レスリング部

2017.08.21

練習取材 8月19日 早大レスリング道場

まもなくインカレ開幕!鍛錬に励む早大戦士に直撃

 大学レスリング界の頂点を決める全日本学生選手権(インカレ)が今月28日から4日間にわたって開催される。インカレは個人戦だが、「チーム内の実力差」を太田拓弥監督が課題に上げており、1人でも多くの選手を表彰台に送るにはチームの底上げが不可欠だ。大舞台に備え、日々己を磨く早大戦士の練習にお邪魔させていただいた。

 細部まで工夫を凝らした濃密な2時間だった。午後1時、早大の選手に加え、出稽古に来た他大の選手や高校生、さらにOBが1つのマット上に集い練習を開始。軽めのランニングやスキップ、ステップに続いてアップに行われたのが「鬼ごっこ」。「アップは時間だけ決めてマンネリ化しないように毎日違うことをやっています」(伊藤奨主将、スポ4=長崎・島原)。体を温めるのと同時に雰囲気を盛り上げ、練習へのモチベーションを向上させることが狙いだ。選手の自主性を重んじる早大だからこそできる独創的な取り組みである。そして首のストレッチなどを済ませてから、いよいよ実践練習。2人1組で技を掛け合う「打ち込み」を1本ごとに相手を変えて3分×3本行った。動作を確認するように1回1回丁寧に技を出していた。練習開始からここまでにかかった時間はわずか30分。伊藤の的確な指示のもと、実践練習だけでなく鬼ごっこやストレッチも細かく時間を区切ることで無駄のない効率的な練習が構築されていた。

アップで鬼ごっこをする様子。マット運動やサッカーなどもアップに取り入れているという。

 短い休憩の後、ここから行われたのがインカレを想定したスパーリング。音楽を流しながら終始明るい雰囲気ではあったが試合さながらの緊張感は保っていた。1ピリオドの時間は、実際の試合の3分より15秒長い3分15秒に設定。試合中に場外に出るなどして、時間が止まるロスタイム分を考慮してのことだという。これを20秒のハーフタイムを挟み、組を入れ替えながら20ピリオド近く連続で行った。4組ほどが同時にプレーし、それを見守る選手、監督、コーチが叱咤激励を飛ばす。統率の取れたスパーリング練習が展開され、午後3時に練習が終了した。

練習から試合さながらの白熱したスパーリングを繰り広げる

 部員数が少なく、練習時間も長くはない早大レスリング部が長年強豪であり続けるゆえんを垣間見た気がした。「やるときはやりますし、楽しむときは楽しむのでメリハリがあってすごくいいチーム」(梅林太朗、スポ1=東京・帝京)。ただ練習「量」をこなすのではなく、徹底的に「質」にこだわるのが早大の方針だ。ただし、質にはこだわるが、午後の練習に加えて朝練でランニングやウエイトも行っており、決して量をおろそかにいるわけではない。さらに、上級生と下級生の距離が近く、互いの実力向上のためにお互いが意見をぶつけ合える理想的なチームづくりがされている。連覇を目指す米澤圭(スポ3=秋田商)、山﨑弥十朗(スポ2=埼玉栄)ら実績のある選手をはじめとして、「実力はついてきてるかなとは思います」と太田監督が語るように、各々が全国で戦えるだけの準備をしてきており、充実の戦力が整った。頼れる主将・伊藤を中心に一枚岩で学生王者を目指す早大戦士の闘いがいよいよ幕を開ける。

伊藤奨主将。太田監督からの信頼も厚い頼れる主将だ。

(記事 皆川真仁、写真 林大貴、平松史帆)

コメント

太田拓弥監督

――日頃の練習のメニューはどのように決めているのでしょうか

きょうは多胡島コーチ(伸佳、平29スポ卒=現・KATSURA-group)と山口コーチ(剛、平24スポ卒=現・ブシロード)が今、日本代表の合宿に行ってるので、不在なんですけど、10日置きに山口剛の週と多胡島コーチの週っていうのをつくっています。山口剛のところはベーシックな部分、多胡島のときはちょっと応用みたいな感じで。練習の15分くらい前にだいたい主将の伊藤奨(スポ4=長崎・島原)と僕と多胡島、山口どちらかのコーチと3人できょうの練習メニューを議論してそれで決めます。それをホワイトボードに書き出してちょっと話し合いをして、お互いが思ってることをちゃんと話して、それで練習メニューを組み立てます。きょうは僕が代表の合宿があったのでちょっと遅れてきたんですけど朝練のときにきょう代表の合宿で遅れるので、インカレ近いのでスパークリング中心にやろうという話はしました。昨日ちょっと(スパークリングが)少なかったのできょうは多めにやろうという話はしました。

――7・8月のチームの練習の雰囲気はいかがですか

リーグ戦(東日本学生リーグ戦)終わった後はちょっとなえていた部分はありましたけど、選抜(明治杯全日本選抜選手権)では、まあまあやろうとしてくれるところがつくれてきました。8月は世界ジュニア(世界ジュニア選手権)に代表2人と、結構レベルの高い試合に出れてるのでチームの雰囲気としてはいいかなとは思いますね。

――世界ジュニアに出たお2人はいかがでしたか

僕も行ってないんですけど、大和(宇井、スポ2=和歌山・新宮)は1回戦で負けてしまって、弥十朗のほうは3位決定戦で負けて。内容的にもいい勝負できるところまでいってたんで、ちょっともったいなかったかなという話は聞いてます。

――チーム内の実力差を課題に挙げていましたが、改善されているように見えますか

どうですかね。このインカレ(全日本学生選手権)でどれぐらいトップとの差っていうものが詰められてるのかちょっと楽しみにしてるところですね。まあ実力はついてきてるかなとは思いますけれども。試合でどこまで生かせるのかなというところが試すところかなと思います。

――練習で他大の選手を呼んだり、高校生の選手を呼んだりは良くされていますか

そうですね。8月の頭の和歌山での合宿は関西の大学中心に専大、徳山大、立命館大、近大、天理大、桃山大、国士舘大が集まりましたし、定期的にこうやって出稽古したりとか、出稽古の大学生を呼んだりとかあと高校生を呼んだりとかやってますね。

――インカレのチームとしての目標は

それぞれたとえば弥十朗だったら連覇だったりとか、大和に関しては去年、大学選手権(全日本大学グレコローマン選手権)優勝してるんで、インカレの優勝だったりとか、個人によって目標の差って多かれ少なかれあると思うんで。とは言ってもやっぱり表彰台に1人でも多く出すっていうのはチームとしての目標としてありますね。

――特にインカレで注目している選手はいますか

主将の伊藤がだいぶこう仕上がりも実力も上がってきているのが見てとれるので、そこが楽しみですし、あと岩澤侃(スポ2=秋田商)が膝の怪我明けのインカレでどこまでやれるのかっていうところとか、フリー(フリースタイル)、グレコ(グレコローマンスタイル)の大学選手権に向けて、手応えをつかめるような試合にしてほしいなと思います。主将を中心にどれぐらいやれるのかっていうのはすごく楽しみにしてますね。/p>

――きょうの練習のアップでは鬼ごっこをされていましたが、いつもやられていますか

そうですね、ゲーム入れたりして。マット運動入れたり、ダッシュ系とか神経系とかアップに入れたりもするんですけど、どうしてもこう堅苦しくなったりとか、飽きが来るんで、たまにゲーム形式で体を温めてやるような方法はとってますね。

――スパークリングを(試合の1ピリオド3分ではなく)、3分15秒でやられていたと思うんですけど、あれはどのような意図がありますか

3分だとランニングタイムって言ってずっと流れてるような状態なので、試合だと場外出たら時間止まるんでそこらへんのロスタイムですね。ロスタイム分をプラス15秒してやってるっていうかたちですね。

伊藤奨主将(スポ4=長崎・島原)

――練習を拝見していてすごく楽しそうに見えたのですが、何か心掛けていることなどありますか

いつもアップは時間だけ決めてマンネリ化しないように毎日違うことをやっています。ダッシュする日もあったり、マット運動する日もあったりレスリングの基本的なことをやる日やサッカーをやるときもあるんですけど、たまにはきょうみたいに鬼ごっこを気分転換みたいなかたちでやって遊び的な要素を入れています。

――こういうのは早大ならではなのでしょうか

あまり他の大学では見たことがないですね。

――練習中に伊藤選手はいろいろな選手に声を掛けたりされていましたが、普段からアドバイスされたりすることは多いのでしょうか

技術的な部分で言うと僕よりも圭(米澤、スポ3=秋田商)とか弥十朗(山﨑、スポ2=埼玉栄)のが上のところにいるのであまり技術的なアドバイスはしないんですけど、もちろん僕が何か気付いたときには言うようにしています。あとは取り組む姿勢ですね。あきらめるな、とか簡単にやるな、とか。そういうことは口うるさく言っているつもりです。

――伊藤選手自身、今磨いている技だとかあったりするのですか

2年の時に3番になってそこからベスト8止まりみたいなところがあって自分から取りに行く技が少ないので、今は差してからのタックルだとか早い展開というのを心掛けてやっています。あとは自分から取れるように意識しています。

――練習中の音楽は誰がセレクトしているのでしょうか

だいたい1年生が流すんですけど、きょうだと太朗(梅林、スポ1=東京・帝京)のiPodではないですかね。

――インカレ(全日本学生選手権)まであと約1週間ほどですが、チームの雰囲気はいかがですか

合宿で和歌山に行ってきて、スパーリングとかは相手のレベルがそれほど高くなかったんですけど、ランニングなど体力的なところは追い込めてやれたと思います。火曜日がオフでそれまで追い込んでやって、そこから調整という感じでした。きついことはやっていたんですけど、みんな下向いて嫌がるというわけでもなくよい雰囲気で取り組めてると思います。

――インカレは個人戦ですが、何かチームとしての目標などはありますか

取れるところはしっかり取るというか、圭、弥十朗は優勝を狙っていると思うし、駿(伊藤、スポ3=京都・網野)も決勝に行けるレベルがあるし、そこに太朗が絡んだり。軽量級も侃(岩澤、スポ2=秋田商)と僕は表彰台に上らないといけないと思うし、大和(宇井、スポ2=和歌山・新宮)と隼佑(齋藤、スポ3=群馬・館林)も優勝を狙える位置にいるのでそれぞれ自分の目標があると思います。4年生は最後なので悔いが残らないようにというのはもちろん勝ちにこだわりたいですし、やっぱりインカレって日本全国の大学生が出場する大きな大会だと思うので、1つ1つ勝ちにこだわって勝負際というか1点差2点差での勝負をものにすることが目標ですね。それができればみんな強いので、表彰台に上れると思います。僅差の勝負で勝つことが重要だと思います。

――伊藤選手自身の目標を教えてください

最近表彰台に上れていないので、やっぱり表彰台に上りたいですし、そのために第1シードを倒さなくてはいけないので、まずはそこでしっかりと勝って、決勝で侃とやれればいいですね。

米澤圭(スポ3=秋田商)

――前の試合から少し空いてると思いますが今の状態はいかがですか

最近、足首をケガしてしまって調整しつつなので、フルパワーでは練習できてないですけど、コンディション的には問題ないと思っているので、動きも悪いわけじゃないのであとは大会に向けて気持ちをつくっていっているという感じですね。

――昨年、優勝されていてチャンピオンとして挑むことになりますが、そちらに関してはいかがですか

去年優勝したというプレッシャーが少なからずはあるんですけど挑戦者の気持ちを忘れないで、プレッシャーを感じてしまうと自分の動きができなくなっちゃうのでチャレンジャーの気持ちを持って自分のレスリングを。勝つというよりかは自分のレスリングを発揮できたらいいなという感じですね。

――警戒している選手はいらっしゃいませんか

反対ブロックなんですがいつも学生の大会であたる乙黒圭祐(山梨学院大)は決勝に上がったときに当たると思うのでそこが一番大きな相手かなと思います。

――今自分の中で課題はありますか

もともと自分は自分から思いっきり攻めていくタイプじゃなかったので、これからはレベルアップしなければ勝てなくなってしまうので、攻めるレスリングを練習していて。いろんな人から技を聞いたりしてその中で技を組み立てて自分のスタイルに少しずつしていけてるので、それを試合で出せればいいなと。練習ではできているのであとは試合で出すだけです。

――インカレへの目標や意気込みをお願いします

全試合テクニカルフォール勝ちの勢いで。圧倒的な、学生じゃ相手はいないんだぞという勢いのある試合をしたいなと思います。

梅林太朗(スポ1=東京・帝京)

――6月の新人戦(東日本学生選手権)が終わって以降、練習での調子はいかがですか

新人戦が終わって、試合の間隔が空いてひと段落したので、疲れも取れて、大学のレスリングがどういうものなのかも分かってきました。試合が続いていた分の反省点と課題を自分で見つけてそれを元に練習しているんですけれども、あと一皮むけたらというところで、そこの壁が大きくて、今正直何から手をつければいいか分かっていない状態です。調子自体は特別いいわけでもないですけど、悪くはないので、インカレ(全日本学生選手権)で入賞できればいいかなと思います。

――反省点や課題とは具体的にどういったものですか

自分は相手の右足に入るタックルを得意としているんですけれども、もう相手には右足を狙ってくることがバレてしまっているので、逆の左足に入るタックルの練習をしているんですけど、息が上がって疲れてきたり、点数が離れていくとどうしても自分の得意技に頼ってしまいます。でも、それを続けていても結局自分のレベルは上がっていかないので、練習では負けてもいいと思っているので、点を取られる覚悟で新しいことにできるだけ取り組むようにしています。

――新人戦で右肘を痛められたと思うのですが、怪我の経過はいかがですか

怪我をしてちょっと腕が細くなったんですけど、ちゃんとリハビリしたので肘はもう大丈夫ですね。

――高校時代(JOCエリートアカデミー時代)の練習と早大での練習で違いを感じる部分はありますか

感じる部分としては、高校時代はどちらかというと体力、スタミナをつける練習で3時間近く練習をしていました。早大は、2時間で終わってしまうんですけれども、高校では自分と同じレベルの選手が練習場に1人か2人しかいなかったので、その選手以外とやると正直自分に余裕があるので余力が残って終わってしまっていたんですが、早大の練習だと強い先輩方がたくさんいらっしゃるので、一本一本が全力でできて、正直高校の時よりも練習時間は短いんですけれども疲れは早大の練習の方がありますね。あと先輩方に教えてもらったりして、その場で修正したりできるので、そういう面に関しては、高校の時よりも質の高い練習ができていて、一本一本しっかり息が上がるまでやっているのでスタミナも落ちていないですね。

――練習を拝見させていただいて、非常に和気あいあいとしていたように感じましたが、チームの雰囲気はいかがですか

個人的な意見になるんですけれども、他の大学と比べて、チームの仲はいいと思います。あとメリハリがありますね。やるときはやりますし、楽しむときは楽しむのでメリハリがあってすごくいいチームだと思います。

――先輩方から教えてもらうこともあるとおっしゃっていましたが、先輩との関係はいかがですか

普段からよく面倒を見てもらっています。多分、他の大学に行っていたら合う先輩と合わない先輩がいたと思うんですけど、早大では誰とでも、フレンドリーと言ったらおかしいですけど、いつも気安く声を掛けてくれるんでこっちもストレスを感じることがありませんし、一緒にいて楽しいです。

――特によくしてもらっている先輩はいらっしゃいますか

全体的によく声をかけてもらっています。同部屋の先輩が1個上の吉村先輩(拓海、スポ2=埼玉栄)なんですけど、毎日お世話になっていますし、レスリングというのは階級スポーツなので、自分と同じぐらいの体重の選手と組むので、米澤先輩(圭、スポ3=秋田商)だったり、今日組んだ伊藤駿さん(スポ3=京都・網野)、斎藤隼佑さん(スポ3=群馬・館林)、あと今日来ていないんですけど去年卒業した多胡島さん(伸佳、平29スポ卒=現・KATSURA-group)、それと僕の一個上の先輩の山﨑弥十朗さん(スポ2=埼玉栄)などですね。すごい中量級の層が厚いんですけれども、その先輩方からは、練習の相手をお願いした時も嫌な顔をせずに付き合ってくれます。幸せなことです。

――4月のJOCジュニアオリンピックカップ(JOC)の敗戦以降は上り調子に見えますがインカレまでの戦いを振り返っていかがですか

甘く考えていたわけではないですけど、JOCで年下の高校生に負けて、それで初めて年下から負けたんですけれども、それでもう一回自分のレスリングを見つめ直すところから始めました。得意技はバレているので新しい技が必要だという課題もそこで発見できたのでよかったんですが、そう簡単に新しい技は身につくものでもなくて、完成度の高いものではないと相手のレベルが上がっていくにつれて通用しなくなるので難しいところです。6月に日本で1番レベルが高い大会の明治杯(明治杯全日本選抜選手権)があって、そこで自分のレベルがどの程度なのかもわかったので、自信になった半分、まだこれだけ差があるんだなって現実を突きつけられた部分もありました。東京オリンピックまであと3年、予選まではあと2年なんですけれど、届かない壁ではない気がするんですが、何か1つ誰にでも通用するような得意技を身につけない限りは難しいなと思います。1週間後にインカレがあるんですが、そこがゴールではないので、勝ちに越したことはないですし、負けていいわけでもないんですけど、しっかり自分の持っているものを出し切れたらいいかなと思います。JOCでは自分の持っているものを出し切る前に負けてしまったので、その後の試合では自分の持っているものを出し切れたというのが、調子が上がっているように見えるだけで、やっていることは一緒なのでなんとも言えないです(笑)。まずは自分の持っているものを今度のインカレで出し切って、そのあとまた自分で課題を見つけて、今年度の目標は天皇杯(天皇杯全日本選手権)でメダルを取ることなので、それにしっかり照準を合わせられるようにセットアップできればいいなと思います。

――インカレに向けて特に意識して取り組んでいることはありますか

スタミナには自信があるのですが、技術面では劣っているので、そこをカバーできるように、自分の得意技とは逆の動きを意識しています。今までの自分がやらないようなレスリングをやれば今まで以上に上に行けると思うので、今までのレスリングにプラス、今までとは逆の動きを合わせて取り組みたいなと思っています。

――初出場となりますが、インカレでの目標は

優勝と言いたいところなんですけど、冷静に自分の実力を分析してもまだそのレベルには達していないのは自分でもわかっているので、1勝1勝勝ち上がっていって、準決勝で3年生の伊藤駿さんと当たるのでまずはそこまでしっかりいくことが目標ですね。