フェンシング部

2017.12.20

第70回全日本選手権 12月16、17日 福井・武生中央公園総合体育館

女子サーブル、女子エペ、全日本の頂点へ!早大初の二種目全国制覇を成し遂げる

 71年にわたる早大フェンシング部の歴史において、初の快挙を成し遂げた。全国から高校、大学、社会人クラブなど、予選を勝ち抜いた強豪チームが集う、全日本選手権(全日本)団体戦。早大は、2日目に行われた女子サーブル、3日目に行われた女子エペで共に金メダルを獲得。女子サーブルは初、女子エペは一昨年以来の全国制覇となり、早大としては史上初となる二種目での全日本優勝を果たした。

☆悔し涙からうれし涙へ…!チームワークでつかんだ金!(女子サーブル団体)

 2017年5月。佐々木陽菜(社3=東京・大原学園)は涙した。一部昇格を挑んで臨んだ関東学生リーグ戦(リーグ戦)。中大に2点及ばず、二部残留という結果で春の団体戦を終えた。それから7カ月、2017年12月。佐々木陽菜は涙した。だがそれは悔し涙ではなかった。仲間と共に流した歓喜の涙だ。

 初戦では最終セットに猛追を受けた。スコアは44−36。あと1点で準々決勝進出が決まるという場面での7連取。あっという間に差は1点に縮まり、2回戦敗北の兆しも見えるという絶体絶命の状況まで追い詰められる。しかし、「焦ったけど、負ける気はしなかった」(佐々木)とそれ以上の失点は食い止め、無事に2回戦を突破した。続く準々決勝の相手は日大。このチームメンバーでは、まだ勝利したことのない相手だった。だが終始優位な状況で試合を進め、45−32で快勝。準決勝では地元・福井クラブを撃破し、順調に決勝の舞台へとたどり着いた。決勝の相手は東女体大。第2セット終了時点で1点ビハインドという状況だったが、第3セットで木村結(社2=山口・柳井学園)が逆転に成功。「気楽にやりました」(木村)と、リラックスして試合に臨んだのが功を制した。そこからは早大がペースをつかんだ。佐々木、木村、齊藤里羅子(スポ2=山形東)の三人がそれぞれ相手との差を広げていき、最終スコアは45−31。チーム全員の力で、見事日本一に輝いた。

優勝が決まりガッツポーズをする佐々木

 昨年は全日本に出場することすらかなわず、ことし春はリーグ戦二部残留。これまでは悔しい結果が続いていた女子サーブル陣だったが、2017年最後の試合で飛躍を遂げた。2年生三人が個々の力を上げ、関東学生選手権(関カレ)、全日本学生選手権(インカレ)と秋の2試合を佐々木のいない状態で戦い抜いたことが、この結果につながったと言える。また、「(佐々木が)いるといないとではだいぶ変わりますね。チームワークが良くなります」(木村)と、帰還したエース佐々木の存在はチームの精神的支柱としての役割も果たしていた。早大がサーブル種目で優勝するのはこれが初。この優勝により、早大フェンシング史に新たな歴史が刻まれることとなった。『サーブルのワセダ』。そう呼ばれるようになる日は、近づいているのかもしれない。

☆チームの歯車がかみ合い、今季初V!一昨年以来の全国制覇を達成(女子エペ団体)

 才藤歩夢(スポ3=埼玉栄)は苦悩していた。「いいチームになったなと思ったのに」。リーグ戦5位、関カレ、インカレはベスト8、早慶対抗定期戦(早慶戦)では慶大に敗北。才藤は1年生の頃から数々の好成績を残しており、駒場みなみ(スポ1=富山西)は関カレ個人戦で3位入賞、村上夏希(スポ1=三重・津東)は関東学生新人戦で銀メダルを獲得している。個々の力は十分にあるはずだった。なのに。なぜ。団体戦では苦しんだまま、一年が終わろうとしていた。

 「この大会では結果を残したい」(村上)。その強い思いで挑んだ全日本団体戦。早大は準々決勝で、直近の早慶戦で敗北を喫した慶大と対戦した。早慶戦では序盤からリードを奪われるかたちとなったが、今回は違った。「最初に3人でリードすることを意識した」(駒場)と、一回り目終了時点で相手に4点の差を付けた。そのまま流れに乗った早大は大差で慶大に勝利。見事早慶戦での雪辱を果たし、準決勝へと進んだ。その準決勝の相手は、山村彩和子(平29年教卒)が所属する岡山クラブ。「向こうも私のことを分かっているので、結果的にロースコアの試合になった」(才藤)と、19−18の僅差で最後回り才藤の出番に。追い付かれ追い付きという一進一退の試合展開となるが、「リードして回ってきて気持ちに余裕があったので、点を取られても追い上げられた」(才藤)と、ギリギリの試合展開でも焦ることはなかった。結果25−23で試合を終え、決勝戦へと駒を進める。決勝で待ち構えるは明大。準決勝で強豪日大を1点差で倒して勢いづいており、早大としてはインカレで敗北している相手でもあった。だが、この試合でも前半からリードを奪うことに成功。得意とする前半逃げ切り型の展開に持ち込み、最終セット途中でのスコアは39−29と、勝利は確実かに思えた。ところがここから、明大のエース古俣潮里(明大)の大逆襲を受けることになる。次々と得点を決められ、だんだんと流れが相手に傾いていく。相手に点数が入るたびに、明大側から歓声がドッと湧く。さすがの才藤も焦りの色を見せ始めた。悪い流れを食い止めようとするが、なかなかシングルでのポイントが入らない。10点あった点差は1点に縮まった。あと1点取られれば同点。窮地に立たされた早大だったが、ここで3分を告げる合図があった。最終的に積み重ねてきた前半のリードを活用し、古俣から逃げ切ることに成功。女子エペとしては、2年ぶりに全日本の頂点へと君臨した。

決勝戦終了後、歓喜する女子エペ陣

 今大会では全ての試合で前半からリードする展開に持ち込めており、それが勝利の要因となったと言える。このように実力のある三人が一人一人の役割をきちんと果たし、団体戦における自分たちのプレースタイルを確立できたことが、今回の結果に結び付いたのだろう。来年は才藤のラストイヤーとなる。「(一昨年以来の)五冠を目指したい」(村上)。一つの大きな目標を達成した早大女子エペ陣は、さらなる大きな目標に向かってこれからも歩み続けていく。

(記事、写真 藤岡小雪)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

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結果

▽女子サーブル団体
早大〔佐々木陽菜(社3=東京・大原学園)、木村結(社2=山口・柳井学園)、齊藤里羅子(スポ2=山形東)、佐野友香(スポ2=静岡・沼津西)〕 優勝

2回戦:○45-43 FKG

準々決勝:○45-32 日大

準決勝:○45-33 福井クラブ

決勝:○45-31 東女体大

▽女子エペ団体
早大〔才藤歩夢(スポ3=埼玉栄)、駒場みなみ(スポ1=富山西)、村上夏希(スポ1=三重・津東)、澤浦美玖(スポ2=静岡・沼田女)〕 優勝

2回戦:○45-25 岐阜クラブ

準々決勝:○45-28 慶大

準決勝:○25-23 岡山クラブ

決勝:○43-42 明大

コメント

女子サーブル陣試合後対談〔佐々木陽菜(社3=東京・大原学園)、木村結(社2=山口・柳井学園)、齊藤里羅子(スポ2=山形東)、佐野友香(スポ2=静岡・沼津西)〕

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください

佐々木 うれしいです。インカレ(全日本学生選手権)の早スポさんの記事を読んで、「これで全日本ベスト4にはいらなかったら、怖いなあ」とずっと思っていて。プレッシャーをかけられている感じがして…(笑)。

――そんなつもりはありませんでした!すみませんでした!

佐々木 だから最低でもベスト4には入らないといけないと思っていたので、優勝できてうれしいです。ほっとしています。

齊藤 うれしいというのと、陽菜先輩の心強さを感じています。やっぱり先輩がいたから自分は安心して試合ができたので…。ほっとしています。

木村 春のリーグ戦(関東学生リーグ戦)はこのメンバーで戦って悔しい思いをして、そこから一人一人課題を持って努力して頑張ってきて、全員レベルアップして臨んだ団体戦だったので、優勝しか狙っていませんでした。ちゃんと優勝することができた良かったな、と安心しています。

佐野 すごくうれしいんですが、自分は今回応援というかたちでこの大会を終えてしまったので…。陽菜先輩や同期の頼もしい活躍を目に焼き付けられて感動しているんですけど、次は自分も戦力として一緒に戦いたいという悔しい気持ちもあります。複雑なんですが、でも本当にうれしいです。

――初戦は最終セットで7連取されてしまったと思うのですが

佐々木 そんなにされていたんですね…。

――焦りはありましたか

佐々木 めちゃくちゃ焦りました。最初は点差があった状態で点を取れていたので、「これはいけるな」と思って気が緩んだんですよね。そこから点を取られたので焦りました。でも負ける気はしなかったです。

――日大にはこのチームで初めて勝ちましたが、今回勝てた理由としては何が挙げられると思いますか

齊藤 …陽菜先輩(笑)。

佐々木 うれしい(笑)。

木村 いるといないとではだいぶ変わりますね。

――やはり精神的に心強いでしょうか

木村 チームワークが良くなります。

佐野 流れも良くなりますね。

齊藤 一番理想としていたかたちで試合を運べたので、流れも気持ちもみんな一つだったかなと思います。

――決勝の第3セットは1点リードされた状態で木村さんに回ってきましたが、どんなことを考えて試合に臨みましたか

木村 点数はそんなに気にせずに、できるだけ頑張ろうと思ってやったら、まくれました。気楽にやりました。

――今回はずばり優勝できた理由は

佐々木 チームワークが良くなったというのと、個々のレベルアップが勝因かなと思います。

齊藤 陽菜先輩〜!と言いたいところなんですけど(笑)、この一年自分でも力が伸びてきたなあと感じる部分は大きくて。それは先輩の影響もあり、同期の影響もあって。そしてチームワークも良くなったし…チームワークとレベルアップですね。先輩と一緒です(笑)。

木村 ことしいっぱい団体戦を経験してきてベンチワークもレベルアップしたし、一人一人課題を持って練習できていたので…チームワークとレベルアップですね(笑)。

佐野 去年に比べて雰囲気を悪くしないようにと、団体戦の流れも工夫できたと思います。練習中にアドバイスしあうことも増えたので…結束力かな(笑)。日本語にしました。日本人なので(笑)。

――最後に、来シーズンへの意気込みをお願いします

佐々木 大学の試合としては春のリーグ戦まで試合は無いんですけど、私個人としては年明けすぐに合宿やW杯などが控えているので、そこでも今までの成績を超えられるような結果が出せたらいいなと思います。

齊藤 私は来年のリーグ戦まで大きい試合が無くて。強い新1年生も入ってくるので、後輩に負けないように、このメンバーで団体戦を勝ち抜いていけるように、精進していきたいと思います。

木村 私は1、2月に海外で試合があるので、この団体戦で得たことを生かして、今よりももっとステップアップできたらいいなと思います。

佐野 私は年明けにJOC(JOCジュニア・オリンピック・カップ)という個人戦があって、団体戦としては春のリーグ戦までないです。今回は頼もしいメンバーの陰で安心してしまった部分もあるので、次の団体戦では「自分が出るぞ」という気持ちで、個人のスキルを上げてレベルアップしていきたいと思います。

女子エペ陣試合後対談〔才藤歩夢(スポ3=埼玉栄)、駒場みなみ(スポ1=富山西)、村上夏希(スポ1=三重・津東)、澤浦美玖(スポ2=静岡・沼田女)〕

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください

澤浦 ベンチから見ていて、いつもよりも全体的にベンチワークや雰囲気が良かったかなと感じました。あとは3人に感謝しかないです。

駒場 リーグ戦から早慶戦(早慶対抗定期戦)まで女子エペだけずっと勝てていなくて。それで悔しい思いをずっとしてきたので、きょう最後こういうかたちで終えられて、すごくうれしいです。

村上 リーグ戦、関カレ(関東学生選手権)、インカレ、早慶戦と足を引っ張ってすごく悔しい思いをしてきて、「この大会では結果を残したいね」と、きのうみなみとも話していました。それでこういう風に結果を残すことができて、本当にみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。

才藤 リーグ戦から思うような結果が出ていなかったので、ことし最後を優勝して締めくくることができて本当に良かったなと思います。

――直近の試合で勝てていなかった慶大や明大に勝利しましたが、これまでの試合を踏まえて反省して臨んだ点はありますか

才藤 しっかりベンチから声を掛けて、試合をしている人にアドバイスするというのが今回はすごく多かったと思うので、それが良かったかなと思います。

駒場 あとはリード。最初に3人でリードすることを意識しました。自分たちはどちらかというと逃げ切るというか…

――守りですかね?

駒場 そうですね。守る方が得意なので、自分たちの得意なスタイルに持っていけたのが良かったかなと思います。

――準決勝の相手は、OGの山村彩和子(平29年教卒)選手が所属する岡山クラブでしたが、特に才藤選手は一緒に練習してきた人が今後は敵になるということで、こうして戦おうなどと考えていた部分はありましたか

才藤 すごくやりづらかったです。向こうも私のことを分かっているので、結果的にロースコアの試合になったんじゃないかなと思います。

――最後はどちらが勝つか分からないという状況だったと思うのですが、どのようなことを意識して試合に臨みましたか

才藤 早大側はリードして回ってきたので、別に最後も焦ってはなくて。気持ちに余裕があったので、点を取られても追い上げられたのかなと思います。

――決勝の明大戦は、リードを保ちつつも最終セットで古俣潮里(明大)選手にかなりまくられる展開になりましたが、そこでも焦りはなかったですか

才藤 最後はちょっと…(笑)。差が2点になった時は「やばいかも…」と思ったんですけど、それまではそんなに焦ってはいなかったです。

――追い上げをかわして勝利できた理由としては、やはり前半でのリードが大きいですか

才藤 そうですね。積み重ねてきたリードで最後は勝てたと思います。

――今シーズンはなかなか思うような結果を残せない中で、最後一気に優勝まで駆け上がれましたが、その理由は

才藤 得意なかたちでプレーできたのが一番大きいかなあと。

駒場 リードして始まるのが多かったですよね。

澤浦 きょうは入りがすごく良かったな、と思います。

――最後に、それぞれ今後の目標をお願いします

澤浦 個人戦で結果を出して、団体戦は出られなくても雰囲気を盛り上げてチームに貢献したいなと思います。

駒場 個人戦でも優勝を目指して、団体戦もことしは学生の大会で勝てなかったので、この勢いのまま一つ一つ全部優勝していけたらいいなと思います。

村上 歩夢先輩が1年生の時に五冠を達成したのが入学した時からすごく印象に残っていたので、来シーズンは歩夢先輩も最後の年になりますし、また五冠を目指したいと思います。

才藤 個人戦も頑張りますが、やっぱり団体戦で勝ったら違ううれしさがあるので、来年もメンバーは変わらなくて勝てるメンバーだと思いますし、しっかり優勝を狙っていきたいと思います。