ア式蹴球部

2017.11.12

第39回皇后杯全日本女子選手権 11月12日 広島・エディオンスタジアム

PK戦の末INAC神戸を撃破、大金星で皇后杯ベスト8進出!

 全日本女子選手権(皇后杯)の3回戦が行われ、早大は大会2連覇中の強豪・INAC神戸レオネッサ(INAC)と対戦した。22分にFW岩渕真奈のアシストからDF高瀬愛実に決められ先制を許したものの、57分にショートカウンターからFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)が起死回生の同点ゴールを挙げ追い付く。1−1のまま90分間を終えた試合は、延長でも決着がつかず、PK戦にもつれ込んだ。4人連続で成功した早大に対し、INACは1人目と2人目のキッカーが連続で失敗。なでしこジャパンのメンバーが複数所属するビッグクラブから大金星を挙げた。

 ジャイアントキリングを達成すべく、ア式蹴球部女子(ア女)がとった作戦はこうだ。最終ラインから細かくパスをつなぐINACに対し、ピッチ中央でコンパクトなブロックを形成。そのエリアで中盤または前線の選手がボールを受けた瞬間、連動してプレスを仕掛ける。ピッチ上を縦横無尽に動き回る岩渕に対しては、CBに入ったMF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)とDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)の二人がタイトにマークし、自由を与えない。そうしてボールを奪うとすぐに相手サイドバックの裏のスペース目がけてロングボールを蹴り込み、そこにキープ力のある河野とMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)の二人が走り込んでボールを収める。相手の両サイドバック、DF鮫島彩と高瀬が攻撃時はウイングの位置まで攻め上がってくるため(実際テクニックとスピードを兼ね備えた二人の攻撃参加はかなりの脅威だった)、その動きをけん制しつつ、スペースを利用してカウンターを仕掛けようというオフェンスプランだ。

 注目の立ち上がり、ア女はほぼ完璧なかたちで試合を進めていった。開始直後にDF奥川千紗副将(スポ4=静岡・藤枝順心)のロングボールに抜け出した中村が遠目から狙う。伸びのあるシュートは枠を捉えたものの、クロスバーを直撃。先制とはならなかったが、その後も勇猛果敢なプレーで互角に渡り合う。しかし22分、一瞬の隙を突かれてしまった。左サイドで岩渕にフリーでボールを持たれ、スルスルとボックス手前まで運ばれると、最後は岩渕のクロスを高瀬に押し込まれ先制を許してしまう。それでもア女は慌てなかった。「うまく切り替えられた」(中村)という言葉通り、その後も集中力を切らすことなく守り抜く。前半はこのまま1−0で折り返した。

 後半もINACがボールを支配し、ア女がカウンターを狙う展開。迎えた57分、そのカウンターからスコアを振り出しに戻すことに成功する。河野が高い位置で相手のパスをカットし中村につなぐと、そのリターンを受けた河野がボックス手前から左足を一閃。「いつもはファーのところを思い切ってニアに打った」と振り返るシュートがゴールネットに突き刺さった。その後も全員が体を投げ出し、INACの強力な攻撃陣を封じ込める。71分には再び岩渕にチャンスを許すも、河野が前線から戻って気迫のディフェンス。一人ひとりが勝利への執念を前面に押し出したプレーを見せる中、試合は1−1のまま延長戦へ突入した。

チームを救ったのはエースの得点だった

 延長戦に入ると、ア女の選手たちにも疲労の色が見え始める。足がつり、その場に立っているのがやっとという選手も見受けられた。だが、「本当に気持ちで頑張り抜いた」(三浦)という言葉通り、堅い守りで相手の波状攻撃を懸命に跳ね返し続けた。97分には、GK木付優衣(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)と相手が交錯しゴールが無人になる大ピンチを迎えたものの、岩渕がシュートを枠外に外すミスにも助けられた。119分は逆にア女の決定機。河野のクロスに中村がフリーで合わせたものの、シュートは惜しくもGKの正面に飛んでしまった。結局120分で雌雄を決することはできず。勝負の行方はPK戦へとゆだねられた。

 運命のPK戦、先攻の早大は中村が落ち着いて決めると、後攻INACはMF中島依美が痛恨の枠外。さらに、INACの2番手・FW京川舞のシュートを木付が完璧なセーブで弾き出し、優位な状況に立った。決めれば勝利の4番手を任されたのはMF村上真帆(スポ1=東京・十文字)。献身的な守備でMOM級の活躍を見せたゴールデンルーキーが、最後は冷静にPKを決めた。

守護神・木付、INAC相手にも臆することなくゴールを守り切った

 「対策がうまくはまった。全員で戦えば格上でも勝てるんだと改めて感じました」(松原)。スター軍団相手に、一歩も引くことなく勇敢に立ち向かった選手たち。集中力を一切途切れさせることなく、最後の最後まで追加点を与えなかった。ジャイアントキリングを達成できた要因としては、3日間という限られた時間の中でしっかりと対策を練り、それを完璧にこなし切ったということも挙げられる。「割り切って戦えたことが大きかった」(三浦)という言葉通り、普段の戦い方に固執することなく臨めたことが勝利につながった。今後は中2日で関東大学女子リーグ戦(関カレ)の最終節・日体大戦に挑む。こちらも関カレ優勝を懸けた大一番だ。そしてそこから中3日で行われるのが、皇后杯準々決勝・ノジマステラ神奈川相模原戦。なでしこリーグ1部で8位(10チーム中)のチーム相手に、再びの番狂わせはなるだろうか。皇后杯ベスト8のうち、ア女以外の7チームは全てなでしこリーグ1部のチーム。この勢いそのままに、今大会の台風の目となってほしい。

(記事 栗村智弘、写真 守屋郁宏・篠原希沙)

スターティングメンバー

皇后杯全日本女子選手権 3回戦
早大 0-1
1-0
延長前半0-0
延長後半0-0
 PK4-1
INAC神戸レオネッサ
【早大 得点者】57河野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF →98分 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF →46分 松本茉奈加 スポ1 東京・十文字
MF 27 村上真帆 スポ1 東京・十文字
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF 11 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
FW →91分 山田仁衣奈 スポ2 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

INAC神戸レオネッサ・鮫島彩選手

――早大と対戦して、印象に残っている選手はいますか

7番の子(河野)の動き出しが速いなと思いました。あとは10番の子(中村)にボールが結構収まっていて、それがこちらとしてはやりづらかったですね。

――対戦機会の少ない学生と試合をすることに関してはいかがですか

学生の皆さんと戦う機会は皇后杯だけですが、すごくやりにくさはあります。とても勢い強く向かってきますし、その中で自分たちが前半から流れをつかむことができないと、こういう試合になってしまうということはありますね。きょうもうまく流れを持っていかれてしまったと思います。

――INAC神戸が攻め込み、早大が守り切るという展開でした。プレーしている中で学生の粘り強さは感じましたか

結構危ないシーンもありましたし、自分たちが攻め込んでいたという印象はそんなにないです。そういった意味では、相手の頑張りがすごかったというよりも、普通に自分たちが負けたということだと思います。

福島廣樹監督(昭45教卒=東京・独協)

――今のお気持ちは

日本を代表するINACと試合ができて、なおかつPKですけど勝つことができて本当に嬉しいです。本当に学生たちががんばってくれたなと思います。

――河野選手の得点については

我々が点を取るとしたらカウンターしかなかったので、そのチャンスをしっかりとものにしたのは河野のシュート力といいますか、実力なんだと思います。

――どのような対策を立てて臨みましたか

両SBが高い位置でプレーをしていてとても速いのでそこをいかに消すかというところだったと思います。高瀬さんには1点先制されてしまいましたが、良い対策ができていたと思います。

――きょうの収穫は

学生があそこまで集中して守備をしたっていうところですね。

――関カレ、皇后杯とこれからも試合が続きますね

2日しかなく、しかも移動もしないとなので(笑)。相当疲れも溜まってると思いますが、優勝もかかっているのでやってくれると思います。

MF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)

――率直な感想をお願いします

なでしこリーグのトップのチームと戦って、PKまで持ち込んで勝ち切れたというのは素直にうれしいです。

――きょうはどのような対策を立てていたのでしょうか

ポジション関係なく動いてきたり、SBの選手がとても高い位置でプレーしたりするチームで、ワンツーであったり、出した後のプレーもとても速いので、まずはパスを出されても付いていくというのは徹底していて。あとはあまりできなかったんですけど、前からもプレスかけていこうとは言っていました。関カレとかもあって合わせる期間は2日とかしかなかったんですけど、自分たちのやるべきことっているのをしっかりやっていこうとしていました。あと攻撃に関してはSBがあがっているということは裏が空いてるということなので、そこのスペースをきっちり突こうということは話していました。なので自分たちのやってきた対策がうまくはまったなという感じでした。

――きょうのゲーム、手応えを感じた部分もあったのではないでしょうか

足元があったり、切り替えが速い中でも何本かシュートに持っていくことができましたし、先制されても追い付いて勝ち切ることができました。こうやって全員で戦えば、格上相手でも勝つことができるんだというのを改めて感じましたし、ただこれにおごることなくまだまだ改善すべき点はたくさんあるので、もっとチームを良くしていければ良いかなと思います。

――同点弾を決めた河野選手について

前からかなり追ってくれてて体力的にもきつかったと思うんですけど、ああやって決めてくれて。本当に後ろからすると助かります。いい崩しでしたし、なかみ(中村みづき副将、スポ4=浦和レッズレディース)と朱里(FW河野、スポ3=静岡・藤枝順心)のコンビは本当にいいと思うので、それを生かせるプレーをもっと中盤から作っていけたらいいなと思います。

――ディフェンスラインにとってはかなり厳しい戦いだったと思いますが

自分がうまくバランスを取れていなくて裏に抜けられてしまったんですけど、さつ(DF三浦紗津紀、スポ3=浦和レッズレディース)がカバーに入ってくれたりしていて。自分は何もできなかったなっていうのが素直な感想なんですけど、全員でしっかり守って、試合中に修正をしたりやるべきことは共有できていたので、そこはディフェンスの良かった点だと思います。最後まで体を張って諦めないという気持ちを出せていたと思います。

――水曜には関カレが控えています

かなり厳しい日程だと思います。関カレが終わっても皇后杯が続いていきますし。でも試合が多いからといって負けていい訳ではないですし、その中でも勝っていくということが自分たちがもっと上を目指す上では必要なことだと思います。INACに勝ったからといって他のチームに勝てる保証はどこにもないので、初心に戻ってしっかり全員で戦って勝ち切りたいと思います。

MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)

――ジャイアントキリング達成です

本当にうれしいです。ジャイキリ起こしたいという気持ちはありましたけど、みんな半信半疑というか、心のどこかで「本当にできるのかな?」と考えていたと思います。ただ、実際試合に入ってみたら、「やれるかもしれない」という気持ちがわいてきたというのはあります。

――どの辺りからそういった気持ちを持てるようになりましたか

まず最初の失点をした時間が、早くなかったというところですね。守備も最後の最後の部分でしっかり対応できていたので。自分たちが普段やっているサッカーはできないということはわかっていた中で、「このまま耐えて耐えてという展開なら、可能性はあるかもしれない」と、みんなそう思いながらプレーしていたはずです。

――先制を許しましたが、慌てることなく落ち着いたプレーを全員が見せていました。それが勝利につながったのではないかと思いますが

そうですね。自分たちとしては、変に焦ったり引きずったりということは、普段の試合からもないですし、そこは一つの強みというか、きょうもうまく切り替えられていたと思います。

――ハーフウェイライン付近、ピッチ中央のところでパスコースを切りながらプレスをかけ、ボールを奪い取る。そういったディフェンスプランだったように見えましたが

そうですね。監督(福島廣樹、昭45教卒=東京・独協)としてはもう少し前からはめにいきたかったのかなと思いますけど、あれ以上前までいくのは無理だということに、分析していく中で2日前くらいにみんな気づいたというか(笑)。「もう一列下げよう」という話し合いをして、きょうそれを採用しました。でも、相手が本当にうまかったので、なかなか想定通りにいかない部分もありました。

――同点のシーンはまさに狙っていたかたちからのゴールだったと思います

そうですね。朱里(FW河野、スポ3=静岡・藤枝順心)がうまくカットしてくれて、得点につなげることができました。

――攻撃に関してはカウンターが中心となりました。振り返っていかがですか

攻めてる時間あったかなというぐらいですが…(笑)。相手のサイドバックが高い位置を取ってくるのはわかっていたので、それを低い位置に押し込むためにも、サイドへのロングボールを多く使いました。チームとして共通認識を持ってやれたと思います。

――トップレベルのチームと対戦して感じたことは

全員ボールの置きどころやパスコースのつくり方が本当にうまかったです。11人が連動してそういったことを実践していたので、そこは自分たちには足りない部分だと感じました。

――自信がついた部分もあるのでは

勝てたいうことに関して、やっぱりきょうは全員が気持ちのこもったプレーをしていたと思うので、改めてサッカーにおいて『気持ち』というのも大事なことなんだなと実感しました。

――長い距離からもシュートを狙う場面がいくつかありました。事前に狙うという意識を持ったうえで臨んだのでしょうか

いや、そういうわけではないです。相手のGKの位置を見て判断しました。あれぐらいしかできなかったというのが正直なところです(笑)。

――皇后杯はベスト8進出が決定し、これ以降も重要な試合が続いていきます

まずは水曜日の関カレですね。絶対に落とせない試合なので、まずはそこを頑張って、それが終わったらまたもう一度スイッチを入れ直すという感じになると思います。水曜日の試合でまた一つ成長できなければいけないと思いますし、一試合一試合チームの団結力を上げていって、もっと強くなれたらと思います。

GK木付優衣(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)

――率直な今の気持ちを教えてください

うれしいです。でもここからまた水曜日、日曜日と連戦になるので、みんな疲れてると思うんで、コンディション整えて、これからまた頑張ります。

――強豪チームが相手ということで、守備が重要になる試合だったと思いますが、どんな準備をしてきましたか

水曜日に試合があってから、木曜日がオフで、金曜日、土曜日という時間で準備をしたんですけど、INACのサイドはすごく高い位置を取ってきて、それへの守備の対応というのは監督から指示がありました。なおかつそれと自分たちの意見をすり合わせて、なんとかかたちにすることができたかなと思います。

――木付選手は一旦なでしこリーグを経由して大学に来たという経緯があります。やれるという自信を持って試合に臨んだんでしょうか

私はジェフにいた時に試合には1分も出場していないので、INACとは高校の時に練習試合をちょくちょくやらせてもらっていたくらいで、正直自信とかもそんなになくて。でも逆に緊張とかもなくて、普通に、スムーズにゲームに入ることができました。

――実際に対戦して、相手の印象はいかがでしたか

私が思っていたよりも個々の技術で「あっ」と相手ながらに思うようなプレーがあったりとかもしましたし、反対に芝の状態がちょっと深かったりもして、思っていたよりもボールの動きが遅かったので、自分たちが準備してきたスライド、ディフェンスの部分では助けられたところもあるかなと思います。最悪のシチュエーションを考えてトレーニングをしてきたので、それがあったから延長も頑張れたと思います。結構きついという話をしていて、これは持たないんじゃないかという話もしていたんですけど、なんとか120分持ってよかったです。

――120分の中で苦しい時間帯も長かったと思いますが、試合中の声かけについては

助けられた部分はたくさんあったし、本当にみんな頑張っていたので、「ここ頑張りどころだよ」とか、集中を切らさないという声だけをかけていました。(みんなが)頑張れるような声かけをしようとは考えてやっていました。

――PK戦では好セーブもありましたが、振り返っていただけますか

PKの練習も、皇后杯に入ってからチームでやっていて、自分自身も高校の全国大会とかで経験もあるので、緊張とかもないし、ただPK戦をやるという感じでした。練習のPKは緊張感がなくて、自分は正直嫌いなんですけど、試合のPKは好きなので、楽しんでやれたかなという感じですね。

――このあとも日程がタイトな中で強いチームとの対戦が続きますね

日体は(皇后杯は)負けているので、水曜日はガチなメンバーで来ると思うので、頑張らなきゃいけないですし、去年は負けているのでしっかり戦って、1位で(インカレに向けて)通過できるようにするのと、ノジマに対してもしっかり勝てるように頑張ります。

DF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディース)

――見事INAC神戸を破りました。率直なお気持ちを教えてください

本当に苦しい試合でしたけど、まずは守備で頑張るというところから臨んで、うまくはまったかなと思います。集中を切らさずにみんなで頑張ろうという気持ちでやっていたので、いいい結果で終われて良かったです。

――本当に最後の最後まで集中を切らすことなく守り抜きました

本当にしんどかったです(笑)。切れてしまったらすぐ失点してしまうと思っていたので、本当に気持ちで頑張り抜いたという感じです。

――最後は足がつっている中でのプレーでした

みんなつってましたね、キツかったです(笑)。

――ディフェンスのプランはどういったものでしたか

監督(福島廣樹、昭45教卒=東京・独協)からは「後ろからつないでくるから、そこのミスを狙おう」という指示は受けていて、CBがほとんどロングボールを蹴ってこないということもわかっていました。前半は、岩渕さんの足元にくるパスをしっかり潰そうという考えで、集中していましたけど、相手がそれに気づいて裏へのボールを使うようになって、そこで「こっちも変える必要があるな」と判断しました。相手はスペースをつくる動きが本当にうまくて、かなり手こずりましたけど、やっぱり裏に抜けられるのが一番怖いので、それについていき過ぎないようにということは考えていましたね。

――結果として徐々にオフサイドが取れるようになりました

そうですね。プレーする中で、ディフェンスラインの4人全員がそういう共通意識を持てていたというよりも、そこはそれぞれの感覚というか。たぶん相手も裏を狙うプレーというのはあまり慣れていなかったと思うので、そこは少し助かったかなとも思います。

――守ってからの攻めに関してですが、どういったプランがありましたか

相手の両サイドバックがかなり攻撃に重点に置いてくるということもあって、取ったらまずそこの裏を突こうというプランでした。それによって、相手のサイドバックの位置を下げる狙いもありました。

――奪ったらすぐにそのスペースにロングボールを蹴り、そこに前線の二人(FW河野朱里、スポ3=静岡・藤枝順心とMF中村みづき副将、スポ4=浦和レッズレディース)が走り込むというかたちですね

そうですね。正直個人的には、それは一か八かなので、あまりやりたくないという気持ちもありました。ただ、割り切った戦い方でやったことは、結果として良かったなと思っています。本当にFWの二人はキツかったと思いますけど、二人が頑張ってくれたおかげだと思います。

――相手の岩渕選手はかなり自由に動き回っていましたが、やはりCBとしては守りづらかったのでは

前を向かれたときの怖さは、やっていて感じました。「これがなでしこなのか」と思いましたけど、(岩渕選手が)後ろを向きながら降りていってパスを受ける場面に関しては、自分でも少しは通用するというか、手応えはありました。自分の良さを出して、相手の良さを出させないということをやっていければ、こういう試合もできるんだと思いました。

――先制された後も落ち着いていたのが印象的な試合でした

あの1点はすごく簡単にやられてしまったという感覚があって、正直「これが入ってしまうようでは厳しいかな」と、決められた時に思いました。ただ、自分たちのやることは、1点取られても変わらなかったので、やっぱりそうやって割り切って戦えたことが大きいと思います。

――PK戦の時の心境は

実は2番目で蹴るように言われていたんですけど、一昨年外してから完全な恐怖症になってしまって…。きょうも「すいません」と自分から断りました。後輩が代わりに蹴ってくれましたけど、やっぱり自分以上に仲間のことは信頼できますし、ただただ信じて祈っていました。

――皇后杯はこれでベスト8進出です。他の大会も含め連戦が続きますが、どういった気持ちで臨みたいですか

監督やコーチからは、こういう厳しい環境でやれることがどれだけ幸せなことかというのを教えてもらっていて、それは本当にそうだなと思いました。強い相手とやれること、その中で勝てることは本当に楽しいことです。厳しいし辛いけど、やっぱり楽しいから頑張れますし、この連戦もまだ負けてはいないので、まだまだここから、力が試されていくのかなと思います。

FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)

――今の率直な感想をお願いします

まだ実感がわかないんですけど、大きな1勝をあげられたというのは率直にうれしいです。

――ご自身の得点が勝利につながりましたね

きょうは楽しむっていうのと、相手から学ぶっていう気持ちで臨んでいたので、それを忘れずに得点もどん欲に狙って、それが結果に現れて本当に良かったです。

――得点シーンを振り返っていただけますか

あのシーン、結構カウンターっぽくて。みっちゃん(MF中村みづき副将、スポ4=浦和レッズレディース)がためてくれたので完全にフリーで自分にパスを出してくれて、右後ろから相手が来ていたんですけど、少し前に入ることができました。あと、いつも自分はファーに打ってしまって止められてしまうので、きょうはニアに思いっきり打ってみようと思って振り抜いたら入ったのでうれしかったです。

――INACに対してはどのような対策を立てて臨んだのでしょうか

個人としてもチームとしても技術や判断力において全て相手が上回っているというのがわかり切った状態だったので、そこで自分たちは勝負をかけずに、固めた守備からカウンター一発で裏に速い攻撃をするというのをチームで決めていました。それを最初から最後まで徹底できたのが勝因の1つかなと思います。

――手応えに感じた部分、逆に課題だと感じた部分はありましたか

自分はあまりヘディングで勝てないんですけど、きょうはCBの選手に勝てた場面が何回かあって、それはこれからの成長につながるかなって思います。課題としては、相手が自分たちの戦い方に順応してきた時に、どう戦術を変えていくかというチームとしてのものも見つかりましたし、個人としてもCBの選手に当たり負けしてしまってる部分だとか、裏を取り切れないことがあったので、タイミングをずらしたりだとか改善する部分かなと思います。

――監督も松原主将も河野選手の前線からのプレスがかなり効いていたとおっしゃっていました

自分たちは守備から攻撃が始まるというスタンスで、守備の1番前にいるのは自分なので、愛媛FCのときから変わらず前からかけていってというのをやっていました。前からいけば次を狙ってくれる仲間がいるので。プレスについては意識していましたね。

――試合日程がかなり詰まっていてコンディション的にも厳しいのではないでしょうか

かなり厳しい日程で、インカレと似ているところがあるんですけど、それの予行練習だと思っています。いつもやらないケアをスタッフの人にもやってもらったりしていて、コンディショニングの方は自分としてもうまくいってる方かなと思います。

――PK戦の時にはみなさん笑顔でしたね

PKはかなり苦手な方なので(笑)。ただ、監督が「外してもいいから悔いのないようにやりなさい」とみんなに言ってくれていたので少し緊張がほぐれた部分はありました。ただ、みんなは結構笑顔でやってくれていたんですけど、自分は緊張し過ぎて真顔で(笑)。足も震えていたんですけど、決まってほっとしてます(笑)。

――水曜日には関カレも控えていますね

きょう勝ったからといって自分たちがすぐに強くなる訳ではないですし、ここで奢っていては成長にもつながらないなと思います。負けていてはきょうやったINACさんにも面目が立たないですし、もう少し自覚を持ってやらないといけないと思います。もう大学生には負けられないので、関カレ、そしてインカレも絶対に勝ちたいと思います。

――そして来週に行われる皇后杯準々決勝の意気込みもお願いします

ここから先、全てのチームが格上ですし、1番下なのでもう何も失うものはないと思うので、きょうみたいに泥くさく、皇后杯らしく結果を求めてやっていきたいと思います。

MF村上真帆(スポ1=東京・十文字)

――今の率直な気持ちを教えてください

もう実感はあまりないんですけど、ただただうれしいです。

――なでしこリーグ1部の中でもトップクラスのチームが相手でした

相手が自分たちよりふた回りくらいレベルが上で、その中でどう対応していくかっていうのを事前の練習とかでもちょっとやっていて、それが実際に試合でも結構できたのかなと思います。

――実際に対戦してみていかがでしたか

もう全然歯が立たないという部分もあったんですけど、自分の特徴はディフェンスでアグレッシブにいくことで、そこは何回かは通用したところがありました。そこは自信を持っていきたいんですけど、まだ全然足りないので、なでしこ1部の相手とかにも通用するような選手に、これからなっていきたいです。

――勝利のためにはいつも以上に守備が重要になってくる試合だったと思いますが

はい。攻撃するというよりも、まずは失点しないということからやっていきました。

――その中で、村上選手も120分間を通して運動量が落ちなかったですね

最後は気持ちで走りきりました(笑)。

――苦しい時間帯も多かったのではないですか

はい。けど、結構相手が外してくれたりラッキーな部分もあったんですけど、最後まで気持ちとか集中力が切れることなく相手と戦えたのかなと思います。

――勝てるという感覚も試合をしている中で少し出てきていたのでしょうか

ちらちら見えてきて、その時に朱里さんが得点してくれて、本当に良い流れで得点できて良かったです。

――PK戦では決めれば勝利という状況で順番が回ってきましたね

自分はほとんど緊張しないんですけど、きょうのPKが人生で一番緊張したかもしれないです(笑)。

――今後もタイトな日程が続きますが

先週からも試合が続いているので、しっかりコンディションは整えていきたいです。水曜日は絶対勝たないといけないと思うので、しっかり準備して勝てるように頑張りたいです。