ア式蹴球部

2017.10.30

第39回皇后杯全日本女子選手権 10月29日 静岡・藤枝総合運動公園サッカー場

相手を圧倒したア女、2回戦へと駒を進める

 ついに幕を開けた全日本女子選手権(皇后杯)。この大舞台にア女がことしも帰ってきた。前回は2回戦で、前々回は3回戦でいずれもなでしこリーグ所属のチームに敗れ、姿を消しているこの大会。今回こそはと選手たちは気合い十分に試合に臨んだ。初戦の相手は静岡産業大磐田ボニータ(ボニータ)。今季チャレンジリーグで優勝し、なでしこリーグ2部に昇格を決めている強豪だ。試合は立ち上がりからア女がペースをつかんでいたように思えた。ところが17分、一瞬の隙を突かれ先制を許してしまう。しかしMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)とMF村上真帆(スポ1=東京・十文字)のシュートであっという間に逆転に成功すると、その後も相手を圧倒。終了間際にはMF柳澤紗希(スポ3=浦和レッズレディースユース)が追加点をあげ、勝負あり。相手を完全に封じ込めたア女が2回戦へと駒を進めた。

 開始前から降り続けていた雨の影響で、幾つもの水溜りができたピッチでの試合。かなり難しい戦いとなったこの状況でもア女は実力を存分に発揮し、ピッチを広く使った『大きなサッカー』を展開した。前線からのプレスも効き、好機を何度も迎えていた。しかし17分、中央から左サイドへと大きく振られると、最後は頭で決められ先制を許してしまう。早い時間に追いかける展開となったア女だったが、イレブンは落ち着いていた。25分、DF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)からのパスを受けたFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)が中村へ絶妙なラストパス。「うまく河野選手が相手をかわして出してくれたので、いいかたちで抜けることができた。あとは落ち着いて決めるだけだった」(中村)。奥川の安定感のあるフィードと2人の息のあったコンビネーションによる鮮やかな崩しから生まれた同点ゴールだった。そしてそのわずか3分後、右サイドを駆け上がったMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)が強烈なゴールを放ち、これが相手GKの手に当たりCKを獲得すると、このこぼれ球を拾った奥川からのボールに反応したのは村上。大舞台で点を決める勝負強さをまたも発揮してみせた。その後も河野やMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)などを中心に攻め込み続けたア女。先制をされながらも追い付き、そしてリードを奪って前半を終えた。

同点弾を叩き込んだ中村

 本降りになった雨をもろともせず、ピッチを駆け回るア女の選手たち。後半開始直後に枠の上を抜けるシュートを打たれるなどヒヤッとする場面が何度かあったものの「集中して守ることができた」と、きょうは久しぶりにCBでの出場となったDF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)が振り返るように、全員でゴールを守りきった。ピッチ中央にできた水溜りにはまってしまわないように安易な横パスや後ろへのパスを減らし、持ち前のキック力を武器に前へ前へ大きく蹴ることを徹底し続けたア女。滝のような豪雨の中迎えた後半37分、ついに待望の追加点が生まれた。ショートCKからのこぼれ球を途中出場の柳澤が押し込み3点目。この時間でのゴールはチームの勝利を大きく手繰り寄せた。そしてここで試合終了のホイッスル。大粒の雨とともに涙を流す相手チームとは対照的に、白い歯を見せて喜び合うア女の選手たちの姿がピッチで輝いていた。

追加点を挙げた柳澤(背番号6)と抱き合うベンチメンバー

 「大きいサッカーをしようというのは共通理解としてやっていた。それがうまく出せたかなとは思う」(松原)。先制こそされたものの、ボニータのシュート数は前後半でわずか2本。自慢のキック力と組織力で相手を完全に押さえつけ、勝利をつかみとったア女の戦いぶりには選手たち自らも合格点を出していた。しかし「相手が強くなるにつれて1失点というのがとても大きくなってしまう」と柳澤も語るように、少しの守備の綻びが命取りになる厳しい戦いが続くため、改善すべき点はいくつもある。次戦の相手はなでしこリーグ2部に所属する愛媛FC。格上の相手との対戦が次々に控えているが、選手たちが目指すのは『勝利』ただそれだけだ。「自分たちの力がどこまで通用するか」(松原)。今季はこれまで2つのリーグで苦戦を強いられたものの、その苦境を乗り越えたことでまとまりがより一層強くなったア女。チーム全員で紡いでいく『頂』への物語はまだ始まったばかりだ。

(記事・写真 篠原希沙)

スターティングメンバー

皇后杯全日本女子選手権 1回戦
早大 2-1
1-0
静岡産業大磐田ボニータ
【早大 得点者】25中村/28村上/84柳澤
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
DF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
MF 18 安部由希子 スポ3 宮城・常盤木学園
MF 27 村上真帆 スポ1 東京・十文字
MF →46分 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF 11 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

DF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)

――初戦突破となりました。いまのお気持ちは

こういう悪天候の中、しっかりと勝ち切れたのはいいことだと思いますし、次につなげられたということにすごくほっとしています。

――ここまでの雨はあまり経験がないのではないでしょうか

ないですね(笑)。でもチームの中でも大きいサッカーをしようというのは共通理解としてやっていたので、それがうまく出せたかなと思います。しっかりとグラウンド状況とか天候に対応できたと思っています。

――全体を振り返って

前半は攻めることができたんですけどなかなかシュートが打てなくて、逆に相手にシュートを決められてしまって。でも時間はたくさんあったので、全員で諦めることなく同点と逆転まで できたのは良かったかなと思います。後半も変わらず大きいサッカーをすることができ、CKから1点取れたのは良かったと思います。幾つか改善点はあるんですが、全体的にとても良い試合だったと思います。

――改善点とは具体的に

個人的なところなんですけどキーパーとの連携だったり、失点の部分も自分のマークだったのでそういった部分をもっとしっかりしていかないといけないなと思います。すごく久しぶりにCBをやったので、ラインコントロールとか合わせられていない部分があったんですけど、今後もっとしっかりやれるようにしたいです。

――CBでの起用の理由は

ゆきがケガをしてから練習でもCBをやっていたので、恐らくそこで出るんだろうなと思っていました(笑)。でもどこで出てもチームが勝つためにやることは変わらないので。ポジションが変わったからといって変に色々考えずに、チームのために自分ができることをやろうと思って試合に臨みました。

――相手の印象は

背が高い選手がいて、そこに向けて前に蹴ってそこで弾いたセカンドボールとかを拾ってくるというのはわかっていました。なのでカバーをしたり、セカンドをしっかり拾うということを意識してやって、それがきょうはできていたので、対策は良かったかなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

なでしこリーグ2部のチームなのでさらにレベルは上がると思うんですけど、自分たちはチャレンジャーの気持ちを持って次も勝ちたいと思います。

MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)

――初戦突破となりました、いまのお気持ちは

トーナメントということで、結果が全てという中でしっかり勝ち切れたのは非常に良かったなと思います。

――前半と後半それぞれを振り返って

前半は早い時間に失点してしまって。自分もディフエンスの部分で絡んでいたんですけど、うまくやられてしまったというか、そういう部分でチームに甘さがあったので失点につながってしまったのかなと思います。でもそのあとにしっかり得点を重ねて、後半もそのままの勢いをもって攻めることができていたのは良かったと思います。

――ご自身の得点シーンについて

裏っていうのは狙っていた中で、うまく河野選手(FW河野朱里、スポ3=静岡・藤枝順心)が相手をかわして出してくれたのでいいかたちで抜けることができました。あとは落ち着いて決めるだけという感じで。決まって良かったです。

――相手の印象は

競り合いとか球際の部分で強みを持っているなと感じていて、あとそれだけじゃなくて足元もあっていい相手だなと感じました。

――何か課題などは見つかりましたか

きょうは雨っていう特殊な環境だったんですけど、ある程度できた部分があったと思います。課題としてはやはり失点の部分にあると思います。球際の部分だったり、人数かけて取りに行って取り切れなかったりという、個人的な反省でもあるんですけど。これらを次節に生かせればいいかなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

勝たないと次に進めないというのはわかり切っていることなので、1戦だけに全てを集中させて絶対に勝ちたいと思います。

MF柳澤紗希(スポ3=浦和レッズレディースユース)

――初戦突破となりました。いまのお気持ちは

台風で試合自体ができるかもわからなかったですし、こういう状況が悪い中でも勝ち切れたというのは良かったなと思います。トーナメントなので、どんなかたちであれ勝てて良かったです。

――前半、ベンチから見ていての印象は

球際が強い相手だなという印象があって、自分が出たらそこをどうかいくぐろうかなと考えていました。

――ハーフタイムから出場の際に何か指示などは受けていましたか

こういう状況なので(笑)。自分の良さを出すっていうのはもちろんなんですけど、ピッチのことと、やってはいけないプレーについての注意などでした。後ろパスと横パスは危ないからそこは避けようっていうことで。前にはっきりとしたプレーをしようと言っていました。

――ご自身の得点シーンを振り返って

こういう大雨の中点を取るのは難しいことで、CKとかのセットプレーの時が大きなチャンスになるだろうと監督も言っていて。最後の方立て続けにCKとなっていた時に、絶対に自分が決めるって思ってやっていたので、2点差をつけられる1点をあげることができて良かったです(笑)。

――見つかった新たな課題などはありますか

先制を許してしまったという点です。そこからひっくり返せたのも自分たちの強みを発揮できたということだとは思うんですけど、相手が強くなるにつれて1失点というのがとても大きくなってしまうと思うので。先制される前に自分たちができるように、決定力を上げていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

なでしこリーグ2部のチームなので、力を出し切って、自分も出たら点を決めたいと思います。

MF村上真帆(スポ1=東京・十文字)

――見事初戦を突破しました。いまのお気持ちは

とりあえず1回戦は突破したいと思っていたので、勝てて良かったです。

――ここまでの雨での試合はなかなかないと思いますが

こんなにひどい状態で試合をしたことはなかったです。スリッピーな部分とボールが止まってしまう部分とがあって難しかったんですけど、うまく対応できたかなと思います。

――得点シーンを振り返っていただけますか

速いボールがきたんですけど、とりあえず足に当てようと思って(笑)。そしたら入ったので良かったです。

――決まった瞬間、思わず両手をあげて喜びを爆発させていましたが

何かしらでチームに貢献したかったので、逆転ゴールというかたちで結果を残せて良かったです。

――相手の印象は

スカウティングミーティングで相手は前に蹴って蹴ってというチームだと言っていたのでなるべく蹴らせないようにはしようと思っていたんですけど、寄せとかが遅くて結構蹴らせてしまっていた部分があったので、そこは課題として次戦につなげていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

なでしこリーグ2部のチームなのでかなり力はあると思うんですけど、とりあえず気持ちでは負けないようにして、もしまた出ることができたら得点を決めたいです。