野球部
2017.09.12
東京六大学秋季リーグ戦 9月11日 神宮球場
延長12回の死闘の末に…/明大3回戦
明大1回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 計 | ||
明 大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 | ||
早 大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | ||
(早)小島、北濱、大竹、早川、●柳澤-岸本、小藤 ◇(二塁打)福岡 |
---|
守り合い、粘り合い、意地のぶつかり合い・・・。開幕カードでの勝ち点を懸けて絶対に負けられない早明両校が、互いに一歩も譲らぬ死闘を繰り広げた。先制されるが敵失ですぐさま同点に追い付くと、それ以降試合は膠着(こうちゃく)状態に入る。9回を終えて決着付かず、試合は延長戦に突入。延長10回に勝ち越されたが、その裏に代打・岡大起(社4=東京・早実)の起死回生の同点適時打が飛び出し、土壇場で同点に追い付く粘りを見せる。しかし迎えた延長12回、柳澤一輝(スポ4=広島・広陵)が延長戦に入ってから二度目の勝ち越しを許し、万事休す。総力戦となった3回戦で競り負け、勝ち点を落とした。
1回戦同様、早大は小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)、明大は齊藤大将(4年)を先発に起用。両左腕の投げ合いに注目が集まった。先に点を許したのは小島。2回に2死一、二塁から9番・齊藤に浮いた内角直球を右翼線に運ばれ先制点を献上した。それ以降も毎回走者を背負い、苦しいマウンドとなったが粘りの投球を見せる。3回は先頭に左前打を許すもの、次打者を二ゴロ併殺に切って取り、結果的にこの回は三者凡退。すると、早大に『ツキ』が回って来た。3回の攻撃、1死から走者を出し2番・檜村篤史(スポ2=千葉・木更津総合)が犠打を投前に転がす。これを処理しようとした齊藤が一塁へ悪送球。ボールが一塁側ファウルグラウンドを転々とする間に一塁走者が一気に本塁まで還って来た。1-1の同点に追い付いた直後の4回、小島は無死から長打を許しピンチを迎えたが、相手の犠打失敗や走塁ミスにも助けられここも無失点。状態は良いとは言えず、4回で降板となったが、最低限の仕事は果たした。小島の球を捉えていながら野手の正面を突き、ミスで好機を逃した明大。一方、齊藤の前に苦しみながらも思いもよらぬかたちで追い付いた早大。この時点で流れは確実に早大にあった。
後半に入ると、一進一退の守り合いが続く。早大は2番手・北濱竣介(人4=石川・金沢桜丘)が1回を無失点に抑えると、6回からは前日の2回戦で107球を投げている大竹耕太郎(スポ4=熊本・済々黌)が連投となるマウンドへ。7回には1死一、二塁、8回には2死一、三塁のピンチを招いたが、こちらも粘りの投球で本塁への生還だけは許さない。大竹の力投に応えたい打線は6回、先頭の福岡高輝(スポ2=埼玉・川越東)が中越え二塁打で出塁。しかし、このカードでいまだ無安打の加藤雅樹(社2=東京・早実)ら後続が倒れ無死から出た走者を還すことができない。明大・齊藤は終盤に入っても140キロ超の直球、カウント球と決め球の両方に使えるスライダーのキレは落ちず、早大打線の前に大きく立ちはだかった。9回の攻防も互いに譲らず、試合は延長戦に突入。前半早大にあった流れは少しずつ明大に傾きかけていた。
岡の右前適時打で一時は同点に追い付いたが…
早大は延長10回も大竹が続投。しかし、前日から完全に抑え込んでいた明大4番・逢澤崚介(3年)に中前打を許し無死の走者を背負うと、1死後に右前打を浴び一、三塁のピンチを招く。大竹はここで降板し、マウンドを早川隆久(スポ1=千葉・木更津総合)に託した。ここで明大は代打の切り札・宮崎新(4年)を起用し、勝負に出る。直球を続け、宮崎を追い込んだ早川は最後も懐に内角直球を投げ込むと、打球は詰まって一塁へ。佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)が決死のバックホームを見せるが、球がバットに当たると同時にスタートを切った三塁走者・逢澤の方がわずかに早く、判定はセーフ。ついに均衡が破れた。勝負あったか――。球場にいる誰もがそう思ったに違いない。しかし、その裏の攻撃で早大が粘りを見せる。先頭の小藤翼(スポ2=東京・日大三)が中前打で出塁すると、二進後に代打・岡が2球目の甘く入ったスライダーを逃さず捉え、起死回生の右前同点適時打を放つ。2-2。試合は再び振出しに戻った。なおもチャンスは広がり、1死満塁。この一打サヨナラの好機、代打・熊田睦(教4=東京・早実)が告げられる。後攻の早大はなんとしてもここで決着をつけたいところ。しかし、熊田の打球は一塁正面へと転がり最悪の本塁併殺。試合はまだ終わらない。11回は互いに三者凡退に終わり、迎えた12回。5番手・柳澤は先頭に四球を許すと、犠打による二進後に見逃し三振で2死まではこぎつけたが、途中出場の左打者・高瀬雄大(3年)に直球を中前に弾き返され2-3。再び勝ち越しを許してしまう。早大も一度は粘りを見せたが、今度ばかりはそうもいかない。最後の攻撃は三者凡退に倒れ、試合終了。延長12回、3時間23分に及んだ死闘は明大に軍配が上がった。
柳澤が12回に勝ち越し適時打を許した
「勝てる試合だった」。試合後、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)は大きく肩を落とした。開幕カードの大事な勝ち点を懸けた3回戦。投手陣の踏ん張りで失点を最小限に抑え、理想とするロースコアの展開に持ち込んだ。延長戦に入ってからは後攻の早大が間違いなく有利であり、事実一度は勝ち越されながら裏の攻撃で同点に追い付く粘りも見せた。しかし、最後に勝ち切れない。接戦を勝ち切れずに優勝争いから脱落した昨季の結果を受け、夏以降はこの日のような接戦をものにできる勝負強さを求めていたはずが、またしても同じように1点差で敗れるという結果に終始してしまった。「最初に勝ち点を落としてしまったのは、チームとしても痛い」(佐藤晋主将)。この日の結果により残り4カードで勝ち点は一つも落とせないと言っても過言ではないだろう。次戦は第3週で春の王者・立大との対戦。その後も第4週では宮台康平(4年)を擁する東大が、第6週では順調な仕上がりがうわさされる法大が、そして第8週・伝統の一戦で宿敵・慶大が待ち受ける。開幕週に出鼻をくじかれた感は否めなく、ここから先を勝ち続けるのは容易でないが、前を向いて目の前の一戦をつかみ続ける他はない。幸いなことに次週の第2週は空き週。総動員となった投手陣を初め、肉体的・精神的な疲れを取りながら1週間かけて明大戦で出た課題を消化し、とにかく気持ちを切り替えて立大戦に臨みたい。
(記事 郡司幸耀、写真 久野映、加藤佑紀乃)
早大打者成績 | |||||||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (二) | 宇都口滉 | 5 | 1 | 0 | .364 | 二ゴ | 左安 | 遊ゴ | 左飛 | 投犠 | 三ゴ | |||||||
2 | (遊) | 檜村篤史 | 2 | 0 | 0 | .250 | 遊ゴ | 投犠失 | 三ゴ | 四球 | |||||||||
打 | 岡大起 | 1 | 1 | 1 | 1.000 | 右安 | |||||||||||||
投 | 柳澤一輝 | 1 | 0 | 0 | .000 | 三振 | |||||||||||||
3 | (一)三 | 福岡高輝 | 4 | 2 | 0 | .462 | 遊ゴ | 死球 | 左安 | 三振 | 遊安 | ||||||||
4 | (左) | 加藤雅樹 | 4 | 0 | 0 | .000 | 遊ゴ | 三振 | 左飛 | 中飛 | |||||||||
右 | 八木健太郎 | 0 | 0 | 0 | .000 | 四球 | |||||||||||||
5 | (捕) | 岸本朋也 | 1 | 0 | 0 | .000 | 死球 | 遊ゴ | |||||||||||
投 | 大竹耕太郎 | 2 | 1 | 0 | .750 | 中飛 | 遊安 | ||||||||||||
投 | 早川隆久 | 0 | 0 | 0 | .000 | ||||||||||||||
打 | 熊田睦 | 1 | 0 | 0 | .000 | 一併 | |||||||||||||
遊 | 西岡寿祥 | 0 | 0 | 0 | .000 | ||||||||||||||
6 | (中) | 三倉進 | 5 | 1 | 0 | .250 | 投安 | 中飛 | 三振 | 中飛 | 右飛 | ||||||||
7 | (右) | 長谷川寛 | 4 | 0 | 0 | .429 | 投犠 | 三振 | 三振 | 投ゴ | 二ゴ | ||||||||
8 | (三) | 織原葵 | 2 | 0 | 0 | .200 | 一ゴ | 三振 | |||||||||||
打 | 尾崎資樹 | 1 | 0 | 0 | .667 | 右飛 | |||||||||||||
一 | 佐藤晋甫 | 2 | 0 | 0 | .000 | 一飛 | 三振 | ||||||||||||
9 | (投) | 小島和哉 | 1 | 0 | 0 | .500 | |||||||||||||
投 | 北濱竣介 | 0 | 0 | 0 | — | ||||||||||||||
打 | 吉見健太郎 | 1 | 0 | 0 | .000 | 三ゴ | |||||||||||||
捕 | 小藤翼 | 3 | 1 | 0 | .111 | 三振 | 中安 | 三振 |
早大投手成績 | ||||||||||
名前 | 試 | 勝 | 敗 | 回 | 安 | 四 | 振 | 責 | 失 | 率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
小島和哉 | 2 | 0 | 1 | 4 | 5 | 2 | 3 | 1 | 1 | 4.15 |
北濱竣介 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0.00 |
大竹耕太郎 | 2 | 1 | 0 | 4 1/3 | 5 | 2 | 3 | 1 | 0 | 2.89 |
早川隆久 | 2 | 0 | 0 | 0 2/3 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0.00 |
柳澤一輝 | 2 | 0 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 6.23 |
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コメント
髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)
――またもや1点差で敗れました
勝てる試合でしたよね。
――勝敗を分けたポイントはどうお考えですか
最後でしょうね。塁を詰めろと言っているのに半端な投球をするから。
――先発・小島和哉選手(スポ3=埼玉・浦和学院)は中1日での先発でしたが、どのあたりまで行ってほしいというのは
状態次第かな。1点争うゲームだから。良くなかったけど、よく投げたと思います。
――先制されましたが、3回にラッキーなかたちで追い付きましたが
いろんな勝つ要素があった中ですからね。防戦一方でありながら勝つ要素があった試合だけに非常に悔いが残りますよね。
――中盤から終盤にかけては連投となった大竹耕太郎選手(スポ4=熊本・済々黌)が粘投しました
良く投げてくれたと思いますね。逆にちょっと引っ張りすぎたかなというのもあるけど、延長も15回まであるんで、それも考えて1回でも多くと考えたら・・・。9回に出た時点で代走だったかなとは思いますけどね。
――最初から延長戦も重々覚悟の上で戦っていたと
9回で決着付けばいいけど、延長が15回まであるんで。8、9回とアップアップしてるんですけど大竹が良かっただけに、代えにくいですね。後のピッチャーがそれだけ長いイニング持つかといったらね。明大だったらあそこまで齊藤(大将、4年)を引っ張るでしょう。10回の1死満塁でもピッチャー代えないですから。明大だって次のピッチャーに自信がないというか、信頼はないと思います。ワセダの方が次、次と行けると思いますけど、明大だったら齊藤降ろしたら負け試合というところはあったんじゃないですかね。
――そういった意味では、11回に明大がようやく齊藤投手を代えたときはどう感じましたか
勝てるかなと思ったけど、その後に先に点を取られたらダメですね。
――以前お話されていた「大黒柱」がいるかどうかの差とは感じますか
いや、それはチームの構成上だから仕方ないかな。それ関係なくワセダもピッチャーをとっかえひっかえして1点で防戦してやっていたわけですから。打つ方は岡(大起、社4=東京・早実)みたいに打ってくれるに越したことはないけど、あそこで誰が打たなかったとかは言っても仕方ないので、最後の1点には悔いが残りますね。春からあれだけ言っているのに。
――追い付く場面はありましたが、リードを一度も奪うことができませんでした
でもヒットなんかも倍打たれてるのに、防戦一方でありながら勝てるチャンスがあっただけに悔いが残りますね。最後だって勝負しなかったら無失点だから、延長が続いたとしてもあした再試合になるからね。勝つ、勝つ、と言ってもとりあえず負けなければいいわけだから。お互いにピッチャーが困りますけど、そこはしのぎ合いなんでね。
――3回戦、それも延長までもつながら接戦を落として開幕カードの勝ち点を落としました
そりゃもう不利ですね。悔いが残りますね。
――1週相手の立大戦となります
きょうのように粘り切って戦うしかありませんね。
佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)
――延長まで入り一時は追い付きましたが1点差で敗れました。このような負け方は痛い負け方ですか
なんとか食らい付いて食らい付いて、延長まで持ってきたんですけど、やはり最後の最後で出し切れなかった、しかもそれが開幕戦だったので・・・。最初に勝ち点を落としてしまったのは、チームとしても痛いなと思います。
――投手陣は被安打12と打たれながらも、失点を少なく抑えました
ヒット多く打たれたのですが、要所要所でしっかり粘ってくれて。野手も全員で1つずつアウト取ろうという意識でやっていて、なんとかなんとか粘っていたのでそれはすごく良かったです。
――打撃では1回戦と同じくなかなか安打は出ませんでしたが、齊藤大将選手(明大4年)相手に粘っていた印象を受けました
1回戦の反省を生かし、どういうふうに攻略していこうと決め、みんなで確認して。1回戦は球数を全然投げさせることができなかったので、球数を投げさせて、後半になって球が上ずってきたり、抜けたりすればチャンスが出てくるからと野手の方では確認していました。でも、やっぱり勝ち切れなかったですね。
――10回に野選で勝ち越しを許しましたが
相手のランナーもギャンブルでかなり早いスタートを切っていて、こっちも捕ってすぐ投げることができなかったので、それがちょっと・・・。もっといいプレーができたかなと自分の中では残っています。
――でもしょうがないとすぐ切り替えて
そうですね。それまで打たれたのでしょうがないと。
――その裏に1点返しましたが、直後の1死満塁の場面で併殺に倒れました
熊田(睦、教4=東京・早実)もしっかり振り切ったその結果なので、当てにいったわけでもないですし、ベストのスイングしてああいう結果なら仕方ないなと思っています。
――勝負の分かれ目と言いますか、もし差があるとすればどこになるかと思いますか
うーん、難しいですね・・・。要所要所、最後のここっていう場面で抑え切れなかったことですかね。
――きょうミーティングは長かったようですが、どのような話が上がりましたか
監督さん(髙橋広監督、昭52教卒=愛媛・西条)からは最後のピッチャー、バッテリーの攻め方について言われました。
――1週空きますが、次戦までにチームとしては何をやっていきたいですか
もう、1カードを落としたのは痛いんですが、切り替えて切り替えて。次が開幕戦という意識で、とにかく優勝がなくなったわけではないですし、1つ落としただけなので、切り替えていきたいと思います。