大 | * | 26○25 | 32○22 | 22○15 | |||||||||
2位 | 東女体大 | * | 27○21 | 24○20 | 26○14 | |||||||||
1位 | 東海大 | * | 27○20 | 27○21 | 32○21 | |||||||||
6位 | 桐蔭横浜大 | 21●27 | 20●27 | * | ||||||||||
4位 | 日体大 | 29○17 | 25●26 | 21●27 | * | |||||||||
5位 | 日女体大 | 16○8 | 22●32 | 20●24 | * | |||||||||
8位 | 国士館大 | 15●22 | 14●26 | 21●32 | * |
コメント
宇野譲監督(平19人卒=熊本・済々黌)
――きょうの試合展開を振り返っていかがですか
この1戦目2戦目に比べると、出だしで少しいいリズムで入れたんですけど、そのリズムが長く続かずに、最終的に前半4点差つけられて。1戦目2戦目ともに4点差で折り返していて、3試合目のきょうも結局4点差で、後半しっかりと早い時間帯で追いつこうという話をしたんですが、これも1戦目2戦目と同じようなパターンで、後半出だしで点差をつけられて、選手たちがなかなか力を発揮できないというのがきょうも出てしまったかなという感じです。
――前後半またいで30分以上点が入らなかった時間帯ができてしまった要因はありますか
チームとして何をやるという話はできていたんですけど、最終的に試合になると個に頼りすぎるというか、結局1対1になり守られていたので、もう少し回りとコミュニケーションをとって、組織的に攻撃を組み立てる必要はあるかなと感じました。
――ハーフタイムやタイムアウト中には何を話されましたか
ディフェンスはしっかりと守れていたので、「継続して守りましょう」ということを伝えたんですけど、攻撃に関して、もう少し回りとのコミュニケーションをとって、流れのなかで1対1やポストが絡んだり、サイドに落としたりというかたちで、全員でいかなければという話をしたんですが、結局後半もそれができずに終わってしまったという感じです。
――日女体大で警戒していた部分は何ですか
エースの子が非常にいいシュートを打つし、左利きのサイドの子も守って速攻がすごく早いので、そこはしっかりケアをしなければならないということで、実際試合ではすごく上手くケアできていたので、そこは上手くいった部分かなと思います。
――明日の国士館大への方針を教えてください
もう戦術うんぬんというよりは、気持ちの面やしっかりとチームがまとまってプレーができるように、我々スタッフはその環境づくりや声掛けをしていきたいと思います。力が出し切れないという状況を、いかに出させてあげられるかということを考えたいと思います。
――富永穂香選手(スポ4=東京・佼成学園女)が欠場されていましたが、オフェンスにおいて何か変化はありますか
なかなかいない分パスが回らない部分があるので、センターを中心に引っ張っていってほしいところなのですが、そこに至っていないので、その部分をしっかりと全員で穴を埋められるようにやっていかなければならないなと感じています。
高田紗妃主将(スポ4=福岡・西南学院)
――日女体大は速攻が速いチームでしたが何が対策はしてきましたか
ミスからの速攻がすごく速いというのは練習試合から感じていたので、ミスは起こるものだから必ず切り替えを速くして戻りましょうという対策だけはしてきました。
――試合全体を振り返っていかがでしょうか
もうちょっとワセダらしく泥臭く1つのボールに集中しなくちゃいけなかったし、一つ一つのプレーに対する思いをもう少し強く持たなきゃいけなかったかなと思います。
――前半14分の得点を最後に、なかなか得点が生まれない状況でしたがうまくいかなかった点は何でしょうか
合わないなというのを誰も断ち切れなかったというのが敗因の1つかなというのと、みんながパスを探してしまった、得点を取りにいくプレーがなかなかなかったというのはありますね。
――ハーフタイムにはどのような話があったのでしょうか
ディフェンスも守れているしシュートまでいけてるんだけど、シュートを決めきれてないという部分があったので「キーパーをよく見て判断しよう」というのを伝えました。
――特に前半はセットディフェンスから得点を取られる場面は少なかったように見えました
キーマンは15番のエースの子(仲間結香、日女体大)だと思っていたので、その子のシュートに対しては「当たるけど決められても大丈夫だ」ということは話していて、あとはやっぱりポストの選手がパスを出した後にもう一度入りに来る動きだったりとかが怖かったので空けさせといてカットというのはやろうねと指示を出していました。
――高田選手自身は前半3分に得点されましたがいかがでしたか
リーグ初得点という形になるのでそれは素直に嬉しかったんですけど、やっぱり勝ちにつながっていない得点なのであまり嬉しくはないかなという感じでもあります。
――あすの国士舘大戦に向けてはどのような対策で挑みますか
相手どうのこうのという話ではなくて、もう一回自分たちが何をすべきかというのをしっかり話し合って、コートで表現できるようにやっていきたいと思います。
伊地知華子副将(社4=宮崎学園)
――序盤こそ接戦だったものの前半15分以降点差が開いてしまいました。原因は何だと思いますか
前半は得点を取られても変に焦ることもなく問題は無かったと思うのですが、ずっとこれまでもその展開で負けているように後半に(点差が)開き始めた時に自分たちで立て直せない展開で修正出来てなかったです。それは技術的というよりもチーム力の面だと思っていてそこをなんとかしたいというのがチームみんなの気持ちです。
――堅守速攻型の相手に対し攻めあぐねていたように見えましたが
前半の最初の方は自分たちも守って速攻が成立していたので波に乗れて良いペースで試合を進めることが出来たのですが、それを逆に相手にやられ始めて自分たちがディフェンスから速攻に持っていけなくなったというのが後半に差が開いてしまったひとつの理由だと思います。後半にはほとんど速攻が無くて自分たちの持ち味が生かせられなかったです。
――かなり無得点の時間帯がありましたがどのような事を考えてプレーしていましたか
「自分が得点を決めないと」ということも思っていましたが、それよりもチームとして「外しても私たちがフォローするから」という雰囲気に持っていけるように気持ちだけは絶対に勝っているということを思ってオフェンスが終わってベンチに帰ってもディフェンスを盛り立てる声を常にかけるようにしていました。
――やはり焦りなどもあったのでしょうか
もちろん焦りもありましたが、イライラするとプレーに出てしまうと思うので、自分の中で想定内だと言い聞かせて、落ち着かせて冷静になろうと意識はしていました。
――ご自身のプレーを試合全体で振り返ってみていかがですか
前半は結構自分も狙えていて良かったのですが、後半に入って周りを生かそうとし過ぎてしまって結果的に自分が全然生きていなかったのでそこが反省点です。アウト勝負にさせたり瑞萌(吉田、スポ2=東京・佼成学園女)を打たせたりエジ(江島朋夏、スポ4=東京・佼成学園女)が入ってきたからどういうシュートが打ちやすいかなとかそういうことばかり考えてしまって、逆に自分の持ち味が全く生かせなかったのでチームに申し訳なく思います。
――ここまでのリーグ戦を終えてことしのチームの課題はどこだと思いますか
やっぱりメンタルですかね。どのチームを見ても、どこが絶対的に強い、どこの大学には絶対に勝てないということは無いと思っていてどれだけ自分たちが優位な精神で試合に臨めるかというのが大事だと思っています。ワセダの課題が前半は良い状態で終わっても後半の初めから失速しちゃって立て直し切れずに不安感を持ちながら試合をしてしまうところがあるので、そこでメンタルがブレなければ失速することはないと思います。そういう意味でメンタル面が課題だと思います。
――富永穂香(スポ4=東京・佼成学園女)選手の欠場はチームに影響していますか
確かに影響ある部分が無いとは言い切れないのですが、みんながその分頑張らないとと思ってプレーしていると思います。
――逆に良かった面はどこでしょうか
ミスからの速攻でやられちゃう部分はあったのですが、ディフェンスが安定していた部分は良かったと思います。
――あす以降もリーグ戦は続きます。どういったプレーをしたいですか
それはやっぱり勝ちたいですね、負けられないです。自分が行くぞっていう気持ちを忘れないことと試合中に自分自身のメンタルの波を無くしていきたいっていうのがリーグ戦の目標です。自分が出来ることっていうのは得点を取った時に思いっきりガッツポーズをする事であったり試合に出られてない人の分まで必死になってプレーできることだと思っているので、そこをどれだけ自分が出来るかというところだと思っています。
GK大沢アビ直美(スポ3=東京・佼成学園女)
――現状のチームの雰囲気はいかがですか
率直にいうと悪いですね。その雰囲気の悪さは自分が責任を持って変えていかなければいけないとは分かっているんですが、どういった声掛けをすればいいか難しいです。自分だけでなく一人一人が自覚と責任を持ってやっていかないと、この雰囲気は良くならないんじゃないかなと思います。
――今日は極端な試合でしたが、得点が入らない中でキーパーとしてはどういった気持ちでプレーしていますか
正直攻めあぐんでいるというより、簡単なパスミスや(ディフェンスの間を)抜けてもキーパーを最後まで見ないでシュートを外すということが多すぎました。周りがどれだけ厳しく声を掛けても、最後にやるのは自分なので。普段から言ってる一本を大事にという声が、みんなに届いていないということがこの試合でわかりました。シュート一本、パス一本を大事にしよう、ともっと自分から言っていかなければいけないと思いました。
――速攻のディフェンスが課題であると見受けられました
そうですね。セットのディフェンスでは、サイドまで追い込んで私が取るという形を試合前から話していて、最後までできていたと思います。逆速攻で点を取られたのは、戻りの途中に自分がオフェンスを1人止めることが、どれだけ全体を助けるかをコートプレーヤーが意識できていなかったからなのかなと思います。
――大沢選手自身はキーパーとしての役割を果たしていると思いますが、自身のプレーについてどう考えていますか
実は昨日、男子部の羽諸(大雅、スポ3=千葉・市川)にメンタル講座みたいなものを開いてもらっていて、それが結構大きかったかなと思います。試合前に相手チームのイメージトレーニングをすることがどれだけ重要かというのが、実際自分が試合に出てわかりました。そこで、試合前に相手のイメージをするというのと、試合中は常に平常心で練習でやってきたことをやれば大丈夫だと自分に言い聞かせてやっていました。