漕艇部

2018.04.22

第87回早慶レガッタ 4月22日 東京・隅田川

覇者ここにあり!2年連続の完全優勝達成

 春の隅田川が、再びエンジ色に染まった。昨年9年ぶりの完全優勝を成し遂げた早大クルー。メンバーが入れ替われど、完全優勝という最高の結果を目指し腐心してきた。そして宿敵・慶大を下し2年連続の完全優勝が決まった瞬間、部員全員が喜びを爆発させたのだった。

★早大に弾みをつける29連覇目(女子エイト)

 10時45分、ほぼ風のない穏やかなコンディションの中で女子エイトのレースが始まった。早大クルーは、慶大より低いレートだが確実に水をつかむ丁寧な漕ぎで、スタートから順調に慶大を突き放していく。このままリードを広げていくかと思われたが、折り返しとなる500メートルの手前で腹を切る(※)ミスオールにより艇速が急激に低下。昨年の慶大女子の敗北原因となった腹切りに、観客は一瞬息をのんだ。しかし隅田川の女王はあくまで冷静だった。すぐさま体勢を立て直し、一度縮まりかけた艇差をみるみるうちに取り戻す。これぞワセ女の力と言わんばかりの力強い漕ぎを見せ、最終的には1・1/2艇身差をつけて見事29連覇を達成した。

今年もまた輝かしい記録を打ち立てた

★最高の展開で完全優勝へ望みをつなぐ(第二エイト)

 次にスタート地点に向かったのは第二エイト。しかし波の状態が悪く、予定時刻の12時を過ぎても正しいスタート位置に艇を置くことができない。10分近い調整を経てようやく発艇した2艇だったが、そんな中でも最高のスタートダッシュを決めたのは早大だった。一度リードを奪うと手を緩めることなく漕ぎ進め、約2300メートル地点の駒形橋でその差はおよそ4艇身に。「本当にいいリズム、最高のイメージを見せてもらった」と伊藤大生主将(スポ4=埼玉・南稜)も認める理想的な展開で、早大史上最高記録に並ぶ3連覇を達成。この時点で女子エイトと第二エイトで2勝を挙げ、2年連続の完全優勝へのシナリオが完成した。

昨年に引き続き圧倒的なレース展開を見せた

★新生ワセダが見せた!作戦通りの見事な連覇(対校エイト)

 2年連続の完全優勝へ、残すは対校エイトの勝利のみ。桜橋が観客でごった返す中、最終種目・対校エイトの戦いの火ぶたが切られた。今年の早大はインコースであるため、慶大から1艇身下がってのスタート。そのため早大は最初にして最大のカーブ・両国橋までに慶大に追いつき、距離が短くなるカーブのインコースを利用して追い抜く作戦を立てていた。落ち着いたスタートを切り、早大の理想通り2艇は並んで両国橋へ。しかし相手はおととしまで5連覇を達成した慶大だ。両国橋を過ぎコンスタントに移行した中盤で慶大に2枚高いレートで漕ぎ進められ、一時は1艇身のリードを許す展開に。焦りが見えた早大を立て直したのは、コックスの徐銘辰(政経3=カナダ・St.Andrew‘s highschool)の冷静なコールだった。「ジン(徐)のコールで全員がまとまるというのが約束していたところ」(伊藤大)。終盤体力不足からか漕ぎが少し荒くなった慶大を横目に、丁寧なオールさばきで着実に水を押していく早大。1500メートルほどを残して早大が一気に前に出ると、徐々にその差を広げていく。意地の猛追を見せる慶大を振り切り、1・1/4艇身の差をつけてゴールラインに飛び込んだ。まさに、内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)が目標としていた『大胆かつ繊細に』を体現したレースであった。

理想通りではない展開も想定内であった

 女子エイト、第二エイト、対校エイトの全てを制した、2年連続の完全優勝。主戦力であった旧4年生が卒業し経験値不足も心配されていた中での快挙達成に、早大陣営は歓喜の渦に包まれた。しかしシーズン初戦で最高のスタートを切ったのは、昨年同様だ。隅田川を手中に収めた新生ワセダが次に狙うのは、全日本大学選手権を筆頭とした夏のトップシーズンでの覇権奪還。伊藤大率いる新体制の『挑戦』は、まだまだ始まったばかりだ。

※オールが水中深くにもぐってしまい、抜き上げられなくなる状態のこと。艇が止まったり漕手が落水したりすることもある。

(記事 石塚ひなの、写真 坂巻晃乃介、岡田静穂、萩原大勝)

結果

【女子エイト】

C:澤田夏実(スポ4=東京・小松川)
S:北村綾香(スポ4=滋賀・膳所)
7:青木華弥(教4=東京・本所)
6:三浦彩朱佳(文2=青森)
5:米川志保女子主将(スポ4=愛知・旭丘)
4:南菜月(教3=新潟南)
3:尾嶋歩美(スポ2=埼玉・南稜)
2:宇都宮沙紀(商2=愛媛・今治西)
B:松井友理乃(スポ2=愛媛・今治西)
3分47秒98 【優勝 1・1/2艇身差】

【第二エイト】

C:菱谷泰志(スポ2=鳥取・米子東)
S:井踏直隆副将(文構4=東京・早大学院)
7:川田翔悟(基理3=東京・早大学院)
6:高山格(スポ3=神奈川・横浜商)
5:堀内一輝(スポ3=山梨・富士河口湖)
4:菅原諒馬(商3=東京・早大学院)
3:鈴木利駆(スポ2=静岡・浜松西)
2:舩越湧太郎(社2=滋賀・膳所)
B:土屋夏彦(スポ3=山梨・吉田)
14分13秒25 【優勝 2・1/2艇身差】

【対校エイト】

C:徐銘辰(政経3=カナダ・St.Andrew‘s highschool)
S:田中海靖(スポ2=愛媛・今治西)
7:飯尾健太郎副将(教4=愛媛・今治西)
6:鈴木大雅(スポ4=埼玉・県浦和)
5:伊藤大生主将(スポ4=埼玉・南稜)
4:金子怜生(社4=東京・早大学院)
3:坂本英皓(スポ3=静岡・浜松北)
2:藤井拓弥(社3=山梨・吉田)
B:尾崎光(スポ4=愛媛・今治西)
12分30秒43 【優勝 1・1/4艇身差】

コメント

内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南) ※記者会見より抜粋

――大会を終えて感想をお願いします

皆さんどうもありがとうございました。きょう3種目完全制覇をさせていただきまして、特に男子は慶大さんは選手一人一人が力強くワセダを上回る力を持っていらっしゃったので、それをどのようにはね返していくかというところにこの2カ月半を費やしてきました。おかげさまで勝たせていただきましたけども、慶大さんの力は相当なものであったと思います。唯一私どもが上回ったのは、水を押す、滑らかに漕ぐというところが、狙い通りできたというところに尽きると思います。ライバルあっての勝利です、本当にありがとうございました。

伊藤大生主将(スポ4=埼玉・南稜)

――完全優勝おめでとうございます。まずは率直な感想をお願いします

本当に嬉しいなというのとほっとしたなというのが最初に出て、自分の新体制としての初のシーズンのレースだったので、そこで完全優勝という最高の結果になったので本当にほっとしました。

――女子エイトと第二エイトのレースはご覧になりましたか

はい。女子は腹を切るミスオールがありまして、「あ、これやばいな」と思ったんですけど、本当にワセ女の力を見せてもらって、ワセダ強いんだなという自信をつけさせてもらいました。セカンドに関しては正直アップの前日の準備の段階でもうセカンドは大丈夫だなと思っていたんですけど、やっぱり思い通りになって。本当にいいリズム、最高のイメージというのを僕に見せてもらって、あのイメージでいけば絶対に勝てるなというのを見せていただいたので本当に嬉しかったです。

――対校エイトのレース展開についてお伺いします。ことしは波も穏やかで比較的楽なコンディションだったと思いますが

僕が一番ひどいのを経験しているなというのは自負しているので、あれ(2015年の沈没レース)に比べればもう今回のはへっちゃらかなという感じでした。やっぱりクルーの課題としてリラックスして漕ぐというのがあったので、そこをしっかり達成できたかなと思います。

――報道艇から拝見していて、慶大に比べ水のつかみが柔らかいように見えたのですが、漕ぎのテーマとして意識されていたことはありますか

今言ったところになってしまうんですけど、リラックスというテーマでつながっていて、リラックスして一本漕ぎ切ることが重要だったので、崩れるとリズムも悪くなってしまうのでまずリラックスして漕ぐというところが課題でした。

――記者会見の際に両国橋までに慶大に並ぶレースプランだったとおっしゃっていましたが、実際はいかがでしたか

だいぶ近づいていたのでいけるかなと思ったんですけど、さすがケイオーというか、その後のコンスタントでどんどん詰められて一度差されたんですよね確か。僕そこは横見ていないのでちょっとわからないんですけど、そこでリラックスして漕ぐというものが崩れそうになったときにコックスのジン(徐銘辰、政経3=カナダ・St.Andrew‘s highschool)のコールで全員がまとまるというのが約束していたところだったので、そこで全員がしっかり立て直して厩橋のところでしっかり差し切るという第2ポイントでしっかり達成できたのが良かったかなと思います。

――ラスト首位を奪ってからゴールまではどんな気持ちで漕いでいましたか

僕がジンに声を掛けてですね、「ここだ、勝負どころは!」みたいな感じで、なんて言ったかはわからないですけど、そういうような勝負どころで頼んで、そこで全員がしっかりまとまって漕げたところが良かったかなと思います。