相撲部

2017.11.04

第95回全国学生選手権 個人戦 11月4日 大阪・堺市大浜公園相撲場 

けがを乗り越えた2人の4年生、団体戦へ思いを託す

 ついに、勝負の時がやってきた。全国学生選手権(インカレ)は、相撲部の1年間の集大成の舞台だ。大会初日は、個人戦トーナメント。早大からは8人が出場した。全員が三回戦までで姿を消してしまい、悔しさの残る結果にはなった。しかし、けがで長く戦列を離れていた堀越豊輝(スポ4=東京・足立新田)、市川拓弥(社4=長野・更級農)の2人が復活の土俵に上がり、引退へ有終の美を飾った。懸命に土俵を務めた2人の姿は、きっと、あすの団体戦メンバーの目にも焼きついたに違いない。

 堀越は、4月の宇和島大会で膝を負傷。その後、実に半年以上、実戦から遠ざかった。リハビリも決して思い通りには進まなかったというが、なんとかこの最後の舞台に間に合わせることができた。個人戦が最後の土俵と決め、左の膝に厳重なテーピングを巻き、土俵に上がる。初戦の相手は、立大の選手だ。頭を低く下げてきた相手をよく見た堀越は、右に動いて肩透かしを決め、勝利した。続く二回戦は、東洋大でレギュラーを張る強敵との対戦だった。立ち合い、強く当たった堀越。下から突き上げる展開に持ち込む。最後は、相手の低い攻めに屈してしまったが、持ち前の思い切りの良さを出した。けがを乗り越え、最後の土俵を飾った堀越。試合後は、周囲への感謝を口にし、「早稲田大学相撲部という環境で相撲ができたことは本当に良かった」と語った。

最後の土俵も持ち味の突き放しで攻めた堀越

 市川も、個人戦が最後の土俵だった。市川もまた、首の故障を抱え、5ヶ月間試合から遠ざかっていたひとり。インカレで有終の美を、そう意気込んで臨んだ初戦は、相手の棄権により「まさか」という不戦勝。「15年も相撲をやっているので」「一番一番を楽しもう」と、動じることなく二回戦へ。防衛大の選手を、一気の攻めで下した市川。気づけばこの一勝が、この日早大唯一の三回戦進出を決めるものになった。三回戦も、敗れはしたものの、立ち合いの当たりの強さは見せた市川。試合後は、「悔いは残っていない」「みんなの顔とか、親の顔を見るとウルっとくるところがあった」と語った。市川もまた、15年間の相撲人生に、静かに幕を閉じた。

最後の土俵、前に出る相撲を見せた市川

 室伏渉監督(人卒=東京・明大中野)も、2人の最後の土俵に「よく復活した、よく土俵に上がれた」と喜んだ。ただ、チーム全体としては、ベスト32に1人も残ることができなかった。これは、苦しい結果と言ってよい。気持ちを切り替え、団体予選の勝負に臨めるか。早大はまずは、Bクラスを突破したチームと、日体大、さらに東農大、計3チームとの対戦になる。100周年の相撲部は、堀越、市川の思いも背負い、「優勝」の2文字だけを見据えて決戦に臨む。

(記事、写真 元田蒼)

結果

鬼谷智之参段(スポ4=愛知・愛工大名電)

一回戦 ○対高本(関大)押し倒し

二回戦 ●対廣尾参段(日大)押し倒し



谷本将也参段(スポ4=鳥取城北)

一回戦 ●対新保参段(東洋大)突き出し



本田煕誉志参段(社4=大分・楊志館)

一回戦 ●対松原参段(拓大)寄り倒し



市川拓弥参段(社4=長野・更級農)

一回戦 ◯不戦勝

二回戦 ◯対芦立(防衛大)押し出し

三回戦 ●対深井参段(東洋大)押し倒し



堀越豊輝参段(スポ4=東京・足立新田)

一回戦 ◯対小佐野初段(立大)肩透かし

二回戦 ●対寺沢参段(東洋大)押し出し



若林魁参段(スポ3=岐阜農林)

一回戦 ●対勝呂隆弐段(拓大)突き落とし



橋本侑京弐段(スポ2=東京・足立新田)

二回戦 ●対久保参段(東洋大)引き落とし



長谷川聖記参段(スポ1=愛知・愛工大名電)

一回戦 ◯対石川初段(東農大)押し出し

二回戦 ●対菅野参段(中大)寄り切り

コメント

室伏渉監督(人卒=東京・明大中野)

――チームとしては、きょうの結果はいかがでしょうか

ちょっと残念ですね。良いところにはいたので、勝てるかなと思っていましたが、結果的に残れなかったのは残念の一言です。ただ、あす出られない4年の堀越と市川が、最後まで頑張ったというのは、あすにつながると思います。

――堀越選手と市川選手は、けがで長く戦列を離れていました

堀越は、ずっと離れていて、4月にけがしてからは出られなかったので、それを考えると信じられないですね。よく復活した、よく土俵に上がれたなというのが正直なところです。市川に関しても、今までほとんど相撲を取れていなかったので、感慨深いです。本人たちが、苦しい思いをしながらも土俵に上がったというのが、あすへ向けて、他の4年生や下級生に伝わったのではないかと思います。

――あす、期待したい選手はいますか

全員ですね。全員で勝ちにいくのがうちのチームなので、誰かが負けても誰かが勝つというスタイルでやってきたので、それがいい意味で出せればと思っています。

――あすはBクラスのチーム、日体大、東農大との対戦になります

全部が勝負です。全力投球して、3つ勝つつもりで。最初のBクラスというのが一番大切なので、そこでまず勝って弾みをつけて、日体大や東農大にぶつかっていけたらなと考えています。

――目標はどこに設定されていますか

目標は優勝です。そこを目指して、この1年、みんなで目標を決めてやってきました。まさか本当に「優勝」という言葉を言えるようになるなんて思っていなかったのですが、初めてそういうものを感じたので。きょうはふがいなかったかもしれませんが、その分、あすはチームで、優勝を目指してやってくれると信じています。

鬼谷智之主将(スポ4=愛知・愛工大名電)

――きょうのチームの結果はいかがでしょう

調子は悪くなかったと思います。結果が全てなので、きょうの反省点を、夜のミーティングで話し合って、あしたにつなげたいと思います。

――けがから復帰した堀越選手、市川選手の相撲は、ご覧になっていかがでしたか

彼ら2人は、きょうで引退になります。自分たちも、見ていてすごく勇気づけられましたし、あしたへの活力になりましたね。

――ご自身の相撲はいかがでしたか

個人的には、二回戦が勝負で、勝負どころで勝てずに、自分の相撲が取れずに負けたので、悔しいです。ただ、勝負はあしたなので、切り替えて、あした全力を注ぎたいと思います。

――最後に、あすへの抱負をお願いします

気が抜ける相撲はひとつもないので、3戦全勝して、いい形で決勝トーナメントに臨めるようにしたいです。最後の大会なので、頑張りたいと思います。

市川拓弥(社4=長野・更級農)

――久しぶりの試合になりましたが、土俵感覚は戻っていましたか

こういう大会に出るのは久しぶりなので、一回戦で流れを作ろうと思ったのですが、まさかの不戦勝で、流れを作れませんでした。ただ、もう15年も相撲をやっているので、その辺りの感覚は慣れているので、一番一番楽しもうと思って、臨みました。

――チームで唯一の三回戦進出となりました

くじ運が良いと言うと相手に失礼なのですが、自分はあしたは出られないので、そういう中で一番でも多く相撲を取れたことが嬉しいですね。きょうは親も来てくれていたので、最後の姿をしっかり見せることができてよかったなという気持ちです。

――相撲の内容としては

防衛大戦(二回戦)は落ち着いていこうと思って、その次の三回戦は強い相手だったので、変な相撲を取らず自分の相撲を取りきろうと思っていました。自分は練習をなかなかできていない状況だったので、(三回戦は)体力の差や練習の差が出ちゃったかなと思います。立ち合いはよく踏み込めて、相手を浮かせることができたのですが、あとは自分の体重の軽さが出てしまいました。悔いは残っていないので、それはよかったなと思います。

――4年間の相撲の試合が終わりました。思いはいかがでしょう

大学だけじゃなくて、今までの相撲人生もこれで終わります。終わった瞬間は実感がなかったのですが、みんなの顔とか、親の顔を見るとウルっとくるところがありました、恥ずかしいのですが。これから、終わったという実感は湧いてくるのかなと思います。自分はきょうで終わりましたが、みんなはあしたがあるので、サポート側に回って、しっかり頑張りたいです。

――最後に、あす団体戦を戦うチームへの期待をお願いします

きょうは、みんな自分らしい相撲が取れていなかったので、今負けた悔しさがいっぱい出ています。その悔しさを、あしたはぶつけてほしいです。自分たちは、みんなをうまくサポートして行けたらと思います。

堀越豊輝(スポ4=東京・足立新田)

――久しぶりの実戦でしたが、いかがでしたか

4月の宇和島大会から半年ですね。本当はリーグ戦(10月)に出て、インカレに向けて調整して、万全の状態でいきたかったのですが、リハビリがうまくいかずに、きょうが久しぶりの相撲になりました。思ったよりは、自分の相撲を取れたので、悔いはないですね。

――けがの怖さはなかったですか

それは全然なかったです。右足と比べて、左足の筋肉が6割から7割ぐらいだったのですが、気持ちで負けたらまたけがをする可能性もあるので、自分らしく思いっきりいこうと思って、取り組みました。

――初戦は圧倒するような内容でした

初戦は、レベルが高い相手ではなかったので、落ち着いて相撲が取れたと思います。

――2戦目は強敵でした。敗れましたが、内容はいかがでしょう

相手も、自分が思いっきりくるとは思っていなかったと思うので、意表を突いて立ち合いをずらしていこうと思ったのですが、待ったになってしまいました。2回も同じ技は通用しなかったですね。ただ、自分らしい相撲、立ち合いで突き飛ばすような、良い立ち合いができていたので、悔いのない相撲が取れました。

――相撲部での4年間が、相撲を取る側としてはきょうで終わりとなりました

まだあしたもあるのですが、自分が本当に終わりということで、早稲田大学相撲部という環境で相撲ができたことは本当に良かったと思います。高校の時は、自分は無名の選手だったのですが、この大学に入って、周りが強かったのもあり、自分がここまで強くなれたのは早稲田大学相撲部のおかげだと思います。いろんな人に感謝しています。

――最後に、団体戦を控えるチームへの期待をお願いします

きょうはみんな調子が良くなかったかもしれませんが、あしたに向けてコンディションを整えて、あしたは優勝を目指して、笑って終われるようにしたいと思います。