ヨット部

2017.08.17

全日本学生個人選手権470級 8月11~14日 愛知県・豊田自動織機 海陽ヨットハーバー

岡田奎・秦組は惜しくも2位・・・タイトル獲得ならず

 お盆休みのリゾート客で賑わう街、蒲郡。昨年全日本学生選手権(全日本インカレ)が行われたこの地で、個人戦の学生日本一を決める全日本学生個人選手権(全日本個選)が開催された。470級レースには早大から3艇が出艇。「優勝を狙っていた」という岡田奎樹(スポ4=佐賀・唐津西)・秦和也(基理2=東京・早大学院)組は最終レースまで首位を狙える位置につけていたが、一歩及ばず、2位。田中美紗樹(スポ2=大阪・関大第一)・岩井俊樹(基理4=東京・早大学院)組は8位、元津志緒(スポ3=長崎工)・永島慶也(政経3=神奈川・逗子開成)組は22位と入賞を逃す結果となった。

 8月の三河湾には、なかなか風が吹かなかった。3日間を通して軽風の中でのレースとなった今大会。体重の軽い選手が有利となるコンディションだが、岡田奎は、「全日本インカレでは、風が吹かなかったんで負けてしまった、というのは許されない」と気を引き締めて臨んだ。初日に抜け出したのは田中・岩井組。7月にギリシャで行われた世界選手権に出場した田中は、世界の舞台で培ったスタート技術を存分に発揮。2レース合計で8点に抑え、首位で1日目を終えた。迎えた2日目。小松一憲コーチ(ロンドン五輪470級代表監督)が、「少し欲を出して苦しくなってしまった」と振り返るように、持ち前のスタートライン上での度胸が裏目に出てしまう。リスクの大きいスタートを仕掛ける勝負に出るも、成功とはならず、順位を落とす結果となってしまった。優勝争いからは脱落し、結局7レース合計で8位に終わる。本人は納得のいかない結果かもしれないが、1位から7位までは各大学の1番艇が名を連ねており、田中・岩井組は2番艇としては全国トップと言っても過言ではない。最後の全日本個選であった岩井の有終の美を飾ることはできなかったが、この経験を生かし、日本屈指の勝負師へ成長してほしい。

田中・岩井組は積極的なスタートを仕掛けた

 早大入学後、数多くのタイトルを獲得してきた岡田奎にとって、まだ手にしていないのが『全日本個選優勝』だった。どうしても欲しいタイトル――。並々ならぬ思いで蒲郡に乗り込んだ。今シーズンは関東学生春季選手権から好調を維持している岡田奎・秦組。今大会も初日から安定したレース運びで上位につける。2日目でも3レース全てでシングル(※1)を獲得し、関東王者の楠瀬和旺・玉井瑛士組(明海大)と同率首位で最終日を迎えた。なかなか風が上がらずもどかしい時間が続いた最終日だったが、1レース目を5位で終え、1位と2点差の2位。残り時間を考えて最終レースとなることが予想された第7レースに、逆転優勝を懸けることとなった。「焦っていないつもりだったが、そこでもう少し落ち着いていればよかった」(岡田奎)。風を読み間違え、このレースはまさかの18位。カットレース(※2)も適用され、首位に8点差をつけられての2位で、最後の全日本個選を終えた。優勝できるチャンスが最後まであっただけに、悔しさが残る結果となっただろう。また、小松コーチは、「第一風上マークの順位が悪い」と課題を指摘した。悔しさをバネに、今大会で明確になった課題を克服し、岡田奎はより一層強くなって帰ってくるはずだ。

惜しくも優勝を逃した岡田奎(左)・秦組

 主要大学が軒並み3艇を送り出し、まさに全日本インカレの前哨戦とも言える今大会。タイトル獲得には至らなかったが、3艇の順位を足し合わせると32。この数字は3艇を全日本個選に送り出した大学の中では最小の数字だ。岡田奎主将の話していた、「団体戦を意識した個人戦」は上手く浸透したと言えるだろう。ここからは鍛錬の夏合宿期間が始まる。目標はただ一つ、全日本インカレ優勝。大きな目標に向けて、エンジのセーラーたちはさらなる成長を誓う。

(記事 松澤勇人、写真 平松史帆、佐々木一款)


(※1)10位以内の順位を取ること。

(※2)大会の規定レース数を消化すると、最も悪いレースの点数を除くことができるというルール。

表彰式の様子

結果

岡田奎・秦組 30点 2位

田中・岩井組 63点 8位

元津・永島組 116点 22位

コメント

小松一憲コーチ(ロンドン五輪470級代表監督)

――優勝した永松・川上組についてはどう評価しますか

文句なしです。というのは、今回の風は2メートルから3メートルの風で、言うなれば誰でも走れる風なんですね。例えば軽い選手でも非力な選手でも。そんな誰もが走れるコンディションの中で彼らがきっちりとあのスコアでまとめたというのは素晴らしいと思います。永松だけでなく川上も、2人で素晴らしいパフォーマンスを発揮したと思います。風の弱いときの特徴として、風が弱い割りに風向・風速の振れ幅があるというのはあるんですね。それにもちゃんと対応できた結果取れた成績だと思います。とにかく立派な走りでした。

――スナイプ級で2位に入りました松尾・坂上組についてはいかがですか

スナイプに乗ってまだ半年の松尾が素晴らしいスコアで2位になったのはこれまた立派なことなんですが、それをサポートした坂上が素晴らしかったんじゃないかと思いますね。

――同じ2位でも岡田奎主将は悔しい2位となりました

彼は誰もが認める日本ヨット界の期待の星です。そうは言っても風の弱い中で勝つのは難しいんですが、もう少しきっちりとスコアをまとめるべきだったと思いますね。彼も満足していないと思います。特に彼の今大会のレースの中で悪かったところとして、第1風上マークでの順位が悪かったという点が挙げられます。ヨット競技では、スタートして最初の風上での順位というのは全体の成績に影響します。そういったところを安定させないといけないというのがはっきりしてきた彼の課題だと思います。

――同じく世界の舞台での活躍が期待される田中選手に関してはいかがですか

彼女はこの間世界選手権に行ってきて、度胸がついたと言っていました。具体的に言うとスタートライン上の度胸ですね。それが災いして、そこでは勝負しなくていいんじゃないかというところで無理に勝負を仕掛けて、リスクの大きいスタートをしてしまったと思います。初日は無難なスタートをして1位で、その流れで行けばいいところでもう少し欲を出して苦しくなってしまいましたね。これも一つの勉強になったと思います。

――両クラス3番艇の出来についてはどう振り返りますか

今の早大というのは、他校からすれば、強かった頃の読売巨人軍みたいなもので、どんな選手も他のチームにいれば主力になれる選手ばかりだと思います。今回もワンツーの影に隠れて目立たないですが入江・三宅組も11位を取っているんですよ。これは3番艇としては十分立派です。でもやっぱり上がいるので、3番艇としてももっと上を目指すよう発破をかけて行こうと思います。その成績で十分だよ、とは言いたくないですね。これだけ良い選手たちと練習しているんだから、目標はワンツースリー、表彰台独占でしょう。そんなチームになったら楽しいですね。

470級スキッパー岡田奎樹主将(スポ4=佐賀・唐津西)

――2位という結果です。いまの率直なお気持ちをお願いします

悔しいですね。優勝を狙っていた大会だったので、悔しいという気持ちが大きいです。最後まで優勝するチャンスが残っていたんですが、それを叩いてしまいましたね。

――蒲郡の海への対策はなにかありましたか

軽風域なので体重の軽い人が圧倒的に速いんですが、そのように(軽いペアが有利だと)予想されているレガッタでどういったレースをするかという対策をとる必要がありました。全日本インカレでは、風が吹かなかったんで負けてしまった、というのは許されないので。

――同率首位で迎えた最終日でしたが、振り返っていかがですか

最初のレース終わって首位と2点差だったので、簡単に逆転できると思ったんですけど・・・。風が右に振ったんですが、自分は左に行くと決めていてずっと左に行って、そしたら右に20度くらい振ってしまってどうしようもなくなってしまったというパターンでした。焦ってないつもりだったんですけど、そこでもう少し落ち着けていればよかったんじゃないかと思います。やっぱり焦っていたのかな。

――小松コーチ(ロンドン五輪470級代表監督)は「1上マークでの順位が悪いのが課題」とおっしゃっていましたが

その通りだと思います。スタートがよくでもそこからスピードよく前に出て行けないというのがあるので、そのへんを克服していかないといけないと思います。

――クラスリーダーとして470級チーム全体の出来はどう評価しますか

ぼちぼちじゃないですかね。もう少しよくてもいいとは思いますけど。もっともっと周囲に気を配れる選手にならないといけないと感じました。

――今後は全日本470級選手権、470級ジュニアワールドと学生大会ではない大会が続きます

僕は将来オリンピックでメダルを獲らないといけないので、それを目指すところでどうすればいいかっていうのがあって。モチベーションとか実際の走り方も学生大会とは違ったものがありますね。気合の入り方が違います。学生レースではカットがないですが、社会人以上のレースはカットがあるので積極的に攻めるチャンスがありますし、チャレンジャーの気持ちでいけると思います。

――ジュニアワールドは松尾虎太郎選手と組んで連覇を狙うと思いますが、意気込みをお願いします

連覇は目指していますが、ディフェンディングチャンピオンだという意識はないですね。やることやらないと王者も王者でなくなりますし。