ア式蹴球部

2017.11.20

第39回皇后杯全日本女子選手権 11月19日 宮城・ユアテックスタジアム

終盤攻勢に転じるも…大量失点響き、ベスト8で挑戦に幕

 雪もちらつく仙台の地で、皇后杯全日本女子選手権大会(皇后杯)の準々決勝が行われた。3回戦で前回王者・INAC神戸レオネッサをPK戦の末に下し、アマチュアカテゴリーで戦うチームで唯一8強入りを果たしていた早大は、ノジマステラ神奈川相模原(ノジマステラ)と対戦。序盤にMF村上真帆(スポ1=東京・十文字)のミドルシュートが鮮やかに決まって先制したが、すぐさま同点とされると、38分、39分と立て続けに失点。62分にもゴールを割られ、最大3点のビハインドを背負った。その後、70分、71分に得点し、1点差まで追いすがったが、さらなる追撃弾は生まれることなく敗戦。『金星』の再現はならず、ベスト8で大会を去った。

 早大は、この日もコンパクトな陣形とタイトな守備をベースに格上の相手に立ち向かった。しかし、流動的にポジションを入れ替えながら、ピッチの横幅を広く使うノジマステラに対し、「マークをつかむことができなかった」(MF松原有沙主将、スポ4=大阪・大商学園)。キックオフ直後からFW石田みなみ(平26スポ卒)にゴールを脅かされると、7分にはMF田中陽子のバー直撃のミドルシュートに肝を冷やす。攻撃では中盤の村上やMF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)が激しいプレッシャーを受けて、後方からロングボールを蹴らされるような状況が続き、守備では早大ゴールに近い位置でのプレーを許すという劣勢気味の展開。しかし、先制したのは早大だった。14分、右サイド、ボックス手前でボールを拾ったFW平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)が中央にボールを流すと、走り込んできた村上がシュート。一度は相手DFに阻まれたが、拾い直して左足を振り抜くと、今度はゴール右隅に吸い込まれた。

 ファーストチャンスをモノにしたが、試合の形勢は変わらなかった。16分、CKの二次攻撃からクロスをあげられると、ゴール付近で相手選手をフリーにしてしまう。ここは必死のカバーリングで事なきを得たが、嫌な流れを断ち切れない。すると20分、ボックス手前で左サイドに流れたFW南野亜里沙にボールを持たれ、横向きにボールを運ばれると、サイドにできた広大なスペースを埋めることができなかった。サイドハーフの選手にフリーでクロスをあげられると、ゴール前での混戦から同点弾を許した。その後もノジマステラペースで時計の針は進み、サイド攻撃から決定機を幾度となくつくられると、38分に決壊。ボックス内でクロスボールのこぼれを拾った南野にネットを揺らされ逆転を許し、その1分後にも石田にボックス手前からミドルシュートを沈められた。

OGのMF正野可菜子(平28社卒)と競り合う村上、貴重な先制点をあげた

 2点のビハインドを背負って迎える後半、SBでのプレー経験も長いDF冨田実侑(スポ1=岡山・作陽)を右サイドのアタッカーとして投入。「ハーフタイムでかなり話し合いができた」(松原)という早大は、相手にサイドでスペースを与えるシーンも減り、持ち直した。しかし、攻撃時に出し手と受け手のイメージが合わず、効果的なパスをなかなか生み出せない。ボールを奪えても、カウンターをなかなか完結できないまま迎えた62分だった。自陣からのロングボールの飛距離が伸びず、相手に高い位置でボールを奪われると、右サイドをえぐった石田のクロスに南野がフリーで飛び込んでヘディングシュート。ここからという時間帯で、痛恨の失点を喫してさらに点差が広がった。

 残り30分で3点差、相手は格上――しかし、焦る者も、諦める者も、誰一人としていなかった。「絶対どこかでチャンスは来ると思っていた」(村上)。70分、カウンターから5人が一気に相手ゴールへ向けて駆け上がる。冨田がドリブルで運び、左の熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)に展開。グラウンダークロスに、ゴール前で河野が合わせて流し込んだ。さらに1分後、左サイドから攻め込み、最後は河野の落としを受けたMF中村みづき(スポ4=浦和レッズレディース)が遠目からシュートを放つ。DFに当たって軌道が変わったボールは、バーの下側をたたいてゴールイン。一気に1点差に迫った。相手が引いたことで、セカンドボールを回収できるようになった早大は、その後も攻め立てる。73分は、中盤からのFK。松原がゴール前へボールを供給すると、2人がフリーで飛び込んだが合わせられず。77分には再び左サイドの深い位置から熊谷汐がクロス。中村がフリーで走り込んだが、当てきれず、ゴール前でルーズになったボールも押し込めなかった。好機を生かせずにいると、ノジマステラも次第に落ち着きを取り戻し、堅い守りで立ちはだかった。強引なサイドでの仕掛けが増える中で、時間は刻一刻と経過。タイムアップの笛が鳴ると、選手たちは天を仰いだ。

最後までボールを追い続けた河野、敗戦に悔しさをあらわにしていた

 16日間で6試合目。もちろん選手たちはそれを言い訳にすることはないが、過密日程の中で戦う最後のゲームとあって、やはり体の重さは隠せなかった。それでも、強豪相手に複数得点を奪い、あと一歩のところまで詰め寄った。試合終了直後の選手たちの悔しげな表情は、手応えの存在を示していた。この日、関東大学女子リーグ戦(関カレ)では日体大が優勝を決めた。『関カレ優勝』と『皇后杯の4強入り』の二兎を追った結果、その両方を逸してしまったが、「(格上のチームは)勝ちたいという気持ちだったり、球際を強くすることで、戦えない相手じゃない」(冨田)と自信を得る11月となったに違いない。残るタイトルは、最終節で引き分け以上の結果を収めれば優勝が決まる関東女子リーグ戦と、何より重要視する全日本大学選手権(インカレ)。まずは関東女子選手権に次ぐ『ニ冠目』を手に入れ、インカレへと弾みをつけたいところだ。

(記事 守屋郁宏、写真 栗村智弘・篠原希沙)

★多くのOGも出場、後輩たちに立ちはだかった

最終ラインで鉄壁の守りを敷いたDF高木ひかり(平28スポ卒)

 ノジマステラには多くのア女OGが所属しており、この試合でスタメンに名を連ねたFW石田みなみ(平26スポ卒)、高木、正野の3名は得点に絡むなどいずれも活躍を見せた。チームメイトだった河野とのマッチアップやア女の印象について試合後のインタビューでは「流れの中ではあまり仕事をさせなかったが、カウンターでやられてしまった部分があるのは悔しい。自分が一緒にやっていた選手も多く、やっぱりうまいなと感じた」と日本代表にも選出されている高木も後輩たちの大健闘に太鼓判を押した。ア女を破り、準決勝へと駒を進めたノジマステラの次なる相手はジェフユナイテッド千葉レディース。勢いそのままに決勝へと駆け上がることができるのか。ノジマステラの今後からも目が離せない。


 

皇后杯全日本女子選手権 準々決勝
早大 1-3
2-1
ノジマステラ神奈川相模原
【早大 得点者】14村上/70河野/71中村
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF →69分 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
DF →46分 冨田 実侑 スポ1 岡山・作陽
MF 27 村上真帆 スポ1 東京・十文字
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF 11 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
FW →82分 山田仁衣奈 スポ2 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

MF松原有紗主将(スポ4=大阪・大商学園)

――率直な感想をお願いします

きょねんも皇后杯で負けた(●2-3)相手で、ことしは借りを返したかったんですけど。前半は先制を取れて流れに乗れそうだったんですけど、自分たちが引いてしまったので前からかけられなくて、攻め込まれてしまいました。そうするとクロスの対応だったり、CBが引き出されてしまってそこを突かれるということが増えて失点してしまいました。ただ、後半は2点差で点を取るしかなかったので前からどんどん気持ちを強く持っていけていた部分もあるかなと思います。点を取り返すことはできたんですけどきょねんと同じくあと1点足りず。皇后杯もこれで終わってしまいますし、本当に悔しい気持ちです。

――どのような狙いを持って試合に臨みましたか

会いナックと同じようにSBが高めの位置を取るということで、どこをはめどころとしてやるかということだったんですけど。とりあえずひかりさん(DF高木ひかり、平28スポ卒)のコースを切ってもう1人のCBに持たせて次を狙おうということだったんですけど、相手が結構流動的に動いてきていたのでマークをつかみ取ることができなくてそこに当てられてしまったり、サイドもファーストがはっきりしないことが多くて。後半は少し修正できたとは思うんですけど、それが前半からできていたらもう少しいい展開になったのかなと思います。

――試合の中でかなり修正ができたということでしょうか

ハーフタイムでかなり話し合いができましたし、メンバーの入れ替えなどもあったからかなと思います。

――後半かなり追い上げることができたというのは収穫だったのではないでしょうか

負けている状況で点を返すというのはなかなか難しい状況なんですけど、きょねんも3点取られてから2点取れたので、まだまだ時間もあるし焦らず攻撃できた結果が点につながったと思います。でも1点及ばないということで、詰めがあまかったというのと、点を取り返す力がないともっと上のところではやっていけないと感じたのでまだまだ課題の部分かなと思います。

――OGの選手が多く所属しているチームでしたね

OGさんには負けたくないという気持ちで臨んだんですが、やっぱりうまいというか、サッカーを知っているなと思いましたし、OGの方も自分たちには負けたくないという気持ちできていたと思うので、そこでやっぱり勝ち切りたかったというのが本音なんですけど。できなかったというのは自分たちのあまさかなと思います。

――きょうのノジマステラの印象は

練習試合もしていてお互い良く知っている同士の試合だったんですけど、走れるというのと球際が強いというのが印象です。あとはやはりつないでくるというのと、攻撃が流動的だなと。自分たちもまねしていきたい部分がたくさんありました。

――MF村上真帆選手(スポ1=東京・十文字)やDF冨田実侑選手(スポ1=岡山・作陽)など下級生の活躍も目立ちました

先制点は真帆(村上)が決めてくれましたし、トミー(冨田)も途中から入ってがんばってくれました。そういう下級生ががんばっている中でもう少し上級生が引っ張っていけるようなチームにしていきたいですし、インカレまであと1カ月ちょっとなので、強い相手と対戦できたというこの経験を生かしていきたいです。謙虚におごらずに、自分たち自身を見つめ直してまたやっていきたいと思います。

DF冨田実侑(スポ1=岡山・作陽)

――試合を終えての率直な気持ちを教えてください

後半から試合に出させてもらって、自分が出してもらったからには得点に絡むプレーをしなきゃいけないと意気込んで試合に出たんですけど、自分が絡んで点につなげることはできなかったので、力不足だったなと痛感しました。

――前半の45分間はベンチからどう戦況を見つめていましたか

結構右サイドの方で枚数をかけられてやられていたので、自分はサイドバックでも出させてもらうことがあるので、もし出られるとしたら、守備面でもしっかり走って相手を抑えられるようにしないといけないなと考えていました。

――その守備面の修正については指示を受けてピッチに入ったんですか

いや、そういうわけではないんですけど、サイドバックの奥川さん(DF千沙、スポ4=静岡・藤枝順心)が、「お互いに話しながらサイドハーフとかサイドバックをやろう」とスタートの時に言ってくださったので、やりやすかったかなと思います。

――攻撃面でも流れを引き戻すようなプレーが必要だったと思いますが、意識したことはありますか

特に意識したことはないんですけど、やっぱり自分の持ち味は、スピードと、裏に蹴られたボールを追ってゴールにつなげるということかなと思っているので、自分にできるスピードを生かしたプレーをしたいなと考えていたんですけど、それができていたかは…。

――あまりご自身のプレーに手応えはなかったのですか

ないかなと思っています。

――では、2つの追撃弾の前に、ドリブルで攻め上がって、逆サイドまで流れて動きをつくったシーンなどもあったと思いますが、狙い通りというよりは無心で、という感じですか

そうですね。

――この皇后杯での経験をどう生かしていきますか

なでしこリーグの選手たちにも、勝ちたいという気持ちだったり、球際を強くすることで、戦えない相手じゃないというのを感じました。一番は気持ちが大事だということを外から見ていても感じたし、今回ピッチに立たせてもらって感じたことなので、まずは気持ちで負けないように心の準備をすることと、持ち味をしっかり出してチームにアクセントを加えられるようになれたらなと思います。

――2つのタイトルが残っていますが、今後に向けて

(先輩たちがインカレで)2連覇されてきているので、他のチームからしたら『打倒ワセダ』という風に来ると思うので、受け身にならずに、ピッチに立てたら応援してくださっている方とか、メンバー外の方とかに心から応援してもらえるような気持ちを見せる選手になりたいなと思います。

MF村上真帆(スポ1=東京・十文字)

――きょうの試合はいかがでしたか

3点差はつけられましたが、去年対戦した時(●2-3)も後半追い上げることができていたので、絶対どこかでチャンスは来ると思っていました。でも最後は力が及ばなくて、本当に悔しいです。

――ディフェンスに関してはどのような狙いがありましたか

まずは無失点に抑えて、守備から流れをつくろうと思っていたのですが、相手が流動的にポジションを変えてきたことで、フリーにしてしまう場面が多くて。サイドからもやられる場面が多かったので、そこも課題だと思います。

――前半3失点目を喫した時に、一度全員で集まっていました

試合中に状況が悪くなった時に、一度集まって話をしようということは、以前話し合って決めていました。あの場面は3点目を取られて、チームの雰囲気も悪くなっていたので、有紗さんを中心に(MF松原主将、スポ4=大阪・大商学園)もう一回切り替えていこうと、気を引き締め直しました。

――攻撃に関してはどのような狙いがありましたか

真ん中から崩すのは難しいとわかっていたので、相手の両サイドの裏を狙っていこうという狙いを持ってやっていました。

――先制点の場面に関しては

ゴールの右側が空いているのが見えたので、思い切って打ちました。シュートは常に狙っていたので、先制点を決められたことだけは良かったと思います。きょうは、そこしかいいところがありませんでした。

――後半怒涛の追い上げを見せました

チームの雰囲気も明らかに変わっていて、ゴールへの意識も強くなっていました。自分自身もシュートを狙っていたのですが、チャンスで一本外してしまったので、本当にもったいなかったなと。最後の一本を決めきる力が、自分も含めてチーム全体としてまだ足りていないと思いますし、そこは課題として改善していきたいです。

――過密日程で迎えたこの試合でしたが、コンディションに関してはいかがでしたか

11月は大会も重なって、疲れもたまっていましたけど、その中でもコンディションを整えて、試合で100%を出し切るということはできたのかなと思います。そこは、今後に向けても自信になりました。

――次は関東リーグの優勝が懸かった試合となります。意気込みをお願いします

関カレも準優勝になってしまったので、次の試合は絶対に勝って、自分たちの手で関東リーグ優勝を決めたいです。