山岳部

2017.11.03

山岳部対談 夏山合宿

 山岳部が相対する敵。それは自然、そして自分自身だ。予測困難な気象条件や思いがけない状況におかれても、動じず冷静に対処する、そんな力が求められる。毎年、剣岳と北アルプスの山々で行われる夏山合宿では、そういった判断力に加え、厳しい行程に耐えうる体力や上級生のリーダーシップの醸成が目的とされてきた。今対談では、夏山合宿での活動を中心に、登山を始めたきっかけやおすすめの山まで幅広くお話をうかがった。

※この取材は10月24日に行われたものです。

            

元気の源は豚汁?

槍ヶ岳の看板を囲み笑顔を見せる山岳部

――ではまず、お互いに他己紹介していただけますか

鈴木 (浅川は)中が赤い雪だるまみたいな感じですね。どういうことかと言いますと、一見すごくクールなんですけど内にすごく闘志を秘めているタイプで。一緒に合宿に行っていても結構黙々と頑張るタイプなんです。あんまり表には出さないけど、熱いものがある感じですね。

浅川 いま鈴木さんから言ってもらったことと結構似ているんですけど、中島さんもクールではありながら隊を前でぐんぐん引っ張っていってくれます。僕は体力がなくて結構ばてちゃったりするんですけど、そういうときに荷物を持っていただいたりとか。心優しいクールな青年って感じですかね。

中島 先輩を紹介するのは恐れ多いんですけど…(笑)。山岳部は結構きついところなので心が折れそうになったりするんですけど、(鈴木さんに)そういうときに相談に乗っていただいたりとかアドバイスをいただいたりしています。何というか縁の下の力持ちのような感じですね。

――山で食べるご飯で好きなものはありますか

鈴木 私は豚汁が一番好きですかね。材料は一式担いで持っていきます。

浅川 僕はそうですね…ラーメンとかですかね。山にいながら下界の味が楽しめるのがいいです。

中島 僕も豚汁です。

――豚汁のレシピは受け継がれているのでしょうか

鈴木 ちょっとずつ変えながらという感じですね。あとはカレーとかもよく作ります。

――ご自身の中でおすすめの山や好きな山はありますか

浅川 僕は長野県出身なのですが、地元に常念岳という山があります。それは中学、高校と毎日見て育った山なのですさまじい愛着があります。冬の常念に登りたいと思ってこの山岳部に入りました。

鈴木 彼(浅川)は家が本当に麓なんですよ。私は北アルプスの白馬岳をおすすめしたいです。体育の山岳の授業でも一般の学生とも一緒に登ったりするんですけど、比較的ビギナー向けの山でありながら3000メートルくらいあって、自然も豊かで。冬は白馬のスキー場にもなるようなすごく自然が豊かなところなので、夏に白馬岳に登るのはおすすめですね。

中島 僕は合宿でよく行く剣岳というところです。雪があるときとないときでそれぞれ写真の撮りがいがある、きれいな山なので好きですね。

――登山を始めたきっかけは何かありますか

浅川 僕は常念岳ですね。冬に雪をかぶると非常にきれいに見えまして、ぜひとも冬に登ってみたいなと思っていました。それで、どうせ登山をやるなら山岳部に入ろうと思いました。きっかけはやっぱり常念岳、故郷の山ですかね。

鈴木 私は高校のときに部活どこに入ろうかなと思っていたら、たまたまつけたテレビで山の番組がやっていて。こんなところに登れたらいいなと思って始めましたね。

中島 僕は高校まではソフトテニスをやっていたんですけど、高1のときにふとテニスをしたくなくなって(笑)。それで球技じゃないスポーツをしたいなと思ってワンダーフォーゲル部に入ったのがきっかけです。

――それでは合宿についてのお話をうかがいます。今回の合宿は何人で臨まれたのでしょうか

鈴木 私は今回ちょっと行けなかったのですが、8人ですかね。

――どのようなコースをどういった日程で行ったのでしょうか

中島 最初に8月5日から5日間北アルプスの剣岳のキャンプ場でテントを張って岩登りをしました。そのまま食料を調達するために、1回室堂というところに戻って。

浅川 そこまでバスが入ってきているので、いったんそこまで中島さんともう一人の同期の小野(峻、政経2=長野・諏訪清陵)が下りていって食料を買い集めてきて。そこから戻ってきたら荷物を詰めてという感じで。そこから縦走に移ったんですけど、ルートは…地図ないかな(笑)。室堂というところから、立山連峰の立山というところを歩いて南下していって。ちょっと難しいですよね、口頭だと(笑)。今度は薬師岳というところに行ってから、雲ノ平という黒部川の源流があるところに行きまして、途中水晶岳とか鷲羽岳という山を経由しながら、槍ヶ岳に行きました。最後は上高地に下って帰京というルートです。

――山岳部は毎年剣岳に合宿に行かれていますが、何か理由はあるのでしょうか

浅川 剣岳というのは岩場がたくさんありまして、ロッククライミングに非常に適した山なんです。他に北アルプスだと穂高岳というクライミングができる山があるんですけど、剣岳は比較的ビギナー向けなところで。山自体もかっこいいというか、魅力的な山なんです。夏山合宿は1年生も登るので、ビギナー向けの剣岳が選ばれるというのが1番ですかね。

中島 あとは、雪渓があるのでそこも1年生の訓練に使えるというのがあります。

――今合宿の目標は何かありましたか

浅川 うちの山岳部では、だいたい夏山合宿というのはこれから始まる冬山合宿、春山合宿に向けての体力や、上級生のリーダーシップの醸成を目的としています。なのでそれを目標として今回も臨みました。

――剣岳での定着パートでは具体的にどのようなことをされるのでしょうか

中島 最初に源次郎尾根という剣岳から南側に出ている山があるんですけど、そこをロープを使いながら登ります。剣岳の山頂に立ったのは実はその時だけです。

鈴木 簡単に言えば屋外でのクライミングを中心にやっています。クライミングと言っても、ジムでやるクライミングとは違ってロープを付けながら交互に登っていきます。

――定着パートで特に大変だったことはありましたか

中島 台風が来ていたので、剱澤というところで1日待ちました。風は大したことなかったんですけど、雨がちょっとひどくて。テントが浸水して犠牲者が出たりとか…(笑)。あとは2年生がリードといって先頭に立って登るんですけど、それまでにもリードの練習はしていてもやっぱり高度感とかがあるのでヒヤヒヤはしました。

浅川 天候に関することだと、雨のせいで岩場が濡れていたのでつるつる滑って怖かったのは大変でしたね。

――逆に得られた成果や成長を感じられたことはありましたか

浅川 いま中島さんが言っていましたけど、2年生が先頭に立って各ルート登るというのが大きなところでは初めてなので、その経験が一番大きいかなと思います。

――4年生から見て合宿前と比べて成長を感じた部分はありましたか

鈴木 2週間近くずっと山にいて普段できないような経験をしたので、帰ってきてすごくしっかりしたなと思いました。それに、これから冬山の季節が始まってくるのでその中でも前に出て引っ張っていくというような精神面での成長も見られたのではないかなと思います。

――縦走パートではどのようなことをされましたか

浅川 縦走はピークをつないで、言うなればただ歩くだけなので。今回天気も良くなくて、12日間合宿があったんですけど晴れた日が2日とかで。雨の中で何も展望がない中歩いた記憶しかないですね(笑)。でも晴れた日とかにはやっぱり、北アルプスのだいぶ奥の方なので、雄大な景色が見られたりとか。やったことっていうのは…。

中島 あとはスピードを意識するというのを。なるべく早く移動しようって気持ちですね。

浅川 体力向上のためにですね。

――縦走パートで大変だったことは何ですか

中島 長い日数山にいるといろいろと(笑)。精神的に疲れてくるとこがあるので、モチベーションを保つのに苦労しました。

――縦走パートで得られた成果は何ですか

浅川 やっぱり一番は体力の向上です。それを目標としているので当然といえば当然なんですけど。2年生が一番重い荷物を背負ってたので。今回中島さんが一番重かったんですけど(笑)。得られたものといえばまあ体力ですね。あとはルートファインディングとか自分が歩いていく道が途中途中で不明瞭なところがあるので、そこを見極める能力であったりとか。

鈴木 チームワークだそうです(笑)。

浅川 確かにチームワークですね(笑)。合宿は長い期間一緒にいるので、自然とチームワークが作られますね。

 

――合宿で起きたハプニングなどはありますか

浅川 うちの部活では食後にお茶を飲むんですけど、それで中島さんが…。何を…。何だったんですか(笑)。

中島 火を消したばかりのガスコンロの向こう側にあるものを取ろうとして、伸ばしたらちょっと触れてしまって、うわぁとなってちょうどこの位置関係で(浅川に)お茶をかけてしまって…(笑)。

――何日目くらいに(そのハプニングは)起きましたか

浅川 縦走が始まって3日目…ですかね。精神的に摩耗してた。元気なかったです(笑)。

――この合宿で、全員のスキルを上げていくためにした工夫はありますか

浅川 今回は1年生が定着が終わった時点で家の都合で下山しちゃったんですけど、その分の団装とかをみんな分配して持ってみんなの背負う荷物を多くして、それで負荷を大きくしたことですかね。

安全に、先進的な登山を

――日頃の練習ではどんなことをなされていますか

浅川 普段は週2、3日だいたいこの学校の周りとか10キロ弱くらいを走ったあとに筋トレをしたりとか。それをしてますね。体幹トレーニングとか。

――その練習が登山などで活きているなと実感出来るときはありますか

浅川 例えば山を登っていてすごいバテバテになったときとか、ランニングもそうなんですけど、ランニングの意義を僕としては体力の向上もあるんですけど、精神力とか辛いときにどれだけ耐えられるかっていうことにあると思っていて。合宿もだいたい毎年似たようなところやるものもあるので、1年生の時の自分と2年生ときの自分を比べるとやっぱりトレーニングのおかげでここ頑張れたなぁって思いました。

――今回の合宿を振り返ってみて思うところはありますか

中島 途中で1年生が抜けてしまったんですけど、縦走はメインが2年生の体力強化なところがあったので、そういう意味では良い合宿であったなと思います。

――逆に、今回の反省点はありますか

中島 僕は結構余計なことを思いながら歩く癖があるので、その考える内容によって結構テンションに差が出てきてしまうので、そういうところをちょっとしっかりしていきたいなと思いました。

――次の合宿はいつごろでしょうか

中島 11月の末から12月のはじめにかけて、富士山で訓練をする予定ですね。

鈴木 ちょうど(山の)衣替えの季節で、そこから雪山のシーズンに入っていくので。その雪の時期の最初に訓練合宿をして、冬休み12月、それから春休みの2月3月に本番で活かせるような訓練の合宿になりますかね。ちょうど次の11月の後半くらいの合宿から山岳部は衣替え、季節が変わるような感じで毎年やっていますね。

――これから活動していく中で、登山に対する意気込みなどはありますか

浅川 早稲田大学山岳部を名乗る以上は、他のサークルだとかワンダーフォーゲル部以上に一番先進的な登山をしないといけないと僕は思っているので。今回定着合宿でリードが技術的にまだ僕は未熟で微妙かなというところもあったので、先進的な登山をするにはそういう岩登りの技術が必須であるので、これから是非とも岩登りの技術を高めて行ければなと思っています。

中島 僕はこれから雪の季節になるまで、毎年事故とか最近多いので、事故の無いように安全に気を配りながら充実した合宿にしていきたいと思います。

鈴木 例年北アルプスとかで行うことが多いのですが、ことしは最後の春山に東北の山を想定しています。気象条件とか後は例年以上に積雪量とか厳しい山合宿になると思うので、やはり部一丸となって、個人の力もそうですけどチームとしての力を高めていく必要があるかなと感じていますね。それが一点目です。二点目はこれから雪の季節に入っていきますので、とにかく安全に合宿を行えるように万全を尽くしていくことが必要かなと、この二つを感じています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 太田萌枝、伊東穂高、写真  山岳部提供、糸賀日向子)

日々練習を積んで、険しい山に挑んでいきます!

◆鈴木健斗(すずき・けんと)(※写真左)

1996(平8)年1月16日生まれ。171センチ。東京・早稲田高出身。教育学部4年。趣味は、英文科らしく洋書を読むことだそうです!最近はノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの本も読まれたとか。対談では本当に丁寧に質問に答えていただきました。

◆中島崇景(なかじま・たかひろ)(※写真右)

1996(平8)年12月16日生まれ。172センチ。愛知・菊里高出身。文化構想学部3年。中島選手の趣味はボルダリングだと教えていただきました。普段からクライミング技術を磨かれているようです!対談中は、時折笑顔を見せながら合宿での出来事を振り返ってくださいました。

◆浅川秋人(あさかわ・あきと)(※写真中央)

1997(平9)年10月25日生まれ。183センチ。長野・松本深志高出身。先進理工学部2年。北アルプスがそびえる長野県出身の浅川選手。小さいころから山に親しんで育ってきたそうです。2年生ながら落ち着いた口調で、非常にスマートに質問に答えてくださいました!