ア式蹴球部

2017.12.31

第26回全日本大学女子選手権 12月28日 兵庫・三木総合防災公園第2球技場

完封勝利でベスト4進出、笑顔で東京へ

 冷たい風が吹く中行われた全日本大学女子選手権(インカレ)準々決勝。この試合に勝利すれば準決勝進出、つまり東京に戻って2試合を戦うことができる。東伏見で待つ仲間のために、何としても勝利したいア式蹴球部女子(ア女)。試合は、自分たちのペースに持ち込むことに苦戦しながらも前半3点のリードを守り切ったア女に軍配が上がり、見事西が丘行きの切符を手にした。

 連戦ということあり、前日のスタメンとは大きく選手が入れ替わったア女。応援に駆けつけた多くの観客が見守る中前半がキックオフした。ア女は開始早々から相手ゴールを攻め立てる。立て続けにセットプレーを獲得し、ゴール前まで持ち込むもなかなかネットを揺らすことができない。すると13分、最大のピンチを迎える。相手にCKからこぼれ球を押し込まれボールはゴールの右下隅へ。しかしこれはGK木付優衣(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)がなんとか弾き出し、チームの窮地を救った。しかしその後も「自分たちのペースをつくるまでに時間がかかってしまった」とMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)も振り返るように、膠着(こうちゃく)した状態が続く。連続でCKを獲得するなどチャンスも巡ってきたが、ゴールにはつながらなかった。このまま1点が遠いかに思われた25分、ついにア女が均衡を破る。DF奥川千紗副将(スポ4=静岡・藤枝順心)からのパスに反応した中村がMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)にスルーパス。そのクロスに飛び込んだのはFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)。ア女の代名詞ともいえる完璧なサイドからの崩しから生まれた得点だった。大きな1点を手にしたア女は、さらにピッチを大きく使い、ワイドなサイド攻撃を続ける。30分、中村からのアーリークロスに、MF村上真帆(スポ1=東京・十文字)が頭で合わせると、その直後にはMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)がゴール前までドリブルで仕掛け、そのこぼれ球をDF渡部那月(社3=日ノ本学園)がミドルシュート。SBでの出場となっている奥川のクロスもゴールに入る勢いだった。一方守備陣も抜群の安定感でゴールを守っていた。MF柳澤紗希(スポ3=浦和レッズレディースユース)などの中盤の選手もディフェンスに大きく貢献。今季のア女のキーポイントである『守備の意識の高さ』が顕著に表れていた。次の1点もその堅い守備から生まれたものだった。DF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)が高い位置でボールを奪うと前線の河野へパス。その河野からのクロスを中村がしっかりとゴールに流し込み追加点をあげた。さらに前半終了間際には柳澤の絶妙なクロスに河野が合わせて3-0。大きなリードを保ったままハーフタイムを迎えた。

ベンチと観客も一緒になっておこなう円陣

 「相手が割り切って、結構前から(プレッシャーをかけて)きたり、ロングボール蹴ったりしてきていて難しかった」(三浦)。後半、前半とは一変して作戦を切り替えて臨んできた相手に苦戦し流れを明け渡してしまう。静岡産業大はゴール前に入れるロングボールの本数を増やし、ユニバーシアードにも選出されている堀江美月(2年)のポストプレーや、得意としているセットプレーで何度もア女ゴールへと迫る。しかしここでも全員で集中し、連携の取れた守備を敷いたア女は崩れなかった。終盤には再びア女に流れが戻り、シュートを連発。追加点こそ奪えなかったが、無失点のまま試合を終えた。

東京でもエースの得点に期待したい

 待っている仲間の元に笑顔で帰り、全員で残りの2試合を戦うことができる。この結果に「最低限の目標は達成できた」(三浦)。選手たちは安堵の表情を浮かべていた。しかし本当の戦いはここから。3連覇という偉業を達成するにはまだいくつかのカベを乗り越えなくてはいけない。今シーズンもリーグ戦や関東選手権などで幾度となく対戦してきた東洋大。一昨年のインカレ決勝で優勝を最後まで争った神奈川大。そしてア女の宿敵・日体大を破ってベスト4入りを果たした大体大。どれも手強い相手ばかりだ。しかしうれしい思いや悔しい思い、そして挑戦する楽しさを感じながら1年間をかけて全員で紡いできた物語。これをインカレ3連覇という最高のかたちで締めくくるには、とにかく残りの2試合を勝つしかない。仲間の思いや暖かく力強い声援を力に変えて、全力で戦う選手たちの勇姿を、そしてサッカーを心から楽しむ姿を、最後までしっかりと見届けたい。

(記事 篠原希沙 写真 大山遼佳、山下夢未、松富リサ、柴田侑佳)

スターティングメンバー

全日本大学女子選手権 準々決勝
早大 3-0
0-0
静岡産業大
【早大 得点者】26,43河野/37中村
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
MF 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
MF →64分 冨田 実侑 スポ1 岡山・作陽
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF 27 村上真帆 スポ1 東京・十文字
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF 11 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
FW →75分 山田仁衣奈 スポ2 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)

――きょうの試合全体を振り返っていかがですか

前半も後半も立ち上がりがあまり良くなくて、自分たちのペースをつくるまでにちょっと時間がかかってしまったかなという印象です。

――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

河野(FW河野朱里、スポ3=静岡・藤枝順心)がボールを持っているときに動き出そうというのは全てのプレーで意識していました。得点のときもいいかたちで動き出せて、それを向こうがしっかり見ていてくれて、自分もドロップからシュートまで一連の流れでいけたので良かったと思います。

――相手の印象について教えてください

球際が強くてハイボールに対応してくるチームだなと思いました。

――中村選手へのマークがきつい印象でしたが、その点については

マークがきつかったというのもあるかもしれないんですけど、なかなか自分のプレーができなかったり、そもそも自分のところにボールが来なかったり収まらなかったりというのがあったので、次はもっといいプレーをしたいです。

――無失点での勝利でした

何回か危ないシーンはあったんですけど、そこは上手くディフェンスラインとキーパーで防いでくれたので良かったです。ただ、そういうシーンをつくらないようにするところからやっていければ、もっと安全にゲームが運べるかなと思います。

――西が丘に戻っての2試合になりますが、意気込みを教えてください

あと2試合で自分の大学サッカー人生が終わってしまうとともに、ア女としてもことしの集大成だと思うので、まずは1試合しっかり勝てるように準備していきたいと思います。

三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)

――今のお気持ちを教えてください

最低限の結果を達成できたので、ほっとしています。

――きょうの試合全体を振り返って感想をお願いします

全体的に自分達のペースで進められたので、予定通りにいけた感じでした。

――前半後半それぞれいかがでしたか

後半は相手が割り切って、結構前からきたり、ロングボール蹴ったりしてきて難しかったんです。その中で1失点もせず、無失点で終わることができたのは、西が丘への収穫になりました。

――ディフェンス全体で意識していたことはありますか

立ち上がりをはっきりやるっていうのと、やっぱり無失点でこの大会を終えたかったんですけど、それが初戦でできなかったので、ここからまた締め直すというのを意識していました。

――無失点で終えられたポイントは

個人的にはしっかりミスなくできたのと、気持ちの部分も大きいと思います。

――きょうの相手の印象は戦ってみていかがでしたか

大きい選手がいるので、そこへしっかりプレッシャーかけなきゃなと思っていました。皇后杯戦っているので、自分達がしっかりやれば結果はついてくると思っていました。

――相手のセットプレーが多かったと思いますが、そこを守りきれたことはいかがでしたか

大きい選手がいたので、いいボールが入ってきていましたし、怖かったんですけど、集中してプレーしたら無失点で終えられたので、そこはよかったと思います。

――最後に次への意気込みをお願いします

目指してるものはやっぱり3連覇ですし、それしか考えていないので、変な所でコケたりせずに、自分達のやるべきことをやって、しっかり結果を残したいと思います。

DF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)

――お疲れ様でした 前半と後半を振り返ってみていかがですか

前半の立ち上がりはちょっとバタバタしてしまったんですけど点を入れたことで、みんな勢いに乗れたかなと思います。後半は監督からも指示があったんですけど停滞しないで点を取りに行こうとなっていたのに停滞してしまって点を取り切れなかったのが課題かなと思います。

――チームとして目標に掲げていらっしゃった無失点をきょうは達成されました その点はいかがですか

ちょっと危ないシーンを自分でも作ってしまったんですけど、木付(GK木付優衣、スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が前半も後半も危ないところでしっかり守ってくれたのですごく助かりました。

――きょうはどのような狙いを持って試合に臨まれましたか

まずはしっかり無失点で勝つというところと、勝ってしっかり西が丘に帰るということを意識していました。あといつも意識してはいるのですがワイドを広く使ってやるというのは監督から指示がありました。

――渡部選手にとってはインカレ初戦となりましたがご自身のプレイを振り返ってみていかがですか

うまくいかなかった部分もあったので、また次の試合に向けてしっかり修正していきたいところもありますし無失点にもこだわってやっていきたいと思います。

――きょうの勝利で西が丘での2試合が決定しました 次戦への意気込みをお願いします

次は全員で揃って試合に臨めるのでことしも3連覇へチーム全員で戦っていきたいです。

FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)

――今の気持ちをお聞かせください

自分にとっては初戦だったので、個人としては得点というかたちで結果を残せたことが良かったです。チームとしても勝って西が丘に戻ることができてうれしいです。

――前後半それぞれ振り返ってみていかがでしたか

前半の立ち上がりがあまり良くなく、どちらが主導権を握るか分からない展開が15分ぐらい続いてしまったのは反省点です。後半は全体を通して相手のペースにやられてしまいました。その時に自分達のペースにいかに早く戻すかということを改善していかないと、レベルが上がるにつれて通用しなくなると思います。

――セットプレーが多かったですが、無失点で抑えられました

前半に1本危ないのがあってからは相手の強い選手に対してこちらのDFがいけていたと思います。静産大とやる上でセットプレーは怖かったので、抑えられて良かったです。

――相手の印象はいかがでしたか

2番の選手が、起点となる15番に大きく展開をしていたのでそのこぼれ球を狙っていました。まず15番にボールが入ったときに競り合いからやれたと思います。途中はかなり相手にやられてしまって、セカンドボールが取り切れていなかったり、反応できていなかったので、そこは改善しなければいけないです。

――マークは厳しくつかれていましたが

前半より後半の方がマークが厳しくなっていました。自分もわざと倒されに行く場面もありましたが、自分が疲れている時におとりになる動きをもう少ししておけば良かったと思います。そういう工夫が試合中にできなかったのはこれからやらなければいけないところだと思います。

――西が丘での試合に向けて一言お願いします

次は東洋大で何回もやっている相手なので絶対に負けられません。決勝に行かなければいけない立場だと思うので、まずは準決勝に勝ちたいです。決勝でも今までやってきたことをやれれば勝てると思うので、しっかりやっていきたいです。